台湾のネット通販はローカライズした現地企業の存在が大きく、各企業が好調な業績をあげています。台湾のネット通販サイトmomoでは2022年の連結収益が年間17%の増加となり、台湾のオンライン小売業界全体を上回る業績を継続しています。
また、台湾の百貨店SOGOでは、2023年にECプラットフォームを導入したことで、さらなるサービスの効率化を行っています。
今回は、そんな台湾の通販・ネット通販業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2022年 台湾の通販・ネット通販(流通・小売)業界
PChomeが4四半期連続赤字後初の黒字転換〜通販・ネット通販業界動向〜
2022年を振り返ると、Pchomeの年間収益は461億3,600万台湾元となり、2021年の486億台湾元と比較して年間5.09%減となった。2022年の第4四半期の一株あたり利益(ESP)は0.06台湾元で、4四半期連続赤字後、初めて黒字に転換した。
Pchomeが運営するアパレルECプラットフォーム「MiTCH」は2022年末から閉鎖され、越境EC事業「PChomeSEA」も2023年3月11日に運営を終了するなど、赤字事業の段階的な集約を行い、グループリソースの統合を実施していく。
これ迄、他社との競争に直面した時、主に事業を拡大する事で課題に挑戦していたが、Pchomeの今後のマーケティングリソースは、会員の活動と定着率の促進に重点を置き、各子会社が収益性を確保し、自ら発展できるよう事業を合理化していくとPchomeのCEOが発表した。
出典:PChome
SOGOがECプラットフォーム「SOGO plus」を 開発〜通販・ネット通販業界動向〜
遠東SOGO百貨店は数百万台湾元を投資し、1年をかけて、物理的な小売のオフラインの利点を出発点とした、独自の電子商取引プラットフォームを構築し、新しいコンセプトのECプラットフォーム「SOGOplus」を立ち上げ、2023年4月20日に正式オープンした。
「SOGO plus」は、消費者に便利で安全で有意義なショッピングを提供する事を目的とし、地元の良い商品を応援し、持続可能な消費を提唱する事が最大の特徴であり、台湾の全百貨店で初のESGを中心としたオンラインショップでもある。
「SOGO plus」のオープンは、SOGOがデジタルエコシステムの新たな段階に入った事を象徴するものでもあり、SOGOアプリ登録会員はワンクリックで「SOGO plus」にログインできるため、煩雑な登録・ログインプロセスが不要になると共に、FB、IG、LINEなどのデジタルチャネルも活用し、マーケティングをおこなっていく。
出典:遠東グループ
Shopeeが販売手数料の再値上げを発表〜通販・ネット通販業界動向〜
Shopeeは2022年に手数料を数回値上げしており、2023年4月14日に再度の値上げを発表した。5月1日からモール販促期間及びプロモーション期間以外での取引手数がそれぞれ6.5%と5.5%引き上げられた。
今回の手数料調整は、電子商取引プラットフォームの発展をより良く支援するものであり、今後も買い手と売り手のために運営リソースやマーケティングリソースへの投資も更に継続していくと発表した。
Shopeeは、台湾の電子商取引市場全体の発展を改善し、複数のサービスと革新的な機能を積極的に立ち上げる事に尽力しており、より多くの販売者データを公開する事に加えて、商品リストと配送機能を最適化し、改善を続けていく。更に、販売者の管理と運用を便利にし、より優れたパフォーマンスを生み出していく事を目標としている。
出典:Shopee
環境保護庁が通販梱包でのPVC使用禁止を発表〜通販・ネット通販業界動向〜
電子商取引業界は大幅に成長し、同時に多くの廃棄物も生み出している事を受け、環境保護庁は2023年2月16日に「インターネットショッピング梱包の使用制限対象と実施方法」を発表し、7月に正式に開始される。
「インターネットショッピング梱包の使用制限対象と実施方法」では、すべてのオンライン小売業者はPVCを含む梱包材の使用を禁止、紙製の梱包材は再生紙90%以上を使用、プラスチック製の梱包箱や袋及び緩衝材には再生材を25%以上配合する事となっている。また、違反者には罰金が科される可能性がある。
環境保護庁の統計によると、2017年から2022年までに、小売オンライン販売で約2億2,000万個のパッケージが使用され、約50,000トンの包装廃棄物が発生した。
出典:環境保護庁
momo通販の2022年連結収益が年間17%増加〜通販・ネット通販業界動向〜
momoショッピングネットワーク、テレビショッピング、カタログショッピング等のチャネルを含む、momo富邦メディアの2022年連結収益は1,034億4,000万台湾元で、年間17%の増加となり、台湾のオンライン小売業界全体を上回る業績を継続している。
momoは、消費者の多様なニーズに応えるため、3C家電、ホームライフ、人気ブティック、ビューティー&ヘルスケア、レジャー等の豊富な商品カテゴリーと品揃えの幅と奥行きを積極的に拡大している。
momoはデータテクノロジーを利用してサービス効率を向上させると共に、2023年には、物流センター、主要倉庫及びサテライト倉庫の数を61に増加し、北地区自動物流センターを追加する予定である。加えて、AGV自動誘導を導入する計画で、これにより人員のハンドリング時間を節約し、ピッキング効率を向上させる。
出典:momo
2021年 台湾の通販・ネット通販(流通・小売)業界
台湾のmomo、過去単月最高売上を記録!〜通販・ネット通販業界動向〜
摩天商城(ウェブショッピング市場)、TVショッピング、カタログなどの事業を展開している台湾のオンライン小売業界のリーダーであるmomoは、2020年11月の営業利益を発表した。
同社は、2020年11月、ダブル11(11月11日)の強い買い物意欲の恩恵を受けて、同月の全社連結収益は約92.6億台湾ドル、過去単月売上で最高記録を更新したと発表した。1月から11月までの累計連結売上高は約607.2億台湾ドルで、前年同期比30%増となった。
ダブル11(11月11日)は年間を通して最大のeコマースイベントである。同社の1日あたりの売上高は30億台湾ドルを超えた。11日間のスケジュール活動で、最も人気のあった上位3ブランドは、日用品のPampers、Ariel、BRITAであった。
出典:momo https://bit.ly/3olr5xM
2020年上半期、台湾のネット通販市場の動向〜通販・ネット通販業界動向〜
外出を控えて自宅で過ごす人が増え、オンライン小売売上高は成長を続けている。2017年の台湾の小売オンライン市場の売上高は2,283億元だった。2019年には2,873億元に増加し、年平均12.2%の増加となった。
2020年上半期は、COVID-19の流行により人々の経済活動が抑制されたため、消費ルートのシフトが促進され、オンライン販売利用が大幅に増加した。2020年上半期の小売業界のオンライン売上高は1,587億元、年間17.5%の増加となった。
実店舗の小売業界の年間減少率は4.8%だったが、非店舗型小売業のオンライン売上高は年間16.8%増加した。上半期は、オンライン販売サービスを提供している小売業者の割合が38.2%、年間収益が0.5%増加し、オンライン販売サービスを提供していない小売業者の収益は、年間5.4%減少した。
出典:経済部 https://www.moea.gov.tw/Mns/dos/bulletin/Bulletin.aspx?kind=9&html=1&menu_id=18808&bull_id=7590
PChome、ダブル11で台湾の過去最高売上達成〜通販・ネット通販業界動向〜
ダブル11(11月11日)のイベント効果もあり、PChome網路家庭の11月の収益は52.63億台湾ドルで、過去最高記録を更新した。ダブル11の売上は昨年1年間の合計売上を上回った。前年同期比12.2%増となり、過去1ヶ月の連結売上高の記録を一新した。
1月から11月までの累計連結売上高は397億元で、前年同期比では12.7%増加した。1ヶ月の連結売上高と累積連結売上高はともに過去最高値を記録し、成長の勢いは止まらない。特に人気の商品だったのは美容製品で、年間売上成長率は2倍だった。
ダブル11(11月11日)の後は年末の購入需要がすぐに始まり、従来の販売ピークシーズンと相まって、第4四半期の業績に活気が加わった。さらにO2O消費者体験を通じて、サイト全体での新規顧客を刺激した。革新的なマーケティング戦略が広告よりも効果的であることは明らかとなり、ダブル11イベントは目覚ましい成果を上げた。
出典:PChome https://corporate.pchome.com.tw/about_us/invent_pr.php?y=2020&pr_id=1952&lang=cht
台湾の運動市集とファミリーマートが提携〜通販・ネット通販業界動向〜
新型コロナウイルス流行は、消費者の買い物習慣をネット通販へと移行・加速させた。スポーツおよびアウトドアレジャーeコマースの「運動市集」プラットフォームの上半期統計では、インドアスポーツやフィットネス、即席商品などの購入意欲が急上昇し、2020年1月から6月までの月間取引高は2桁の伸び率を記録した。
同社は戦略的パートナーである「ファミリーマート」と協力して、ホームスポーツ、栄養食品、アウトドアキャンプ、ランニング、フィットネストレーニングなどの9,000以上の商品をファミリーマートで支払い、受取りできるようになったことを発表した。
台湾全土の3,600以上のファミリーマートと協力し、複数サービスでの「運動市集」運営に新たな成長の勢いを加えることを望んでいる。
出典:創業家兄弟 https://www.kuobrothers.com/26032328622001324515.html
12月の売れ筋商品は?楽天台湾の調査〜通販・ネット通販業界動向〜
多くの人々が2021年の到来を歓迎する大晦日の予定を慎重に計画している。そんな中、楽天市場台湾は12月の売れ筋商品を発表した。
楽天市場の調査によると、12月上旬以降「暖かい」「モバイルパワー」「自撮り商品」「パーティーゲーム」などの商品キーワードが前年同期比30%、受注数量も28%増加したとのこと。
売れ筋商品ランキングを見ると、いつでも充電できるモバイル電源が最も人気があり、前月比で売上は30%向上した。また、冬の寒い日も暖かさを保つことができるUSBハンドウォーマーも好評で、受注数量は前月比25%と大幅増加した。さらに、屋内パーティーの楽しさを増すことができるSwitchゲームやボードゲームの検索数も倍増した。
出典:楽天 https://www.rakuten.com.tw/info/release/2020/1229/
2020年 台湾の通販・ネット通販(流通・小売)業界
台湾の東森グループ、新北市にレジャー施設を開発予定〜通販・ネット通販業界動向〜
東森グループは新北市にレジャー施設の開発を予定している。林口国際メディアパークBの基地に入札し、2019年12月25日に新北市政府経済開発局から入札通知書を受け取ったと発表した。
東森国際グループはニュースメディア、通販サイトなどを運営しているグループである。特に通販サイトは台湾で最も早くから「東森購物台」というテレビ通販サイトを行っていた。しかし、インターネットの普及により2017年にテレビからインターネットへと大きく切り替えている。
林口国際メディアパークでは、AI、5G、IOTおよびその他の関連産業または公的団体に場所を提供する予定である。Asusグループと協力してプラットフォームの構築を検討している。
出典:https://www.emic.com.tw/news_detail.php?id=190
30周年!台湾で通販・ネット通販業界大手の誠品、今後の戦略とは?
2019年で30周年を迎えた誠品書店は、台湾、日本、香港、蘇州、深圳へ展開しており、計49の拠点がある。誠品会長呉旻潔氏は、今後の目標として「オムニチャネル」を発展方針としていることを発表した。
「オムニチャネル」は販売戦略の1つで、実店舗、ECサイト、カタログ通販、ソーシャルメディアなどのシステムを連動させ、顧客にアプローチするという考えである。誠品書店は2017年からオムニチャネル戦略として設置計画を進めてきた。
今後10年間の誠品の発展方針では、チェーン展開でありながらインディーズ書店となることや、読者が本を探す際の最初で最後の場となること、コミュニティ・センターとなることなどがあげられた。
出典:https://www.eslitecorp.com/eslite/news.jsp?site_id=eslite_tw&id=13&pageNo=2&years=2019
台湾で通販・ネット通販業界大手のPChomeのサービスの魅力とは?
台湾EC大手のPchomeは2019年9月の売上を公開した。月間売上高は30.21億台湾ドルと、前年同期比で11.4%の成長がみられた。2019年1月から9月までの売上高は274.84億台湾ドル、前年同期比で13.3%増。
PChomeの売上高のうち、女性の消費者によるものが6割を占め、モバイル端末からの売上は65%に達するという結果になった。また、モバイルアプリのダウンロード数も前年比で50%の増加となった。
PChomeは台湾ECサイトの中で、現時点では唯一のAppleの正式代理店の立場にある。傘下の物流企業と共同でデリバリーの時間短縮も進めており、台北市内ではオーダーから2時間以内に配達するサービスも魅力の一つとなっている。
出典:https://corporate.pchome.com.tw/about_us/invent_pr.php?y=2019&pr_id=1571&lang=cht
通販・ネット通販業界大手の台湾楽天、AITRAと共同で国際EC説明会を開催
2019年10月16日、台湾楽天市場は、台湾のジェトロにあたるTAITRAと共同で国際EC説明会を開催した。ターゲット市場は楽天の主力市場である日本・ドイツ・フランスの三カ国。楽天はターゲット三カ国の現地にて、台湾企業向けの特設チームを設置、台湾企業の現地進出に寄与する。
楽天は日本国内の売上が60%に上るが、進出から11年目となる台湾、そしてドイツおよびフランスが業績に寄与する主要4カ国となっている。
ドイツおよびフランスでは、楽天市場は現地3大ECサイトの一角を成している。とりわけ電子製品・家電・スポーツ用品・アウトドア用品に対する需要が高く、それらを得意とする台湾企業とのマッチングを通じて、楽天ネットワークの拡大を図る。
出典:https://www.rakuten.com.tw/info/release/2019/1016/
台湾momo購物網の運営企業、売上高2割増へ〜通販・ネット通販業界動向〜
momo購物網を運営する富邦媒が2019年8月までの売上を公開した。
2019年8月の月間売上高は42.6億台湾ドル、前年同期比で25.7%の成長となった。2019年1月から8月までの合計では、売上高が318.7億台湾ドル、前年同期比で20.7%の成長という結果になった。
成長に大きく寄与したのは家電、インテリア、ヘルスケアのカテゴリー。モバイルショッピングも前年比で43%の成長が見られ、業績の66%を占めた。
出典: http://www.fmt.com.tw/index.php?option=com_content&view=article&id=1410:09-10-19-momo8-426-257&catid=31:2010-03-22-08-45-28&Itemid=107
まとめ:台湾の通販・ネット通販業界
国内大手では楽天しか台湾には進出しておらず、現地企業の強さがうかがえます。ただ、台湾人は家電製品や電子機器を買う傾向が報告されているため、これらの消費者ニーズを踏まえた販売によって日系企業の強みを出せるかもしれません。
台北在住の台湾人。日本の東北大学で修士号取得後、7年以上IT企業でマーケティングを担当。デジタルマーケティングと市場分析の専門家として、製品の市場導入とブランド戦略を得意とする。