台湾政府は今年度より、住宅の家賃補助世帯を2倍に増やすことを発表しており、特に都市部の不動産需要は大きく変化しそうです。
今回は、そんな台湾の不動産仲介業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2023年 台湾の不動産仲介(建設・インフラ・個人サービス)業界
最高額に達する勢いの2023年不動産・土地統合税
財政部の統計によると、2023年11月の個人不動産・土地統合税額は42億台湾元で、年間増加率は34%であった。また、2023年1月から11月の合計は348億台湾元に達し、2022年の382億台湾元を超え、再び過去最高を記録する可能性があると見られる。
信義房屋不動産企業調査事務所のプロジェクトマネージャーは、不動産・土地統合税の合計額が増加した主な理由は3つあると述べ、先ず、2016年以降の住宅購入数が増加、第二に、2016年以降購入した不動産の価格が大幅に上昇、第三に、「不動産・土地統合税2.0」政策による短期課税の延長などが挙げられる。
統計によると、税収トップは依然として台中市で69.9億台湾元、年間で6.8%増加し、次に新北市が税収56.6億台湾元で年間17.6%の増加となった。
出典:https://www.sinyinews.com.tw/dailynews/newsct/12478
台灣房屋がオンラインサインシステムを導入
感染症流行後、各界がテクノロジーを幅広く活用する中で台灣房屋は、サービス効率を向上させるために、スマートテクノロジーを利用してサービス機能を総合的に最適化及び拡大し「オンライン署名システム」を独自に開発した。
「オンライン署名システム」の最大の利点及び主要な特徴は「簡単な操作と高効率」、「安全な二重認証」、「制限なしのサービス時間とスペース」であり、安全性とプロフェッショナリズムを組み合わせ、契約署名の利便性も大幅に向上させた不動産業界の大きな革新である。
台灣房屋は、ESG不動産業者の第一ブランドにランクされており、「オンライン署名システム」によるペーパーレス化に加えて、紙の印刷物に代わる電子名刺、電子カタログ、電子配布資料などの使用を推奨している。
出典:https://news.twhg.com.tw/re_news_details.php?ojb=54739
大幅に鈍化した住宅価格指数の上昇
内政部が2023年第2四半期の住宅価格指数を発表し、全国住宅価格指数は130.80となり、前四半期比1.51%上昇、前年同期比5.51%上昇となった。
内政部は、近年の住宅価格動向を踏まえ、全国住宅価格指数の年間伸び率が2022年第2四半期の10.27%という最高値から5.51%まで、4四半期連続で下方修正され、住宅価格の上昇は大幅に鈍化したと発表した。
6都市の住宅価格指数を見ると、今期の指数はいずれも前四半期に比べて若干上昇した。しかし、年間成長率の推移を見ると、6都市とも住宅価格の伸びが鈍化しており、その中でも台北市の年間成長率は1.37%と最も低い、また、下方修正が最も顕著なのが高雄市で、2022年の最高である14.14%から4.46%へと下落した。
出典:https://www.land.moi.gov.tw/chhtml/content/10?mcid=4958
不動産販売・譲渡件数が過去5年で 最低水準になる見込み
内政部の資料によると、2023年最初の10ヶ月の全国の販売・譲渡件数はわずか24万5,000件に過ぎず、年間では推定約30万件と、ここ5年で最低水準になると予想される。
2023年10月末現在、台湾の登録不動産仲介業者数は8,675社に達し、過去17年間で4,800社以上大幅に増加した。また、雇用されている不動産仲介業者と営業マンの数は6万8,113人に達し、統計開始以来最高を更新した。
台湾の不動産仲介業界は近年驚くべき速度で拡大しているが、政府による不動産投機の取り締まりが継続し、中央銀行も利上げを継続する可能性があることから、今後も不動産市場の買い心理は抑制され続ける可能性があり、今後数年間の不動産販売・譲渡件数は伸び悩むと推定される。
出典:http://www.taiwanhouse.org.tw/uploads/2023/11/original/1365638_85e45c5fb9195d400315cd898189ffe9.xls
傑出した実績を上げる 永慶の不動産仲介共同販売プラットフォーム
永慶房屋仲介は、2023年International Innovation Awardsにおいて、台湾の不動産会社としては唯一「国際イノベーション賞」を3年連続で受賞、また、永慶の「不動産仲介共同販売プラットフォーム」は傑出した実績が評価され「Asian Technology Excellence Awards」を受賞し、不動産テクノロジーのトップブランドとして確固たる地位を築いている。
「不動産仲介共同販売プラットフォーム」の立ち上げ後、フランチャイズ店舗の平均販売日数は26%短縮され、共同販売取引件数は40%増加した、不動産取引の効率が大幅に向上し、企業、仲介業者、顧客にとってWin-Winの状況が生まれている。
永慶房屋グループ企画部副部長は、今後も革新的な技術とサービスを導入し続け、不動産業界の古い枠組みを打ち破り、より便利で思いやりのあるサービスを提供していくと述べた。
出典:https://knowhow.yungching.com.tw/article/3447
2021年の台湾の不動産市場、明るい兆し
2021年 台湾の不動産仲介(建設・インフラ・個人サービス)業界
2021年の台湾の不動産市場、明るい兆し
世界100カ国に450拠点以上のネットワークを有する世界最大の事業用不動産サービス企業である世邦魏理仕台灣(CBRE)は、2021年の台湾の不動産市場展望レポートを発表した。
2020年の台湾の商業用不動産投資額は1,293億台湾ドルで、前年比18%増だった。その理由は、新型コロナ肺炎の発生により法人に対する投資需要が強くなり、金利水準が過去最低にまで低下したことを受け、多くの企業が事業拡大を促進するための不動産を購入を進めたことによる。
楽観的な投資家などにより、2021年の台湾の不動産投資市場は2020年の勢いを維持すると予想される。同社が2020年第4四半期に実施した投資家意向調査によると、調査対象の台湾の投資家の71%が、2020年よりも2021年はより多くの不動産を購入する予定であると述べている。
出典:https://www.cbre.com.tw/zh-tw/research-reports/Taiwan-Real-Estate-Market-Outlook-2021-TC
台湾の商業用不動産市場が堅調に推移した理由とは?
信義房屋グループの子会社で、ビルや工場用地の売買などを行う信義全球資產によると、2021年の上半期は商業用不動産市場が好調に推移したと発表した。
同社の2021年上半期の統計によると、総取引額は717億元に達した。前年同時期の354億元だったので大きな成長となった。そのうち土地・地上権市場の取引額が651億元を占めた。
2021年上半期の商業用不動産の購入者のうち、36%がテクノロジー業界からの顧客であった。取引商品を見ると、工業用不動産のカテゴリーが357億元と最も高く、テクノロジー産業の拡大を受けた高い需要が明らかになった。
出典:https://www.sinyiglobal.com/news/292
住宅価格が上昇する新北市新店区
台湾で最も大きい不動産会社の1つである全國不動產(新店七張店)による「寶徠花園」は、カルフールの生活圏とMRT七張駅近くに位置する有名な住宅地である。2021年5月は新型コロナ肺炎の影響を受け、台湾の住宅市場の取引は停滞していたが、最新の不動産価格登録を見ると、住宅市場は同年1月から4月にかけてとても好調だった。
住宅市場の回復の兆しがある中、住宅所有者は売れば十分に利益を上げることができた。特に新北市新店区の寶徠花園では多くの取引があり、各世帯が百万元以上の利益を上げていることが分かった。
そのうち19階の世帯は2013年に購入した物件を2021年3月に売りに出したことで約820万元の巨額の利益を上げた。住宅価格の上昇は約20%だった。
出典:https://www.nra.com.tw/knowledge/news_detail.php?Fullkey=1966
外国人による不動産購入が過去最高へ
台湾初の欧米・日本での不動産仲介事業を行う住商不動産は、2021年1月から4月にかけて、台湾で外国人により購入された不動産数が過去最高記録であったと発表した。
2021年1月から4月の期間中、外国人により431棟の不動産が購入された。エリアとしては台北と新北が人気で全体の47.6%を占めた。外国人が取得した土地については、新北市だけで14.2万坪で、全国取得面積の88.9%を占める。
同エリアの不動産価格は依然として高いが、多くの外国人は安定した価格動向や容易なリースを確保するために首都圏を選択することが予想される。
出典:https://www.hbhousing.com.tw/News/Detail.aspx?Num=4927
2021年の不動産価格と今後の展望について
1997年に完全フランチャイズ型に移行した不動産会社の中信房屋は、住宅価格と将来の見通しに関する調査を実施した。不動産を購入する意思のある人々にオンラインで調査を行った。
それによると、多くの人が2021年第3四半期の住宅価格は横ばいであると予想している。また、回答者の61%が、第1四半期と第2四半期の住宅価格はほぼ変わらないと回答した。しかし、全体的な経済認識について尋ねたところ、回答者の73%が、第2四半期は第1四半期よりも経済状況が悪いと感じていることが明らかになった。
第3四半期の住宅価格については、53%の回答者が、第2四半期と同等になると考えており、価格が上昇または下降と見ている比率はそれぞれ20%と27%となった。第3四半期の経済見通しについては、47%の人が下がるとみている一方で、13%は良くなると考えている。
出典:https://buy.cthouse.com.tw/housenews/%E6%B0%91%E7%9C%BE%E7%9C%8B%E7%96%AB%E6%83%85%EF%BC%9A%E4%BB%8A%E5%B9%B4%E7%84%A1%E8%A7%A3/10557.html
2020年 台湾の不動産仲介(建設・インフラ・個人サービス)業界
台湾、2018年末の不動産仲介業界の業績動向は?
2019年4月15日の財政部の統計によると、2018年の全台湾の不動産仲介業の売上高は、548億台湾ドルとなった。これは2015年以来の最高額となった。2017年と比較し、76億台湾ドル、16.1%の増加となった。これで二年連続の増加となった。
県、市別にみると、2018年は六大特別市が前年より52億台湾ドル、13.9%増加し、429億台湾ドルの売上高となり全国の62.5%を占めた。その中でも台北市が最も多く、154億台湾ドル(30.6%)、新北市90億台湾ドル(17.8%)と続いた。六大都市以外では、前年比19.1%増の合計75億台湾ドルの売上だった。
2018年末の不動産仲介業者数は6,422社となった。これは2017年比1.6%の増加となった。不動産仲介業者登記人は8,368人となり1.5%増、不動産仲介営業にかかわる人員は3万7,940人となり4.3%増となった。
出典:https://www.dgbas.gov.tw/public/Data/9415171358SQKUQ4S8.pdf
台湾内閣府、家賃補助の助成金対象を2倍に拡大〜不動産仲介業界動向〜
蔡英文大統領は2019年11月13日、2020年より家賃補助金が拡大され、より多くの人々に政策を通じて家賃を支援する機会を与えると発表した。家賃補助金の支援戸数は年間60,000戸から120,000戸に拡大される予定であり、所得基準、法定要件、申請時間、およびその他の規制が緩和されるため、単身や子供の有無に関係なく賃貸料を削減できると述べた。
内閣府によると、現行の家賃補助金は、毎年約60,000戸に予算を組んでおり、主に低所得層および中所得層の不利な状況にある家族や40歳以上の独身者のために提供しているとのこと。
しかし、新社会人は大都市圏で給料が高くなく、家賃が重荷になっているが補助金を受け取ることはできない。したがって、新しい補助金プログラムでは、支援戸数を2倍に増やすことでこのような問題に対応する。資格は20~40歳の独身の若者で、所得基準は元の最低生活費の1.5倍から2.5倍に緩やかに緩和される。
出典:内政部https://www.moi.gov.tw/chi/chi_news/news_detail.aspx?sn=17070&type_code=02
台湾内務省、住宅のサブリース契約に関する新規定〜不動産仲介業界動向〜
サブリース契約の公平性と合理性を促進し、賃貸住宅事業のテナント利益を保護するために、内務省は2019年6月1日からリース契約に関する新たな規約を制定する。そのため、これ以降は新たなリース契約に準拠する必要がある。
この契約はサブリース業者と家主に適用される。サブリース業者は住宅の一切を管理し、契約の30日以内にリースの範囲・期間・テナントの名前などの関連情報を書面で家主に通知する必要がある。
違反した場合、契約条件の無効に加えて最大30万台湾元の罰金が課せられる。
出典:https://www.moi.gov.tw/chi/chi_news/news_detail.aspx?src=news&sn=15665&type_code=02
台湾内政部統計、外国人の土地所有権の取得件数増加中〜不動産仲介業界動向〜
内政部統計處によると、過去10年間で外国人の土地所有権の取得件数が増加し、1998年の2,052件から2018年の3,107件(+51.4%)に増加した。また、2018年の外国人の取得建物所有権棟数は計1,254棟となった。
2019年1月から9月にかけて、外国人が取得した土地所有権は3,084件にのぼり、前年同期比28.6%増となった。新台北市が最多で、743件(全体に占める割合24.1%)だった。取得建物所有権棟数は4.3%増加して、1,003棟となった。台北市は254棟になった。
過去10年間で、外国人が取得した取得建物所有権棟数は、2015年に最大値を記録し1,709棟だった。2016年は985棟に下落、2018年には1,254棟となり徐々に増加した。
出典:https://www.moi.gov.tw/stat/news_detail.aspx?sn=17040
大和ハウス、台湾大陸建設に出資。高雄市の開発へ〜不動産仲介業界動向〜
大和ハウス工業株式会社は、台湾の大手不動産開発会社である大陸建設株式会社(本社:台湾台北市)が設立した汎陸建設實業株式会社(以下「汎陸建設」)に出資し、台湾高雄市において、ホテル・分譲マンションの複合開発プロジェクト「(仮称)高雄プロジェクト」を、2020年1月より開始する。
同プロジェクトの建設地は、台湾第二の都市として成長を続けている高雄市が再開発を行っている「亜州新湾区」に位置し、今後ますますの発展が見込まれる地域にある。また、地下鉄(MRT)「三多商圏駅」から徒歩約4分、高雄国際空港から約6kmの場所に位置しているため、国内外からのアクセスに優れている立地だ。
同プロジェクトは、オークラニッコーホテルマネジメントが運営する「ホテル・ニッコー高雄」(260室)と分譲マンション(227戸)の2棟からなる複合開発プロジェクトで、工事着手は2020年1月、竣工は2023年7月を予定。
出典:https://www.daiwahouse.com/about/release/house/20191129165922.html
まとめ:台湾の不動産仲介業界
台湾の不動産業界は大きく成長しており、既に六大都市のみで半分以上の売り上げを占めている中で、都市部で働く若者への家賃補助などの政策が加わるので注目は今後も続きそうです。
台北在住の台湾人。日本の東北大学で修士号取得後、7年以上IT企業でマーケティングを担当。デジタルマーケティングと市場分析の専門家として、製品の市場導入とブランド戦略を得意とする。