フィリピンの交通インフラ事情をみてみると、交通網はマニラ首都圏をはじめとする都市部に集中していることから、郊外の輸送インフラが未発達であり、今後の取り組む課題として注目されています。
今回は、そんなフィリピンの鉄道・バス業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2021年 フィリピンの鉄道・バス(運輸・物流)業界
フィリピンのVictory Liner、Drop&Go Cargoサービス開始〜鉄道・バス業界動向〜
フィリピンで最も信頼性の高い公共バス運送会社の1つであり、900以上のバスを所有しているVictory Linerは、荷物の配送を行うDrop&Go Cargoサービス提供を開始した。
これは、マニラメトロからルソン島のいくつかの州へのドアツードアの貨物配送を専門とし、従業員と効率的なソリューションを必要としている人の両方を支援することを目的としている。その背景には、Covid-19のパンデミックの影響により荷物配送のニーズの高まりと従業員の確保を実現させようとする同社の狙いがある。
同サービスの配達員はVictoryLinerの正社員であることが特徴であり、彼らは、自分の三輪車やオートバイを使用して、地方のDrop&Goアウトレットから直接商品を配達している。長引くCovid-19のパンデミックの影響から業績と従業員を維持するための新たな事業となっている。
出典:https://www.facebook.com/victorylinerinc/posts/3065057063604039
フィリピンのCeres bus、キャッシュレス支払いを開始〜鉄道・バス業界動向〜
国内最大規模のバス会社Yanson Groupが保有する7つのバス運営子会社の一つであるCeres busは、キャッシュレス支払いである自動料金徴収システム(AFCS)の使用をビサヤ地域で初めて導入し、運用を開始した。
Ceres busはビサヤ地域の西ネグロス州バコロドに本拠を置くバス会社であり、同地域の公共交通機関のキャッシュレス支払いの先駆者となった。タップカードを使用することで、乗客にとって旅行がより効率的かつ安全になることを目的としている。
AFCSは、乗客に支払いオプションを提供することで都市の公共交通機関の改善を目指している。乗客は運賃を支払うために現金を持ち歩く必要がないため、より安全な支払いができる。利用方法は、バスに乗る前に、マシンでカードをタップするだけ。VTIタップカードは無料で配布され、通勤者はターミナルブースでお金をチャージできる。
出典: https://www.pna.gov.ph/articles/1143690
フィリピンのLRT-2ライン、2つの新しい駅が運用開始〜鉄道・バス業界動向〜
マニラ圏の通勤通学などに利用されるLRT-2ラインなどを運営をする公営会社Light Rail Transit Authority(LRT)は、イーストエクステンションと呼ばれるLRT-2ラインの2つの新しい駅を2021年7月5日に運用開始すると発表した。
運用が開始されると、これまでバスやジープニー経由で3時間かかっていたマニラのクラロM.レクトからアンティポロのマシナグまでの移動時間を、わずか30〜40分に短縮できるようになる。
このプロジェクトは1999年から「メトロマニラのマスタープラン」の一部となっており、2012年9月4日に国家経済開発庁の理事会によって承認された。路線の延長だけではなく、鉄道の1日あたりの平均乗客数を24万人から32万人に増やす予定である。
出典: https://www.lrta.gov.ph/starting-july-05-2021-lrt2-will-operate-from-antipolo-station-to-recto-station-and-vice-versa/
フィリピンのクラークフェーズIプロジェクトの進捗順調〜鉄道・バス業界動向〜
国内で最も広範囲な鉄道システムを運営する国営会社であるPhilippine National Railways(PNR:フィリピン国鉄)は、クラークフェーズIプロジェクトの建設は順調に進んでおり、全体の進捗率はほぼ50%であると発表した。
本プロジェクトはマニラ、カローカン、バレンズエラの各都市と、メイカウアヤン、マリラオ、ボカウエ、バラクタス、ギグイント、マロロス市の各都市を横断するもので、2024年の第2四半期までに完了する予定である。
プロジェクトの総予算は1,060億ペソで、そのうち930億ペソは国際協力機構(JICA)の政府開発援助(ODA)によるものである。フィリピン政府は約130億ペソを割り当てている。なお、プロジェクトの請負業者は三井物産である。
出典:https://www.pna.gov.ph/articles/1143663
フィリピンのMRT-3、管制センターをアップグレード〜鉄道・バス業界動向〜
マニラ首都圏の環状幹線道路であるMRT-3を運営する民間コンソーシアムのThe Metro Rail Transit Line3は、すべての列車の活動を監視および制御するコントロールセンターをアップグレードした。
今回のアップグレードには、すべてのステーションに設置されたCCTVのライブ映像をストリーミングする12台の55インチスマートLEDテレビモニターが含まれている。
その他のアップグレードとしては、入り口の拡張、屋根とケーブルシステムの修理、LEDライトパネルの設置、2つの新しい空調ユニットの設置、オフィスでの新しい塗装などが含まれる。これらは運輸省の下でのMRT-3の大規模なリハビリプロジェクトの一部である。
出典:https://www.pna.gov.ph/articles/1141710
2020年 フィリピンの鉄道・バス(運輸・物流)業界
フィリピン・マニラでLRT-2運用再開のためのシミュレーション実施〜鉄道・バス業界動向〜
マニラ圏で通勤通学などに利用されるLRT-2ラインを運営する公営会社のLight Rail Transit Authorityは、首都圏警察(NCRPO)と協力してLRT-2の再開に向けた準備の一環としてシミュレーション演習を行った。
NCRPOの約500人の警察の訓練生が、鉄道サービスにおける社会的距離マーカーの設置や、ニューノーマル移行後の定期的な列車の衛生設備など、安全と健康に関するプロトコルのテストを目的とした演習に参加した。
その他に、バナー、ポスター、情報資料などがLRT-2構内に設置され、駅で実施されている安全プロトコルに関する意識を高める。運輸省(DOTr)によると、LRT-2などの鉄道サービスは、マニラ首都圏の検疫ルールが一般的なコミュニティ検疫(GCQ)に緩和された後に、サービスの再開が許可される。
出典: http://www.lrta.gov.ph/images/upload/PR_LRTAPNPSIMEX.pdf
インフラ工事のためフィリピンのMRT-3を週末運航停止に〜鉄道・バス業界動向〜
フィリピン国内で最も広範囲な鉄道システムを運営する国営会社のPhilippine National Railwaysは、鉄道サービスのインフラ工事を迅速化させるため、2020年7月から9月までの4週末(7月4日から5日、8月8日から9日、8月21日から23日、および9月12日から13日まで)に運行を停止する。
週末の運行停止中に行われる鉄道の交換工事には、ノースアベニューとタフトアベニューの駅の南行きと北行きの線路の分岐工事が含まれる。その他に、レールの交換作業やリサーフェシング、レールプロファイルの研削などの作業を行う。
MRT-3の列車の運行速度は、工事完了後の2020年12月までに時速40キロ(kph)から60キロになると予想されており、列車間の時間は3.5分に徐々に減少すると予想されている。
出典: https://www.pna.gov.ph/articles/1106728
フィリピン・ブラカンで公共交通機関が再開〜鉄道・バス業界動向〜
ブラカンを含むリージョン3の陸上輸送フランチャイズおよび規制委員会は、公式のソーシャルメディアアカウントで、ジープニーやバスなどのいくつかの公共交通機関を配備し、オペレーションを再開したと発表した。
公共交通機関は、強化されたコミュニティ検疫(ECQ)のために3か月以上停止していた。ジープニーは26のルートで合計1,598ユニットが運用され、Point to Point(P2P)バスは5つのルートで合計47ユニットが稼働する。
その他マニラを中心にルートを持つFive Star Busは、ヌエバエシハのカバナトゥアンシティからメイカワヤンシティまでの通勤者に午前5時、午前7時、午前8時、およびその逆の午後10時、午後12時、および午後2時に便を出しており、その他のルートでは時間を制限して運行していると発表した。
出典:https://www.pna.gov.ph/articles/1106732
フィリピンのJAC Liner、6月16日より一部路線を再開〜鉄道・バス業界動向〜
1987年に設立され、ラグナからケソンまでをカバーするバス会社であるJAC Linerは、自社の公式Facebookページにて、2020年6月16日より一部路線を再開することを発表した。
AyalaからBiñanルートは午前5時から午後8時まで、BiñanからAyalaルートは午前6時から午後9時まで運行され、ルート上の停留所も主要なところを中心に従来通り止まるが、本来より停留所数は制限される。
同社は乗客に向けて、安全対策としてフェイスマスクの着用、乗車前の体温のチェック、アルコール消毒の徹底などに従うよう呼び掛けている。最新の情報は同社公式Facebookページに随時アップデートされる予定。
出典: https://www.facebook.com/Jaclinerinc/posts/3352231088143261
フィリピンの鉄道・バス業界大手のCeres bus、安全プロトコルに従いバス運行
国内最大規模のバス会社であるYanson Groupが所有する7つのバス運営子会社のうちのひとつであるCeres busは、健康基準に従ってCOVID-19からすべての人の安全を確保するよう乗客に呼びかけた。
Ceres busはネグロス島やセブ島などリージョン7を中心に運行するバス会社。ネグロスオクシデンタルのバコロド市でバス運行が再開されたとき、多くの乗客がフェイスマスクを着用せず安全な物理的距離を守らずにいたことが発覚し問題となった。
同社はこれを深刻に受け止め、一般的なコミュニティ検疫(GCQ)下で活動している間、運行の日程において引き続き政府の方針を遵守し、「フェイスマスクなし、乗車禁止」、「立ち乗り禁止」のポリシーを課し、すべてのバスの階段に殺菌用のマットレスを設置した。
出典: https://www.pna.gov.ph/articles/1103353
2019年 フィリピンの鉄道・バス(運輸・物流)業界
フィリピンのPNR、運行列車車両を強化〜鉄道・バス業界動向〜
国内で最も広範囲な鉄道システムを運営する国営会社であるPhilippine National Railways (PNR)は、 全国の鉄道網全体で接続性を高め、より良いサービスを実現するために、ドゥテルテ政権が終了するまでに国の運行列車の車両数を5倍以上に強化することを計画している。
2016年時点で221だった運行列車車両の車両数は、2022年までに1,200台以上に成長することを目標に定めていると述べた。現在までに369台の車両の注文が既に完了している。
2022年までにPNRクラークフェーズ1プロジェクトが完了し、完全に稼働すると、マニラからブラカンまでの移動時間が1時間30分から35分に短縮され、毎日30万人の乗客にサービスを提供できると見込まれている。
フィリピンのLight Rail Transit Authority、学生無料乗車!?〜鉄道・バス業界動向〜
2019年7月1日、運輸省(DOTr)はマニラ圏の通勤通学に利用されるLRT-2ラインなどを運営をする公営会社Light Rail Transit Authority (LRTA)のLRT-2を含む、MRT-3とPNRの運行ラインにて学生が特定のスケジュールで無料乗車できることを発表した。
既に実施されたパイロットランでは、合計5,000人の学生が無料乗車の恩恵を受けた。 パイロットランの場合、学生はIDを提示するだけで無料乗車が可能。
ただし学生はDOTr、MRT-3、およびLRTAのWebサイトにオンラインで登録して、「Student Free Ride」IDを取得する必要がある。
フィリピンのYanson Group、家族の確執でグループ会社の崩壊か〜鉄道・バス業界動向〜
Bachelor Express、Rural Transit of Mindanao、VallacarTransit Incorporatedなど7つのバス運営子会社を有する同国最大規模のバス会社であるYanson Groupは、 家族の確執により役員が交代され、運営子会社の危機に瀕している。
長期にわたる家族の確執の結果、Vallacar Transit Inc.(VTI)、Bachelor Express Inc.、Rural Transit Mindanao Inc.、Sugbo Transit Express Inc.、およびMindanao Star Business Transit Inc.の社長であったレオレイ・ヤンソンは、買収という形で兄のロイ・ヤンソンから追い出された。
ヤンソン家の4人のメンバーが役員会議でクーデターを実施し、セレスライナーやその他のビサヤとミンダナオを拠点とする国内最大のバス輸送グループを支配した。 これらの企業は、ヤンソングループのバス会社の一部であり、全国で推定4,800台のバスを保有し、約18,000人の従業員を雇用している。
フィリピン麻薬取締局、Holy Week期間に薬物検査を実施〜鉄道・バス業界動向〜
フィリピン麻薬取締局(PDEA)は、フィリピンの大型休暇であるHolyWeek期間において、バスの運転手とバスターミナルにおいて突然の強制的な薬物検査を実施した。
バスの運転手の間では、仕事の性質上、違法薬物の使用が広く行われていると考えられている。彼らは、特に長距離や一晩運転している場合、覚醒状態を維持するため、危険な薬物を使用する環境におかれやすい。
薬物検査を受けた1,691人のドライバーのうち、15人、つまり0.88%が違法薬物の使用に対して陽性であることが判明した。また合計4,469台のバス、三輪車、UV Express、タクシー、およびジープニーのドライバーが薬物検査に参加し、50台または1.12%が薬物使用に対して陽性であった。
2018年 フィリピンの鉄道・バス(運輸・物流)業界
2022年完成を目指すフィリピン国家鉄道プロジェクト〜鉄道・バス業界動向〜
ドュテルテ内閣が推進する政策である「Build Build Build 」は、インフラ整備による国の経済成長を目指している。国家予算 8.4兆ペソを投資し、2022年までにGDPを7.4%増加させることが期待されている。
同政策の中で、すでに建設作業が開始したミンダナオ鉄道プロジェクトは、2022年までの完了を目指している。完成すれば全長830キロになり、ダバオ市とタグム市を直接結ぶことができるため、注目を集めている。
2018年7月22日、ADB (アジア開発銀行) と JICA が共同で融資を行った、マララス市とクラーク空港を鉄道で結ぶプロジェクトが発表された。この計画も2022年までの完成を目指しており、都市開発を進めることで経済成長を促進したい考えだ。
フィリピン・ルソン島最大級の鉄道網:Philippines National Railways〜鉄道・バス業界動向〜
フィリピン政府が運営に携わる Philippines National Railways は、ルソン島内最大級の鉄道網を運営している。元々は全797kmの路線を走行していたが、火山活動の活発化やその他自然災害の影響で、一部走行不可の区間が発生している。
同社は DMU (Diesel Electric Multiple Unit) という新しい鉄道システムを 約4億8,500万ペソで導入すると発表した。このプロジェクトは試行期間を経たのち、2019年を目処に導入を目指す。
また5月18日には、North-South Commuter Railway (NSCR) プロジェクトを公表した。マロロス市とツツバン市を結ぶ南北通勤電車計画(全長38km) で、JICAとフィリピン政府が協働で進める事業。このプロジェクトによるメトロ・マニラ内の交通渋滞緩和が期待されている。
フィリピンで近代都市鉄道の確立を目指す:LRT〜鉄道・バス業界動向〜
Light Rail Transit Authority は、1980年7月に大統領令 No.603に基づいて設立、その後は経営を民間企業に委託された。2020年までの近代都市鉄道システム確立を目標としている。
2018年1月17日、同社はフィリピン政府管轄の技術開発・教育局TESDA が取り組む TESDA認定プログラムに参加し、列車運転に関する認証を受けた。トレーニングの内容は管理センターとの通信、緊急事態の対応などが含まれ、計243時間のクラスを受講する必要がある。
また7月9日には、LRTに関するプロジェクトを発表。その中で主となるのは、LRTの改修計画。フィリピン政府主導の下、2020年までに鉄道システムの入れ替えを実施する。
フィリピン・ケソン市とパサイ市の行き来を支える:MRT〜鉄道・バス業界動向〜
Metro Rail Transit Corporation は LRT と同様、その経営を民間企業に委託した鉄道会社で、2000年から MRT3 の運営にあたっている。この鉄道はケソン市とパサイ市を繋ぐもので、全長16.9km、13駅で構成されている。
2018年1月9日、フィリピン国土交通省は日本の国際協力機関であるJICAと協働で MRT3 の改良プロジェクトを発表した。今後3年かけてプロジェクトの完成を目指す。
また、フィリピン国土交通省が7月23日に発行したレポートによると、出勤ラッシュ時に MRT3 の利用者が交通手段をバスに変更するだけで270,858人の時間を節約できることが明らかに。これを受けてMRT3は特別バスを運行、平日午前6時から午前9時30分まで利用できるサービスを開始した。
まとめ:フィリピンの鉄道・バス業界
政府は、郊外への交通網拡張を図っており、今後は長らく課題であった交通部門へ民間企業の参入が相次ぐと予想されています。このような状況の中で、フィリピンの鉄道・バス業界は今後も多くのビジネスチャンスを見つけられるのではないでしょうか。
マニラ在住5年目の日本人。法政大学経済学部卒業後、2010年4月よりWeb業界を目指す社会人向けのスクールのインストラクターとして主にコーディングソフトや画像編集ソフトの授業を担当。2015年より海外での生活とキャリア形成を目的に、青年海外協力隊に参加。