【持続可能な発展を】環境に配慮する台湾の海運業界

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台湾の海運業界は、環境に配慮した持続可能な発展を目標としています。裕民航運や慧洋海運、台湾航務などの大手海運会社は、2022年から2023年にかけて、従来の船舶から省エネの貨物船への切り替えを積極的に行っています。世界的にも持続可能な発展が叫ばれている今、一歩先を行く台湾の海運業界は発展を続けられるのでしょうか。

今回は、そんな台湾の海運業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!

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目次

2022年 台湾の海運(運輸・物流)業界

萬海航運、コールドチェーン技術の促進〜海運業界動向〜

萬海航運は、農業科学技術研究院及び国立中興大学と協力して、農業委員会が推進するコールドチェーン技術研究開発計画の執行を支援した。今後、新型冷凍コンテナ技術を使用して新鮮なナツメを日本に運送し、日本のバイヤーの高品質果物に対する要求を満足させると共に、萬海航運もサービスソフトパワーを高め、より多くの生鮮農産物輸出の成長に繋がるよう協力していく。

農業科学技術研究院によるシミュレーションテスト結果の発表によると、新型冷凍コンテナは、コールドチェーンの鮮度を正確に制御する。ガス調節技術を導入し、海運後に表面の低温検疫を行った後の果実は、従来の冷凍コンテナと比べ果皮の褐色化が大幅に低減した。加えて販売可能率が100%に近く、日本の高品質果物に対する標準に合致したと言える。

近年、萬海航運は、冷凍庫市場の開発を続けており、農林水産業及び畜産業に関係なく、より優れた輸送ソリューションを提供する事に取り組んでいる。この新しい鮮度保持技術は、世界中の人々に高品質の商品を届ける事ができると期待されている。

出典:https://tw.wanhai.com/views/content/ContentPage.xhtml?q_content_id=177342&file_num=69682

陽明海運の今後の事業計画〜海運業界動向〜

台湾の大手コンテナ船運送会社の陽明海運は創立50周年を迎えた。祝賀会が2022年12月28日に開催され、蔡英文総統もビデオメッセージで祝福し、台湾を拠点とする陽明海運が、台湾の輸出入で重要な役割を果たした事に感謝を述べた。

陽明海運は、この50年間で徐々にグローバルなコンテナ船会社に発展し、2020年には年間取引量500万TEUを超えた。現在は95隻の船隊を擁し、2022年の最初の3四半期で過去最高の収益を達成した。これらの成果は、次の50年間の持続可能な開発の基盤となるであろう。

陽明海運は今後も、ネットゼロエミッションに向け動き、持続可能な開発目標を実現すると共に、デジタル化の開発、フリートの最適化、従業員の福利厚生の改善、業界育成、また、事業運営とコーポレートガバナンスの実現に引き続き注力していく。

出典:https://www.yangming.com/News/press_release/PressContent.aspx?BulletinType=PressRelease&uid=14378&localSiteD=

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裕民航運、持続可能な貨物船を調達〜海運業界動向〜

裕民航運とその子会社である裕民航運(シンガポール)は、上海外高橋造船に、190,000dwtのLNG二元燃料ケープサイズばら積み貨物船4隻の造船を委託していた。その3隻目が2023年1月9日の入船式典で“裕信論”と命名された。

裕民航運の4艘のLNG二次元燃料ケープサイズばら積み貨物船は、環境保護と持続性を重視する多国籍鉱山会社の「AngloAmericnplc」と10年間の長期契約を結んだ。

裕民航運は、より良い環境を次世代に残し、環境に優しいグリーンフロートを作成する事に取り組んでいる。LNG燃料動力を使用するタイプの船は、従来の燃料と比較して、炭素排出量を25%以上削減する事が期待されている。

出典:https://www.uming.com.tw/news/News_detail.aspx?ID=PRE0057

台湾航務、5,000馬力の大型タグボートを建造〜海運業界動向〜

2023年1月18日、台湾航務は、2022年末に5,000馬力の大型タグボート「臺港15003号」を新たに建造したのに続き、同型船「臺港15005号」の引渡しも完了させた。

「臺港15005号」の追加により、取引会社のタグボートのラインナップが強化されるだけでなく、高雄港エリアの曳航業務などのサービス品質が向上し、高雄港の7つのキャビネットの新たなブースターとなることが期待される。加えて、台湾航務のマルチサービス開発に対応する洋上風力発電企業の発展にも貢献すると期待される。

「臺港15005」は、長さ35m、幅11.8mのタグボートで、中国船舶調査センター(CR)、日本海事協会(NK)の船級を取得している。また、最大抗力は64トンに達し、速度は12ノット、FIFI-1レベルの外部消化設備、海外ナビ機器、船尾牽引ウィンチ、揚重機となっている。

出典:https://www.twport.com.tw/chinese/News_Content.aspx

慧洋海運、2022年に過去最高の営業利益達成〜海運業界動向〜

慧洋海運の2022年12月の売上高は15億1,000万台湾元で月間12.54%減少、年間27.18%減少となり、この1年半の中で最低値を記録した。2022年通年の累計売上高は105億9,900万台湾元、1株あたりの税引前利益は14.20元で、過去最高を記録した。

2022年後半は、ロシアとウクライナの戦争や中国の都市封鎖、及び金融引き締めによるバルク貨物料金の抑制などに加え、年末年始や旧正月、続く中国の新型コロナウィルス流行状況の不確実性の影響により、物価指数が大幅に下落し12月の収益に影響を与えたが、2022年全体を見ると、過去最高の業績を達成した。

慧洋海運は、2023年に船の輸送能力を積極的に増やす予定であり、現在運行されている船の数は140隻、平均船齢7年、2023年には7艘の新しい省エネ船が引き渡される。船隊の有効性と優位性を最大化する事を目的とし、市場の状況に応じて、新しい環境保護規則を満たさない老朽化した船を今後排除していく予定である。

出典:http://www.wisdomlines.com.tw/wisdom/report/con_inf/cht/20221214_conference.pdf

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2021年 台湾の海運(運輸・物流)業界

台湾の陽明海運、新たなコンテナ船での操業開始〜海運業界動向〜

2021年7月27日、陽明海運股份有限公司が船東正榮汽船株式会社からリースした11,000TEUクラスの新コンテナ船、帆明輪(YMトラベル)が正式に完成・納品された。

陽明海運は、中長期的な営業運営発展のため、船主と協力して、11,000TEU級のコンテナ船14隻を配備する。「帆明輪」は、シリーズで6番目の新造船であり、約11,860個の20フィート標準コンテナを載せることができる。船の全長は333.9m、幅は48.4m、最大喫水は16mである。

タンク水処理装置や電力システムなどには多くの環境保護装置が採用されている。また、新しいツインアイランド設計を採用しており、貨物の積載スペースを増やし、視覚性能を向上させている。

出典:https://www.yangming.com/news/Press_Release/PressContent.aspx?UID=14069

台湾の慧洋海運グループ、貨物船3隻を購入予定〜海運業界動向〜

2021年6月25日、慧洋海運グループは、TsuneishiGroupShipbuilding Inc.からハイスペック貨物船3隻を購入することを取締役会で発表し、承認された。貨物船市場の今後の見通しについては楽観的である。

購入したのは82,400トンのハイスペック貨物船で、単価は3400万USD以下、総取引額は1億2000万USD以下で購入予定とのこと。引き渡しは2023年~2024年を想定している。

慧洋は現在、業界で第1位の137隻の船舶を保有している。慧洋の株価は6月25日に3.9元上昇して102元で取引を終え、100元に食い込んだ最初の貨物船株となった。

出典:http://www.wisdomlines.com.tw/wisdom/php/news_content.php?no=1070&type=2

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台湾の萬海航運、新たなコンテナ船を追加〜海運業界動向〜

コンテナ船市場は引き続き活況を呈している。萬海航運は新しい2,038TEUシリーズの12隻のコンテナ船を追加した。5番目の新造船「ユアンチュン」(WAN HAI 288)は、2021年8月4日に香港への初航海を行った。

このシリーズの船は、航行性能を効果的に改善している。環境保護基準を満たすための省エネと二酸化炭素排出量削減に重点を置き、船体の性能を向上させている。

このシリーズのすべての船舶は「SmartShipNotation」認証を取得している。さまざまな監視システムを通じて船舶のナビゲーションデータを収集し、船舶の安全管理を最適化し、安全なコンテナ輸送サービスを提供する。同社は時代の変化に歩調を合わせ、競争力を継続的に向上させ、社会的責任を果たし、環境の持続可能な保護に貢献していく。

出典:https://tw.wanhai.com/views/content/ContentPage.xhtml?q_content_id=163359&file_num=69682

台湾の長榮海運、長榮コンテナプラットフォームを開始〜海運業界動向〜

長榮グループの長榮海運は、顧客に高品質の輸送サービスを提供するために高雄コンテナヤードにて「長榮貨櫃通プラットフォーム」を正式に開始した。

このサービスは、経済部知的財産局によって承認されており、「コンテナ管理補助システムと方法」の特許を取得した。ペーパーレスモード、ゼロタッチサービスインターフェイスなどにより、コンテナ配送の安全性と効率が向上する。

顧客はウェブサイトで事前に税関申告を容易にできたり、リアルタイムステータスや海運会社の輸出予約、コンテナ情報を入手できる。セルフ登録は長榮貨櫃通アプリを通してIoTデバイスセンサーによって5秒で完了できる。登録後はすぐにコンテナを受け取ることができるため、全体の作業時間を大幅に短縮できる。

出典:長榮海運https://reurl.cc/1YNkGY

台湾の布袋商港新旅客サービスセンター 運営に向けて〜海運業界動向〜

澎湖への航海が最短であるという利点を持つ布袋商業港は、5つの客船と10隻の船を持ち、乗客数は急増している。交通部航港局と台灣港務は「布袋商業港旅客サービスセンター再建プロジェクト」を進めており、2022年4月からの営業開始を目指している。

「布袋商業港旅客サービスセンター再建プロジェクト」は、港湾局がまとめた2.38億元の予算で支えられ、台灣港務公司が企画・実施を担当している。

新しい旅客センターは、地上1階の平屋建て、面積は5,050㎡に拡大され、約2,000人を収容できる。

出典:台灣港務https://reurl.cc/XWKaLD

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2020年 台湾の海運(運輸・物流)業界

貨物の通関を容易に!台湾港湾会社が海上特別区域の設定〜海運業界動向〜

2019年11月15日、台湾港湾会社が政府の海上政策を実施するため、台湾南部の電子商取引消費者市場にサービスを提供し、高雄港での海上急行貨物の通関、倉庫保管、流通として、海上特別区域を設置し、高雄港に輸出入倉庫を置くことを計画している。

高雄港支所は、海上特別区域設立後の利点として、「貨物通関時間とコストを削減」「中国本土の航空および海運産業の発展を促進」「便利で安全な特急貨物通関環境」などを挙げている。

高雄港は台湾最大の国際港である。5つの大陸と繋がっており、300を超えるルートがある。海上特別区域の設定により更なる経済発展を促進することが期待されている。

出典:https://www.motc.gov.tw/ch/home.jsp?id=14&parentpath=0%2C2&mcustomize=news_view.jsp&dataserno=201911140004&aplistdn=ou=data,ou=news,ou=chinese,ou=ap_root,o=motc,c=tw&toolsflag=Y&imgfolder=img%2Fstandard

台湾港湾局、海運業界の新たなビジネスチャンスを狙う

2019年5月22日、交通部の港湾局はフィリピン、ベトナム、インド、インドネシアの政府および学界のエリートを招き、市場情報、海運動向、物流開発、その他の情報と分析を共有する国際セミナーを開催すると発表した。

セミナーのテーマは、業界の動向を理解し、多様なビジネスチャンスを発掘すること。100人以上の学界エリートが参加し、アジア、ニュージーランド、オーストラリアとの緊密な協力関係の確立に努めるだけでなく、台湾のビジネスマンが多様なビジネスチャンスを発掘できる機会を目指す。

港湾局の副局長は「台湾の貿易国上位15カ国のうち、7カ国はアジア太平洋地域の諸国であった。二国間貿易総額は1,000億米ドルを超えている」と述べ、アジア太平洋地域におけるさらなる台湾の新しい役割を生み出すための政策であると述べている。

出典:https://www.motc.gov.tw/ch/home.jsp?id=14&parentpath=0%2C2&mcustomize=news_view.jsp&dataserno=201905220007&aplistdn=ou=data,ou=news,ou=chinese,ou=ap_root,o=motc,c=tw&toolsflag=Y&imgfolder=img%2Fstandard

台湾港湾公司、サービス品質向上のための人材育成〜海運業界動向〜

2019年5月22日の発表によると、台湾港湾公司は、港とその周辺の地域の海域における船舶の安全性を改善するため、船舶交通サービス(VTS)オペレーター向けのトレーニングを実施。国際商業港サービス品質を強化するために研修を行っている。

船舶交通サービス(VTS)は港での船の順序を維持することに加えて、隣接する海域の監視や海上救助などの機能も実行が可能である。

既存の港湾保安管理士に専門的なトレーニングを提供することに加えて、大学の3年生が参加する港湾会社のインターンシップでもトレーニングを行う「産学連携計画」を実施している。

出典:https://www.motc.gov.tw/ch/home.jsp?id=2&parentpath=0&mcustomize=news_view.jsp&dataserno=201912090002&aplistdn=ou=data,ou=news,ou=chinese,ou=ap_root,o=motc,c=tw&toolsflag=Y&imgfolder=img%2Fstandard

台湾の澎湖県、観光客を増やすための対策とは?〜海運業界動向〜

澎湖県(ポンフー)は、台湾の南西に位置する大小90余りの島嶼からなる澎湖諸島から構成されている。交通部は澎湖県の観光業の促進と、交通の便を改善するため、台湾港湾会社と港湾局に対して「航路計画」や「港湾建設」などの積極的な支援を求めた。

高品質な海洋サービスを提供し、島巡り観光の促進や、国際クラスの豪華客船クルーズの停留場所として大きな港を建設する予定である。

港湾局は2018年、澎湖県が行政相から1億1500万元の予算を得れるように協力した。港湾局は海上に優しい環境改善に引き続き取り組み、澎湖県の政府と協力し、島々のバリアフリー施設の展開の促進も考えている。

出典:https://www.motc.gov.tw/ch/home.jsp?id=14&parentpath=0%2C2&mcustomize=news_view.jsp&dataserno=201907110002&aplistdn=ou=data,ou=news,ou=chinese,ou=ap_root,o=motc,c=tw&toolsflag=Y&imgfolder=img%2Fstandard

台湾港務会社、大阪市港湾局と覚書を締結〜海運業界動向〜

2019年3月19日、台湾港務会社(TIPC)と大阪市港湾局はパートナーシップに関する覚書を締結した。これにより両港の交流が強化されることが期待されている。

日本の国際貿易港の一つである大阪港は、クルーズ観光産業とウォーターフロント施設が成熟する都市である。一方、台湾は豊かな観光資源に恵まれており、特にTIPCの管理している基隆港、高雄港は北東アジア航路における人気の高い寄港地である。

TIPCの呉宗栄会長は、「今回の覚書の締結はアジアで重要な港湾と都市の提携の始まりであり、両者が有利な資源を生かし、ウィンウィンの目標を達成したい」と述べている。

出典:https://www.twport.com.tw/jp/News_Content.aspx?n=8D3BBBAE4914D793&s=A1B9FEA3B741B2A4&SMSU=9DC5DA75CCA8E135&ishistory=Fals

まとめ:台湾の海運業界

海運では貨物に関して大きく着目されますが、実は国際商港の旅客数も年々増加しています。特に日本とは近いこともあり、総旅客数の15%ほどが日台間の利用で用いられています。今後は観光における海運のニーズも上がっていくでしょう。

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