近年、韓国の家電量販店業界ではデジタル化の進展や持続可能な製品への関心の高まりを受け、スマート家電やエコ商品が人気を集めています。またライフスタイルの多様化によりペット家電も注目を集めています。本記事では、韓国の家電量販店業界を変革する最新トレンドを深掘りし、未来の市場を見据えたインサイトをお届けします。
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2022-2023年 韓国の家電量販店業界
コウェイ、レンタル販売事業を拡大〜家電量販店業界動向〜
2023年6月、コウェイが、ネイバーショッピングブランドストア(以下「ストア」という。)のレンタル販売の取扱い製品を「オンライン専用一時払い製品」から全製品に拡大する方針であることがわかった。
ストアでは、浄水器、空気清浄機など、様々なコウェイ製品を比較検索し、製品の注文、レンタル契約、決済まで簡単に行うことができる。
コウェイ関係者は、オンラインによるレンタル需要が継続的に増加しており、自社モール「コウェイドットコム」やネイバーブランドストアなどを中心にオンラインチャンネルをこれからも拡大し、競争力を強化する考えを示している。
出典:http://m.cowayir.co.kr/ir/PrnewsView?idx=1144&page=1
LG電子、2023年家電流行キーワード〜家電量販店業界動向〜
2023年3月、LG電子は、世界最大のIT・家電博覧会において、新たな価値提供のための5つのキーワードを発表した。「①個人のオーダーメイド経験」「②モビリティーの未来」「③よりよい生活のためのライフスタイルデバイス」「④持続可能な生活」「⑤没入型技術と製品」である。このうち、家電に関するものは①、③、④、⑤である。
①については、個性にあった生活を求める消費者のニーズに合わせ、優れた機能のみならず、インテリアスタイルやデザインまでも兼ね備えた家電製品を開発するため、新たな開発方式の導入をする方針だ。
③についてはパンデミックを経て定着した自己健康管理のソリューションの提供、④は環境に優しい製品の開発、⑤メタバース技術を使った製品の開発を主な内容とする。
出典:https://live.lge.co.kr/2303-5techkeywords/
高効率家電の発売が増加傾向〜家電量販店業界動向〜
2023年3月、相次ぐ電気料金の大幅な値上がりの影響を受けて、家電メーカーは人工知能(AI)技術などを用いてエネルギー消費効率を向上させた高効率家電を相次いで発売している。
サムスン電子は、「ビスフォークグランデAI洗濯機・乾燥機」・「ビスフォーク無風エアコンギャラリー」を、LG電子は、節電効果の高い「マイクロプラスチックケアコース」機能を備えた洗濯機を発売した。
また、ウィニアは、節電に特化するAIを搭載したエアコン「ウィニアエアブル」を発売した。同製品は、希望の温度に達した後に、スリープモードに自動的に切り替わる。一般冷房時使用時に比較して最大50%の節電効果を得られる。
出典:https://m.khan.co.kr/economy/industry-trade/article/202303052159015#c2b
サムスン電子、家電の未来キーワード発表〜家電量販店業界動向〜
2023年2月、サムスン電子は、北米最大規模のキッチン・浴室展示「KBIS2023」において、家電の未来のキーワードは①デザイン、②接続性、③持続可能性であると発表した。
①デザインは、パンデミックにより家に止まる時間が増加し、自分のアイデンティティと美的感覚を表現できる手段となったと考えられることから、今後はデザインをさらに強化していく考えだ。
②接続性は、消費者がスマートフォンなどの端末により家電製品にアクセスし遠隔操作が行える機能を指すもので、現在、サムスン電子の発売する家電製品の80%以上が接続可能である。今後は消費者によりわかりやすい簡素化された接続機能を開発する予定である。③持続可能性はサムスン電子の重要な企業価値の一つであり、約260のサムスン家電製品のうち43製品がエネルギー効率再交渉を受賞している。
ペット家電市場、急成長〜家電量販店業界動向〜
2022年7月、特許庁によると、ペット用家電製品の商標出願が最近5年間(2017~2021)で年平均13%増加したことがわかった。
商品別では、電気式浴槽が年平均18%、殺菌装置17%、毛髪乾燥機16%、浄水器16%、温水器14%、空気清浄機14%、飼料乾燥装置12%の順であった。
特許庁の担当者は、「COVID19や世界経済の悪化等、極度の景気後退状態であるにも拘らず、ペット関連の商標出願が増加したのは、個人や企業の不況克服のための意思が反映されたものである。今後も増加するペット産業の安定のためには、積極的に商標権を確保する必要がある」と述べている。
2021-2022年 韓国の家電量販店業界
サムスン電子、スマート家電を発表〜家電量販店業界動向〜
サムスン電子は、2021年11月18日から20日まで光州で開催された、「2021国際IoT・家電・ロボット博覧会」において、新たなスマート家電を複数発表した。
冷蔵庫内にある食材を確認することのできる機能、ミールキット等のバーコードをスキャンすると最適な調理温度や時間が設定される調理機能、使用パターンや天気、季節をもとにおすすめコースを提案する「AI習慣記憶」や「AIカスタマイズ推薦」機能付き洗濯機等が披露された。
サムスン電子の担当者は、一層進化下AIとIoT技術を融合して消費者の日常をより便利に、今後とも個人のライフスタイルに合った差別化されたサービスを発掘しスマートホームの経験を発展させていくと述べた。
コウェイ浄水器、消費者ブランド1位〜家電量販店業界動向〜
コウェイの浄水器が、「2021年消費者が最も推薦するブランド」調査で、浄水器部門1位に選出された。同調査は、韓国の消費生活を代表する製品とサービスについて、消費者の意向を基準に、ブランド価値と競争力を評価する指標である。
アイコン浄水器、AIS浄水器3.0IoCareといった最先端技術を適用した革新的な製品をベースに、消費者の満足度と信頼性を獲得したことが、国内浄水器の中で最もおすすすめされるブランドであると位置づけされた要因である。
コウェイ関係者は、「卓越した浄水機能、便宜機能、デザイン全てを備えた点が、高い評価を維持する主な要因であると考えられる」と述べた。
出典:http://m.cowayir.co.kr/ir/PrnewsView?idx=899&page=24
ホームシネマの人気上昇〜家電量販店業界動向〜
2021年8月、LGユープラスは、パンデミックにより、自宅で映画館のような音響や映像で映画やテレビ視聴を楽しむ「ホームシネマ族」が増加したことを受けて、家庭用音響・映像関連製品の強化のため、新商品「サウンドバーブラック」を発売した。
同製品は、映像技術「ドルビービジョン」と音響技術「ドルビーアトモス」を同時に搭載した世界初のサウンドパフォームファクタをベースとしており、顧客は家庭でも、立体的な音響効果と強力な陰影コントラストを特徴とする映像を楽しむことができる。
LGユープラスの関係者は、サウンドバーブラックの発売がホームコンテンツ市場の全体的な躍進を促すことになると述べている。
出典:https://www.lg.co.kr/media/release/23716
美容家電の規制強化〜家電量販店業界動向〜
2021年8月の発表によると、国家技術標準院は、使用中の副作用の恐れがある「家庭用美容機器」製品に対して安全管理を強化した。
家庭で使用する美容機器に対しては、光による皮膚副作用、オゾン発生などの懸念が提起されていた。そこで、顔や目を近づけて使用する家庭用美容機器4種(LEDマスク、頭皮管理器、アイマッサージ機、プラズマ美容機器)に対して安全基準を設けた。
家庭用美容機器の製造・輸入業者は、出庫・通関前に指定された試験機関で製品試験を受けなければならない。国家技術標準院長は「日常生活で密接に使用する製品ほど安全管理の必要性が高い」と強調しながら、「安全基準の整備後に企業が安全基準をよく遵守して安全な製品が流通できるように事後管理を万全を期す」と明らかにした。
出典:https://www.kats.go.kr/content.do?cmsid=240&cid=22536&mode=view
「ノーファイア」家電、需要高まる〜家電量販店業界動向〜
2021年7月Eマートが、火を使わない新たな調理家電「ノーファイア」(No Fire)家電を発売した。昼間の気温が高くなるにつれ、火を使わない調理器具の人気が高まっている。
代表的なものは、「エアフライヤー」(油を使用することなく高熱の空気でサクッとした揚げ物を作ることができる)と、「エレクトロマンステーキグリル」(ステーキの外部熱を内部に伝導し、食感の良いステーキを楽しむことができる)である。
その他にも、2021年7月1日から同月14日まで販売されたキッチン家電製品の売り上げは、オーブンレンジ、コーヒーマシン等、火力を用いない製品の売上伸び率が目立っていた。
出典:https://www.shinsegaegroupnewsroom.com/64569/
ソウル在住の韓国人。日本での在住経験は12年。日本の有名大学を卒業し、大手シンクタンクの正社員及び経営コンサルタントとして勤務。ビジネス戦略とイノベーションの分野で活躍。
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