台湾の保険業界では、2023年に国際ブランドコンサルティング会社Brand Financeが発表した「最も価値のある保険ブランドTOP100」において、國泰人壽が9年連続でランクインし、世界31位、台湾1位を獲得しました。同時に、2026年には台湾が超高齢化社会を迎え、要介護者が100万人を超える見込みですが、南山人壽はこの課題に対応すべく、「超高齢化社会における世代を超えたニーズ」に焦点を当てた対応策を含む報告書を発表しました。
今回は、そんな台湾の保険業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
読了時間の目安:5分
2023年 台湾の保険(金融・法人サービス)業界
保険100に台湾で唯一9年連続ランクインの國泰
国際ブランドコンサルティング会社のBrand Financeが「2023年で最も価値のある保険ブランドTOP100(Insurance 100)」のランキングリストが発表され、國泰人壽は台湾の保険会社で唯一9年連続でランクインし、世界で31位、台湾では1位となった。
Brand Financeは、財務実績、持続可能な運営、ステークホルダーとの利害関係を含む総合的な評価を行い、ブランドが企業実績に与える影響を検討するため、世界的に有名な保険会社を対象に毎年調査を実施しており、国際的かつ客観的な第三者評価を通じて、世界ランキング評価を行っている。
國泰人壽は、長年台湾と深く関わり、業界のリーダー、プロフェッショナル、安定した企業としてのイメージが人々に深く根付いている。また、2022年の顧客の他人への推奨意欲を表す指標“NPS”は29.2%と高く、不況にも関わらず、3年連続のプラス成長を見せている。
出典:https://www.cathaylife.com.tw/cathaylife/news/hotnews/20230510_brandfinance2023
保険商品累積販売量が業界トップの富邦
富邦人壽は、「保証型保険商品プラットフォーム」を運営する基富通との提携を開始し間もなく2周年を迎え、中華民国保険業協会の統計によると、2022年9月から2023年7月まで、富邦人壽の「オンライン重病健康保険」はプラットフォームの累積販売量で、業界トップの売上を維持し続けている。
富邦人壽は、柔軟な商品と多様化したチャネルの戦略を堅持し、ビジネス、銀行窓口販売、オンライン保険の3つの主要チャネルを通じて包括的かつ継続的に市場浸透を拡大している。
富邦人壽の傑出した業績と充実した保険サービスは、台湾全土で500万人を超える保険契約者と投資家の指示を得ており、2022年の累計税引き後純利益は655億4,000万台湾元に達した。富邦人壽は今後も、保険の保証価値と機能を伝えると共に、ESGへの取り組みを深め、アジアの一流金融機関を目指していく。
南山人壽が超高齢化社会への3大対応策を提案
台湾は2026年に超高齢化社会を迎え、要介護者は100万人を超えると推計されている中で南山人壽は、長期介護保険のトップブランドとして3大対応策を含む、「超高齢化社会における世代を超えたニーズ」「課題調査報告書」を作成し発表した。
南山人壽は、超高齢化社会への対応策として、まず、長寿・病気・介護の3大リスクに対応する充実した商品ラインの開発、次に、世代を超えたサービスニーズに応えるため、健康保護サークルのサービス範囲を拡大、最後に、国際的な経験から学び、外国の先進技術をサービス設計に導入するとして、3つの主要な対策を提案した。
南山人壽は、3年連続で介護分野に関する調査結果を発表しており、様々な世代のニーズや業界の動向を調査し、「共生・共創・共学習、共享」の4大分野を中心に、各国の政策や業界動向を把握し、国内外の長期ベンチマーク企業の行動から学び、今後もより良い対策を提案していく。
出典:https://www.nanshanlife.com.tw/NanshanWeb/news/174
安定した業績を見せた三商美邦人壽
三商美邦人壽は、2023年の最初の3四半期の財務結果を発表した。同社の利益は第3四半期に安定し、税引後の単一四半期純利益は25億8,000万となった。一方で、最初の3四半期の損失は20億6,000万台湾元であったが、損失額は前年同期比36%の減少を見せた。
三商美邦人壽の事業拡大は引き続き好調に推移しており、第1四半期から第3四半期までの初年度保険料は287億台湾元で、前年同期日23%増となった。依然として投資商品が同社の主力商品であり、新規契約保険料も前年同期と比べて26%増加した。
将来の課題に直面して、三商美邦人壽は資本の充実と財務構造の改善を主な目標として取り組んでいる。また、同社は最近、持続可能な行動を促進するための投資を増やしており、学童に正しいお金の価値観を養うためのチャリティー講座なども主催している。
出典:https://www.mli.com.tw/sites/mliportal/news/latest-news-content
2023年9月末までの保険業界の業績
金融監督管理委員会は、2023年最初の9ヶ月の生命保険業界の累計利益は1,747億台湾元で前年同期比は41.3%の減少を見せた、また、損害保険を加えた保険業界全体の利益は1,871億台湾元で、前年同期と同水準となったと発表した。
生命保険業界の2023年1月から9月の内外投資純利益(外貨準備純増減額を含む)の累計は8,805億台湾元、対外投資純利益は5,895億台湾元で67%を占めた。これは、生命保険業界の利益が海外から来ていることを示しており、投資収益が最も大きく寄与していることがわかる。
金融監督管理委員会は、生命保険業界の株式保有評価に影響を与えた9月の資本市場調整を主因に、10月には国内外の株式市場が再び下落し、生命保険業界の純資産価値を圧迫する可能性も指摘している。
2021年 台湾の保険(金融・法人サービス)業界
台湾の富邦人壽によるMID身分認証技術の試行 〜保険業界動向〜
富邦人壽は、契約変更業務に対して国内初のMIDモバイル身分認証サービスを開始した。試用期間は2021年1月1日から6ヶ月。現在、会員のオンライン申込みやパスワードを忘れた場合の確認サービスなどは、保険契約者がいつでも利用できるようになっている。
富邦人会員に加入するだけで、家にいても契約変更処理が可能なり、外に出てカウンターまで出向く必要がなくなった。
MIDモバイル身分検証は、電信会社が顧客の4G / 5G携帯電話番号を申請するときに、個人IDと携帯電話番号を紐付けした実名システム。富邦人壽の顧客は、携帯電話番号契約者の情報と保険契約者のIDによって実名認証を完了できる。
出典: 富邦人 https://bit.ly/3r5BrCj
台湾人壽、2年連続の増資を決める〜保険業界動向〜
君龍人壽は、台湾生命保険と中国本土の建發集團有限公司の合弁会社だが、この度台灣人壽と建發集團へ3.5億元ずつ、合計7億元の増資をすることが決定した。
台灣人壽によると、中国本土のGDPは上昇しているが、生命保険業界の普及率は3.3%と、アジアの平均水準を下回っているため、将来の成長幅が期待できる。2020年、同社の保険収入と販売員数は2倍に成長し、1200万人民元を獲得するという優秀な成績を出している。
今後は保険商品と医療および健康管理プラットフォームを組み合わせて競争上の優位性を生み出し、「より多くの人々がより健康的な生活を送れるようにする」使命の下、福建地区で屈指の保険会社になることを目指す。
出典:台湾人壽 https://www.taiwanlife.com/Content/42267
台湾の臺銀人壽保険株式会社の2020年の業績〜保険業界動向〜
臺銀人壽保険株式会社の2020年度の営業総収入は702.63億台湾ドルで前年比マイナス6.88%となった。純利益は前年比-15.31%となった。
社会的セーフティネットの構築支援を目的とした2016年の商品構造変革計画の開始以来、同社は健康保険商品を主要プロジェクトとして展開している。2020年の健康保険の年間保険料収入は0.84億台湾元、目標達成率は105.11%と、良好な結果を示している。
さらに、高齢者や経済的に恵まれない人々を保護するための政府方針を実行し、国有企業としての社会責任を果たすため、ミニ保険や少額の高齢者向け保険を展開している。
出典:臺銀人壽 https://bit.ly/3radg5E
台湾の南山人壽の2020年第3四半期の業績〜保険業界動向〜
南山人壽保險股份有限公司は1963年7月に設立し、半世紀の歴史がある保険会社。専門的な経営と安定した財務、教育訓練、アプリの応用や顧客サービスなど各方面で利用者から支持を得ている。
南山人壽は2020年11月10日に2020年第3四半期の業績を発表した。税引き前純利益は、41,595,629千台湾ドルで、前年に比べるとマイナス9%となった。
営業収入は、2020年第3四半期に446,856,150千台湾ドル、昨年同期495,907,803千台湾ドルだった。
出典:南山人壽 https://bit.ly/3c7EaHm
台湾の全球人壽、ESGの実施で表彰へ 〜保険業界動向〜
全球人壽は「責任」と「愛」というブランド理念を守り、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)に関連する行動を積極的に展開した。2020年に行われた第13回「TCSA台湾サステナビリティ賞」の「企業サステナビリティレポート賞-金融・保険業界銀賞」を受賞した。
全球人壽は2019年現在、51,000キログラム以上の無毒米と21万グラムの環境にやさしいお茶を採用しており、チャリティーの売上総額は毎年忠義基金会へ寄付されている。
また、チャリティーと健康を組み合わせて、2018年にチャリティーイベント「ヨガ for 愛する1万人」を開催し、イベント登録料の一部を忠義基金会に寄付しており、「子供たちの教育・成長」「チャリティー活動」にも努めている。
出典:全球人壽 https://www.transglobe.com.tw/newsDetail.html?newsId=809
まとめ:台湾の保険業界
勧誘のトラブルが多かったことでセールスマンの質の向上に注目が集まっている台湾の保険業界。今後の動向に注目です。
台北在住の台湾人。日本の東北大学で修士号取得後、7年以上IT企業でマーケティングを担当。デジタルマーケティングと市場分析の専門家として、製品の市場導入とブランド戦略を得意とする。