ベトナムでは、外資を含む製薬業界のプレイヤーが、輸入品に劣らない高品質な医薬品を国内で製造を行っています。2022年には大正製薬子会社のDHGファーマが新工場建設を発表するなど、日系企業も積極的に進出、拡大しています。
今回は、そんなベトナムの製薬・バイオテクノロジー業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2022年 ベトナムの製薬・バイオテクノロジー(医療・介護)業界
DHGファーマがグローバルGMP基準の工場を建設へ〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
日本の大正製薬グループの連結子会社で、医薬品や機能性食品、化粧品の製造及び販売を行うDHGファーマ社(DHG Pharmaceutical:カントー市)が、2022年7月9日にグローバルGMP基準を満たす新工場(ベタラクタム工場)の建設を正式に開始した。
本プロジェクトはハウザン省チャウタンA地区のタンフータン工業団地(フェーズ1)に建設される予定で、プロジェクトの総面積は約6ha(ヘクタール)である。同工場は2024年に操業開始を予定しており、生産能力は既存工場の約2倍となっている。
本プロジェクトは、同社が高品質な製品を製造するラインの開発計画の中で特に重要なプロジェクトであり、外国製の医薬品に代わる数多くの製品をベトナム国内に供給できるようにする重要なプロジェクトである。今回同社がグローバルGMP基準を満たす新工場の建設及び生産システムを強化した背景には、同社の海外市場への展開に必要な基盤を強化するという目的があると考えられている。
出典:https://bit.ly/3JW7Ac8
HA TAY PHARMA が無料検査、医薬品配達を実施〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
治療薬や化学薬品、医薬品、医薬品原料、医療機器の製造・販売、輸出入などのビジネスを展開するHatayファーマー社(HatayPharmaceutical:ハノイ市)は、2022年12月21日に公安省傘下の19-8病院(Bệnh viện 19-8BộCông An:ハノイ市)と共同で、ベトナム北西部のイェンバイ省ヴァンイエン地区の200人以上の住民に対して、無料健康診断プログラム及び医薬品の無料プレゼントを行った。
イェンバイ省ヴァンイエン地区での無料健康診断プログラムに参加された方々は、山岳地帯で経済的に厳しい方々が多く、大半は少数民族(タオ族、ザオ族、モン族)やベトナムの革命で功績を残した方々、傷兵や病兵などで大半の方々は満足な医療サービスが受けられない環境であった。
また、Hatayファーマー社は無料健康診断プログラムに参加した方々に200個以上の医薬品を無料でプレゼントした。
出典:https://bit.ly/3nfxoa8
OPCファーマがCANADIAN VITAと協定締結〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
ベトナムとカナダの外交樹立50周年を記念し、2023年2月13日にIntercontinental Saigon Residences Hotel(ホーチミン市)でカナダ総領事館の関係者が同席する中で、オンタリオ農産物貿易ミッションに関してベトナム企業との会合及び交流を行った。同日午後には、ベトナムとカナダの企業の間で4つの覚書(MOU)の調印式が行われた。
また、ベトナムで薬草の栽培や加工、医薬品や医療向けの消耗品・機械・医療機器・化学薬品、化粧品の製造及び販売を手掛けるOPCファーマ社(OPC PHARMACEUTICAL:ホーチミン市)も同イベントに参加した。
OPCファーマ社は①高品質で安全な原材料の開発に関する協力関係の促進、②製品開発に関する技術応用の促進、③高麗人参製品の輸出に関する多様化を目的に、加工用高麗人参製品の大手サプライヤーであるCANADIAN VITA社と協定を締結した。
出典:https://bit.ly/3lzAp4Y
DCL Pharmaがん治療薬供給入札パッケージを獲得〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
CuuLong Pharmaceutical社(DCL)は、ベトナム国内で2ヵ所しかないWHO-GMP基準を満たしている製薬工場で、250種類以上の医薬品の製造・販売を手掛けている大手製薬メーカーである。46年以上の実績を持つ同社は、一般消費者や薬局、ベトナム国内の主要な病院から高く評価されている。
2022年7月9日の発表によると、同社では、ヨーロッパ品質のがん治療薬(Benivatib:100mg /400mg含有量)を国立血液学輸血中央病院(ハノイ市)、チョレイ病院腫瘍学センター(ホーチミン市)、175病院(ホーチミン市)、ホーチミン市血液学輸血病院(ホーチミン市)、グエンチャイ病院(ホーチミン市)、ビンタン病院(ホーチミン市)等の大手病院に供給しており、総落札額は約2,000億VNDに達している。
CuuLong Pharmaceutical(DCL)社がベトナム国内の医療機関に供給しているがん治療薬は他メーカーの製品よりも安価であるため、患者の治療費負担削減や健康保険機関の支払額の削減に貢献している。
出典:https://bit.ly/42wR8qc
Nam Ha Pharmaが中央肺病院設立記念会議に参加〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
2022年11月18~19日に国立中央肺病院(ハノイ市)は同病院の設立及び発展65周年を祝う科学会議を国際コンベンションセンター(ハノイ市)で開催した。医薬品や健康食品、化粧品、医療機器の製造及び販売、輸出入を行うNam Ha Pharma社(ナムディン省)は、同イベントのスポンサー及びコンパニオンとして同イベントに参加した。
Nam Ha Pharma社は長年に渡りベトナム政府の抗結核プログラムに積極的に参加・サポートしており、結核患者の治療過程に貢献し続けている。
Nam Ha Pharma社は、60年以上に渡って医療分野の研究開発に取り組んでおり、特に結核予防を最重要課題の1つと考え、ベトナムの人々の健康を守るという使命に取り組んでいる。Nam Ha Pharma社は、今後も地域社会に向けてベトナム政府の抗結核プログラムを含めた医療分野の有意義な活動に取り組むとコメントしている。
出典:https://bit.ly/3yVjnBd
2020年 ベトナムの製薬・バイオテクノロジー(医療・介護)業界
第一三共、ベトナムに子会社設立〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
第一三共株式会社は、同社の100%子会社として、第一三共ベトナム有限責任会社(本社:ベトナム ホーチミン市、以下「第一三共ベトナム」)を2020年9月18日に設立した。
同社は、ベトナムにおいて、2014年にホーチミン駐在員事務所を設立し、クラビット®等の販売促進支援活動を実施してきた。昨今、同国の医薬品業界を取り巻く環境変化や、今後の新製品の発売を見据えた事業体制強化のため、現地法人を設立し、販売を行っていく。
同社は、第一三共ベトナムを通じて、同国の医療に貢献するとともにアジアにおける事業基盤を一層強化していく構えだ。
ベトナムのハウザン製薬、New Normalで病院支える〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
保健業界では、3回目のエピデミック発生のシナリオに備えるために、この時期、企業とコミュニティからの支援を必要としている。感染拡大予防には、楽観的であるが、主観的ではないというスタンスが重要だ。次にどのような不確実な事態が生じるのか誰も知らないからだ。
Covid-19が再び発生することを懸念して、DHG Pharmaは最近、8つの病院の医師と患者を保護するために13億VND以上相当となる、80,000以上の医療用マスクと25,000以上のハンドジェルを支援し続けている。
同社は、Covid-19の流行予防に対する人々の健康とケアを、約130億VNDに及ぶ資金で支援している。
エーザイ、ベトナムに医薬品販売子会社を設立〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
エーザイ株式会社は、ベトナムにおける医薬品販売会社「Eisai Vietnam Co., Ltd.」(以下、 エーザイ・ベトナム)をホーチミン市に設立した。エーザイ・ベトナムは、同社の100%子会社となる。
ベトナムの医薬品市場は、東南アジア諸国連合(ASEAN)のなかで、タイ、フィリピンに次ぐ規模で、2019年には4,199百万米ドルとなっている。2014年から2019年の年平均成長率は+10.6%であり、今後も二桁の高い成長が期待される。
同社は、ベトナムにおける医薬品販売体制の充実化をはかり、革新的な新薬をベトナムのより多くの患者に届け、患者とその家族のベネフィット向上に貢献していきたい考えだ。
ベトナムのTraphaco、2020年の業績見通し〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
Traphacoが発表した財務情報によると、2020年第3四半期末の時点で、同社の収益は4,600億ドンに達し、昨年の同時期に比べて22.4%増加した。総利益率は0.7ポイント改善して54.3%に達し、同期間の総利益は23.8%増の2,498億ドンに達した。
良好なキャッシュフローと段階的な債務返済により、債務比率と支払利息は今後も減少し続ける見込みだ。
同社は、税引き後利益よりもさらに高い、長年にわたる営業キャッシュフローの着実な黒字のおかげで、短期債務に依存することなく、積極的な経営が可能になっている。
ベトナム保健省、Covid-19テスト計画承認〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
2020年9月21日、ベトナム保健省は、2020年4月22日に発行された決定に代わって、Covid-19期間にSARS-CoV-2感染を検出するためのテスト計画を承認する決定を発行した。
Covidの現在の流行状況を踏まえて、効果的に感染拡大防止を成し遂げ、資源の活用効率を最大化するために、前回の計画から変更点がある。
新しい計画では、テスト対象をいくつかのグループに分けて優先順位付けすると同時に、品質を維持しながら、テストの作業負荷を軽減する。また、生物、化学物質、および消耗品の必要量を削減し、テスト時間も短縮することで、テスト数を増やす。
2019年 ベトナムの製薬・バイオテクノロジー(医療・介護)業界
Namha Pharmaのベトナム薬剤優先プロジェクト〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
2019年7月18日、Namha Pharmaはプロジェクトの実施において優れた業績を達成したことで、グエン・ティ・キム・ティエン(Nguyễn Thị Kim Tiến)保健大臣から功績証明書を授与・表彰された。
同プログラムはベトナム産の薬剤を優先的に使用することを促すもので、2009年7月31日に出された政府通知に基づいている。
ベトナムの製薬産業では国産医薬品の量、価値が高まるとともに、使用量も増加してきており、品質、安全性、有効性も高く評価されている。政府は中央レベルから地区レベルに合わせてそれぞれ2020年に向けた達成目標を掲げており、さらに国産薬剤の拡大を図りたい考えだ。
Traphaco、ベトナム市場でニュージーランド産商品の流通を開始〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
2019年10月7日、Traphacoはニュージーランドから輸入され、同社によってベトナム市場で独占的に販売されるニュージーランドゴールドミルクプロダクトラインの発売式を開催した。
同製品は独立したプロセスで製造されている。酪農場から供給されるミルクはニュージーランドの酪農業界および世界の先進技術が組み込まれたラインで加工および包装される。
こうした工程により、生後1年の赤ちゃんの成長と発達のため、または妊婦のために完璧なミルク製品が生産される。原料にはニュージーランド西海岸で放牧された牛から生産される高純度なものが用いられているのも特徴の一つだ。
ベトナムのTraphacoと、公衆健康管理〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
2019年2月18日、Traphacoは、Hung Yen(フン・イェン)省のYen My(イエンマイ)地区にあるHai Thuong Lan Ong – Le Huu Tracの記念碑を訪れ、最高の医師をしのぶ式典に参加した。同氏はベトナムの医療業界に数多くの研究や功績を残している。
同氏は薬剤業界で有名であったTue Tinh(トゥエ・ティン)氏を継ぐ医者で、Tue Tinh氏の医療に関する考え方は、Traphacoの哲学にも共通するものがある。
同日、TraphacoはHung Yen省の保健局、伝統医学病院とも協力し、同院の代表的な伝統的医薬品の展示会を開催した。
ベトナムのDHG PHARMA、45周年〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
45周年という記念すべき日を迎え、「DHG Pharma 45周年、より健康で美しい人生を」をテーマとしたプログラムが開催され、約2,000人の従業員が参加した。
同社は、人材は最も価値のある資産であると考え、会社の持続可能な発展を確実なものとするため、プロフェッショナルで責任ある、効果的な人材育成を同社の長期戦略の1つと考えてきた。
今回のイベントは、同社のメンバーにとって、意義のある到達点を確認する機会である同時に、新しいステップに向けた努力を決意する場とも捉えられている。
2018年 ベトナムの製薬・バイオテクノロジー(医療・介護)業界
ベトナムのTraphaco、ハノイ薬科大学と科学提携合意を締結〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
2018年10月31日、Traphacoとハノイ大学は、科学提携合意締結の署名式典を開催した。
2018年初頭から両社は協働で研究開発を進めて来た。具体的な協力分野は医薬品産業や薬理学、教育などで、その他にも研究開発における基準・指標などの共有も行っている。
Traphacoとハノイ大学は相互に競争優位性のある分野を補強することで両機関の成長支援を目指す。Traphacoは多くの企業から投資を集め最新の機械設備を揃えており、科学研究や製品開発においてはハノイ薬科大学が持つ専門性を活かして同社の社員へ研修トレーニングを行うことなどを期待している。
DHG、ベトナムの企業ベスト40に製薬業界から唯一ランクイン〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
DHGは半世紀にわたり300以上のヘルスケア商品を開発し、3000人以上の雇用創出に貢献してきた。また、60万人以上の恵まれない人々に無料で医薬品を配布したり、貧しい地域には医療機材を寄贈するなど貧困などの社会問題においても積極的に成果を挙げている。
こうした絶え間ない努力や、300以上のリーズナブルで高品質な医薬品のラインナップによりDHGは持続的なブランドとして認知されている。
また同社は、積極的に高度な技術を取り入れていくこと、全国にサービスシステムを張り巡らすことできめ細やかなケアを実現すること、寄付などにより恵まれない人たちをサポートすること、と言った方針を大きな柱としている。
ベトナムのDomesco、「働きがいのある会社 2018」を受賞〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
2018年9月14日、ホーチミンにおいて、アジアで最も労働環境が整備された企業を決める「働きがいのある会社 (Best Company to work for in Asia) 2018」が開催され、製薬メーカーDomescoが大賞を受賞した。
同賞は世界的にも名誉のある賞として知られ、毎年多くのリーディングカンパニーや人事部門の注目を集めている。同社は130社の候補の中から、四度にわたる選考をパスして受賞に至った。
選考の評価基準は、労働環境、企業文化、人事方針、社員満足度など。同社は、人事方針や労働者の保護に力を入れており、労働者と企業の方向性が一致することに重点を置いている。同社は「人材管理に細やかなケアを行うなどの努力が実り今回の受賞に至った」と述べている。
ベトナムのNam Ha Pharm、肺の健康に関するイベントを開催〜製薬・バイオテクノロジー業界動向〜
2018年6月24日、「肺の健康のために運動しよう!」のテーマのもと、ランニングとウォーキングのが開催された。同イベントはNam Ha Pharmのスポンサイベントーや病院などが提携することで開催された。
同イベントはCentral Lung Hospitalの61周年記念の機会を捉えて行われたものだ。体力面での健康改善や肺の健康への意識啓発が主な目的だ。こうした運動により結核や喘息など肺に関連する疾病のリスクが下がることが期待されている。
同イベントは2016年にWHOが開催した「Walk the Talk」のアイディアが元になっている。参加者は子供も含めて約1500名が集まり盛況を見せた。
まとめ:ベトナムの製薬・バイオテクノロジー業界
保健省が管轄する国家医薬品質研究所(NIDOQ)は、同国で製造された医薬品の品質は輸入品に劣らない水準であると発表しながらも、依然多くの輸入品に頼っている状況である。このような状況も考慮することで、同国の製薬・バイオテクノロジー業界は新たなビジネスチャンスを見つけられるのではないでしょうか。
ハノイ在住のベトナム人。名古屋大学で文部科学省奨学金の日研生として留学経験有り。日越の翻訳、通訳などが得意で、日本語教師の経験有り。ハノイで日系IT企業に入社後、主に総務・人事、日本親会社との取引業務を約3年経験し、その後長野県で日本企業で勤務。