【2025年最新動向】タイ半導体市場|主要企業と投資機会

タイの半導体産業は2024年に投資申請額が過去最高を記録し、政府の戦略的支援により急成長を遂げています。日本企業にとって重要な投資機会と市場参入のポイントを、最新の業界動向と主要企業の動きから詳しく解説します。

読了時間の目安:5分

タイでビジネスをするなら知っておきたい10のこと
目次

タイの半導体事情

世界の半導体事情

世界の半導体市場は2024年に顕著な成長を遂げており、World Semiconductor Trade Statistics (WSTS)によると、市場規模は19.0%成長して6,270億ドルに達すると予測されている。この成長は主にAI技術の急速な普及によって牽引されており、特にメモリ部門が81.0%、ロジック部門が16.9%の大幅な成長を記録している。

Generative AIの爆発的需要がチップ売上を牽引しており、Deloitteの予測では専用AIチップ市場は2024年に500億ドルに達し、わずか2年前のほぼゼロから大幅な飛躍を見せている。特にNvidiaのH100チップは、25,000ドルから40,000ドルの価格にも関わらず、9〜12ヶ月の待機期間が発生しており、供給不足が深刻な問題となっている。

地域別では、アメリカ大陸が38.9%、アジア太平洋地域が17.5%の成長を示しており、これらの地域が世界の半導体市場を牽引している。特にアジア太平洋地域は世界の半導体市場の54%を占める最大の市場となっている。

2025年の展望では、世界の半導体市場は11.2%の成長で6,970億ドルに達すると予測されており、業界は2030年の1兆ドル目標に向けて順調に成長している。

タイの半導体市場

過去5年間(2017年~2021年)のタイの半導体貿易額は、年間平均244億9,000万ドル、年平均5.7%の成長であった。(年間平均輸出額は、101億6,600ドル・年平均2.2%の成長、年間平均輸入額は、143億2,400万ドル・年平均8.2%の成長)

タイの半導体市場は急速な拡大期を迎えており、2023年にアイルランドのコンサルティング会社A.T. Kearneyの報告によると、新興市場における半導体製造分野でインドに次ぐ第2位にランクされている。

2023年のタイの半導体輸出額は5.1兆バーツに達し、これは国全体の輸出額の約25%を占める重要な産業となっている。タイは特に中下流・下流の半導体サプライチェーンにおいて強力な地位を確立しており、OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)やPCB(Printed Circuit Board)製造で重要な役割を果たしている。

現在タイで事業を展開している主要な半導体関連企業には、米国のAnalog Devices、日本のSonyとToshiba、ドイツのInfineon、台湾のFoxsemiconなどがある。特に注目すべきは、タイが東南アジア地域でPCB製造において第1位、中国に次いで第2位の地位を確立していることである。

タイの半導体不足による製造業への影響

タイの製造業は世界的な半導体不足の影響を大きく受けているが、TTB Analyticsの分析によると、2023年には半導体不足の状況が改善傾向にあると報告されている。特に自動車産業への影響が顕著で、半導体不足により生産調整や一時的な製造停止を余儀なくされた企業が多数存在した。

半導体の調達期間(Lead Time)は2021年10月時点で平均22週間に達し、通常の12週間を大幅に上回った。特に自動車用マイクロコントローラー(MCU)については38週間(約9ヶ月)という深刻な遅延が発生していた。

しかし、2022年後半から2023年にかけて、コンピューターや電子機器への需要が鈍化したことで、自動車産業向けの半導体供給が改善された。これにより、タイの自動車メーカーは生産能力を回復し、家電メーカーも継続的な生産が可能となった。

タイの半導体輸入額は2022年の最初の9ヶ月間で42%増加し、その約半分が台湾と中国からの輸入であった。今後、電気自動車の普及に伴い、より多くの電子部品やセンサーシステムが必要となり、半導体需要は継続的に増加すると予想されている。

他国のタイの半導体産業への投資状況

日本からの投資
日本はタイの半導体産業における最重要投資国の一つである。日本の対タイ直接投資(FDI)は東南アジア地域の投資の22%を占め、シンガポールに次いで第2位となっている。特に半導体・電子機器分野では、過去10年間で1.8兆バーツを超える投資を実施している。

最近の主要な投資案件として、Hana Semiconductorと PTTによる合弁事業が挙げられる。両社は2027年から稼働予定のシリコンカーバイド半導体製造工場をラムプーン県に建設しており、第1フェーズだけで115億バーツの投資を行っている。

ドイツからの投資
ドイツの半導体大手Infineon Technologiesは、サムットプラーカーン県に先進的な半導体パッケージング工場を建設中である。同社は世界最大のPower Module製造業者であり、電気自動車やデータセンター向けの半導体製品に特化している。工場は2026年初頭に操業開始予定である。

台湾からの投資
台湾系企業の投資も活発で、FoxsemiconはBOIから105億バーツの投資承認を受け、チョンブリとラヨーンに2つの工場を建設する計画である。これらの工場では上流半導体製造装置用の高精度機器を製造し、年間6,000億バーツ以上の輸出価値を創出する予定である。

中国からの投資
中国企業による投資も増加しており、米中貿易戦争の影響で製造拠点の分散化を図る中国企業がタイを選択している。特に電子機器、電気自動車、デジタル技術分野での投資が目立っている。

国際的な投資動向
2024年には、BOIが承認した半導体関連投資が220億バーツを超えており、わずか4ヶ月間での実績として注目されている。これには先述のFoxsemicon、Hana-PTT合弁、Infineonなどの大型プロジェクトが含まれている。

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政府の半導体生産の政策

半導体産業への投資奨励措置

2021年6月30日に、タイ投資委員会(BOI)とプラユット首相を議長とする投資委員会の会議で、競争力向上の為に幾つかの項目でメリットによる追加恩典(Merit-based Incentives)を改定し、半導体・デジタル・パッケージング産業への投資を促進する為に恩典を追加した。

2024年10月には、パエトンタン・シンワット首相を議長とする「国家半導体・先端電子機器産業政策委員会(บอร์ดเซมิคอนดักเตอร์)」を設立した。

政府は2025-2029年の5年間で5,000億バーツ以上の投資誘致を目標として設定しており、タイを地域の半導体・先端電子機器製造ハブに発展させることを目指している。

4つの戦略的アプローチ
政府は以下の4つの主要戦略を掲げている:

・人材育成の強化: 8万人以上の高度専門人材の育成。特にIC設計、先端技術エンジニア、化学エンジニアなどの専門分野に焦点を当てている。
・新規投資エリアの開発: Eastern Economic Corridor(EEC)を中心とした製造拠点の整備。
・インフラ整備: クリーンエネルギーと十分な水資源の確保。
・非税制優遇措置: 税制以外の包括的な投資支援制度の構築。

電気自動車産業と半導体産業への投資拡大

タイ工業連盟(FTI)は、中国・台湾間の政治的緊張の中で、半導体ビジネスに関してタイにプラスになる事を模索しているが、世界最大の台湾の半導体受託製造メーカーTSMCは、シンガポールやその他ASEAN諸国への投資を拡大しようとしており、FTIは、タイ政府は、同社にタイへの投資を誘致するべきであり、TSMCが、半導体事業をタイに拡大した場合、多くの地元産業、特に電気自動車(EV)製造が利益を得るであろうとの見解を示している。

FTIによると、メーカーは、電気自動車を製造する為に約7,000の半導体・センサー・その他電子部品を必要としている。また、タイ政府は、電気自動車産業の開発に非常に力を入れている。2021年、国家電気自動車政策委員会は、タイを地域の電気自動車生産拠点にする計画の一環として、2030年迄に自動車生産全体の30%を電気自動車にするという目標を発表した。

電気自動車産業は、経済特区のチャチュンサオ・チョンブリ・ラヨーンの3県にまたがるEEC(東部経済回廊)における12の重点産業の内の一つでもあり、タイ政府は、EECに外国人投資家を引き付ける為の投資インセンティブを提供しているが、例として、中国のハイテク大手Xiaomiも、タイでの電気自動車用半導体工場設立・EECに投資した場合の恩典に関心を示している。

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タイの半導体主要メーカーの概要と特徴

Toshiba Semiconductor(Thailand)

東芝セミコンダクタ・タイ(TST)は、東芝の100%子会社として1990年10月に設立されたディスクリート半導体の後工程製造拠点である。同社は小信号デバイスとオプトデバイス製造の組み立てと試験工程を担当し、東芝のディスクリート半導体事業における重要な生産拠点として機能している

2011年のタイ大洪水により、パトゥムタニ県バンカディ工業団地にあったTSTの既存工場は甚大な被害を受け、操業停止を余儀なくされた。東芝は危機対応として、日本国内のグループ拠点やマレーシア現地法人、アウトソーシングを活用した代替生産体制を構築した。

TSTはこの危機を最先端の生産ラインへの投資機会と捉え、2012年4月に洪水リスクの低いプラチンブリ県304工業団地への工場移転を決定した。新工場は敷地面積約135,000㎡、延床面積約40,000㎡で、旧工場の約1.4倍の規模を誇る。2012年7月に着工し、2013年春に竣工、同年第2四半期から量産を開始した。

新工場では高効率プロセスを導入し、生産効率の向上と原材料消費の削減を実現している。また、製造工程のデータ自動収集・分析システムや迅速な対応を可能にする洗練されたITシステムを全工程に導入し、高い品質基準を維持している。

TSTは東芝最大の半導体後工程工場として、家電製品、自動車、産業機械など幅広い用途に使用される半導体製品のアジア太平洋地域における中核拠点となっている。2025年のパワー半導体市場は3兆5285億円規模に成長すると予測される中、TSTは継続的な生産能力拡張と技術革新により、デジタル時代の推進に不可欠な存在として重要な役割を果たしている。

HANA Microelectronics

ASEANの大手半導体メーカーである同社は、タイに本拠地を置く多国籍電子製造サービス企業。1978年に小さな電子組立会社として設立され、1993年2月にタイ証券取引所に上場した。

同社の主力製品は、プリント回路基板アセンブリ(PCBA)、集積回路(IC)のアセンブリとテスト、ICウェハデバイス、RFID・LCOSデバイスの4つのカテゴリーに分類される。コンポーネントからサブアセンブリ、小型電子完成品まで幅広い製造を手がけ、特に高付加価値のカスタマイズICパッケージ設計において競争優位性を確立している。

現在、親会社を含む6社体制で、タイのランプーン県に2拠点、アユタヤ県のHana Semiconductor、中国嘉興市のHana Microelectronics、米国のHana Technologies、カンボジアのHana Microelectronics、韓国のPower Master Semiconductorの計7つの製造拠点を運営している。

2011年のタイ大洪水では、本社とアユタヤの主要工場が3ヶ月間浸水し、深刻な打撃を受けた。特にアユタヤ工場では、長年生産してきた標準パッケージ製品の需要が大幅に減少し、事業の見直しを迫られた。しかし、同社はこの危機を事業転換の機会と捉え、従来の汎用品から費用対効果の高い小型カスタマイズICパッケージ設計への戦略的シフトを実行した。

2025年現在、東南アジアの半導体市場は年率8.5%の成長を続けており、HANA Microelectronicsは地域のEMS(電子機器受託製造サービス)市場において重要なポジションを占めている。同社の売上高は2024年度に約180億バーツ(約720億円)を記録し、特にIoTデバイスや自動車用半導体分野での成長が顕著である。タイ政府のEEC(東部経済回廊)政策による半導体産業支援も追い風となり、今後も持続的な成長が期待される。

EIC Semiconductor

EIC Semiconductor(エレクトロニクス・インダストリー・カンパニー)は、1984年にバンコクで設立されたタイを代表するディスクリート半導体メーカーである。同社は15,000を超える部品と50以上のパッケージタイプを提供し、業界で最も包括的なダイオードポートフォリオの一つを誇っている。

同社の製品は整流ダイオード、高速スイッチング/小信号ダイオード、ツェナーダイオード、過渡電圧サプレッサ(TVS)ダイオード、トランジスタの5つの主要カテゴリに分類される。特にTVSダイオードでは150Wから50,000Wまでの幅広い電力範囲をカバーし、自動車電子機器、電源製品、産業用電子機器、民生用電子機器向けに供給している。

EICは2006年にタイで初めてシリコンウェハーの内製を開始した半導体メーカーとなり、オープン接合とガラス不動態処理の両方のウェハー製造技術を確立した。バンコクの統合製造拠点では、ウェハー製造から最終組み立てまでのエンド・ツー・エンドの生産体制を構築し、品質と供給の完全な管理を実現している。

同社は米国カリフォルニア州アーウィンデール、香港、英国に販売拠点を展開し、グローバルな顧客サービス体制を構築している。製造拠点はISO 9001、ISO 14001、ISO/TS 16949の認証を取得し、全製品がRoHS規制に準拠している。また、ソニーコーポレーションからグリーンパートナー認定を受けるなど、環境配慮への取り組みも評価されている。

2019年以降、EICはリスク分散戦略として食品事業に参入し、Eastern Cuisine (Thailand)とCrepes & Co. Developmentという子会社を通じて事業展開している。Crepes & Co. Developmentは1996年設立で、年間売上高2,070万ドルを記録し、「Bake Cheese Tart」「ZakuZaku」「Rapl」「Kagonoya」「Crepe and Co.」「Le Boeuf」の6ブランドでレストランとスイーツ店を運営している。

Silicon Craft Technology Public Company Limited (SICT)

Silicon Craft Technology Public Company Limited(SICT)は、2002年に設立されたタイ初の民間半導体設計会社である。同社はバンコクに本社を置き、RFID(無線周波数識別)チップとASIC(特定用途向け集積回路)設計に特化したファブレス半導体企業として、20年以上にわたって世界クラスのマイクロチップを提供している。

SICTは研究開発から設計、マーケティングまでを手がける統合型IC設計企業として、動物識別、アクセス制御、イモビライザーシステム、産業用IoT、高周波NFC(近距離無線通信)の5つの主要分野で製品を展開している。同社の設計するマイクロチップは、データを発信源からクラウドまで運ぶRFIDアプリケーションの中核コンポーネントとして機能し、世界中で採用されている無線識別システムに不可欠な役割を果たしている。

ファブレス企業として、SICTは世界トップクラスのファウンドリーやOSAT(アウトソーシング半導体組立・テスト)パートナーと連携し、カスタムASICから標準設計マイクロチップまで幅広いソリューションを提供している。特に線形・混合信号集積回路の設計開発において豊富な経験と専門知識を蓄積し、顧客のニーズに応じたカスタマイズソリューションの開発を得意としている。

2025年第1四半期の業績では、売上高1億9,445万バーツ(前年同期2億516万バーツ)、純利益3,394万バーツ(前年同期4,777万バーツ)を記録した。2024年通年の売上高は約6億5,112万バーツ、純利益8,738万バーツとなっている。同社の輸出比率は99%を超えており、タイの半導体産業における国際競争力の象徴的存在となっている。

UTAC Thai Limited

UTAC Thai Limitedは、シンガポールに本社を置く世界的な半導体後工程受託サービス(OSAT)企業UTACグループのタイ現地法人である。同社はアジア4カ国(シンガポール、タイ、中国、インドネシア)に9つの製造拠点を展開し、半導体の組み立てと検査を専門とする受託事業を行っている。

UTAC Thai Limitedは、バンコクのスクンビット105番通り(ソイ・ラサール)に本社を構え、チャチューンサオ県バンパコン郡のウェルグロー工業団地にBranch 3として製造拠点を運営している。同社はウェーハプロービングから最終テストまでの包括的な製造能力を提供し、ウェーハレベルパッケージング、ラミネートパッケージ、リードフレームソリューション、SiP統合、MEMS・センサー、パワーアプリケーションなど幅広いサービスを展開している。

2014年6月にパナソニックのASEAN半導体後工程3工場を総額1億1,650万ドルで買収し、シンガポール、インドネシア、マレーシアでの戦略的な半導体テスト・組み立て工場の運営を開始した。この買収により、UTACグループは地理的な多様性と高度な技術力を兼ね備えたOSATプロバイダーとしての地位を確立している。

2025年4月、UTACホールディングスの親会社であるワイズロードキャピタルが、同社の売却を検討していることが報じられた。この取引は約3億ドル規模と見込まれ、世界のOSAT業界に大きな再編をもたらす可能性がある。ワイズロードキャピタルは2020年にアフィニティエクイティパートナーズとTPGからUTACを買収しており、半導体サプライチェーンへの投資強化戦略の一環として位置づけられている。

Stars Microelectronics (Thailand) Public Company Limited (SMT)

Stars Microelectronics (Thailand) Public Company Limited(SMT)は、1995年に設立されたタイを代表する総合電子ソリューションプロバイダーである。同社はアユタヤ県バンパイン工業団地に本社を構え、マイクロエレクトロニクスからシステム構築まで幅広い製品をサポートする受託製造業者として事業を展開している。

SMTは「True Vertical Integration」モデルを採用し、ウェハー処理から集積回路組み立て、プリント回路基板組み立て、最終システム構築組み立てまでの一貫した製造能力を提供している。同社の事業は3つの主要セグメントで構成される。電子機器製造サービス(EMS)セグメント、アウトソーシング組み立てとテスト(OSAT)セグメント、光ファイバーデバイス(Optical)セグメントである。

製品カテゴリには、集積回路(IC)のパッケージングとテスト、プリント回路基板アセンブリ(PCBA)とボックスビルド、光ファイバーデバイスが含まれ、半導体、光学・通信、産業、自動車、プロフェッショナルオーディオ・ビデオ、医療機器業界にサービスを提供している。

2024年の業績では、電子機器製造サービスセグメントが8億1,700万バーツ、光ファイバーデバイスセグメントが6億5,300万バーツ、OSATセグメントが5億9,100万バーツの売上を記録した。2025年第1四半期の総売上高は4億4,422万バーツで、前四半期比27.03%減少したものの、純利益は4,373万バーツを達成している。

地理的売上構成では、米国が12億8,000万バーツと最大の市場を占め、その他地域が5億8,200万バーツ、タイ国内が1億9,900万バーツとなっている。同社の輸出比率は約90%を超えており、グローバル市場での競争力を示している。

SMTはタイで唯一、OSAT、EMS、光学の3つの事業ユニットを同一施設で運営する企業として、ウェハーレベルからシステム構築段階まで電子部品の初期製造プロセス全体をカバーする能力を有している。総面積30,000平方メートルの施設には14,000平方メートルのクリーンルームが設置され、ISO 8(クラス100,000)、ISO 7(クラス10,000)、ISO 6(クラス1,000)の各レベルのクリーンルーム環境を提供している。

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タイの半導体産業の今後の動向

今後の動向

短期的展望(2025-2027年)
タイの半導体産業は今後数年間で急速な成長が予想されている。Deloitteの2025年展望によると、タイの半導体市場は生成AI(GenAI)チップの需要増加により大幅な成長を遂げると予測されている。

近い将来、以下の大型プロジェクトが稼働予定である:
Hana-PTT合弁の半導体工場(2027年第1四半期稼働開始)
Infineonのパワーモジュール工場(2026年初頭稼働開始)
Foxsemiconの上流半導体装置製造工場(建設中)

中長期的展望(2025-2030年)
World Semiconductor Trade Statistics(WSTS)の予測によると、2025年の世界半導体市場は11.2%成長して6,970億ドルに達し、2030年には1兆ドル市場となる見通しである。タイはこの成長の恩恵を受け、地域の半導体ハブとしての地位を確立すると期待されている。

米中関係の影響

世界経済の減速により、主な消費市場であるコンピュータ産業と電子産業の需要が減少傾向にあり、2023年には半導体不足の状況が緩和する可能性が高いと予測されている。半導体不足問題の緩和は、半導体を主要部品として依存する必要があるタイの産業にとってプラスの要因であり、特に自動車産業・電気器具産業において、継続した生産が可能となるが、タイの実業家は、減速傾向にある経済成長・世界的なテクノロジーサプライチェーンの変化に対応しなければならない。

中国へのハイテク半導体の輸出阻止における米国の措置の影響から、中国のハイテク川下製品は、高まるタイの実業家の需要に応じられない可能性があり、タイの製造部門は、サプライチェーン、製造・マーケティング・テクノロジーのリスクカバーについて、更なる管理をする必要がある。

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