昨年、中華航空が台湾では初となる医薬品低温流通体系の国際認証を取得するなど、空輸技術は世界でもトップクラスであり品質管理が重要となる高価格貨物の運送などが期待されます。
今回は、そんな台湾の空運業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2024年 台湾の空運(運輸・物流)業界
積極的に路線網拡充と増便を進める中華航空
世界的な旅行需要は引き続き旺盛で、中華航空は積極的に路線網の拡充と増便を進めており、2024年も引き続きA350-900、A320neo、777Fなどの新型機の導入と、2025年には新しい787型機を迎える予定である。
加えて、中華航空は2023年10月30日、人材採用を拡大すると発表し、派遣、財務会計、機内備品、情報管理、整備、貨物、人事などの専門分野を含む100人以上の航空エリートを採用する予定であるとした。
中華航空は、「人材の選択、育成、雇用、維持」という4つの基本的価値観を遵守し、総合的な航空プロフェッショナルを育成することに尽力しており、台湾の3,200社の中から傑出された「2023 happy enterprise」の金賞を受賞し、「2023年アジア最優秀雇用賞(アジアで働きやすい企業)」も受賞した。
出典:https://www.china-airlines.com/tw/zh/discover/news/press-release/20231030
長榮が初のベストプレミアムエコノミークラス受賞
ワールド・トラベル・アワードの年次授賞式がドバイで開催され、スターアライアンスメンバーのエバー航空は長年連続で最終候補に残り、2023年に初めて「アジアを代表する航空会社-ベストプレミアムエコノミークラス」を受賞した。
ワールド・トラベル・アワードは1993年に創設され、旅行業界で最も代表的な賞の1つであり、業界専門家の評価と消費者アンケートの結果に基づき、賞を通じて観光業界とホテル業界の優れた業績を表彰している。
エバー航空は、1992年以来業界に先駆けて、ビジネスクラスとエコノミークラスの中間の革新的なクラスである「プレミアムエコノミークラス」を導入してきた。また、2024年後半にボーイング787-9が導入される際には、この航空機に新世代のプレミアムエコノミークラスサービスを確立する予定である。
出典:https://www.evaair.com/zh-tw/about-eva-air/news/news-releases/2023-12-14-pe-news.html
星宇航空が正式に国際航空運送協会に加入
スターラックス航空は、正式に国際航空運送協会(IATA)会員になったと発表し、スターラックス航空会長が会員証を受け取り、同社は今後も様々な分野でIATAの活動に積極的に参加し、運航の安全性と運航基準の向上に努めていくと述べた。
スターラックス航空は設立以来、国際舞台に照準を合わせ、飛行の安全性とサービス品質の両方を備えた高級航空会社となった。IATAへの加盟に成功したということは、スターラックス航空が国際基準を導入し、認証を取得したことを表している。
全てのIATA会員は、国際航空運送協会運航安全監査(IOSA)認定の取得及び維持する必要があり、スターラックス航空は2020年の運行開始以来初めてIOSA審査に合格し、2023年11月初旬に無事にIOSA認証を取得し、12月4日に正式にIATA会員となった。
出典:https://www.starlux-airlines.com/zh-TW/about-us/media-center/news/2023/20231213
国際航空会社6社が軒並み黒字へ
交通部民用航空局が発表した、台湾の航空会社の1-3四半期運行状況によると、エバーグリーンやチャイナエアラインなど国際航空会社6社が軒並み利益を上げた。その中で1位となったエバーグリーンの利益は164億台湾元近くに達し、最高額を更新した。
航空業界にとって2023年は、感染症流行後の航空観光業の回復の年といえ、感染症流行中の空港や航空会社の人員の喪失により、航空便数はこれまでのところ感染症流行前の水準の70%までしか回復していない一方で、旅客需要は旺盛であり、旅客搭乗率は非常に良好である。
旺盛な需要に加えて、石油価格の高騰や世界的なインフラ、人手不足による高賃金での従業員の雇用などのコストの増加により、運賃を下げることができず、その結果、2023年は旅客運送がまれに見る大きな利益を上げたと見てとれる。
出典:https://www.caa.gov.tw/Article.aspx?a=518&lang=1
民間航空機の需要急増の恩恵を受けた漢翔航空工業
軍用機の開発・製造に加え、民間機の製造分担請負、機体やエンジンの整備を行っている漢翔航空工業の2023年の業績は目覚ましく、11月時点の売上高は357億9,500万台湾元、売上成長率は31.97%、また、第3四半期までのEPSは2.08台湾元に達し、引き続き過去最高を更新し続けている。
2023年、漢翔航空工業は民間、国防、科学技術サービスという3つの主要事業で大きな利益を上げ、民間事業に関しては、世界の旅客機市場は今後20年間で、新型航空機の需要が4万機を超えると予想されており、漢翔航空工業の民間事業の需要も増加を見せ、将来的にも持続的に年間収益に貢献することが見通されている。
国防事業では「国機国造」政策の成果である航空機「ブレイブイーグル」が、年間目標である17機の納入を無事達成し、2024年の納入目標18機に向けて生産を開始した。今後も、漢翔航空工業は引き続き高い生産能力を維持していく予定である。
出典:https://www.aidc.com.tw/tw/news/536
2021年 台湾の空運(運輸・物流)業界
台湾のエバー航空、電子健康パスポートを試験導入〜空運業界動向〜
台湾国内最大手の航空会社エバー航空は、2021年7月8日に電子健康パスポートのプラットフォームである「旅客健康声明電子化システム」を発表した。
AOKpassプラットフォームと医療パートナーのMedAireと協力し、台北-ロサンゼルスと台北-サンフランシスコのルートでの電子健康パスポートを試験的に導入していく。これらの対策は、旅客のさまざまな疫病検査を簡素化し、不必要な接触を減らすことを目的としている。
このシステムにより、乗客は出発の48時間から1時間前にエバー航空の公式ウェブサイトまたはアプリで簡単にチェックインができる。空港のチェックインカウンターで紙に記入する手間を省き、接触を減らすことができるため、時間の節約になる。
出典:https://www.evaair.com/zh-tw/about-eva-air/news/news-releases/2021-07-08-online-health-declaration.html
スターラックス航空、台湾で新ルートを開通〜空運業界動向〜
2021年7月8日、スターラックス航空はマニラと台北間の初飛行を正式に開始した。現在の貨物便需要の水準に基づいてルートを開通し、週に2便を運航する。
今回の新規ルートの開通により、STARLUXは台北で乗り換える多数の乗客にサービスを提供することができる。
スターラックスは、新型コロナウイルスによる状況の変化に対応して、フライトスケジュールを継続的に調整している。航空会社は、人気の休暇スポットではなく、重要なビジネス目的地へのルートを開くことを選択している。現在、桃園からマカオ、ペナン、バンコク、大阪、東京、クアラルンプール、ホーチミン市へのルートを運行している。
出典:https://www.starlux-airlines.com/en-US/News/f2592fd3-49d5-43cd-89aa-512288d395b4
台湾のマンダリン航空、二酸化炭素排出量削減へ〜空運業界動向〜
マンダリン航空は、2020年12月に航空業界初の「カーボン削減ラベル証書」を授与された。同社は二酸化炭素排出量削減に取り組んでおり、環境保護への取り組みが認められている。
同社はISO14067カーボンフットプリント認証を取得後、二酸化炭素排出量削減への取り組みを積極的に実施し続けている。2017年末には、ATR72-600の新しい省エネ旅客機を次々と導入し、2020年末までにATR新機体を9体完成させた。
同社は、フライト管理と空港の作業効率の向上などの多元化管理方法を通じて、省エネと二酸化炭素排出量削減の目標を達成して、再び航空業界をリードしていくとのこと。
出典:https://www.mandarin-airlines.com/Content/%E8%8F%AF%E4%BF%A1%E8%88%AA%E7%A9%BA%E7%8D%B2%E7%92%B0%E4%BF%9D%E7%BD%B2%E9%A0%92%E7%99%BC%E9%A6%96%E5%BC%B5%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A5%AD%E3%80%8C%E6%B8%9B%E7%A2%B3%E6%A8%99%E7%B1%A4%E8%AD%89%E6%9B%B8%E3%80%8D-2021030005-52
台湾のタイガーエア、新機体のA320neoを導入〜空運業界動向〜
台湾の格安航空会社タイガーエアは、2021年4月8日に国内第1機目となるA320neo旅客機を迎えた。広々とした単通路キャビンを提供し、乗客の快適性を向上させる。
今回の機体には、新しいエンジンとシャークウィングが装備されており、燃料を最大18%節約し、騒音を50%削減できる。地球環境に優しく、タイガーエア台湾の環境保護への取り組みを表している。
タイガーエア台湾の会長であるチェン・ハニング氏は、「A320neoの導入は、タイガーエア台湾の次の新しいマイルストーンへの参入を象徴する。今後もA320neoを追加して今までとは異なる旅客体験を提供していく」と述べた。
出典:https://www.tigerairtw.com/zh-tw/about-tigerair/news/2021A320neo
香港エクスプレスが台湾で台北・高雄線を正式開通〜空運業界動向〜
香港で唯一の格安航空会社であるHKExpressは、香港から台北と高雄への2つの新しいルートを正式に開通すると発表した。
HKExpressの最高経営責任者であるWuJiewen氏は、「乗客に手頃な運賃と便利な旅行オプションを提供するための新しい方向性を見つけることに取り組んでいる。開通する2つの新しいルートは、この目標に向けた1つのステップである。現在のコロナウイルスの流行が続いても、より便利で手頃な体験を提供するという約束を果たすことに支障はない」と述べた。
香港エクスプレスは先に香港ー台中間の直行便を提供しており、今回台北と高雄への2つの新しいルートを追加した。今後は3つの主要都市間を簡単に移動できるようになる。
出典:https://www.hkexpress.com/zh-tw/news/hk-express-announces-services-to-taipei-and-kaohsiung/
2020年 台湾の空運(運輸・物流)業界
ICAOへの参加を訴え、台湾の能力と意欲アピール〜空運業界動向〜
2019年9月19日、外交部は国際民間航空機関(ICAO)への参加促進と政府の取り組みを発表した。2019年第40回総会がカナダのモントリオールで開催されたが、招待状が届いてないことに対して、政治的干渉を排除し、できるだけ早く民間航空問題に積極的に貢献してきた台湾を受け入れてもらう方法を模索する必要があると発表。
交通部の副大臣は「台湾はICAOに参加する必要性と正当性を持っており、政治を巻き込むべきではない」と述べている。
ICAOへの台湾の参加を呼びかける文書を世界中の主要メディアに提出しており、アメリカ、カナダ、オーストラリアを含む20カ国以上で主流メディアにより発行されている。
出典:https://www.mofa.gov.tw/News_Content_M_2.aspx?n=8742DCE7A2A28761&sms=491D0E5BF5F4BC36&s=21427B075BF94274
ファーイースタン航空の事業停止、台湾観光局対応〜空運業界動向〜
2019年12月12日の発表によると、遠東航空(ファーイースタン航空)の運転停止を受け、観光局と旅行産業協会は、ツアーに参加した乗客のキャンセルと払い戻しについて合意した。
遠東航空(ファーイースト航空)は資金繰りの悪化を理由に急遽営業を中止し、従業員に対しても解雇を通達していた。また、営業停止により乗客3,251人に影響が出たと発表している。
観光局と旅行産業協会は影響を受けた乗客3,251人に対して、何らかの処置をとることを発表した。まず出発前の乗客について、一部手数料を除き、航空券の金額を返金。ただし自己申請が必要。出発後、旅行中のフライトキャンセルについては、新たなフライトチケットの金額差額を保証。旅行代理店と消費者で問題が解決できない場合は観光局が対応するとのこと。
出典:https://www.motc.gov.tw/ch/home.jsp?id=14&parentpath=0%2C2&mcustomize=news_view.jsp&dataserno=201912120003&aplistdn=ou=data,ou=news,ou=chinese,ou=ap_root,o=motc,c=tw&toolsflag=Y&imgfolder=img%2Fstandard
台湾初!医薬品低温流通体系の国際認証を取得〜空運業界動向〜
2019年4月23日の発表によると、中華航空は台湾で初めて国際航空運送協会による医薬品低温流通体系の国際認証を取得した。世界でこの認証を取得している、わずか17社の一員となった。中華航空は空輸において厳格な基準を設けており、緻密な温度管理が必要な薬品分野においてそのレベルは既に国際基準に達している。
医薬品の安定した運輸の為、国際航空運送協会は独立した医薬運輸認証センターを設立。各航空会社は厳格な管理の元、各医薬品の運送を行い、運送期間や環境の変化による医薬品への影響を最小限に抑えている。
中華航空は世界10本の指に入る大型運輸航空会社であり、薬品の低温流通においても長年の経験がある。2018年からCEIV認証を導入、2019年度には国際標準を通過。今後は高価格帯貨物輸送分野の著しい成長が見込まれる。
出典:https://calec.china-airlines.com/csr/news20190423.html
台湾キャセイパシフィック、香港での競争力強化へ〜空運業界動向〜
キャセイパシフィック航空グループは2020年4月1日より航空貨物駅の輸出貨物処理費用の優待制度を推し進める。香港国際空港の航空貨物の中継地としての競争力を更に強化する狙い。
本グループ傘下には4つの航空会社がある。これら航空会社の各顧客に対する一般及び特殊貨物処理費用は香港空港管理局が負担をする。本優待により0.3HKD/KG程費用を抑えることができ、全体で約18~20%程の費用の減少が可能となる。
キャセイパシフィック航空は今回の優待制度を設けることで香港国際空港の競争力強化を図る。今後香港空港のアジア及び全世界最大規模・高効率な多様貨物の輸送中継地としての発展が期待される。
出典:https://reurl.cc/QpA000
台湾交通部統計、各ナショナルエアラインの旅客・貨物輸送市場占有率は?〜空運業界動向〜
交通部民用航空局統計によると、2019年1月~11月の国際線及び台湾-中国間の旅客数及び貨物輸送数は共に中華航空がシェアトップ。
特に貨物輸送においてはシェア2位(38%)のエバー航空を大きく引き離し、シェア60%、輸送貨物量767,924.992トンとなった。
出典:https://reurl.cc/XXMovM
まとめ:台湾の空運業界
台湾では外国旅行客数が年々増加している中、コロナウイルスの影響で各航空会社は先行きが不透明な状態です。貨物に関しては中華航空とエヴァ航空の2社でほとんどのシェアを占めており、今後もこの構図は続きそうです。
台北在住の台湾人。日本の東北大学で修士号取得後、7年以上IT企業でマーケティングを担当。デジタルマーケティングと市場分析の専門家として、製品の市場導入とブランド戦略を得意とする。