コロナウイルスの影響で保険会社は既存のデジタル機能を拡張し、イノベーションを促進するための新しい提携とパートナーシップを必要としています。
今回は、そんなシンガポールの保険業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2023年 シンガポールの保険(金融・法人サービス)業界
Income保険、SMUとレジリエンス調査実施
シンガポールの保険会社Income Insurance Limited が2023年9月5日、ホームページでIncome Insuranceとシンガポール管理大学(SMU)Successful Ageing研究センター(ROSA)が行ったシンガポール初のレジリエンス調査の結果、シンガポール人はレジリエンスが高いと判明したことを明らかにした。
調査の結果、シンガポール人は精神的、身体的、社会的、経済的に回復力があることが明らかになった。
この調査では、26 歳から 78 歳までの 2,021 人のシンガポール人のレジリエンスプロファイルが調査され、平均すると、サンプル回答者の回復力の平均スコアは4つのレジリエンス測定の中間点を 5 ~ 7.5 ポイント上回っており、シンガポール人は回復力があると言えるということ。
SingLife、Ortec Financeを投資コンサルに
シンガポールの保険会社Singapore Life Ltd.(SingLife)は2023年10月9日、戦略的資産配分コンサルタントとしてOrtec Financeを任命したことを明らかにした。
Ortec Financeは投資決定テクノロジーとソリューションで世界的に認められたプロバイダー。この提携はSingLifeにとって投資能力を強化し、長期的な投資戦略を最適化する上で重要な一歩となる。
2023年に世界で最も革新的な FinTech企業の1つとして認められた Ortec Finance は、アジアで成長する顧客をサポートするため2024年にシンガポールオフィスを開設する予定。この提携を通じて、Singlifeは、資産配分戦略の洗練、最先端のテクノロジーの実装、イノベーションと業界のリーダーシップという目標達成を目指す。
MSIG保険、自動車保険詐欺削減にAI活用
日系の保険会社MSIG Insurance (Singapore) Pte. Ltd.は2023年2月7日、Fermionと提携し、先進的な AI テクノロジーで自動車保険詐欺と闘うことを発表した。
FermionのTrueSight Fraud Intelligence により保険会社は自動車保険詐欺が発生したときにそれを正確に特定し、詐欺の機会を軽減できるというもの。
MSIG InsuranceではTrueSight Fraud Intelligence を使用してスクリーニングチェックの少なくとも50%を自動化し、請求担当者が請求者の面接やより複雑な請求の評価など、より価値の高い業務に集中できるようになることを期待している。また、年間10万SGD以上の節約効果があり、今後数年間でさらに増加する可能性があると見積もっている。
Allianz、アジアパシフィック地域2桁増収増益
ドイツ系保険会社のAllianz Insurance Singapore Pte. Ltd.は2023年2月20日、ホームページでAllianz Asia Pacificの2022年通期の経営概況を公表した。
アジアパシフィック地域の総売上高は17億Euroで前年比117%と2桁増収を達成。総営業利益は6億7,400万Euroで前年比117%と2桁増益を達成。ライフ&ヘルス部門の営業利益は5億3,200万Euroで前年比120%で構成比は79%であった。損害保険部門の営業利益は1億4,100Euroで前年比108%であった。
2022年の主な取り組みは、Allianz Ayudhya Capital PCL (AYUD)がAetna Thailandを100%買収したこと。アジア太平洋地域におけるHSBCとの独占的銀行窓口販売契約の15年間延長を確保したこと。
出典:https://www.allianz.sg/news/allianz-asia-pacific-posts-resilient-full-year-performance.html
Prudential、アジア人健全性調査結果発表
米系保険会社Prudential plcは2023年9月13日、ホームページにアジア地域で実施した調査結果を発表した。
Prudential plcによる最近の調査「願望を実現する: アジアにおける財政的準備」によると、香港、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイで調査した 5,000 人の回答者のうち60%が、健康や収入関連の緊急事態に備えて多額の貯蓄をしている。Y世代の回答者は緊急時の最大の貯蓄者で、4分の3近くが貯蓄している。
保険は、緊急事態に備えた重要な経済的セーフティネットを提供するので、回答者の80%近くが健康保険に加入しており、46%が所得代替保障に加入している。「願望を実現する」では、人々の日常生活にどのようにセーフティネットを提供するかが重要になる。
出典:https://www.prudentialplc.com/en/news-and-insights/all-news/news-releases/2023/13-09-2023
2021年 シンガポールの保険(金融・法人サービス)業界
シンガポール人の保険に対する考え〜保険業界動向〜
ローカル保険会社大手のGreat Easternが500人のシンガポール人を対象に行った調査によると、シンガポール人の多くは長期間の医療費支払いと収入減を気にしていることがわかった。
重病患者とその介護者の50%以上が、保険金の支払いに依存して経済的費用を管理している。そのうち約3分の1は、回復期間全体で25万SGD以上の医療費と入院費を負担し、5人に2人は、少なくとも12か月間収入がなかった。
重病経験者の4人に3人が、将来の病気または再発に対する保護を強化するために、より高い保険料を支払う用意があり、80%以上が、より多くの補償を取得できなかったことを後悔している。一方で、重病患者の50%以上が、病気は再発すると考えている。調査対象の非重病患者および重病患者の世話をしたことがない人の約40%は、より高い補償を得るために新しい保険プランにお金を払うことを望んでいない。
出典:https://www.greateasternlife.com/sg/en/about-us/media-centre/media-releases/08032021/consumer-survey-ci.html
シンガポールの生保シングライフ、英アビバ現法と合併へ 〜保険業界動向〜
シンガポールの新興生命保険会社シングライフは、英保険大手アビバの現地法人、アビバ・シンガポールとの合併を発表した。合併後の企業価値は32億SGDとなる。合弁会社の名称はアビバ・シングライフ。
シングライフが持つオンライン経由での保険販売のノウハウと、アビバが持つ150万人の顧客基盤・投資顧問業務の実績を統合。幅広い保険商品と投資顧問サービスを提供していく方針である。
新会社の株式のうちアビバが25%、住友生命が20%を保有する。残る55%の内訳は、米保険大手アフラックのベンチャー・キャピタルであるアフラック・ベンチャーズ、英資産運用大手アバディーン・アセット・マネジメントなどが20%、米投資会社TPGが35%となる。今回の合併に伴う取引額は、シンガポールの保険業界では最大規模となる。
出典: https://singlife.com/blog/singlife-to-merge-with-aviva-singapore-in-singapores-largest-insurance-deal-with-combined-business-valued-at-s3-2-billion/
AIA、シンガポール政府とKofaxと提携〜保険業界動向〜
デジタルワークフロー変換用のインテリジェントオートメーションソフトウェアの大手サプライヤーであるKofaxは、デジタル署名ソリューションであるKofaxSignDocを、シンガポールの政府技術庁が開発したSign with SingPass機能と統合したことを発表した。
シンガポールの大手保険会社であり、Kofaxの長年の顧客であるAIAは、GovTechとのプロジェクトに参加した最初の企業の1つである。Sign with SingPassは、市民、公的機関、民間企業向けの信頼できるデジタルIDエコシステムを構築することを目的としたNational Digital Identity SmartNation戦略的国家プロジェクトの一部である。
今回の統合により、署名プロセスのデジタル化のみならず、選択した通信チャネルを使用して、いつでもどこでも任意のデバイスに電子署名できるようにすることで、顧客を引き付け、運用コストの削減も期待できる。
出典:https://www.aia.com.sg/en/about-aia/media-centre/press-releases/2020/kofax-digital-signing-solution-integrated-with-govtech-ndi.html
シンガポール保険協会が入院費処理の統合システム導入へ 〜保険業界動向〜
シンガポールの保険協会は共同で、国内の保険会社と医療事業者が共有できる入院交付金の請求処理に関する統合プラットフォームを導入する。保険金の請求処理を効率的にするのが狙いである。
今回の統合プラットフォームにより、患者、医療提供者、および保険会社は、患者の保険契約の詳細情報にアクセスできるようになる。また、医療提供者は患者の治療が保険適用かどうかすぐに判断ができる。
他にも、医療提供者は、保険会社に請求をデジタルで送信できるため、請求処理の効率化も見込める。また、保険会社は患者に代わって必要な請求および医療データをデジタルで取得できる。
出典:https://www.lia.org.sg/news-room/media-releases/2021/proposals-to-develop-integrated-platform-for-hospitalisation-claims/
シンガポールのNTUC Incomeが、サポートスキームを延長〜保険業界動向〜
NTUC Incomeは、長引くパンデミック状況に対応して、Income Support Schemesの申請期間を2021年4月1日から12月31日までさらに9か月延長することを発表した。
経済的困難に直面し続ける顧客、特に航空、観光、ホスピタリティなどの打撃を受けたセクターの顧客が、これらの困難な時期を乗り越えている間、保険を維持するオプションを提供する。
この延長により、生命保険および健康保険プランを保有する適格な顧客は、保険料の支払いに支援が必要な場合、2021年12月31日までに保険料の延期、支援、または一時的な基本保護プランを申請できる。同時に、二輪車を宅配事業に登録した二輪車保険契約者は、年末まで保険料の20%割引を申請することができる。
出典:https://www.income.com.sg/about-us/corporate-information/press-releases/ntuc-income-to-extend-support-schemes-to-31-decemb
まとめ:シンガポールの保険業界
コロナウィルスの影響を受け、顧客の日常生活に組み込まれた新しいお手頃な保険など、さまざまな種類の保険が登場することが見込まれているシンガポールの保険業界。今後の動向に注目です。
2017年よりシンガポール在住の日本人。元客室乗務員。大学ではマーケティングと経済を学び、卒業後は海外での生活と旅行を重ね、さまざまな国の文化や人々、食に関する豊富な知識を身につける。シンガポール人の旦那との結婚を機にシンガポールに移住し、現地で就労。現在はライター業と翻訳業を行っている。