【アメリカのキャッシュレス】主要キャッシュレス決済8選を紹介

アメリカ キャッシュレス

2021年、アメリカの店舗支払のうち約10件に7件がクレジットカードで支払いとなっていました。既にクレジットカードでの支払いが根付いているアメリカですが、モバイル決済の市場は世界で2番目に大きく、コンタクトレス決済は増加していくと予想されています。今回はそんなアメリカのキャッシュレス決済について詳しく紹介します。

読了時間の目安:5分

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目次

アメリカのキャッシュレス事情

アメリカのキャッシュレス決済の市場規模

2021年の世界全体のキャッシュレス決済の市場規模は895億ドルであり、そのうちの35%を北アメリカ地域(アメリカとカナダを含む)での利用が占めている。

全ての決済にキャッシュレス決済を利用する割合は2015年は24%,、2018年は29%、2022年は41%と増えている。また、現金での支払いの割合は2015年は24%、2018年は18%、2022年は14%と減少している。現金の利用が低下しているが、現金をいつも持つようにしていると答えた割合は58%に上る。

世帯収入が$30,000/年を下回るのアメリカ人 (全体の3/10) は日常生活ではほとんど又は全ての買い物に現金を利用している。その割合は世帯収入が$30,000〜$49,999になると20%、$50,000以上で6%に低下する。

2021年の店舗での支払いは10件のうち7件の割合がクレジットカード支払いであったことから、今後もクレジットカードでの決済が主流であると予想される。

新型コロナウイルスの影響によりオンラインショッピングの利用が増加し、それに伴いキャッシュレス決済の利用も増加している。(オンラインでの売り上げ高は2020年の第三四半期と2021年の第三四半期に比べ6.8%増加。)

アメリカでキャッシュレスが普及した理由と背景

アメリカのキャッシュレス決済で最も利用されているのはクレジットカードである。クレジットカードは1950年代にニューヨーク州でFrank McNamaraにより考案された。利用率が高い理由としてはポイント還元率の高さ、利便性、安全性、クレジットヒストリーを築くため、が挙げられる。

ポイント還元率の高さの例として、最も大きいクレジットカード会社の1つであるシティバンクの「Aadvantage® Platinum Select®World Elite Mastercard®」は利用料金の2%のキャッシュバックに加え50,000マイルのボーナスポイントがある等、リワード率が高い。ミレニアル世代の39%がリワードの為にクレジットカードを利用していると答えている。

クレジットヒストリーはアメリカの文化に根付くものであり、アメリカ在住者の持つソーシャルセキュリティーナンバーに基づいて管理される利用履歴のこと。クレジットカード等の利用と返済状況が記録され、それを数値化したものをクレジットスコアという。スコアが高いほどローンの借入や賃貸の審査が通りやすくなる。

パンデミックの影響で現金の利用が減り、成人のアメリカ人の約1/3は通常の買い物で現金を利用しないと答えている。

アメリカのキャッシュレス決済額の推移

決済方法別の利用率は下記の通り。
・クレジットカード
2017年が40%、2019年が30%、2020年が38%、2021年が40%と利用率はほとんど変化しておらず4年とも支払い方法としては1番利用率が高い。
・デビットカード
2017年が35%、2019年が34%、2020年が29%、2021年が30%と減少傾向にある。
・モバイル決済
2017年が3%、2019年が6%、2020年が10%、2021年が11%と増加傾向。
・プリペイドカード
2017年、2019年が2%、2020年、2021年が4%とやや増加。
※現金の利用は 2017年が16%、2019年が15%、2020年が12%、2021年が11%であった。

・コンタクトレス決済
非接触型ICチップを搭載したカードやスマホを決済端末にかざして決済を行うコンタクトレス決済がパンデミックの影響もあり利用率が大きく増加している。2021年の全世界での利用額は345.5億ドルに上った。2022年から2030年の年平均成長率 (CAGR)は19.1%になると予想されている。アメリカのモバイル決済の市場は世界で2番目に大きく、コンタクトレス決済はアメリカでも増加していくと考えられる。

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アメリカのキャッシュレス決済:カード決済事情

アメリカのクレジットカード決済

アメリカのクレジットカード総数は2017年は468,760,000枚、2018年は479,230,000枚、2019年は507,940,000枚、2020年は505,620,000枚、2021年は531,540,000枚、2022年第一四半期時点ではは555,360,000枚であった。成人のアメリカ人1人につき平均3.8枚所持しており、アメリカ人の83%が1枚以上カードを所持している。

加盟している商店やオンラインショップ等での購買に利用されるクレジットカードであるが、アメリカにおける主なブランドと発行枚数は、VISA(34億枚)、Master Card(24.6億枚)、Discover(5.7億枚)、・American Express(5.4億枚)である。また、発行については、ウェルスファーゴ銀行、バンクオブアメリカ、チェイス銀行、キャピタルワンファイナンシャル、シティバンク銀行などの主な商業銀行がサービスを提供している。

2021年のクレジットカード利用総額は約4.6兆ドルで、そのうちの77.1%に当たる約3.5兆ドルを上位7社のクレジットカード発行会社が占めている。上位7社はチェイス銀行、アメリカンエキスプレス、シティバンク銀行、キャピタルワンファインアンシャル、バンクオブアメリカ、ディスカバー、U.S.バンクである。

アメリカのデビットカード決済

2020年時点では成人したアメリカ人のうち83.14%がデビットカードを所持しており、電子決済総額8兆ドルのうち51.41%がデビットカードでの決済であった。

2022年5月時点での1回の取引手数料の平均は0.65%で約23セントであった。

大多数のデビットカードの発行を行うのは商業銀行である。ウェルスファーゴ、バンクオブアメリカ、チェイス銀行、U.S.バンク、USAA銀行、Truistファイナンシャル等。等の都市銀行以外の地方銀行も発行サービスを行なっている。

デビットカードには4種類のタイプがある。
・スタンダードデビットカード:チェッキング口座に繋がっておりオンラインや店舗での購買時に利用のほかATM等で現金の引き出しができる。
・ATMオンリーカード:ATMでの現金の引き出しのみ可能。
・プリペイドデビットカード:利用する前に必要分をチャージする必要がある。
・EBTカード:Electronic Benefit Transferの略。政府により発行され、月に一度政府によりチャージされ、特定された対象商品のみが購入可能。その他のデビットカードのように口座から現金を引き出すことはできない。

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アメリカのキャッシュレス決済:主要プリペイド決済3選

Bluebird

メタバンク(MetaBank®, N.A.)が親会社であるBluebird bankが所有するプリペイドカード。アメリカンエキスプレスとウォルマートとの契約があり、アメリカンエキスプレスが利用できる場所ではどこでも利用できる他、全国のウォルマート、24,000箇所以上ある「MoneyPass location」での現金の無料引き出しが可能。

年会費、外貨手数料が無料で、審査が通り安いのが特徴。また、「Bluebird2Walmart Money Transfer Powered by Ria」というサービスを通じてBluebirdの口座から誰にでも送金、ウォルマートで受け取りができる。他口座の送金手数料は$50以下で$4、$50.01-$1,000で$8、$1,000-$2,500で$16である。

Serve

Serveは4種類のプリペイドカードを発行している。
①Free Reloads(アメリカンエキスプレス)
CVSやウォルマートを含む45,000以上の店舗のレジにて無料で現金のチャージが可能。(加盟店舗以外でのチャージは$3.95)一度のチャージ額は$20-$500。
月額料金は$6.95、

②Cash Back (アメリカンエキスプレス)
月額料金は$7.95、チャージ手数料は$3.95、利用料金の1%のキャッシュバック。

③Direct Deposit (アメリカンエキスプレス)
給料等から直接入金をすることができる。
月額料金は$6.95だが期間内に$500以上の入金で月額料金は$0。
チャージ手数料は$3.95

④Pay As You GO(VISA)
月額料金は無料で必要な時に必要分のみ利用する。チャージ手数料は$3.95、ATMでの現金引き出しは$2.25。

※同ブランドが使用できる全ての店舗で使用可能
※ニューヨーク、テキサス、バーモント州の住民は月額料金無料

モバイルアプリを利用しての送金や、利用額の履歴、チャージ額が低くなった時に通知を受け取る設定をすることができる。アプリを通してあらかじめチャージ額の設定とバーコードを作成し、店舗のレジでのチャージを簡単に済ませることもできる。

Famzoo

2006年にBill Dwighによって設立された。家族間でアカウントを共有できるプリペイドカード。ブランドはマスターカードで「Debit MasterCard®」の利用できる店舗では世界中で利用可能。何歳からでもカードを持つことができ、子供の金融・金銭教育に利用することができる。主要なカード(親)がでチャージ(1日$2,500まで)し、そこから子供のカードに必要分を分配する形で利用する。家族間での送金は無料で1日に99回まで可能。カードへのチャージ方法は銀行送金、ダイレクトデポジット、現金、デジタルウォレット(Apple Pay等)からすることができる。

月額料金が$5.99~で6ヶ月分の先払いで$4.33/月、12ヶ月で$3.33/月、24ヶ月で$2.5/月である。5枚目のカードからは$3/枚の発行手数料有り。

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アメリカのキャッシュレス決済:主要スマホ決済3選

Apple Pay

2014年にAppleからサービスが開始され、2022年には4,540万人がApple Pay を利用し、2026年には5,420万人まで増加すると予測がされている。 利用者層はZ世代(1996〜2015年)が一番高い。

利用可能なオンラインストア・オフラインストアの加盟店数は100万店舗以上となっており、利用者・出店側共に決済手数料はかからない。

iPhoneやApple watch等のWalletアプリ内にクレジットカードやデビットカード、プリペイドカードを登録し利用する店舗のレジのデバイスにかざして支払いをおこなう。オンラインでの利用も可能。

Apple Payを通してApple cardというクレジットカードを利用すると2%のキャッシュバックがある。

Paypal

1998年に「Confinity」というオンライン小売業者の決済サービスとして始まり2018年に「PayPal」として独立した企業となった。200ヵ国以上で使用され、世界中で2億社以上の企業が利用している。2021年には4.26億人の登録者数があり、年間の取引回数は193億回に上った。現在では約18,000店舗での利用が可能である。

利用者層はミレニアル世代が一番多いが、どの世代も71〜85%がPayPalを利用したことがあると答えている。

PayPalの利用による店舗側の決済手数料は3.49%+$0.49で消費者の手数料は無料である。ディスカバーの非接触型決済のディバイスが設置されている店舗であれば、アプリを使用してコンタクトレス決済をすることができる。

venmo

2009年からサービスが開始され2013年からモバイル送金・決済サービスの「PayPal」の傘下に入り、家族や友達間での金銭のやりとりを円滑に行う為の送金・決済サービスとしてアメリカ内のみで利用が開始された。PayPalが利用可能なほぼ全てのアプリやオンラインショッピングでの利用が可能で、最近では店舗でのQRコード読み込みによる決済も増加している。

出店側は2.9%の決済手数料がかかり、利用者は送金されたお金をすぐに引き出す場合にのみ1%の手数料を設定している。(通常は1〜2日かかる)

2022年には7,770万人が利用し、2026年までに1億人を超える予測がされている。利用者の大部分をミレニアル世代(1980〜1995年)が占めている。

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