フィリピンでは、製薬業界の発展が諸外国に対して著しく遅れており、海外企業に依存する形になっています。2022年にはファイザーやGetzなどの外資製薬企業が、フィリピンの健康促進のプログラムを作成するなど、製薬以外にも影響力を強めています。
今回は、そんなフィリピンの製薬・バイオテクノロジー業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2022年 フィリピンの製薬・バイオテクノロジー(医療・介護)業界
「Life Careing, Life Changing」を開始〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
2022年7月19日の発表によると、Pfizer Philippines Inc.(ファイザーフィリピン)は、患者の生活を変えるブレークスルーを開発する同社の取り組みに焦点を当てた、新しい企業コミュニケーションプログラムを開始した。
「ライフケアリング、ライフチェンジング」をテーマにしたこの新しいプログラムは、ビデオストーリーで特徴付けられ、ファイザーが様々な革新的な医薬品、ワクチン、治療法を開発したおかげで、人々が希望を持ち続け、最高の生活を送れるように支援した方法を紹介している。
このプログラムは、患者、地域、社会が直面している健康問題に対処するための完全な装備を備えたアジャイル・イノベーション・パワーハウスに会社を再形成するためのファイザーの複数年にわたる記録表している。
出典:https://www.pfizer.com.ph/news
フィリピン健康ブレークスループログラム〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
Getz Healthcareは、アジア太平洋地域における医療機器および機器の主要な販売代理店である。同社は地元の医療提供者を世界中の最新の医療技術製品およびサービスと結びつける役割を果たしている。
2023年3月29日の発表によると、Getz Healthcare Philippinesは、ビジネス、政府、市民社会のリーダーを集めて、より大きな可能性を実現する方法についての思考と行動の突破口を促進することを目的としたフィリピン健康ブレークスルー・プログラムを作成した。
2023年の焦点は、これらのリーダーがどのように協力して健康的なライフスタイルを実現し、国内での平等な医療への可用性とアクセスを拡大できるかにある。
出典:https://twitter.com/GetzHealthcare/status/1640960499839025152
GSKがロンドンに新しいグローバル本社を発表〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
2022年12月12日、GSK plc(LSE/NYSE: GSK)は、新しいグローバル本社をロンドン中心部に置くことを発表した。同社は、2024年に西ロンドンのブレントフォードにある現在の場所から新しい本社に移転する予定だ。
GSKのCEO、Emma Walmsleyは「世界的なバイオ医薬品企業として、私たちはロンドンを本拠地と呼べることを誇りに思い、ロンドンの世界クラスの科学、学術、医療機関とさらに緊密に連携する機会を楽しみにしている。当社の新しい本社は、GSKの従業員が出会い、協力し、最終的に世界が直面している緊急の医療課題に対するソリューションを提供するための素晴らしい新しい焦点を提供する」と述べた。
新しいグローバル本社は約3,000人の拠点となり、ハイブリッドワーキングモデルを引き続き使用していく。
出典:https://www.gsk.com/en-gb/media/press-releases/gsk-announces-new-global-headquarters-in-central-london/
アボットがFDA承認を取得〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
2023年3月30日、アボットは米国食品医薬品局(FDA)が、同社のEpic™Maxステント付き組織弁を大動脈弁逆流または狭窄のある人々の治療に承認したことを発表した。
このデバイスは、弁の血流をさらに改善するために最適化された設計を備えた数十年にわたる安全性と強力な臨床結果の歴史を持つアボットのEpic外科用弁プラットフォームに最近追加された。
大動脈弁が適切に閉じない場合(大動脈弁逆流)や、完全に開かない場合(大動脈弁狭窄症)、心臓は血液を効率的に送り出すことができず、体への血流が減少する。大動脈弁疾患を治療せずに放置すると、心不全、脳卒中、血栓、または死に至る可能性がある。修復できない病気や損傷を受けた心臓弁は、開心術で機械弁または生体弁(組織)弁に外科的に置き換えることができる。
よって、Epic Maxのような生体弁は、血液希釈剤の服用に適さない弁置換術が必要な患者に推奨される
出典:https://abbott.mediaroom.com/2023-03-30-Abbott-Receives-FDA-Approval-for-Epic-TM-Max-Tissue-Valve-to-Treat-Aortic-Valve-Disease
RocheがPRAME(EPR20330)抗体を発売〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
2022年11月10日の発表によると、Roche (SIX: RO, ROG; OTCQX: RHHBY)は、メラノーマが疑われる患者の組織サンプルでPRAMタンパク質の発現を特定するAnti-PRAME(EPR 20330)ウサギモノクローナル一次抗体を発売した。
メラノーマは、メラニンを生成および含有する皮膚および眼の細胞であるメラノサイトに由来する進行性の皮膚がんで、メラノサイトへの修復されていないDNA損傷が突然変異を引き起こし、メラノサイトが急速に成長して悪性腫瘍を形成するときに発生する。
研究は、免疫組織化学(IHC)によるPRAME発現の検出が、日常的に使用される検査からの知見を補完し、より多くの情報に基づいた臨床的決定と患者転帰の改善を可能にすることを示唆している。
出典:https://diagnostics.roche.com/global/en/news-listing/2022/roche-launches-prame-epr20330-antibody.html
2020年 フィリピンの製薬・バイオテクノロジー(医療・介護)業界
Zuellig Pharma、フィリピンで遠隔医療に関するサービス提供へ〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
スイスの大手製薬会社であるZuellig Pharmaは、今年3月のCOVID-19パンデミック以来、フィリピン国内で対面診察が減少したと報告した。
調査対象は遠隔医療ウェビナーに参加した660人の医師。その半数以上(54%)は、COVID-19以降、患者の診療所への訪問と診察が大幅に減少したと回答し、35%は患者と直接会うのを躊躇っていると答えた。さらに、44%が診療の一部として遠隔医療を取り入れていると回答した。
同社は遠隔医療においてシンプルで安全なアクセスを可能にするため、独自の仮想ケアネットワークeZConsultを立ち上げた。これは医師と患者に、データの安全性、料金と支払いオプション、薬局との相互接続性、患者の記録の保持、使いやすさを提供することを追求している。
出典:https://www.zuelligpharma.com/news/news-face-to-face-doctor-consultations-decrease-in-the-philippines-during-pandemic-new-survey-reveals
フィリピン政府、ワクチン試験のために36カ国と調整へ〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
フィリピン政府は、外務省(DFA)を通じて、Covid-19のワクチン開発に関する国際的なパートナー約36か国との調整を開始した。
ワクチン開発と潜在的な国際的パートナーに関する情報は、DFAによって、Covid-19ワクチン臨床試験に関するサブテクニカルワーキンググループ(sTWG)の議長として科学技術省(DOST)に承認された。
感染者数の拡大が止まらないフィリピンにおいて、国全体が一体となって治癒に努めるため、DFAはCOVID-19へのフィリピン政府機関の取り組みを全面的に支援し、最終的にはフィリピン人向けのCovid-19の実行可能なワクチンを可能な限り迅速に確保する準備を進める。
出典:https://www.pna.gov.ph/articles/1108616
フィリピンで製薬・バイオテクノロジー業界大手のPfizerの重度のアトピー性皮膚炎の製品、承認へ
現地Interphil Laboratoriesに製造委託しており、多国籍な大手製薬会社であるPfizerは、同社が開発を進める中等度から重度のアトピー性皮膚炎の経口薬の新薬承認申請を、米国食品医薬品局(FDA)より承認されたと発表した。
製品名はABROCITINIB(アブロシチニブ)で、12歳以上の中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)の治療のための経口のヤヌスキナーゼ1(JAK1)阻害剤である。臨床結果では、皮膚の状態改善、疾患の程度、およびかゆみの改善などが確認された。
欧州医薬品庁(EMA)は、同じ患者集団におけるアブロシチニブの販売承認申請(MAA)も承認し、2021年後半に決定されれば効果の高い新製品が市場に出回ることとなる。
出典: https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/fda-grants-priority-review-and-ema-accepts-regulatory
SanofiとGSK、ワクチンに関する意向表明書に署名〜フィリピンの製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
フランスの大手製薬会社Sanofiとイギリスに本社を置くグローバル製薬企業GlaxoSmith Klineは、最終的なCOVID-19ワクチンのプール調達と公平な配布のためのグローバルなリスク共有メカニズムであるCOVAXファシリティの意向表明書に署名した。
COVAXファシリティはGavi(ゲイツ財団)が主導する、COVID-19ワクチンの開発、生産、および公平なアクセスを加速するために取り組んでいる政府、グローバルヘルス組織、企業、慈善団体のグローバルコラボレーション。世界中でCOVID-19ワクチンの公平なアクセスを確保することを目的としている。
SanofiとGSKは規制当局によって承認され、契約の対象となる場合、2億回分の組換えタンパク質ベースのCOVID-19ワクチンをCOVAX施設に提供する予定である。
出典:https://www.gsk.com/en-gb/media/press-releases/sanofi-and-gsk-confirm-intent-to-supply-covax-with-at-least-200-million-doses-of-adjuvanted-covid-19-vaccine/
アステラス製薬とピッツバーグ大学、共同研究を開始〜フィリピンの製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
1923年に日本で設立し、医薬品の製造・販売および輸出入を行うアステラス製薬は、後眼部疾患の一つである萎縮型加齢黄斑変性の治療に対する開発候補品創出を目的としてピッツバーグ大学と共同研究を開始した。
加齢黄斑変性は高齢者における中途失明の主要原因の一つであり、特に萎縮型加齢黄斑変性は、重症化すると視力が著しく低下する疾患。病変に至るメカニズムはいまだ十分に解明されておらず、臨床的に明確な有効性を示す治療法は確立されていない状況。
本共同研究では、後眼部疾患研究における世界的権威であるピッツバーグ大学医学部と、創薬ケイパビリティを持つアステラス製薬が協働して、萎縮型加齢黄斑変性に苦しむ患者へ視力の維持や回復をもたらす新たな治療選択肢の提供を目指す。なお、同社は本共同研究で見いだされた開発候補品に対する開発・商業化に関する独占交渉権を有する。
出典:https://www.astellas.com/jp/ja/news/16036
2019年 フィリピンの製薬・バイオテクノロジー(医療・介護)業界
フィリピンで製薬・バイオテクノロジー業界大手のPfizer、GSKと国内の市販薬の業務を統合
世界的な大手製薬会社であるPfizerと、 大手海外メーカーでは唯一自社の最終製品の製造拠点を持つ GlaxoSmithKline(GSK)は、国内の市販薬の業務を統合することをフィリピン競争委員会(PCC)によって許可された。
PCCは、Pfizerの所有する同等の医薬品ブランドを買収するというGSKの提案を承認したと述べた。最終決定は、競争機関が取引の詳細なレビューを行い、コスト上昇により合併が現地市場や消費者にとって問題ないかどうかを確認した後に行われる。
この統合は主に2つの製薬会社の消費者事業セグメントを対象としており、医師の処方箋なしで購入できるシロップと錠剤であるビタミン剤、咳止め薬、小児および成人向けの鎮痛剤において適用される。
Zuellig Pharma、 フィリピンのMölnlycke社と提携〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
2019年7月5日の発表によると、スイスのズエリググループ傘下にあり、 大手医薬品卸企業であるZuellig Pharmaは、東南アジアの患者と医療従事者に、より高度な創傷ケア製品とソリューションを提供するためMölnlycke社とパートナーシップを締結した。
新しいパートナーシップは、 Mölnlyckeの高度な創傷ケアポートフォリオのマーケティング、医療、販売管理における豊富な経験と、Zuellig Pharmaの広範なネットワークを活用して製品がアジア全体のコミュニティによりアクセスしやすくする。今後東南アジアの各国で展開され、拡大予定。
同社の上級副社長は「Zuellig Pharmaは東南アジアで増大する医療ニーズをサポートする強力な立場にあり、この新しい戦略的パートナーシップではネットワークを活用して、よりアクセスしやすいヘルスケアを実現させる」と述べた。
大塚製薬がフィリピンで開催!東南アジア競技大会協賛の目的とは?〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
大塚製薬株式会社は、2019年11月30日から12月11日にフィリピン(マニラ、スービック、クラーク)で開催される第30回 東南アジア競技大会/30th Southeast Asian Games 2019 (Philippines)に協賛する。
東南アジア競技大会は、2年に一度開催される東南アジアで注目度の高い大会となっている。同社はポカリスエット(Isotonic Partner/Brand: POCARI SWEAT) で、東南アジア各国から集うアスリートおよび関係者のパフォーマンスやコンディショニングをサポートする。このサポートにより、開催国フィリピンのみならず東南アジアにおけるポカリスエットのプレゼンスのさらなる飛躍を目指している。
このたびの締結にあたり、フィリピン東南アジア大会組織委員会(PHISGOC)のアラン・ピーター・カエタノ会長は、「多国籍企業からの支援が増えることで、あらゆる挑戦が可能となり、過去最高の大会となることを確信しています」とコメントした。
Sanofi、フィリピンでも流行のデング熱ワクチンのCPR永久取消を控訴〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
2019年10月10日の発表によると、フランスの大手製薬会社であるSanofiは、デング熱の予防ワクチンであるデンバクシアワクチンの製品登録証明書(CPR)の永久取消しについて大統領事務所に控訴した。
これは、8月に同社がデンバクシアの市販後の要件を遵守しなかったため、食品医薬品局(FDA)によって本ワクチンのCPRの取り消しを支持することが決定されたもの。
フィリピンではデング熱が猛威を振るっており、1月1日から9月21日までに、約32万人のデング熱患者が保健省(DOH)によって記録された。ドゥテルテ大統領は8月に、1月以来全国で600人以上の命を奪っていたデング熱の全国流行を回避するために、政府のデンバクシアワクチン接種プログラムの再開を受け入れていると語っていた。
2018年 フィリピンの製薬・バイオテクノロジー(医療・介護)業界
フィリピンのZuellig Pharma、 MedAdvisorとJVパートナーシップを開始〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
Zuellig Pharmaは、オーストラリア最大の製薬会社MedAdvisor Limitedと50:50の合弁会社を設立し、アジアでMedAdvisor の製薬をを展開するためのプラットフォームを設立することを明らかにした。
ジョイントベンチャーの設立により、 Zuellig Pharmaはまずフィリピンや韓国への進出を足がかりに、アジアのより広範囲な薬局や医療クリニックなどへマーケットを展開していく予定。
JVが対象とするマーケット人口は560百万人を超え、製薬費は69億USドルと推測される。
フィリピンで製薬・バイオテクノロジー業界大手のファイザー社、 ABBVIEとのグローバル契約を締結
2018年11月30日、ファイザーは製薬「アダリムバブ」のバイオシミラー(バイオ後続品)においてAbbVie社とライセンス契約を締結したことを発表した。
欧州医薬品庁(European Medicines Agency)の承認を得て、アダリムマブのバイオシミラーを発売する可能性がある。
アメリカでのライセンス期間は2023年11月20日から開始予定。
フィリピンのGSK、協和発酵キリンとの戦略的商業化契約に署名〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
2018年11月22日の発表によると、GSKは、協和発酵キリンとの慢性腎疾患に伴う貧血治療薬「ダプロシュタット」に関する日本での戦略的商業化契約に署名した。
契約条件に基づき、GSKは進行中の第3相臨床プログラムの完了と、日本における販売許可のための規制条件の提案を行う。
「ダプロシュタット」の販売は、協和発酵キリンが独占的に日本市場で行っている。
フィリピンのベーリンガーインゲルハイム、 獣医学のためのグローバルセンターを開設〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
ベーリンガーインゲルハイムは、フランスのリヨンに獣医学(狂犬病や鳥インフルエンザ など)のワクチン研究開発のためのグローバルセンターを開設した。
施設の開設にあたって70百万ユーロを投資する予定で、獣医学用ワクチン市場におけるリーディングカンパニーとしての地位を強化する方針を固めている。
14,500平方メートルの敷地を誇るセンターでは200人以上の従業員を雇用し、最新鋭のテクノロジーを完備する。
まとめ:フィリピンの製薬・バイオテクノロジー業界
国民健康保険制度(PhilHealth)の拡大により、貧困層でもアクセスできる手頃な医薬品の需要が高まると考えられています。政府の政策に注目することで、フィリピンの製薬・バイオテクノロジー業界は今後、大きなビジネスチャンスを見つけられるのではないでしょうか。
マニラ在住5年目の日本人。法政大学経済学部卒業後、2010年4月よりWeb業界を目指す社会人向けのスクールのインストラクターとして主にコーディングソフトや画像編集ソフトの授業を担当。2015年より海外での生活とキャリア形成を目的に、青年海外協力隊に参加。