持続可能性と金融:台湾が目指すアジアNo.1ブランド

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台湾の金融業界は大きな変革の波に乗り、中國信託と日盛金控の統合が進む一方で、兆豐銀行は新たな認証技術を取り入れることで顧客の利便性向上を図っています。これらの動きは、業界全体が持続可能な経営と発展に焦点を当て、国連の持続可能な開発目標と連携するなかで、台湾をリーディングブランドに押し上げる野心的なビジョンを描いています。

今回は、そんな台湾の銀行業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!

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目次

2023年 台湾の銀行(金融・法人サービス)業界

金管会がP2Pプラットフォーム事業指導原則を発表​

金融監督管理委員会は、借り手と貸し手の両方に実名登録を使用し、3つの主要な資金の流れを管理する手段を提供することを要求する「P2P指導原則」を発表した。​

3つの主要な管理原則として、「P2Pプラットフォーム事業者の自己資金と顧客資金は分離しなければならない」、「P2Pプラットフォームは原則として融資代金の回収と支払い情報フローのみ処理する」、「P2Pプラットフォーマーが自らの代わりに貸付資金の回収と送金を計画する場合、銀行から全額履行保証を受けるか貸付資金を信託の形で管理する必要がある」が設けられた。​

現在、P2P事業者は26社あり、ある事業者は既に履行保証を導入している。今後、金融監督管理委員会は、P2P事業者による指針の実施状況も審査する予定である。​

​出典:https://www.fsc.gov.tw/ch/home.jsp?id=96&parentpath=0,2&mcustomize=news_view.jsp&dataserno=202310190002&dtable=News

中國信託の2023年上半期業績​

中國信託が8月18日に2023年上半期の事業内容と業績についての説明会を開催し、自己申告税引前利益は323億4,100万台湾元、税引後利益は288億1,300万台湾元であったと発表した。​

中國信託の四半期利益成長率は2023年第2四半期に22%に達し、2023年上半期の年間累積利益成長率は19%となり、税引後自己資本利益率は金融業界をリードした。​

中國信託は、引き続き中核事業の最適化を図ると同時に、国連の持続可能な開発目標(SDGs)と連携することで、コーポレート・ガバナンス、環境、従業員、製品、社会、顧客ケアなどの側面で持続可能な取り組みを実施すると述べ、「台湾No. 1、アジアNo. 1」のリーディングブランドになることをビジョンに掲げ、財務面での影響力を発揮して、持続可能な経営と発展を目指していく。​

​出典:https://www.ctbcholding.com/content/dam/twhoo/file/news/2023/20230818.pdf

台北富邦銀行と日盛銀行が合併​

2022年11月11日に日盛金控は富邦金控傘下になることを発表し、加えて、2023年4月1日に台北富邦銀行と日盛銀行が正式に合併する。日盛銀行が吸収され消滅するが、合併後は日盛銀行の155万人の顧客の内85万人が台北富邦銀行に加わり、合計179の拠点を持ち、民間銀行の中で第一位となる。​

合併後、台北富邦銀行は台湾の179店舗の他に、海外サービス拠点は34拠点となり、富邦金控の豊富なグループリソースと統合された旧日盛銀行の事業も合併により拡大し、将来的にはより多様で革新的な金融サービスを提供していく。​

吸収合併される日盛銀行は、以前は寶島商業銀行として知られ、1992年4月9日以来30年間営業してきた。2001年12月1日に日盛グループの金融持株会社の発展という目標に協力するため、日盛銀行に改名された。​

​出典:https://www.tbb.com.tw/zh-tw/about/information/announcement/news/news-announcements/20230331

兆豐銀行が率先してファイナンシャルFIDOを導入​

兆豐銀行は、金融サービスの利便性とユーザーエクスペリエンスの向上を図るため、従来のパスワードに代わる認証技術である国際規格FIDOを導入した。兆豐銀行の顧客はキャッシュカード認証後、「兆豐ID認証アプリ」を開いてQRコードをスキャンするだけで、モバイルデバイスと生体認証の関連付けが完了できる。​

FIDOは世界最大の本人確認技術アライアンスであり、指紋、顔(Face ID)、音声などの一般的な生体認証方式による認証を提供している。従来のパスワード入力と比較して、サーバーに保存されず、個人情報漏洩を確実に防ぐことができる。​

今後、兆豐銀行のFIDOサービスは兆豐グループ子会社間の様々な金融サービスにも順次適用され、ユーザーエクスペリエンスの向上を継続し、安全で便利な金融サービスによる持続可能な運営と発展を創出していく。​

​出典:https://www.megabank.com.tw/about/announcement/announcement-news/announcementdetail?sno=BF4F749D-D951-43D5-BAB6-78C10935B2A9

國泰がEasy Walletと提携して新事業を展開​

國泰金控がEasy Walletと提携し、250万人のEasy Walletユーザーを対象に新事業を展開すると発表した。この異業種連携により、業界の3大事業である代理決済、少額替為送金、ストアドバリュに加えて「電子決済投資」という新たなサービスが登場した。​

國泰金控は、23年以上に渡り台湾と深く関わり、台湾最大の資産運用会社であり、安定した高品質のファンドブランドであることから、今回のEasy Walletとの協力が実現した。Easy Walletを通じて口座を開設するとわずか2分でETFファンド金融口座にアップグレードできる。​

将来的には、交通費支払い、スキャンコード支払い、ユーザー間転送、生活費支払いなどの機能に加えて、Easy Walletには定期購入の強力な機能も追加され、貯蓄が容易になり、顧客の少額投資の規律と良い習慣を身につけることができる。​

​出典:https://www.cathayholdings.com/holdings/lastest_news/news_archive/newsarticle?newsID=SFRV0OWCnEyrjaQYiWJzqA

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2021年 台湾の銀行(金融・法人サービス)業界

台湾銀行、利息収入が前年比18%減〜銀行業界動向〜

現在世界に185店舗を展開している臺灣銀行股份有限公司(以下台湾銀行)は、2020年度の財務レポートを発表した。

2020年1月〜12月の純利益合計は34,026,883千元となった。前年は42,023,945千元で、約19%のマイナス成長となった。利息収入は54,051,970千元で前年比18%減、持分法による投資損益及び合資損益額は1,767,528千元で前年比約50%減だった。

同行は2019年以来、台湾政府の東南アジア政策の推進に対応しており、2年連続で「東南アジア融資額成長優秀賞」を受賞している。国内外問わず資金調達に困っている企業へ積極的にローン支援等を行っている。

出典:https://www.bot.com.tw/FinancialStat/Quarter/Documents/%E8%87%BA%E9%8A%80109Q4%E5%80%8B%E9%AB%94%E8%B2%A1%E5%A0%B1.pdf

台湾の玉山銀行、2020年は純利益3%成長〜銀行業界動向〜

台北市に本部を置き、ベトナム、ミャンマー、香港、日本などにも展開している玉山商業銀行股份有限公司(以下玉山銀行)は、2020年度の財務レポートを発表した。

玉山銀行の2020年度の純利益は56,249,044千元だった。前年は54,522,618千元で、3%の成長となった。利息収入は36,089,321千元で、前年より13%減だったが、手数料収益や利息以外の収入がアップしたことで全体の成長を押し上げた。

玉山銀行は、2021年に発行されたフォーブス誌内「ワールドベストバンク」で台湾銀行業界1位を獲得している。

出典:https://www.esunfhc.com/zh-tw/-/media/esunfhc/files/investor-relations/financials/financial-reports/esunfhc/zh_tw/2020/esun_fhc_4q20_consolidated_cn.pdf?la=zh-tw

台湾の中信銀行、「平均取引レート」機能を開始〜銀行業界動向〜

台湾に144の支店を持ち、日本の東京都にも支店展開している中信銀行は、1秒で平均為替レートを把握できる「平均取引レート」機能を開始した。

顧客はアプリまたはオンラインバンキングを通じて、スポット為替レートを確認し、過去の傾向を観察して個人の為替コストを即座に比較できる。また、1か月、3か月、または任意の範囲で、外国為替の現在の状況を即座に把握できる。

2020年は同行の全取引のうち、オンラインでの両替取引数が全体の80%以上を占めた。中でもオンラインの高額両替取引(当日NT$500,000以上)が増加し、半年で50%以上成長したと発表している。

出典:ideo.i-web.jpn.com/shiseido_group_iweb2023_video/video/video.php

台湾の兆豐銀行 2020年の業績〜銀行業界動向〜

台北市中山区に本店を置き、東京と大阪にも支店を展開している兆豐國際商業銀行(以下兆豐銀行)は、2020年度の財務報告を発表した。

2020年1月から12月の全体純利益の合計は48,490,878千元だった。前年は55,019,523千元で、約12%のマイナス成長となった。

2020年1月から12月の資産合計は3,433,685,136千元だった。前年は3,312,509,266千元で、約3%増加した。負債合計は3,139,101,707千元を記録した。前年は3,023,362,627千元で、こちらも約3%の増加となった。

出典:https://www.megabank.com.tw/about/announcement/legal-disclosure/finance-report

台新銀行のクレジットカードの発行状況〜銀行業界動向〜

台新金融控股公司の子会社で、大型商業銀行の一つである台新國際商業銀行(以下台新銀行)は、2021年3月のクレジットカード金融情報を発表した。

台新銀行の3月の流通有効カード数は4,054,515枚、カード数は60,006枚、契約停止カード数は36,407枚だった。支払い前の分割支払い金額は20,849,925千元、カード決済額は28,813,888千元だった。

同社はコンピュータ評価によってカード所有者のレベルを10段階に分けている。レベルによりクレジットカードの利息率が異なる。1〜3級を例にあげると、1級の適用利率は6.75%(全体の17.62%)、2級は7%(全体の2.24%)、3級は8%(全体の18%)となっている。

出典:https://www.taishinbank.com.tw/TSB/error/

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2020年 台湾の銀行(金融・法人サービス)業界

台湾彰化銀行、国境を越えた送金サービスを改善〜銀行業界動向〜

2019年10月9日の発表によると、国境を越えた送金サービスの品質と効率を改善するために、彰化銀行は環球銀行金融電信協会のグローバル支払い(Global Payments Innovation(gpi)サービス認証を取得した。

現在、銀行業界は主にSWIFTグローバルネットワークを介して国境を越えた送金を処理している。送金の流れとして、いくつかの中間銀行と外国の現地清算システムを介して転送する必要がある。このプロセスは時間がかかり、顧客と銀行にとって非常に不便であり、労力と時間がかかる。

SWIFTgpiポイントツーポイントの追跡機能により、彰化銀行は顧客の送金状況、または受取人が支払いを受け取ったかどうかを即座に確認でき、顧客は送金資金の状況を把握できる。将来的に彰化銀行は、顧客のニーズに基づいて、革新的で高品質の金融商品およびサービスを引き続き提供し、顧客がデジタルイノベーションによってもたらされる利便性を享受できるようにしていく。

出典:https://www.bankchb.com/frontend/newspaperDetail.jsp?id=355

台湾の銀行合作金庫、スタッフのデジタル革命へ〜銀行業界動向〜

産業界のデジタル環境化に面し、もともと人材育成に力を注いでいた合作金庫は、2017年から金融研訓院に委託し、人口知能・ブロックチェーン・ビッグデータ・ロボット財務管理・IoTなどの金融デジタル課程を開講し、スタッフのABCD(AI・Block Chain・Cloud Big・Data)能力を育成している。

カスタマーサービスにおけるAIとビッグデータの応用例として、合作金庫は「360度顧客統合データベース」を構築し、次々と構築されるデータモデルを基に、700万以上の顧客資料を計算したうえ、顧客の居住場所や行為などの特徴も加え、顧客の求める金融サポートを予測する。

合作金庫は、デジタル化教育だけでなく、資産管理の知識の育成にも力を注いでいる。2019年12月3日には、金融研訓院のトップエリートである王正新氏を招き講座を開いた。

出典:https://bit.ly/394PjFk

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10%以上昇給?台湾玉山銀行、給与調整を実施〜銀行業界動向〜

玉山銀行は、人材は企業および国家の競争力の主要な指標であり、重要と考えている。2020年1月1日より、全面的な昇給が行われ、平均年間昇給は8%を超える予定だ。その中で、基本層ではさらに10%以上の昇給に達した。

最初の給与調整では、基本層と中間レベルの幹部の給与構造に主眼が置かれ、固定給与の額が増加した。基本層は月給を3,000元増やし、中間レベルの幹部はボーナスを増やした。

玉山銀行は有形の給与に加えて、人材の長期的な育成と開発を重視し、完全な教育とトレーニング、多様なキャリア開発、質の高い職場環境、優れた従業員福利厚生、幅広い開発段階を提供していく。

出典:https://is.gd/60fOKH

台湾土地銀行、合晶テクノロジーと30億元シンジケートローン契約〜銀行業界動向〜

台湾土地銀行が企画・主催する、合晶テクノロジー株式会社と総額30億台湾ドルのシンジケートローン案の募集が終了した。2019年12月11日から土地銀行の謝娟娟総取締役と合晶テクノロジー株式会社の焦平海取締役会長が連合ローン契約を契約した。当シンジケートローンの用途は金融機関で融資したローンの返済、運営金の充実などである。この融資案に参加する銀行は8社である。

台湾土地銀行は、近年産業転換に積極的な行動を見せている。早くから開始した不動産業務を中心に、財務管理業務・JCBiPASSクレジットカード・海外台湾企業業務などへと拡大している。

また、政府主導の推進政策である、5+2新創重點產業政策・新南向政策・都市更新政策・旧建築物の建て直し政策などの融資政策にも参与している。台湾土地銀行は将来、積極的ではあるが安定した成長で、多元的な発展の方向へ向かうことを目標としている。

出典:https://bit.ly/36W3AlG

台湾第一銀行、榮剛へ62億NTDの融資〜銀行業界動向〜

第一銀行などの11の金融機関は、2019年12月19日の午後に榮剛(RongGang)と62億NTドルの協調融資契約を締結した。台湾銀行と彰化銀行をメインに、華南銀行、合作金庫、兆豐銀行、農業金庫、臺灣企銀、新光銀行、永豐銀行、上海銀行などが参加し、共同出資は42%を超えた。

榮剛(RongGang)は一貫した生産プロセスを持つ国内No.1の特殊合金メーカー。製品は高精度であり、機械金型、航空宇宙、エネルギー、石油およびガスの分野で広く使用され、多くの国際メーカーから認証を取得している。

第一銀行は、188の企業と密なネットワークを通じて、国内外の拠点と組み合わせ、金融サービスを提供し続けている。政府の政策に積極的に協力し、産業およびパーク内メーカー向けに「120周年優待ローンプロジェクト」および「工業区へ工場参入ローン優待」などを開始した。

出典:https://www.firstbank.com.tw/servlet/fbweb/zh_TW/1454093880839

まとめ:台湾の銀行業界

台湾の16の銀行が世界の上位銀行500に入っており、世界的に見ても大きな市場と言える一方で、台湾全体の銀行総資産額はほぼ横ばいがおります。しかし、不良債権は年々減少傾向にあるなど、経営状態としては良好だと言えます。

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