2023年現在、台湾の家電量販店では環境問題に対応した製品づくりなど、省エネ政策に力を入れています。このような政策に高い効果を感じている台湾の財政部は2023年6月、省エネ家電に対する減税を2年間延長することを発表しました。
今回は、そんな台湾の家電量販店業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2022年 台湾の家電量販店(流通・小売)業界
集雅社第1四半期売上高約9億2,000万台湾元を 記録〜家電量販店業界動向〜
集雅社の2023年3月の売上高は2億9,100万台湾元で、前月比0.8%増、年率5.03%増で、同期間の過去最高を記録した。第1四半期の連結売上高は約9億2,000万台湾元、年率1.49%増となった。
集雅社は、売上に差をつけるために、消費者の家の人数や室内空間の広さに応じて、省エネ及び電気効果を最大限に高めるための適切なエアコンや家電製品を選択できる、家電プランナーサービスを提供している。
集雅社は、大手デパートやアウトレットに店舗を置き、2023年には、台湾初のららぽーとや大葉高島屋など、店舗数の拡大を続けている。また、プロフェッショナル分野への拡大にも力を入れ、商業エンジニアリングと貿易卸売を融合し、家電製品販売の統合運営プラットフォームである。
出典:集雅社
政府の「住宅設備機器買換え省エネ補助金」開始〜家電量販店業界動向〜
経済部は、エネルギー消費の悪い古い家電製品の早期廃止と家庭の節電を推進するため、補助金額3,000台湾元の「住宅設備機器買換え省エネ補助金」を推進している。申請期間は2023年2月1日から2024年1月で、補助金がなくなり次第終了となる。
「住宅設備機器買換え省エネ補助金」は、省エネ性能1級のエアコンと冷蔵庫を購入し、家庭内にある古い製品をリサイクルする事で、所定の書類を受け取り、補助金申請をする事が可能となる。
現在台湾では省エネ政策に力を入れており、エネルギー効率の高いクラスのエアコンや冷蔵庫を購入した場合、1台当たり3,000台湾元の補助金が受けられる「住宅設備機器買換え省エネ補助金」の他に、上限2,000台湾元の「省エネ家電減税」を申請することもでき、合計5,000台湾元の省エネ効果を受けられる。
出典:経済部能源局
家電小売業界の売上高が2022年1-7月に4.6% 増加〜家電量販店業界動向〜
2022年の最初の4ヶ月では、国民のワクチン接種率の増加や買い物意欲の高まりに加えて、政府が全国民に配布した「5倍クーポン」の期限切れ前のプロモーション活動などにより、3C家電製品の売上が増加し、1月から7月までの合計売上高は、前年同期比4.6%の増加となった。
人々の消費パターンが実店舗からインターネットに徐々に移行しており、家電製品業界もオンライン販売の拡大に力を入れる中、家電製品の販売方法は依然として実店舗中心であり、2022年上半期の実店舗売上高は総売上高の92.2%を占めた。
家電製品業界におけるオンライン販売の割合は、2021年の5.8%から2022年の8.0%と2.2ポイント増加したが、2022年上半期には7.1%に若干低下した。理由としては、人々が新型コロナウィルスとの共存を徐々に受け入れ始め、消費のための外出機会が増加した為と言える。
出典:経済部統計局
2022年下半期インフレの影響を受けた全國電子〜家電量販店業界動向〜
台湾の家電販売最大手の全國電子は年々業績を伸ばしてきたが、2022年の売上高は213億9,200万台湾元で、年間成長率2.9%、税引後の年間純利益は5億8,300万台湾元、前年比2.1%の減少となった。
全國電子は、2022年下半期の世界的なインフレの影響を受け、端末市場の購買力に大きな影響を与え、前年のピークシーズンと比較して、下半期の市場消費は比較的横這いであった。加えて、保管コストが増加し年間経費が増加した事も影響し、年間利益の減少へと繋がった。
1964年に電子計算機専門店として設立された全國電子は、40年以上にわたって市場の変化に対応し続け、3C家電のチェーンチャネルとなり、現在台湾には、320以上の店舗とオンラインショッピングプラットフォームがある。
出典:全國電子
省エネ家電減税さらに2年延長へ〜家電量販店業界動向〜
財政部は、国民の省エネ家電の購入、省エネルギー、二酸化炭素削減、グリーン消費の推進を図るため、エネルギー効率第1級または第2級の新しい冷蔵庫、新しいエアコン、新しい除湿機などの省エネ家電に対する2,000台湾元の税還付を、さらに2年間延長すると発表した。
省エネ家電減税は、1単位当たりの減税上限を2,000台湾元とし、2019年6月15日に施行され、2021年の法改正で2年間延長された後、今回さらに2年間の延長となった。加えて、減税上限を3,000台湾元への増額、省エネ家電の物品税直接免除などの改正案も提出されている。
経済部の統計によると、10年以上経過した古い冷蔵庫、エアコン、除湿機が依然として835万台あり、世帯の25%を占めている事から、持続的な省エネ家電購入を促す必要があるとの考えを示し、財政部は同法の2年間延長を決定した。
出典:財政部南区国税局
2021年 台湾の家電量販店(流通・小売)業界
台湾の大同、太陽光発電所の投資利益を実現〜家電量販店業界動向〜
大同永旭能源は、完全所有子会社「勝陽能源」の90%の株式をGlobal Renewable Power Company Limited(GRP)に売却すると発表した。
GRPは、タイの上場企業であるGlobal Power Synergy Public Company Limited( “GPSC”)の子会社。台湾への外国投資の誘致と国際戦略性の導入という政府の方針に協力したことで、大同のソーラーエネルギー事業を再び国際的な舞台に引き上げた。また、ソーラーエネルギー産業における大同グループの強さを示し、国際的な投資家の認識を獲得した。
太陽光発電所の売却は大同が採用しているビジネスモデルの1つであり、グループの収益を投入し、ローリング式成長の目標達成を実現していく。
出典:大同 http://www.tatung.com.tw/News/Detail/233
台湾の省エネ家電製品の需要と還付申請〜家電量販店業界動向〜
2019年6月15日に税制改正規則が施行され、改正発効日から2年以内はエネルギー効率レベル1、2級の冷蔵庫、エアコン、除湿器の購入により消費税の還付申請できるようになった。
統計によると、全国で115.4万台の還付申請があり、返金額は19.3億台湾ドルに達した。そのうち60%近くがエアコンとなっている。続いて32.7万台の冷蔵庫で5.5億台湾ドル、14.4万台の除湿器で1.3億台湾ドルが還付された。
新型コロナウイルス流行の影響にもかかわらず、多くの人がオンラインで家電製品を注文している。省エネ型家電製品の需要は依然としてあることがわかる。特に夏のシーズンがピーク。統計によると、今年の省エネ家電優遇税のオンライン申請率は、出かけずとも安全に税金の払い戻しを受けることができるため昨年の12%よりも高い18%へ上昇した。
出典:全国法規資料庫 https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=G0340076
台湾の家電量販店業界の現状
台湾における小売業界では、2〜3社の少数が高い市場シェアを占めておりグループ間の激しい競争を形成している。たとえば、家電量販店ならCOSTCO、Carrefour、RT-Martが挙げられる。COSTCOとCarrefourの総市場シェアは70%を超えており、台湾の家電量販業界の発展と競争を強く支配している。
近年、COSTCOの市場シェアがわずかに低下している一方、Carrefourは新しいスタイルの店舗の積極的な拡大により市場シェアを伸ばし続けている。同社は2020年、買収と合併(頂好とJASONSスーパーマーケット)によって、台湾での小売経路のシェアをまた一歩強化した。
家電・家具・家具小売業(3C)において、過去3年間で市場シェアを伸ばしてきた大手企業は全國電子と無印良品のみ。なかでも、全國電子は近年、業績の向上を続けており、今年は台湾の3Cチャネル市場のリーダーとなることが期待されている。
出典:未来流通研究所 https://www.mirai.com.tw/taiwan-retail-industry-market-share-analysis/
台湾の全國電子Digital Cityのショッピング体験〜家電量販店業界動向〜
2020年11月6日の発表によると、全國電子Digital Cityが宜蘭に登場した。宜蘭で初めての店舗は、2020年11月6日にオープンし、11月10日までオープニングセールが行われた。さらに、百万人のファンがいる料理家の「Amyの私人厨房」、栄養師の高敏敏、芸人の艾力克斯、阿諾などの有名人が訪問した。
この店舗は、明るいデザインと約150平方メートルの広々としたスペース、解放式ブランド区、そして超感覚的な「シチュエーションショッピング体験」を備えた初の店舗である。
ショッピング体験として、ハイエンドの家電を試すことができる。また、ウィッシュリストにタッチすることで直接注文もできる。
出典:全國電子 https://web.elifemall.com.tw/zh/showNews.php?id=608
台湾のCHIMEI奇美家電で家族と過ごす〜家電量販店業界動向〜
新型コロナウイルスの流行は、外出の機会を減らし、家で家族関係を共有する時間を増やした。この時期は、手を洗ったりマスクを着用したりすることに加えて、自己健康管理が消費者の焦点である。
CHIMEI奇美家電は、家庭の流行予防期間中に健康で活気を保つ方法を台湾の消費者とシェアした。Miniグルメクッキングポットは、蒸す、煮込み、焼くなどに適しており、家族の5つ星料理を30分で素早く調理できる。遠赤外線蒸気オーブンは、サクサク感、香り、焦げ目を取り戻すことができる。
ChiMeiの大型4KLCDモニターは、新しい視覚体験を生み出す。最新のAndroid9.0とGooglePlayストアによって、家族向けのスポーツゲームを選択できる。リビングルームをスポーツパークに変えて、一緒に競争して運動することで、健康の維持や家族の楽しい時間を楽しめる。
出典:奇美家電 https://electronics.chimei.com.tw/new/6e25E969D4D52A87?page=&year=&keyword=
2020年 台湾の家電量販店(流通・小売)業界
省エネ家電購入、最大3,000台湾ドルの補助金〜家電量販店業界動向〜
家電量販店の燦坤實業股份有限公司は、政府が定める基準に該当する古いエアコンや冷蔵庫を回収に出し、第5等級まである省エネ等級の中で第1級と第2級に認定されている省エネエアコンや冷蔵庫を新たに購入した者は、最大で3,000台湾ドルまでの補助金を申請できると消費者へ知らせている。
この補助金の申請は各地方政府となるため、購入者自身で該当の地方政府への申請が必要となる。
申請のために購入証明書や廃棄手続き書、設置前後の写真等が必要となり、申請手続きの詳細については、各地方政府のウェブサイトで確認することができる。
出典:http://www.tsannkuen.com/news_in.aspx?mnuid=1183&nid=4222
台湾メーカー、89店舗でリユースバック無料貸し出し〜家電量販店業界動向〜
台中市環境保護局は大手家電量販店である愛買や家樂福(カルフール)などを含む28メーカーの協力を得て、これらのメーカー店舗、合計89店舗にリユースバック無料貸し出しボックスを設置した。2019年の目標は、設置店舗を100店舗以上にすることである。
リユースバック無料貸し出しボックスは、誰でもA4サイズ以上の使用済み紙袋や布袋を寄付することができる。また、誰でもリユースバック無料貸し出しボックスから取り出して使用することができる。
このシステムを広めるために、自分でショッピングバックを用意し買い物をした人、または袋を寄付した人にポイントを与え、一定のポイントがたまるとIPHONEがあたる抽選などに参加することができる取り組みを行う予定。
出典:https://www.taichung.gov.tw/1348020/post
台湾の台灣之星、家電量販店とキャンペーン〜家電量販店業界動向〜
2019年12月4日、台灣之星電信股份有限公司(TSTAR)は、家電量販店全國電子股份有限公司、燦坤實業股份有限公司と共同でキャンペーンを発表した。
このキャンペーンは、携帯電話を月額63%オフで提供し、さらに月額特定の金額を上乗せして払うと16,900台湾ドル相当の家電がもらえ、3年間インターネットサービスが無料で提供されるというものだ。
以前に台灣之星電信股有限公司(TSTAR)と全國電子股有限公司は、ある特定の組み合わせで家電等を購入すると、3年間インターネットサービスを無料で提供するキャンペーンを行った。既存の1日最高売上額を大幅更新し大好評であった。
出典:https://www.tstartel.com/CWS/ts-news.php
台灣糖業公司量販店、台湾全土の大規模店舗を営業終了に〜家電量販店業界動向〜
台灣糖業股份有限公司が家樂福(カルフール)との契約に伴い、2019年6月16日22時30分をもって台湾全土で運営する大規模量販店5店舗の営業を終了すると発表した。
これに伴い5月1日から3段階に分けて、大規模な閉店セールが行われるため、この機会にクーポン券等を使用するよう呼び掛けている。これらの量販店の営業は約18年間におよび、約1億人の消費者が利用した。
家樂福(カルフール)は、大規模量販店5店舗、台中、高雄五甲、小港にある3つの健康超市(スーパーマーケット)を引き継ぐ予定だ。台灣糖業股份有限公司の主要製品は、家樂福(カルフール)の店舗またはeコマースプラットフォームに引き継がれる。
出典:https://www.taisugar.com.tw/chinese/News_detail.aspx?p=4&n=10084&s=7783
台湾のカルフールがLCIに加入〜家電量販店業界動向〜
2019年12月4日、欧州在台湾商務協会(EUROPEAN CHAMBER OFCOMMERCE TAIWAN)は、家樂福(カルフール)がLCI(THE LOWCARBON INITIATIVE)に加入すると発表した。
グローバルリーダーである家樂福(カルフール)が加入することで大きな進展があると期待されている。
家樂福(カルフール)は世界中で12,300店舗以上を展開しており、30以上のeコマースサイトを運営している。世界経済で重要な役割を担っている。また、無駄を省くこと、地球生物の多様性を保護する活動などをCSRとして掲げている。
出典:https://www.ecct.com.tw/carrefour/
まとめ:台湾の家電量販店業界
ここ最近の台湾の家電量販店の市場規模は縮小傾向にあります。理由としてはECサイトの発展が挙げられています。これらに対抗するためにも、売り場面積の広さやサービスの良さなど差別化できるポイントが重要になるでしょう。
台北在住の台湾人。日本の東北大学で修士号取得後、7年以上IT企業でマーケティングを担当。デジタルマーケティングと市場分析の専門家として、製品の市場導入とブランド戦略を得意とする。