インドネシアでは保険会社は、財務省と金融サービス庁の管理監督下にあり許可制のため、大幅な増減はないものと考えられます。
今回は、そんなインドネシアの保険業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2023年 インドネシアの保険(金融・法人サービス)業界
Maskapai再保険、フィッチレーティング改善
インドネシアの上場再保険会社PT Maskapai Reasuransi Indonesia Tbk(MREI)は2023年4月4日、Fitch RatingsがMREIの格付けをAA-(idn)およびBB+(int)で維持し、財務強度(IFS)を以前の「ネガティブ」から「安全的」に引き上げたことを明らかにした。
Fitch Ratingsは、新型コロナウイルスや健康関連の保険金請求による負担の軽減により、MREIの財務業績と利益が今後も安定すると見通している。実際、MREIは損失を被った2021年と比較して2022年は113%増となる380億ルピアの純利益を記録し、業績回復に成功した。
また、リスクベース資本(RBC)比率も前年の239%から279%に上昇しており、当局が要求する最低比率120%を大幅に上回っている。
出典:https://marein-re.com/berita/detail/FitchRatingsmerevisihasilIFSoutlookMarein
Tugu保険、2022年決算は二桁増収増益で好調
インドネシアの損保会社PT Asuransi Tugu Pratama Indonesia Tbk(TUGU)が2023年5月15日、2022年決算概況を発表した。
2022年の総保険料は6兆7,100億ルピアで前年比112%と増収。特に、火災、海上、船舶、陸上、海上貨物の事業部門が増収に貢献。連結保険引き受け収入は2兆3,400億ルピアを記録し、前年比110%であった。結果、2022年連結利益は3,951億ルピアで前年比121%と二桁増収増益を記録した。
2022年末総資産は21兆5,800億ルピアで前年比107%と増加。一方、資本金は8兆7,900億ルピアから9兆1,700億ルピアに増加し、リスクベースキャピタル(RBC)レベルは470%となり、金融サービス庁(OJK)の下限120%をはるかに上回っている。
Lippo保険、2022年3つの強みで二桁増収増益
インドネシアの損保会社PT Lippo General Insurance Tbk(LPGI)は2023年6月28日に株主総会を開催した記事をホームページに掲載した。
2022年度のLPGIの業績は、保険料収入が2兆6,700億ルピアで前年比123%、一方、税引き後の純利益は738億ルピアで前年比123%で、結果二桁の増収増益を達成した。これは「堅実な財務、成長するエコシステムと献身的なチームワーク」という3つの強みによって達成されたということ。
また、株主総会では二つのことが議決された。一つは、2023年から2025 年までの経営陣の構成でコミサリスト会、取締役会のメンバーが承認された。二つ目は配当金額、総額162億ルピア(配当性向22%)で1株当たり54ルピアとなる。
尼国有保険会社、稲作事業保険で農業支援
インドネシアの国有保険会社PT Asuransi Jasa Indonesiaは2023年9月21日、西ヌサ・トゥンガラ州、西スワンバヤ県の43の農民グループに対して稲作事業保険(AUTP)請求に対して11億ルピア支払ったことを明らかにした。
稲作事業保険 (AUTP) は、洪水、干ばつ、害虫の攻撃によって引き起こされる稲の損傷や稲の病気や害虫 (OPT) のリスクに対する保護を提供するためにPT Asuransi Jasa Indonesiaが運営する政府の割り当てプログラムの1つ。
政府からの委託プログラムであるAUTPはPT Asuransi Jasa Indonesiaにとっての大きな責任であり、この請求に応じることは、インドネシアの食料安全保障を強化するという政府の使命を遂行したことになるとのこと。
尼MSIG生保、Sinarmas Optima Plus発売
SinarmasとMSIGの合弁会社PT Asuransi Jiwa Sinarmas MSIG Tbk(LIFE)は2023年5月23日、Sinarmas MSIG Life と Bank Sinarmas が 「Sinarmas Optima Plus」を発売したことを発表した。
LIFEは、投資にリンクされた保険商品 (PAYDI) に関する金融サービス庁回覧書 (SEOJK)の2022年第5号に従って、最新のユニットリンク生命保険商品を発売。
優先パートナーのBank Sinarmasと協力して発売した「Sinarmas Optima Plus」と呼ばれるこの商品は、一括支払いメカニズムを備えた最大100年の保護期間を提供する。また、IDR およびUSD通貨で利用可能なこの単一プレミアム ユニットリンク製品には、取得手数料、追加手数料、投資資金の送金手数料がかからないとのこと。
出典:https://www.sinarmasmsiglife.co.id/press-release/press-release-58
東京海上、尼Tokio Marineの保有株式を増強
インドネシアの日系損保会社PT Asuransi Tokio Marine Indonesia(TMI)が2022年11月24日、東京海上ホールディングス株式会社が、100%子会社であるTokio Marine Asia Pte. Ltd.を通じて、TMIの株式保有割合を60%から80%に引き上げたことを発表した。
この出資額は、合弁パートナーである国有企業のPT Asuransi Jasa India(Jasindo)が保有する株式の20%を5,090億ルピア(約3,300万米ドル)で取得することで増加した。
東京海上ホールディングス株式会社の海外事業戦略に沿って、TMI社の株式保有を増加することにより、持続的な成長と利益拡大を図るとともに、新興国での成長機会を捉えて事業ポートフォリオの多角化を図ることができるようになるとのこと。
2021年 インドネシアの保険(金融・法人サービス)業界
Sinarmas MSIG、2019年のインドネシア生命保険シェア3% 〜保険業界動向〜
インドネシアで生命保険を取り扱う日系の保険会社PT Asuransi Jiwa Sinarmas MSIG Tbk(LIFE)の2019年の正味保険料収入は4兆4,897億ルピアで前年比88%であった。
インドネシア生命保険協会(AAJI)のデータに基づくと、2019年は生命保険会社の新規事業の総収入で11位、ユニットリンク製品の総収入で10位、総資産で11位、自己資本で3位にランクされている。 ちなみに2020年12月現在のAAJI会員会社数は60社である。
同社は2019年、生命保険業界で3%の市場シェアを達成した。しかし、AAJIのデータによると、2019年のインドネシアの生命保険の普及率はわずか1.3%しかなく、いかに市場を活性化するかがポイントのようだ。
出典: https://www.idx.co.id/StaticData/NewsAndAnnouncement/ANNOUNCEMENTSTOCK/From_EREP/202005/7cdeca2b50_8a7b5e493f.pdf
インドネシアで保険業界大手のMaskapai、2019年の再保険収入は前年比121%
インドネシアで生命再保険、一般再保険、シャリア再保険などの再保険全般を手掛ける保険会社PT Maskapai Reasuransi Indonesia Tbk(MREI)の2019年の売上高(保険引受収入)は1兆4,709億ルピアで、前年比121%であった。
背景には業界全体の好業績がある。インドネシア生命保険協会(AAJI)によると、2019年の業界収益は243兆ルピア(前年比119%)であった。
さらにインドネシア総合保険協会(AAUI)によると、海上船体保険、賠償責任保険、オフショアエネルギー保険、事故・健康保険を除いて、総合保険業界の業績がプラス成長を遂げ、損害保険料は79.7兆ルピア(前年比:141%)と大幅増加したとのこと。
出典: https://www.idx.co.id/StaticData/NewsAndAnnouncement/ANNOUNCEMENTSTOCK/From_EREP/202006/e2838d9289_af33f84083.pdf
インドネシアの損保業界、2020年の保険料収入は前年比96% 〜保険業界動向〜
インドネシア総合保険協会(AAUI)は、2020年の損害保険業界の実績を公表した。
2020年の保険料収入は76兆9,850億ルピアで前年比96%であった。
セグメント別トップ5は、①財産保険(構成比:27%):21兆380億ルピア(前年比:101%)、②クレジット保険(21%):16兆4,360億ルピア(106%)、③自動車バイク保険(19%):14兆7,350億ルピア(79%)、④個人傷害保険・健康保険(10%):7兆9,820億ルピア(121%)、⑤海上貨物保険(4%):3兆2,630億ルピア(94%)となり、5つのセグメントで全体の82%を占めた。また、3番目の自動車バイク保険は新車販売がCovid-19で減少している関係から前年比79%と大幅に減少している。
出典: http://aaui.or.id/wp-content/uploads/2021/03/book-ver-Q4-20-1.pdf
インドネシアのLippo General Insuranceの2019年の業績〜保険業界動向〜
インドネシアの損害保険会社PT Lippo General Insurance Tbk(LPGI)の2019年の正味保険金収入は1兆914億ルピアで前年比101.7%であった。
LPGIは損害保険会社として健康保険と損害保険の2つの保険商品ラインを提供している。一方、生命保険商品は子会社のPT Lippo LifeAssuranceが提供している。
LPGIが取り扱う健康保険商品は、個人や団体に健康保険(福利厚生)を提供し、顧客のニーズに合わせた保険料を提供している。もう一方の損害保険は自動車、電子機器、不動産、貨物/ロジスティクス、旅行、エンジニアリング、賠償責任、個人傷害保険、およびその他さまざまな非健康および非生命保護の保険ニーズが含まれている。
出典: https://www.idx.co.id/StaticData/NewsAndAnnouncement/ANNOUNCEMENTSTOCK/From_EREP/202006/97e370e4ac_f85f8828af.pdf
インドネシアのTugu、2019年は前年比114%と二桁増収〜保険業界動向〜
インドネシアの損害保険会社PT Asuransi Tugu Pratama Indonesia Tbkの2019年売上高は2兆9,193億ルピアで前年比114%であった。
内訳は、保険引受収入が2兆1,954億ルピア(前年比:105%)、投資収入が4,050億ルピア(前年比:185%)、その他が2,501億ルピアであった。
また、保険引受収入のべースとなる総保険金収入の内訳は、構成比の大きい順に①火災保険(32%):前年比124%、②航空保険(18%):前年比154%、③海上船舶・コンテナ保険(13%):前年比93%、④石油ガス採掘保険(11%):前年比:93%、⑤エンジニアリング保険(6%):前年比:109%、⑥その他損害保険(20%):前年比:186%であった。
出典:https://www.idx.co.id/StaticData/NewsAndAnnouncement/ANNOUNCEMENTSTOCK/From_EREP/202006/5139b04c12_96f58f1bda.pdf
まとめ:インドネシアの保険業界
インドネシアの保険会社は国の管理下の為、会社数に大幅な増減はないものの、経済の成長とともに保険・年金基金業界のGDPも増加するものと思われています。
ジャカルタ在住のインドネシア人。観光ガイドと通訳者を務め、インドネシアの観光地を日本語で案内している。日本語学科の大学を卒業し、邦人対応観光ガイド・国際イベントでの日本代表団担当連絡係員・通訳者・日本領事事務所長の地元アシスタントを経験。