最近のアメリカのバイク業界では、CFMOTOがAIMExpoで新しいATVモデル「CFORCE 800」と「CFORCE 1000」を発表しました。これらのモデルは新しいエンジンとサスペンションを備え、競争力のある価格で提供されます。また低シート高のクルーザーモデル「450CL-C」も紹介されました。
今回は、そんなアメリカのバイク業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2022-2023年 アメリカのバイク(製造業)業界
Kawasaki、電動バランスバイクの体験イベント開催〜バイク業界動向〜
コロナ禍により中止に追い込まれていたレースイベントが復帰する中、モンスターエナジー・スーパークロス・ファンの集いも再開されることになった。このファンの集いでは、Kawasaki製品の体験イベントが好評である。今年はKawasaki初の電動バランスバイクが体験できる。
今回の電動バランスバイクElektrodeの体験イベントは、特にキッズのために用意されている。スタッフによって管理された安全なモトクロスサーキットで実体験を楽しんでもらう趣旨である。
モンスタエナジー・スーパークロスのスケジュールに合わせ、シーズン中に8回の開催を予定している。参加資格は3歳から8歳までで体重が45kg未満であること。保護者の同伴が必要で、つま先が閉じた靴を着用のこと。各開催地で先着順で受け付ける。
出典:https://content2.kawasaki.com/ContentStorage/KMC/News/1022/cfdc27f8-473b-46e1-9ab2-671809042f15.pdf
Polaris傘下の509、バイクライダー向けアパレル拡大〜バイク業界動向〜
2016年、アメリカの自動車メーカーであるPolaris社がスノーモービルヘルメットやゴーグルなどで有名な509社を買収した。Polaris社は過去にスノーモービルも生産しており、また、アメリカンの老舗バイクメーカーのインディアン社や新興バイクメーカーのビクトリー社がPolaris社の子会社であることから、ライダー向けのアパレル事業を拡大することは以前から事業計画の中にあったという。
これまで、スノーモービル・オフロード・アウトドアをメインコンセプトとしてきた509社であったが、今年の夏からストリートバイクセグメントへの参入すると発表。ライダーにあわせたスタイル・機能性・高品質なラインナップをすでに開発・販売用意しているという。
製品のフィードバックを提供するライダーも募集中。ヘルメット・ブーツ・ジャケットなど、一部のディーラーおよびオンラインで入手可能。
出典: https://www.polaris.com/en-us/news/product/509-expands-innovative-apparel-street-motorcycle-riders/
オートバイの安全性について〜バイク業界動向〜
アメリカ運輸省国家道路交通安全局の発表によると、5月はアメリカ全土でオートバイの安全意識向上月間としているという。アメリカでは5月末は夏の旅行シーズンの始まりであり、安全乗車と運転の実践、およびすべての道路利用者の協力が道路での死傷者数減少に役立つという。
オートバイでの死亡事故などは大きくニュースになることが多い。その原因の多くは速度超過と飲酒運転が占めることが明らかになっている。現在、ヘルメット着用義務は州ごとで違う。今後は全ての州で着用を義務付けるように運輸省は各州に働きかけている。
安全啓発月間では「車とバイクの意思の疎通」「飲んだら乗るな」「安全運転のための技術」「道路でのゆずりあい」の4つをキャンペーンの柱としている。
出典:https://www.trafficsafetymarketing.gov/get-materials/motorcycle-safety
Harley Davidson、新プラットフォーム開始〜バイク業界動向〜
ハーレーオーナーズクラブは、世界最大の工場主催のバイククラブである。このたび、クラブ創立40周年を記念して、ハーレーオーナーやライダーだけのクラブではなく、ハーレーファンであるなら誰でも入会できる新しいプラットフォームを開始した。
この新しい「HDメンバーシップ」という名のプラットフォームには、メンバー専用のアプリがあり、ソーシャル機能によってコミュニティに参加できるように設計されている。メンバーのライフスタイルやライディングにあわせた新製品情報やイベント勧誘などのコンテンツも提供する。
また、ロードアシスタントや他社のリワードプログラムとのコラボを通じて、限定特典や特別オファーも利用できる。この新しくスタートしたHDメンバーシップの会員費は無料。まずアメリカ国内でサービスを開始し、今後は世界中に広げていく計画であるという。
出典:https://investor.harley-davidson.com/news/news-details/2023/Harley-Davidson-launches-H-D-Membership-a-new-industry-leading-community-platform-and-membership-program/default.aspx
伊Moto Morini、米国市場に参入〜バイク業界動向〜
1937年創業というイタリアの老舗バイクメーカーであるモト・モリーニ社がアメリカに上陸した。同社のバイクは競技車両としての歴史があり、1948年のイタリア選手権での優勝を皮切りに、数々の欧州グランプリで勝利を収めている。また当時の最高速度記録も同社のバイクが樹立しており、性能の高さを証明していた。
1970年前半までは様々なモデルを発表してきたが、1980年代以降は売り上げの減少などから経営が傾き、同業他社に買収されていく。それでも経営は厳しく2010年には完全に清算された。ところが2012年に市場に復帰。2015年には経営陣交代があり、貿易政策も変更。10年余りの歳月を経て、満を持してのアメリカ市場への正式参入となった。アメリカ本社はバイカー人口の多いカリフォルニア州アーバイン市にある。
今後はアメリカ各地にディーラーやオンラインを通じて、イタリア職人による高性能バイクとイタリアンデザインのアパレルなどをモト・モリーニバイクのファンに提供していく。
出典:https://www.motomoriniusa.com/post/us-market
2021年 アメリカのバイク(製造業)業界
HONDA、モトクロス50周年〜バイク業界動向〜
トヨタに次ぐアメリカでの人気日本車のホンダがアメリカに進出したのは、日本でも同様であったが、まずは二輪車の成功が土台にあった。1963年末までに、ホンダは9000台のバイクを販売した。同時に世界の競技会に参戦し、1961年にはグランプリ優勝・世界選手権優勝を果たしている。そして1964年には世界最大二輪メーカーに成長した。
1973年、競技会で培った技術を駆使して製造されたのが、オリジナルモトクロスマシンCR250Mエルシノアであった。その50年後である2023年に、最新技術の結晶である新型モトクロスマシンのCRF450Rをモトクロス本格参戦50周年記念としてリリースすることを発表した。
特別なカラーリングをモトクロス50周年記念エディションとしてリリース。赤いボディーに青いシート、ゴールドのハンドルバーとリムというのは、50年前のCR250Mエルノシアのカラーリングである。
出典:https://media.ford.com/content/fordmedia/fna/us/en/news/2022/12/05/ford–sk-on-make-significant-construction-progress-at-blueoval-s.html
Harleyの電動バイク部門LiveWireがABICと企業結合〜バイク業界動向〜
EVオートバイであるLiveWireは、ハーレーダビットソン社の次世代バイクとして2014年にマスコミに公開された。その後、プロトタイプがアメリカ国内のディーラーで一般客も試乗できるようになり、翌年には欧州やカナダでも公開されるようになった。
2021年5月、それまでハーレーダビットソン社のロゴを使っていたプロトタイプ車・試乗車はLiveWire社のロゴに付け替えられていった。その後、自社ブランドとして独立させると発表。同社でのファーストリリース車はLiveWire Oneと命名され、国際モーターショーで発表された。
2021年12月、LiveWire社は特別買収目的会社であるAEAブリッジズ・インパクト・コーポレーション(ABIC)社と合併し株式公開取引を開始。2022年9月27日に上場した。正式社名はLiveWire Group,Inc.となる。ニューヨーク証券取引所で最初で唯一のEVオートバイ会社である。
出典: https://investor.harley-davidson.com/news/news-details/2022/Harley-Davidson-LiveWire-and-AEA-Bridges-Impact-Corp-Announce-Closing-of-Business-Combination/default.aspx
Kawasaki、ディーラー向けマーケティングアプリケーションを発表〜バイク業界動向〜
米国Kawasakiモータースコーポレーションは、ディーラー向けのポータルサイトを用意している。そのひとつが、Kawasaki Social Video Creatorといわれる、新しいアプリである。
このアプリは、各ディーラーがサイトにアップされているKawasaki製品の映像を自由に選択・組み合わせて、各ディーラーのソーシャルメディアなどに自由にアップロードできる仕組みになっている。用意されているビデオ映像はそれぞれのビデオに15秒・30秒・60秒のバージョンが用意されている。
各ディーラーは用意された高品質の映像を使用して、各デーラーサイトのソーシャルメディアコンテンツをカスタマイズすることができる。各製品ごとに約10個のビデオ、全体としては320個以上のビデオクリップが利用可能。これらを組み合わせて、各ディーラーが最強のマーケティングツールを簡単に作成できるようになったという。
出典: https://www.kawasaki.com/en-us/latest-news?cm_re=PRESSRELEASELISTING-_-MOTORCYCLE-_-LEARNMORE
CSC Motorcycles、新型電動バイクを発表〜バイク業界動向〜
カリフォルニア州アズサ市にあるCSC Motorcycles社は、中国のZongshen 社製バイクの独占輸入代理店であると同時に、自社でも様々なバイクを生産・カスタマイズしている。この度、同社のオリジナル最新型電動バイクであるRX1Eが発表された。
新型のRX1Eは、これまで同社がリリースしてきたEVバイクの伝統を引き継いでいる。さらに人間工学に基づいたデザインでライダーに疲れにくい乗り心地を提供。都会でのライディングに適しているという。また狭いスペースで便利な、バイクには珍しいバックギアも備える。
家庭用電源で充電でき、6時間でフルチャージが可能。航続距離は112マイル。Bosch社のABSまで装備。さらにはUSBまで装備されているので乗車中にスマホの充電までが可能となっている。予定販売価格は8495米ドル。2023年の春ごろにリリースの予定という。
出典:https://californiascooterco.com/blog/?p=32141
Indian Motorcycle、バイクレンタル事業拡大〜バイク業界動向〜
1901年創業のアメリカ初のオートバイ会社であるインディアンモーターサイクル社が、アメリカとカナダ全土における、レンタルバイク事業を拡大した。新たに加わった14社の提携会社により、さらに多くのライダーが、最短で4時間のレンタル・最長で1週間のインディアンバイクのレンタルが可能となった。
サンディエゴ・オースティン・ナッシュビル・ミルウォーキー・アトランタ・バンクーバーなど、ライダーたちに人気のある土地に、現在合計25か所のインディアンモーターサイクルレンタル加盟店を持つ。車両は1年から1年半ごとに更新され、インディアン社の最新型車や人気車をレンタル体験乗車することができる。
同社副社長のアーロン・ジャックス氏は「地元の人にも観光客にも弊社のバイクを楽しんでもらいたい」と、レンタル事業の拡大を興奮気味に語った。
出典:https://www.polaris.com/en-us/news/product/indian-motorcycle-expands-rental-locations-throughout-us-canada/
まとめ:アメリカのバイク業界
最新のアメリカのバイク業界では、Kawasakiの電動バランスバイク体験イベントや、Polaris傘下の509のアパレル拡大、Harley Davidsonの新プラットフォーム、Moto Moriniの米国市場参入など多様な動きが見られました。また、安全意識向上月間や新型電動バイクの発表なども業界のトレンドとして注目されています。
ワシントン在住の日本人。大学卒業後、日本で外資系メーカーに勤めており、営業とマーケティングを経験。マーケティングは発売予定の製品周りの広告、パッケージや販促、イベントやデジタルプラットフォームの使用等様々な側面に関わり、年に1−2回ある新商品発売に向けて取り組む。渡米してからはフリーランスでスタートアップにマーケティングやマーケティングリサーチのサービスを提供し、プロジェクトベースで様々な依頼に応えている。