資産運用などの投資目的で使われることの多いプライベートバンクはセキュリティについて整備しておく必要があります。また最近では事業拡大にむけて新店舗も増えているようです。
今回は、そんなベトナムのプライベートバンキング業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2020年 ベトナムのプライベートバンキング(金融・法人サービス)業界
開発余地の大きいベトナムのプライベートバンキング業界
Military Bankは、個人金融サービスで175年以上の経験を持つスイス系大手銀行ボーディエ(Bordier & Cie)との協力により、プライベート・バンキングサービスを開始した。
銀行や投資、保険、資産管理の各サービスを統合し、顧客別のニーズに合わせたサービスを提供する。ターゲット顧客は100万USD(約1億1200万円)以上の資産を持つ個人となる。
同行によると、同行の既存顧客の約500人がターゲット顧客になる。全国の富裕層は約1万人となっており、年平均で20~25%伸びていることからも、プライベート・バンキング市場の開発余地は大きいとみられている。
出典:https://www.bordier.sg/singapore-news/press-release-bordier-cie-singapore-and-mb-announce-strategic-private-banking-cooperation/
ベトナムでプライベートバンキング業界大手のOCB Bankとあおぞら銀行、資本・業務提携
株式会社あおぞら銀行は、ベトナムの中堅商業銀行であるOrient Commercial Joint Stock Bank, Ltd.(OCB Bank)との間で資本・業務提携を行うことについての合意を発表した。
同行は、2013年11月に発表した「あおぞら銀行のアジア戦略」に基づき、アジア経済の成長を取り込むことを目指してアジア各国の有力金融機関と業務提携等を行ってきた。
OCB Bankは、高い収益性と成長率を有するベトナムの民間商業銀行だ。OCB Bankの長期的な戦略パートナーとして、ベトナムにおいて投資銀行業務やデジタルバンキング業務等をOCB Bankと共同で推進していく予定だ。
出典:https://www.aozorabank.co.jp/about/newsrelease/2020/pdf/20010801_n.pdf
ベトナムでプライベートバンキング業界大手のVietcombank、JBICとクレジットライン設定
株式会社国際協力銀行は、「質高インフラ環境成長ファシリティ」(QI-ESG)の一環として、Vietcombankとの間で、総額200百万米ドル(うちJBIC融資分100百万米ドル)を限度とするクレジットライン(事業開発等金融に基づく与信枠)を設定した。
本件は、株式会社三菱UFJ銀行(幹事行)、株式会社みずほ銀行、株式会社常陽銀行、株式会社西日本シティ銀行との協調融資によるものであり、民間金融機関の融資部分の一部をJBICが保証する。
本クレジットラインは、地球環境保全業務の一環として、ベトナムにおける再生可能エネルギー事業(太陽光発電事業等)に必要な資金をVietcombankを通じて融資するものであり、ベトナム向けで初の地球環境保全業務案件となる。
出典:https://www.jbic.go.jp/ja/information/press/press-2019/0626-012288.html
ベトナム投資開発銀行、中長期債発行〜プライベートバンキング業界動向〜
l2020年4月27〜29日、ベトナム投資開発銀行(BIDV)は、総額3兆7,020億ドンの中長期債を発行した。 l l発行された債権の詳細は下表のとおりとなる。
出典:https://www.bidv.com.vn/bidv/tin-tuc/tin-ve-bidv/bidv-phat-hanh-3700-ty-dong-trai-phieu-trung-dai-han
銀行ブランド価値ランキング、ベトナムから9行が選出〜プライベートバンキング業界動向〜
ブランドコンサルティング会社のブランド・ファイナンス社(Brand Finance)は、世界の銀行のブランド力を数値化したランキング「世界で最も価値のある銀行ブランドトップ500(Banking 500)」2020年版を発表した。
ベトナムからは9行がトップ500に入っている。
トップ500に入ったベトナムの銀行は、Agribank(190位)、 Vietcombank(207位)、 BIDV(276位)、 Vietin Bank(277位)、 VP Bank(280位)、 Techom Bank(327位)、 Military Bank(386位)、Asia Commercial Bank (420位)、Sacom Bank(422位)。
出典:https://brandfinance.com/images/upload/brand_finance_global_500_2020_preview.pdf
2019年 ベトナムのプライベートバンキング(金融・法人サービス)業界
ベトナムでプライベートバンキング業界大手のHSBC、業界への貢献に関して高い評価
HSBCベトナムは、業界への貢献に関し当局より高い評価を受け、2019年2月26日に名誉ある賞を受賞したと発表した。
今回の表彰はベトナム国家銀行の指名を受け、首相の承認を得て行われる栄誉あるものである。同社は今年、この栄誉を受ける唯一の外資系銀行となった。受賞式典において、「今後もベトナムの経済と社会の構築に貢献するための継続的な努力を続けていく」と約束した。
同社は、国際ネットワークを活用し、ベトナムの顧客をサポートすると同時に、世界中の投資家をベトナムに引き付けることによって、ベトナム市場のデジタル化推進、海外投資家とベトナム企業の国際取引促進を引き続きリードしていく構えだ。
ベトナムでプライベートバンキング業界牽引のVietcombank、キャッシュレス化に注力
Vietcombankは、公的料金の支払いサービスの開発を完了し、一般向け提供の準備を整えたことを報告した。これに伴い2019年6月11日、ホーチミン市においてベトナム国家銀行(NHNN)の指示の下、「キャッシュレス社会:ベトナムにおける政策と実行」と題するワークショップを開催した。
ワークショップは大きく分けて2セッションから構成された。1つ目は公共サービスの支払い時の現金以外の支払い方法採用をテーマとするもの、2つ目は、キャッシュレス社会におけるユーザーのメリットなどを議論するセッションとなった。
それ以外にも6月16日をキャッシュレスデーとして認定すると言った案も議題に上るなど、ワークショップは盛況を呈した。
ベトナムでプライベートバンキング業界牽引のVietinBank、Vietnam Auto Expo 2019に出展
2019年6月12日から15日にかけて、全国会議センターにおいて、〈Vietnam AutoExpo2019〉が開催された。同イベントは今年で開催第16回目を迎える。開催期間中にはおよそ5-7万人の訪問者が訪れる。VietinBankのブースでは同行のサービスを体験するために多くの顧客が足を止めた。
同展示会では企業同士が交流を深め、潜在的な顧客とのコミュニケーション、自社製品の宣伝等が行われた。15年以上にわたる開催の中で、ベトナムAutoExpoは業界関係者にとって重要なイベントと位置付けられるという歴史を有している。
VietinBankのブースでは、同行のQR支払いシステムであるiPayモバイルアプリケーションを利用することによる1,000 VNDでのバーチャルブース体験が好評だった。
ベトナムのMilitary Bank、新規預金プログラムを開始〜プライベートバンキング業界動向〜
Military Bankは、貯蓄預金プログラムを2019年6月30日まで実施する。同プロモーションはMilitary Bank(MB)の設立25周年を祝うこと、 これまで同行を利用して来た顧客への感謝を示すこと目的として実施する。
同プロモーションの対象となるのは同行にて新たに預金口座を開設した新規顧客だ。預金の利子が最大0.3%上乗せされる。
対象となる預金は最低預金期間1ヶ月、最低預金3億VND以上、ベトナム全土のMBのすべての店舗が対象となる。それ以外にも同行のスマートフォンアプリケーションを用いた送金手数料無料などのプロモーションも提供されている。
2018年 ベトナムのプライベートバンキング(金融・法人サービス)業界
ベトナムでプライベートバンキング業界大手のVietinbank、VISAカードのセキュリティを改善
2018年9月、Vietinbankはオンラインバンキングのセキュリティ改善のために3DセキュリティをVISAカードに正式導入した。3DセキュリティとはワンタイムパスワードとSMSを通じてモバイル端末に送信されるコードによる認証を活用した従来以上に強力なセキュリティシステムである。
Eコマースなどウェブ上でカードを利用した取引を行う場合でも、複数の認証により顧客のカード情報を保護する。通信技術を併用することでリスクを低減し、詐欺などの不正取引を特定する。
同3Dセキュリティは、Vietinbankが発行するデビットカードとVISAカードが対象となる。今後はJCBやマスターカードといったブランドも対象となっていく予定だ。
ベトナムのMilitary Bank、World Finance Magazineより表彰〜プライベートバンキング業界動向〜
2018年8月21日、Military BankはWorld Finance MagazineよりBest Investment BankingとBest Investment Managementの2つの賞を受賞し、同行のチェアマンであるLe Quoc MinhとダイレクターであるTran Hai Haがロンドン証券取引市場で同賞の受賞およびインタビューに出席した。
World Finance Magazineは世界中に数多くの読者を抱えるビジネスマガジンである。同誌は金融マーケット、国際取引、グローバル経済に関する情報と、それに基づく鋭い考察・分析を提供することで知られている。
同誌による評価やランキングは国際的にも注目が高く、対象となる企業、金融機関の信頼度を測るいち指標としても知られる。今年、Military Bankはベトナム系で2賞を受賞した唯一の金融機関であった。
ベトナムのSaigon Commercial Bank、アンザン省に新店舗開設〜プライベートバンキング業界動向〜
2018年10月1日、Saigon Commercial Bank (SCB)はアンザン省の新しい支店オープンを記念したセレモニーを開催した。セレモニーには、アンザン省ベトナム国立銀行の職員やSCBの幹部等が参加した。
2006年の創業以来、12年にわたりSCBはアンザン省とビジネス上深い関係を築き上げてきた。同省では既に2つの拠点が運営されており、4,000名以上の顧客を抱えている。
新しく開設された店舗は広々とした空間とモダンなデザインを備えており、顧客とSCBのコミュニケーションをより快適なものにすることを目指している。また中心街に近く利便性の高い立地も魅力だ。2018年10月現在、同行は28省に239の拠点を有している。今後もネットワークを拡大し、ベトナム全土へ事業を展開・拡大していく構えだ。
ベトナム大手金融機関、資本増加に向け対策〜プライベートバンキング業界動向〜
ベトナム大手金融機関が自己資本比率の世界標準を満たすために苦闘している。バーゼル合意II(※)では金融機関が自己資本比率を最低8%維持することを規定している。
※バーゼル合意とは、バーゼル銀行監督委員会が公表する世界的に活動する金融機関の自己資本比率等に関する世界的な標準のこと。日本を含む数多くの国における銀行規制として採用されている。
ベトナム国家金融監督委員会は、ベトナムの多くの銀行が、同基準を満たすためには、資本金を現在の1.8倍から2倍に引き上げる必要があることを指摘した。指摘された金融機関にはベトナム上位3行に数えられるVietcombank、Vietinbank、BIDVも含まれている。
各行は配当を株で支給する、ファンドに新規発行した株式を買い取ってもらう、などといった策を講じているが、順調な運びであるとは言い難い。金融機関としての国際標準を満たせるか、各行とも正念場を迎えそうだ。
まとめ:ベトナムのプライベートバンキング業界
事業拡大の動きがみられる一方で大手金融機関の資本が世界基準を満たしておらず、対策を講じ動き出しています。新店舗拡大の動きは国内の顧客増加につながるのでしょうか?今後が楽しみですね。
ハノイ在住のベトナム人。名古屋大学で文部科学省奨学金の日研生として留学経験有り。日越の翻訳、通訳などが得意で、日本語教師の経験有り。ハノイで日系IT企業に入社後、主に総務・人事、日本親会社との取引業務を約3年経験し、その後長野県で日本企業で勤務。