【チェーンよりも個人薬局が多い!】台湾のドラッグストア業界

taiwan-drugstore

台湾の薬局では高齢者向けのサービスを新たに開始するなど、病院よりも身近な存在である医療機関として役割が増加しています。2022年、それに伴い台湾の薬局は増加しているもののドラッグストアチェーンの割合は高くないという調査結果が出ています。

今回は、そんな台湾のドラッグストア業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!

読了時間の目安:5分

[toc]

台湾のドラッグストア業界 業界地図はこちら!
目次

2022年 台湾のドラッグストア(流通・小売)業界

大樹醫藥7年連続で売上高30%増加〜ドラッグストア業界動向〜

2023年2月1日の発表によると、大樹醫藥は、台湾最大の薬局チェーンであり、過去10年間で売上高と売上総純利益は継続的に成長しており、売上高は7年連続で30%の増加を見せている。加えて、同社は今後3〜5年間も引き続き高成長株であり、株価はグループ業績として高水準になる事が期待されている。

大樹醫藥は、ビジネス街の大・中規模薬局が売上高の70%を占める中、2022年には地域密着型の小規模薬局の拡大に着手し、薬局店舗の拡大を加速しており、2025年にはチェーン薬局が500店舗になると推測されている。

大樹醫藥の営業収益源はマタニティ・チャイルド用品とヘルスケア医薬品が主であるが、近年、国民の消費習慣の変化による食品の見直し、免疫ヘルスケアの追加消費の増加など、ヘルスケアの売上高の比率が高まっており、全体の売上総純利益率も上昇している。

出典:https://www.greattree.com.tw/article-page/finance

近年増加を続ける台湾薬局の店舗数〜ドラッグストア業界動向〜

財政部の統計によると、2022年の西洋薬小売、医療消耗品小売、医薬品及び医療用品小売の店舗数は10,584店舗、年間売上高は1,669億台湾元に達し、店舗数、売上高ともに過去最高を記録している。

薬局も常に進化し続け、従来の薬局の商品やサービス、ヘルスケア医薬品に加えて、マタニティ用品やベビー用品、ペットヘルスケア、日系の薬品や健康食品など、ビジネスモデルも多様化している。

台湾の薬局のビジネスチャンスも企業の継続的な投資を引き寄せ、2009年から現在迄に2度の合併・買収の波が現れ、薬局チェーン化の傾向が顕著になり、主力業種の一つと成りつつある。しかし、台湾に於ける薬局チェーンストアの割合は約20%に過ぎず、米国や日本などに比べるとはるかに低い。

出典:https://web02.mof.gov.tw/njswww/webMain.aspx?sys=220&ym=10700&ymt=11100&kind=21&type=1&funid=i0514&cycle=4&outmode=0&compmode=00&outkind=3&codspc0=1083,2,1086,1,&rdm=R91783

taiwan-drugstore

薬局や在宅介護の離島薬剤師の多職種連携強化〜ドラッグストア業界動向〜

2023年3月22日の発表によると、澎湖県薬局と医療機関の薬剤師は、「地方薬局サービス実施計画」に参加し、計画の実施を通じて地域の病院、診療所、保健センター、地域薬局、薬剤師及びその他の関連団体を連携させて、地域薬局サービスの推進と質の高い薬局ケアネットワークの確立を図っている。

澎湖県は離島にある事から、若者の移住と出生率の低下、家族の介護エネルギーの減少、医療力不足による、繰り返しの受診や間違った薬の服用などの問題を解決する為に、新たな地域薬剤師の募集も行っている。

これまでの、薬剤師が受動的に処方を調整し、薬剤師が家まで出向き、指導するというサービスモードを打破し、県民の間に薬に対する正しい概念を確立し、知識を地域からキャンパスでの健康教育活動にまで広げ、介護サービスの向上と薬剤師のプロフェッショナリズムの向上を目指している。

出典:https://mandrillapp.com/track/click/31165128/www.phchb.gov.tw?p=eyJzIjoicWxIQ3ZDZDhLSlhXYmUwZnZmdnVtTk1EeUJVIiwidiI6MSwicCI6IntcInVcIjozMTE2NTEyOCxcInZcIjoxLFwidXJsXCI6XCJodHRwczpcXFwvXFxcL3d3dy5waGNoYi5nb3YudHdcXFwvaG9tZS5qc3A_aWQ9MTM2JmFjdD12aWV3JmRhdGFzZXJubz0xMTIwMzIyMDAxMlwiLFwiaWRcIjpcIjEzOWEyMGMxYTEyZDQ4YjRiYmQyM2M5NmE4Njg4N2E0XCIsXCJ1cmxfaWRzXCI6W1wiYzBkNTE2YTljNjliOWExNTM4ODJmODU3NjFiYmNiNzEyZDU1YzkyYVwiXX0ifQ

地域薬局と国保局が協力し新サービスモデルを実現〜ドラッグストア業界動向〜

2023年1月9日の発表によると、国民健康保険庁はこれまで、さまざまなマイルストーンを設定してきた中で、2019年にデジタル医療に参入する大きな一歩となった“バーチャル健康保険証試行プログラム”を開始、2022年には在宅医療、遠隔医療、ビデオ診断・治療の3分野に適応された。

国民健康保険局は、電子処方箋の研究を進めており、今後は医師が処方箋を書いた直後に処方箋情報をアップロードし、患者は電子処方箋によって薬局で薬を受け取る事ができ、薬剤師が健康保険クラウドシステムを利用して内容を確認できるようにする計画である。

アンケートによると、現在9割の人がバーチャル健康保険証の利用に満足しており、この先も引き続きテクノロジーを生活に統合し、障壁の無い新しい医療サービスモデルを実現する為に、地元の薬局と国民健康保険局が協力して台湾の隅々まで医療ニーズを結び付けていく予定である。

出典:https://dpm.taiwan-pharma.org.tw/article/3967/

台湾と韓国の薬剤師協会が姉妹協会を正式に締結〜ドラッグストア業界動向〜

全国薬剤師協会は2022年11月11日に、アジア薬学会の「台湾ナイト」を開催し、インドネシア、日本、韓国、ヨルダン、マレーシア、シンガポール、タイなどを含む16カ国以上の代表団を招待し、およそ235人の薬剤師が出席した。また、台湾の全国薬剤師協会と韓国薬剤師協会は協力覚書に署名し、姉妹提携を締結した。

台湾と韓国の薬剤師は、新型コロナウィルスとの闘いに身を投じ、公衆衛生分野に貢献した経験が豊富であり、新型コロナウィルス流行の下、台湾薬剤師達のマスクやスクリーニング試薬の実名制による配布、薬の配達、健康保険データの活用など、両協会の成功体験を共有し、お互いに学ぶ事ができるものと期待されている。

加えて、2022年4月に台湾の全国薬剤師協会はインドネシア薬剤師協会とも姉妹提携を結ぶ覚書を締結しており、今回初めて直接会い、両協会の友情を強化する良い機会となった。

出典:https://dpm.taiwan-pharma.org.tw/article/3832/

台湾のドラッグストア業界 業界地図はこちら!

2021年 台湾のドラッグストア(流通・小売)業界

2020年 台湾のドラッグストア業界の業績は?〜ドラッグストア業界動向〜

台湾が高齢化社会に入るにつれ、医薬品の需要が高まっている。また、美容や化粧品に注目する国民が増えたことからも、ドラッグストア業界の収益は着実に伸びている。過去5年間の平均年間増加率は3.2%で、小売業界全体の1.2%を上回っている。

しかし、2020年、COVID-19がドラッグストアの業績を低下させている。国民の外出の機会が減ったことや、マスク着用のため化粧をする機会が減ったことが要因である。2020年の売上高は、前年同期と比較して、3~4か月連続でマイナス成長を示した。

一方、下半期は、国内における感染症の流行が鈍化したことから、政府が経済活性化対策の措置を講じた。それを受け、ドラッグストア業界は積極的にプロモーション活動を導入。振興券を発行し、7月の年間成長率は2.3%のプラスに転じ、8月には4.1%に拡大したため成長軌道に戻った。

出典:経済部統計所 https://www.moea.gov.tw/Mns/dos/bulletin/Bulletin.aspx?kind=9&html=1&menu_id=18808&bull_id=7825

台湾政府、医薬品販売についてドラッグストアに要請〜ドラッグストア業界動向〜

台北市政府衛生局は、ドラッグストアに常駐する薬剤師が不在の中、医薬品が販売されている状況についての処罰を発表した。薬剤師不在の中、薬剤師資格のない店員が薬剤師業務をした場合、薬剤師法第15条違反となる。同法第24条によれば、NT $ 60,000以上NT $ 300,000以下の罰金が科せられる可能性がある。

衛生局は、引き続きドラッグストア運営者と連携しながら、予防措置を講じる。2020年11月には「2019年ドラッグストアにおける非薬剤師の薬剤師業務監査計画」を開始した。

管轄内のドラッグストアにて、薬剤師資格者の有無を確認している。同時に、この管轄下に設立された薬剤ディーラーおよび関連する公的団体に、店舗の特性に応じて人事および薬剤管理を行うように依頼し、薬剤を販売する際には薬事法の関連規則に従うように促した。

出典:台北市政府衛生局 https://bit.ly/2WBL7Yk

台湾の大樹薬局とSUGIグループが提携へ〜ドラッグストア業界動向〜

2020年11月27日の発表によると、台湾の大樹薬局と日本のSUGI薬局は提携により、台湾と日本のヘルスケアに新しいビジネスチャンスを創出するとのこと。具体的には、ビジネス戦略、共同販売、人材交換、および共同マーケティングを組み合わせて、アジア地域での共同開発を行う。

アジア地域での両当事者の最初の目的地は台湾である。2021年より、日本の「SUGI薬局」と同期した製品が台湾で販売されるとのこと。

販売予定商品には、シニアや婦人・幼児向けの健康食品、医薬品、日用品が含まれ、実店舗とインターネット上で同時に販売する。

出典:大樹薬局 https://www.greattree.com.tw/new/3125FAEC07278598

台湾で実名制マスクの手続き協力をした薬局への奨励金〜ドラッグストア業界動向〜

台湾では、政府がマスクを一括して買い上げた上で、販売に実名制を導入し、国民に均等に配分してきた。マスク実名制の手続きに協力した健康保険特約薬局は、奨励金を申請することができる。

2020年2月6日から6月30日まで、合計20日以上の実名マスク販売の登録に協力した健康保険特約薬局は、実名マスク販売の累積日数に応じて、奨励金を申請できる。

 1.営業日が20日から50日の場合、NT$ 5,000。

 2.営業日が51日から75日の場合、NT$10,000元

 3.営業日が76日から100日の場合、NT$2万元

 4.営業日が101日を超える場合、NT$3万元

出典:新北市薬剤師公会 http://tcpa.taiwan-pharma.org.tw/node/34508

台湾にも進出!ワトソンの銀行カード支払いキャンペーンとは?〜ドラッグストア業界動向〜

ワトソンは香港が本社のドラッグストアで、台湾で最も人気のあるドラッグストアチェーンである。同社は2020年7月から銀行カード支払いキャンペーンを行う。曜日やインターネット店・実店舗などに分け、各銀行ごとに割引を行う。銀行ごとに割引金額が異なる。

例えば、月曜日に中国信託銀行のカードでNT$988以上購入すると12%割引が適用される。国泰世華銀行(火曜日)と聯邦銀行(土曜日)ならNT$888以上の購入でNT$100割引となる。さらに、中信LINE Payカードの場合、LINEポイントが最高15%還元され、NT$988以上購入すればNT$100の割引となる。

今回の取り組みは、各行の宣伝とワトソンの売り上げアップに繋がるだろう。

出典:ワトソン https://www.watsons.com.tw/bankdaybenefit

台湾のドラッグストア業界 業界地図はこちら!

2020年 台湾のドラッグストア(流通・小売)業界

資生堂がドラッグストア業界大手のワトソンズグループと戦略的提携、台湾で商品発売

資生堂はさらなるアジアでの拡大を目指し、世界最大ドラッグチェーンワトソンズグループと戦略的提携を結んだ。今回のパートナーシップは、次の重点項目4つに力を入れていくと発表された。①ワトソンズ専用商品の共同開発②市場の拡大③社会貢献活動④「メイド・イン・ジャパン」ブランド

ワトソンズは25の国と地域で展開しており、15,000の店舗を運営している。店舗とECサイトを合わせた年間の総客数は52億人を数え、世界最大のドラッグチェーンとなっている。ワトソンズでの資生堂グループ商品の取り扱いは1987年に台湾で始まり、現在はアジアを中心に10ブランド以上を展開している。共同で商品開発を手掛けた「dプログラム」の「アーバンダメージケア」は、2018年10月よりタイと台湾で販売しており、中国大陸でも2019年7月より発売している。

出典:資生堂https://www.shiseidogroup.jp/news/detail.html?n=00000000002696

ARメイクアップのサービスを「トモズ」に提供、台湾店舗にも〜ドラッグストア業界動向〜

2019年10月4日、パーフェクト株式会社は株式会社トモズの展開するドラッグストア「トモズ」にてAR技術を用いたバーチャルメイクアップアプリを使用したサービスを導入することを発表した。

ARメイクアップアプリ「YouCamメイク」のB2B向けアプリ「YouCamfor Business」を利用した店頭向けサービスで、日本国内10店舗、台湾のトモズ10店舗にも導入されるとのこと。

百貨店などでの導入は進んでいるが、国内のドラッグストアで提供するのは初となる。導入店舗では、対象ブランドのメイク製品が購入前に自分の顔でバーチャルトライすることが可能になる。システム導入後、化粧品の売上が非導入店と比べて好調に推移していると発表されており、今後さらなる導入が期待される。

出典:https://www.perfectcorp.com/business/news/detail?id=1169

台湾桃園市、新しい薬局サービスプランを導入〜ドラッグストア業界動向〜

桃園市政府保健局は「2019年の新たな薬局サービスプラン」として、「高齢者に優しい薬局」を設立し、住民と薬局の距離を縮め、薬局で対応できるものは対応していきたいと発表した。

259の「高齢者に優しい薬局」には、1つの薬局に1人の薬剤師を配置するようにした。また、病院と薬局が協力し、高齢者の薬を確認。これによりサービスを受けた高齢者の1日の薬の種類が7.8から4.4に減少した。さらに、地域密着型の薬局サービスを受けた後、医師と協力して薬を処方できる高齢者は5.1%から94.4%に増加した。

薬の受け取りに不便な人には「薬の配達サービス」と「在宅サービス」も提供する。今後も個人および地域社会の薬局サービスネットワークを構築し、薬局が身近で安心して相談できる場所になるように努力するとした。

出典:https://dph.tycg.gov.tw/home.jsp?id=13&parentpath=0,1&mcustomize=onemessages_view.jsp&dataserno=201911150001&aplistd

台湾嘉義市政府、「高齢者に優しい薬局」を目指す〜ドラッグストア業界動向〜

高齢化が進む嘉義市では、2012年より高齢者向けの薬局として下記の5つのサービスを無料で提供している。①錠剤の包装サービス②血圧測定③老眼鏡と拡大鏡の使用④薬袋の文字を大きく記載⑤薬相談サービス

2019年7月20日、上記の5つのサービスに加え、さらに「高齢者に優しい薬局」を目指し新しい3つのサービスを開始することを発表した。今後も高齢者向けにサービスを展開し、病院へ行かなくても簡単なことなら薬局で対応できるようにしていきたいとしている。①吸入器に使用方法の説明と使用検査を増やす②間違った薬を使用していないか、薬の適合性を確認③障害のある方でも気軽に相談できる薬局

出典:https://www.gov.tw/News_Content.aspx?n=872E51DB9B88306C&sms=53E09032BF601A56&s=671BBB7C394558EC

サツドラ、台湾での事業好調で6店舗目をオープン〜ドラッグストア業界動向〜

サツドラホールディングス株式会社のグループ会社である台灣札幌藥粧有限公司は、6店舗目となる「桃園中正店」を2019年4月4日に桃園市にオープンした。

同店舗は桃園駅前に位置している。桃園駅前は、一日の乗降客数が5万8千人と乗降客の多い駅となっている。また、桃園国際空港への連絡バスがあり、「遠東百貨」「新光三越」など多くの商業施設もある。

サツドラホールディングス株式会社の成長戦略に「アジアングローバルへの発信」が挙げている。台湾市場での経営基盤の確立に向け、同社はさらなるサツドラブランドの発信に力を入れている。

出典:https://satudora-hd.co.jp/news/2019/04/04/2008/

まとめ:台湾のドラッグストア業界

高齢者に優しい薬局を目指し気軽に相談できる医療機関になる一方で、化粧品会社との提携やAR技術の導入などコスメに対しても大きく力を入れています。今後は医療機関としての役割をしっかりと果たしながらも、幅広い顧客獲得を目指した戦略が必要になるでしょう。

台湾のドラッグストア業界 業界地図はこちら!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次