2023年7月14日、PT. Honda Prospect Motorは「2023年上半期の売上高が前年同期比26%増を記録」したことを発表しました。大手日本メーカーによる新製品発表やブランド戦略の見直し、環境対策技術の導入、そして地域ブランドの成長という形で、大きな変動と活況を迎えています。
今回は、そんなインドネシアの自動車業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2022年 インドネシアの自動車(製造業)業界
Honda、2023年上期売上高前年比126%〜自動車業界動向〜
PT. Honda Prospect Motorは2023年7月14日にホームページで「2023年上半期の売上高が前年同期比26%増を記録」したことを明らかにした。
ホンダの上半期の小売販売台数は6万7,797台で、その中でホンダ・ブリオは2万9,365台の販売を記録し、上半期のベストセラーモデルとなった。一方、ホンダHR-Vは1万3,795 台を販売し、最も人気のあるホンダのSUVモデルとなり、ホンダ『BR-V』が9,963 台で続いた。さらにホンダ『WR-V』が8,963台、ホンダ『CR-V』が2,384台の販売を記録した。
ホンダのSUV製品以外では、ホンダシティハッチバックRSが1,673台を販売。一方、ホンダの2023年6月だけの月次総小売販売台数は1万459台を記録した。
UDトラック、AdBlue取扱い店舗拡大〜自動車業界動向〜
日系のトラックメーカーPT. Astra Multi Trucks Indonesia(UD)が2023年7月21日フェースブックで全国の121店舗でAdBlueを取扱っていることをアナウンスした。
AdBlue(アドブルー)は、ディーゼルエンジンによる大気汚染を低減させるために使用される尿素SCRシステムにおいて還元剤として用いられる高品位尿素水のこと。尿素と脱イオン化純水から成る液体でディーゼル車に取り付けられた触媒内部の排気ガスに対し直接噴霧することで大気汚染の原因とされる窒素酸化物(NOx)を窒素(N)と水(H2O)に還元する。
UDではインドネシア全土のShop & DriveおよびAstraotopartsの店舗だけでなく、Tokopedia、Shopee、BliBliのAstra UD Trucks公式ストアでも購入できる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/AdBlue
尼日野、グルーバル標準化で製品名変更〜自動車業界動向〜
日系のトラックメーカー日野は2023年7月10日、ホームページで「グローバルアイデンティティ強化のための商品名変更」を発表した。
インドネシアのPT Hino Motors Manufacturing Indonesia(HMMI)、PT Hino Motors Sales Indonesia(HMSI)、PT Hino Finance Indonesia(HFI)の3社は、従来の「Hino300 Dutro」を「Hino 300」に、「Hino500 Ranger」を「Hino 500」に、「Hino700 Profia」を「Hino 700」にそれぞれ製品名を変更した。
今回の変更は、日野自動車株式会社(HML)のグローバル標準化の方針によるもので、グローバルでの日野のアイデンティティを強化するとともに、日野の商品名を簡素化し、顧客に容易に識別・選択してもらえることを目的としている。
三菱、GAIKINDOモーターショーに新SUV出展〜自動車業界動向〜
PT MITSUBISHI MOTORS KRAMA YUDHA SALES INDONESIAは2023年7月31日日本の三菱自動車が第30回GAIKINDOインドネシア国際自動車ショーにまったく新しいコンパクトSUVを世界初公開することを明らかにしたと伝えた。
新型SUVモデルは三菱モーターズ・クラマ・ユダ・インドネシアで組み立てられ、2023年11月に納車が開始される。また、三菱自動車は、今回の国際自動車ショーでフル電気自動車であるeK X EVを海外初公開するほか、今後インドネシア国内で生産が予定されているワンボックス商用軽電気自動車「Minicab-MiEV」も併せて展示した。
また、インドネシアで販売されるエクスパンダークロスやパジェロスポーツも展示すると伝えた。
ESEMKA Bima、IIMS2023で数十台受注〜自動車業界動向〜
2023年2月20日、インドネシア現地自動車メーカーのPT. Solo Manufaktur Kreasiは2023年2月20日付けKompas.comの記事を紹介した。
PT. Solo Manufaktur KreasiはEsemkaブランドの自動車を生産販売しており、IIMS (Indonesia International Motor Show )2023で政府機関や民間から合計数十台を受注したことを明らかにした。受注したのは、パワーステアリングとエアコンでアップグレードした「Bima 1.3」およびミニバンとカーゴの両方の「Bima EV」である。
Esemkaでは「従来モデルのBima 1.3」を1億3,700万ルピア、パワーステアリングとエアコン付きアップグレードモデルのBima 1.3」を1億5,000万ルピア、「Bima EV」を最低価格5億3,000万ルピアから販売している。
2021年 インドネシアの自動車(製造業)業界
2020年のインドネシアにおける自動車の年間統計〜自動車業界動向〜
インドネシアの自動車工業会(GAIKINDO)は2020年の年間統計を公表した。
2020年の国産車と輸入車を合わせた国内販売台数は578,327台(前年比55%)と、Covid-19パンデミックの影響で大幅に減った。四半期ごとの販売数量は、Q1:219,366台(前年比84%)、Q2:71,211台(前年比30%)、Q3:116,816台(前年比45%)、Q4:170,934台(前年比60%)とQ2をボトムにそれ以降回復基調にあるが、まだ元のレベルまで戻っていない。
完成車の輸出台数は232,175台(前年比70%)である。四半期ごとの販売数量は、Q1:78,576台(前年比111%)、Q2:26,653台(前年比40%)、Q3 :50,153台(前年比49%)、Q4 :76,793台(前年比84%)と国内販売より戻りが早い状況にある。
出典: https://www.gaikindo.or.id/indonesian-automobile-industry-data/
ホンダインドネシア、ジャカルタ州政府の排ガス規制に協力〜自動車業界動向〜
2021年1月21日、インドネシアホンダは、「エンジン性能と車両排気ガスを検査することによって大気汚染を減らすための排出試験の実施」に関するDKIジャカルタ知事規則2020年第66号に基づく車両排気ガス検査設備を、DKIジャカルタにある23のホンダ認定ディーラーに設置したことを明らかにした。
DKIジャカルタ知事規則2020年第66号では、すべてのジャカルタで運行される新車から3年以上経過した乗用車とバイクを対象に、排気ガス排出試験を最低1年に1回行い、排出基準を満たす義務を定めている。
ホンダではジャカルタ州政府を支援するため、ディーラーに設置した車両排気ガス検査設備を無料で使用できるようにしている。
出典: https://www.honda-indonesia.com/news/honda-sediakan-fasilitas-uji-emisi-gratis-di-23-dealer-resmi-honda-di-dki-jakarta/MjExMw==
トヨタ自動車インドネシア、第35回バーチャル博覧会に出展〜自動車業界動向〜
2020年11月11日、PT Toyota Motor Manufacturing Indonesia(TMMIN)は、商務省のコンセプトで開催される「デジタル時代の持続可能な貿易」をテーマにした第35回インドネシアバーチャル博覧会に参加することを明らかにした。
2020年10月の実績で、国内販売は前年の50%の水準に対して輸出は75%まで回復しており、TMMINの輸出に対する期待は高く、博覧会の中で輸出先をさらに拡大したいと考えている。
そのため、今回のバーチャル博覧会には、Innova救急車、Sienta Welcab、Fortuner現金輸送車などの特徴を持った車や、アクセサリー、金型などが展示される。また、この特殊車両の製作はローカルサプライチェーンを使ってグローバル品質で行われる。
出典: https://www.toyota.co.id/news-and-update/automotive-industry-optimism-in-the-35th-indonesia-virtual-trade-expo
インドネシアで「Astra Daihatsuモバイルアプリ」リリース〜自動車業界動向〜
2020年12月30日、アストラダイハツはAndroidプラットフォーム用のGooglePlayおよびIOSプラットフォーム用のAppStoreで利用できる「AstraDaihatsuモバイルアプリケーション」をリリースした。
このアプリは、オンラインでワンストップソリューションのサービスを提供するチャネルである。インドネシアの広範なアストラダイハツネットワークと統合されている。
利用できる機能としては、ワークショップサービス(修理点検予約、状況確認など)や、新車を含む製品の購入、最寄りの店舗でのテストドライブサービスなど。
出典: https://www.astra-daihatsu.id/newsandarticles/news-details?newsID=55
日野自動車販売インドネシア、ジャカルタ運輸局に協力〜自動車業界動向〜
2021年2月9日、日野自動車販売インドネシア(HMSI)は、DKIジャカルタ運輸局の自動車運転審査員チーム向けの研修に協力したことを明らかにした。
この研修は自動車運転審査員チームが交通事故を防止するための最新の知識を習得するために開催され、審査員170名が受講した。このジャカルタ運輸局主催の研修では、事故が起こる原因をまとめた教材が全国運輸安全委員会から提供された。HMSIからは、ブレーキシステムのチェックと日野製品の情報が提供された。
また、HMSIは、信頼できる運転教習員を育成するためのトレーナー養成(ToT)プログラム、日野500シリーズのスマートドライビングや日野アカデミーでのドライバー養成などの安全活動も行っている。
出典: https://www.hino.co.id/news-detail/317/hino-menggelar-progam-pelatihan-untuk-tim-penguji-up-pkb-dishub-dki-jakarta
2020年 インドネシアの自動車(製造業)業界
インドネシア政府の自動車ローン金利低減補助金に期待〜自動車業界動向〜
インドネシアの自動車工業会であるGAIKINDOは、自動車ローンに補助金を出す政府の計画があることを2020年5月にホームページで明らかにした。
インドネシアでは自動車販売の約70%がクレジットあるいはリースのため、補助金によるローン金利の低減がCovid-19で低迷する自動車販売を救済するための政府の有効な政策だと考えられている。
GAIKINDOによると、2020年度の自動車の生産は70万台~80万台になる見通しで、2019年度の128万台から大幅に落ち込む。また、国内の自動車販売台数は60万台で、前年から約40%落ち込むと予想されている。そのため、政府の補助金政策が国内販売の落ち込みを回復することに大きな期待が寄せられている。
出典:https://www.gaikindo.or.id/subsidi-kredit-mobil-akan-membantu-pasar-yang-sedang-turun/
オンラインで注文可能に!インドネシア・ダイハツの試み〜自動車業界動向〜
2020年6月26日、インドネシアのアストラ-ダイハツは「バーチャルダイハツフェスティバル」の開催をアナウンスした。
これは、Covid-19 により多くの消費者が販売店へ車を買いに行くことができないため、販売店に行かなくても安心して車を注文できるというイベントである。2020年6月27日の10:00〜11:00、デジタルメディアミーティングを利用してダイハツの車をオンラインで注文できる。
クレジット購入の手数料無料、先着500名に純正エンジンオイルを1年間無料交換など、魅力的な賞品が特典として準備されているほか、スタンドアップコメディー、トークショーやインタラクティブクイズなどのエンターテイメントイベントも準備されている。
出典:https://www.astra-daihatsu.id/in/newsandarticles/news-details?newsID=36
日野バス、インドネシアで100万キロオーバーホールなし達成〜自動車業界動向〜
インドネシアのPT Hino Motors Sales Indonesia(HMSI)は、2020年3月8日、ジャカルタ・コンベンション・センターで開催された国際商用車展示会(GIICOMVEC)で日野バスRN285 を使うバス会社3社に対してオーバーホールなしに100万キロ走行を達成したことへの感謝の意を伝えた。
3社はKramat Djati、Sinar JayaとHarapan Jayaで、合計42台がオーバーホールなしに100万キロを達成した。
オーバーホールが必要ないと、バス会社は、オーバーホールにかかる5~7日間に営業ができる。さらにオーバーホールにかかる7千万ルピア(約53万円)が節約できる。定期メンテナンスと純正スペアパーツの交換で長寿命・長距離走行を容易に実現できるとのこと。
出典:https://www.hino.co.id/news-detail/270/apresiasi-bus-rn-285-1-juta-km-tanpa-over-haul
インドネシア・三菱自動車、医療従事者に特別プログラム提供〜自動車業界動向〜
三菱自動車のインドネシア現地法人PT Mitsubishi Motors Krama Yudha Sales Indonesia (MMKSI)は、2020年5月14日、インドネシアでのCovid-19 パンデミックに対処する医療従事者への感謝の意を込めて、特別なプログラムを準備したことを発表した。
対象者は、医師、看護師、医療会社経営者など。
基本的なプログラムの内容は、頭金が最低20%からOKということと、保険が2年間無料になること。その他に選択できるプロモーションとして、スマートキャッシュは、1年間金利ゼロで、保険料も手数料も無料。分割払い(最低3百万ルピア/月から)は、最大2年間金利ゼロが適用される。
出典:https://www.mitsubishi-motors.co.id/siaran-pers/apresiasi-pahlawan-medis-mmksi-berikan-kemudahan-kepemilikan-dan-asuransi-kendaraan-mitsubishi-motors
自動車業界大手のインドネシア・ホンダ、レーシングシミュレーション大会開催
ホンダのインドネシア現地法人PT Honda Prospect Motorは、2020年6月18日にホームページで「Covid-19パンデミックから新しい日常への移行」に際して、インドネシアでのレーススポーツの普及への取り組みを引き続き行うことを表明した。
今回、ホンダはインドネシアの自動車メーカーとして初めて「ホンダオンラインレーシングシミュレータチャンピオンシップ(HRSC)」を開催する。
この選手権は一般に公開されており、登録期間は2020年6月15日から7月4日。コンテスト自体は2020年7月4日から8月29日に開催される。プロフェッショナルクラスとアマチュアクラスに分けられ、各クラス上位5名に、総額6,500万ルピア(約50万円)の賞金が贈られる。
出典:https://www.honda-indonesia.com/news/inovasi-jelang-normal-baru-honda-gelar-kejuaraan-simulator-balap-untuk-yang-pertama-kalinya-di-indonesia/MTc5Ng==
2019年 インドネシアの自動車(製造業)業界
自動車業界大手のトヨタインドネシア、2018年輸出好調
2019年2月19日、トヨタ・インドネシアは2018年度の輸出台数が過去最高を記録したことをホームページで公表した。
2018年CBU(現調車)輸出台数は206,600台。前年の199,600台から4%増で20万台を突破した。好調な輸出を支えるのは「SUVモデル」。2018年の実績は52,600台と輸出全体の25%を占めた。二番目は「Avanza」で35,300台(17%)。三番目は「Rush」で34,100台(17%)。四番目は「Agya」で31,000台(15%)。五番目は「Vios」で23,100台(11%)。これ以外のモデルは、「Kilang Innova」「Yaris」「Sienta」「Town Ace/Lite Ace」で合計台数が30,500台であった。
現在、50か国以上に輸出され、2018年9月に累計100万台が達成されている。
自動車業界牽引の日産、インドネシア・フィリピンで「e-power」展開計画
2019年3月9日、PT. Nissan Motor Indonesiaはホームページで電気自動車「LEAF」が2020年にはインドネシアとフィリピンにお目見えするだろうと報じた。
電気自動車を拡大することは、日産の中期計画M.O.V.E 2022の重要な目標であり、これを加速する計画として、東南アジアの主要市場における電気自動車部品のローカライズと組み立てが含まれている。
日産の独自技術である「e-POWER」は、外部充電ステーションを必要とせず、電気自動車のメリットを顧客に提供できる。東南アジア地域で最初に発売される「e-POWERモデル」は「日産セレナe-POWER」。シンガポールに導入される予定である。
出典:https://www.nissan.co.id/press/nissan-targetkan-seperempat-jumlah-penjualannya-di-asia-dan-ocea.html
【ターゲットは中間所得層】インドネシアのタクシー・配車アプリ業界
自動車業界大手のBMWインドネシア,Pertaminaとコラボでエコシステム開発
2018年12月10日、BMWインドネシアはPERTAMINAが取り組むGREEN ENERGY STATIONで電気自動車のエコシステム開発を支援していることをホームページで発表した。
2018年8月のジャカルタ国際モーターショーで発表したBMWとPertaminaの電気自動車エコシステムのコラボレーションを受けてパイロットプロジェクトが始まった。Pertaminaは電気自動車充電ステーションを備えたガソリンスタンドを建設し、BMWが3相22KWの急速充電ユニットi Wallbox Plusを提供するというもの。
BMWはインドネシアでハイブリッド電気自動車(PHEV)を販売した最初の自動車メーカー。現在、BMW i8クーペとBMW i8ロードスターの2タイプを販売中。
出典:https://www.bmw.co.id/en/topics/fascination-bmw0/news/news-2018/10-12-18-medrel-bmw-pertamina.html
インドネシアの三菱Fuso、2019年シェア目標45%〜自動車業界動向〜
2019年3月11日、三菱Fusoのトラックを販売するPT. Krama Yudha Tiga Berlian Motorsは、2019年に市場占有率45%の達成と三菱Fusoトラック55,000台の販売を目標としていることを公表した。
2018年の実績は、市場占有率43.9%、トラック販売台数51,132台(前年比:20.8%増加)であった。内訳は、小型トラック(LDT)部門では「コルトディーゼル」が45,257台と58.1%の絶対的な市場シェアを持つ。一方、中型トラック部門(MDT)では5,811台が販売され、41.8%へとシェアを拡大。残りの64台は、大型トラック(MDT)部門。
2019年の55,000台の目標は、47,000台が小型トラック部門、残りは中型トラック部門と大型トラック部門で構成されている。
出典:https://www.ktbfuso.co.id/news-detail/210/ktb-targetkan-pangsa-pasar-45-persen-dan-55-000-unit-truk-mitsubishi-fuso-terjual-di-2019
まとめ:インドネシアの自動車業界
2017年には中国系自動車メーカーがインドネシア国内に自動車組立工場を設立し創業を開始するなどの動きもみられました。同国の自動車業界は今後も目が離せません。
ジャカルタ在住のインドネシア人。観光ガイドと通訳者を務め、インドネシアの観光地を日本語で案内している。日本語学科の大学を卒業し、邦人対応観光ガイド・国際イベントでの日本代表団担当連絡係員・通訳者・日本領事事務所長の地元アシスタントを経験。