台湾の法律業界では、常在國際法律事務所が先進的なサービスと高い質を打ち出し、国内外の企業や団体に広く利用されています。また、台湾の文化コンテンツ産業においても、全国弁護士連合会と文化コンテンツ政策研究院が協力し、法的理解とリソースの活用を促進する協定を結んでいます。さらに、司法院が実施する「執行續造計画」が5周年を迎え、裁判所手続きの効率化と迅速化に成功しました。これにより、訴訟の受理数は増加している一方で、民事執行の結審までの平均日数が約2日短縮されるなど、効果的な成果が示されています。
今回は、そんな台湾の法律事務所業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2023年 台湾の法律事務所(金融・法人サービス)業界
常在國際がAsialawの様々な分野で賞を受賞
アジアの23の管轄地域を含む主要な地域及び28の分野と実務分野をカバーする法律事務所の包括的なニュース、情報、ランキング分析を作成する「Asialaw」において、常在國際法律事務所が様々な分野で賞を受賞した。
常在國際法律事務所は、活力と先進性に満ち、そのサービスの質を常に宣伝しており、国内外の企業機関や団体が誇りを持って同事務所の法律相談サービスを利用しているだけでなく、国内外で研修を受けた人材も多数在籍し、豊富なリソースと経験を有して、様々な複雑な取引に対して質の高い法律コンサルティングサービスをクライアントに提供している。
2023年Asialawにおける常在國際法律事務所の各分野での評価情報は、企業及びM&A、紛争解決を含む4つの分野で「優れている」、銀行及び金融、独占禁止を含む7つの分野では「強く推奨」、また、エネルギー、保険、不動産を含む6つの分野で「推奨」と評価された。
出典:https://www.tsartsai.com.tw/honor@21e483f6-d689-4a31-98f2-962e7b7d4700?lang=zh_TW
寰瀛が産学技術同盟と協力しトフォーラムを主催
「台湾エネルギーデジタルトランスフォーメーション産学技術同盟」は、中華大学の支援を受け国家科学及技術委員会によって設立され、国立台湾大学リスク社会政策研究センター及び寰瀛法律事務所と協力して、ESGの持続可能性への取り組みを行っており、サミットフォーラムを開催した。
800名を超える学者がオンラインとオフラインで一般人と交流し、このフォーラムを通じて、関連分野の知識と交流を共有し、あらゆる階層がESGの持続可能な影響、ネットゼロ変革、コーポレートガバナンス、グリーンファイナンス、仮想発電所などの重要な問題についてより深い理解促進を行った。
このフォーラムでは、産業界、政治、学界、研究機関のすべての利害関係者が支援のために集結し、台湾の2050年のネットゼロ排出目標に向けて前進することに尽力していることを裏付けた。
出典:https://www.fblaw.com.tw/insights/event-2023-10-2
全国弁護士連合会と文策院が協力関係締結
台湾の文化コンテンツ産業の法的理解と、法的リソースを有効活用するため全国弁護士連合会(全律會)と文化コンテンツ政策研究院(文策院)は協力関係の確立を発表し、協力覚書(MOU)を締結した。
近年、台湾の文化コンテンツ産業への投資規模と業界参加は拡大を続けており、実務家の法律に対する実際の需要も増加している。今後は、「交流活動」「法律相談」「コラム」「講座学習」の4つの柱で協力し、法務ニーズに多角的に対応していく。
この全律會と文策院の協力で、文化コンテンツ業界の実務家に必要な法的知識を提供し、特に草の根クリエイターや恵まれないクリエイター向けのリソースは、実務家の保護と創造的権利の保護を強化すると同時に、文化コンテンツ業界の法的理解の向上が期待されている。
出典:https://taicca.tw/article/31491c16
執行手続きの効率性が大幅に向上
執行手続きの効率化と利便性のための「執行續造計画」の実施から5周年を迎え、司法院が定例記者会見で成果を発表した。計画の実施は非常に効果的であり、裁判所が受理する新規訴訟の数は毎年増加し続けているが、民事執行の結審までの平均日数は2019年度の平均23.6日から2022年度の21.7日と、約2日短縮された。
「執行續造計畫」では、関連行政規則の改正、実務参考マニュアルの作成、教育訓練や視察講義の確立、デジタル技術の適切な活用と行政機関との水平的なコミュニケーションチャネルの確立など、執行手続きの効率性と利便性の向上に取り組んでいる。
地方裁判所民事執行部が受理する月当たりの新規訴訟数は依然として大幅に増加しており、今後もいかに効率化を図っていくかが裁判所が非常に重視している課題であり、今後も、国民の権利と利益を確保するために各界からの提案を積極的に収集し、適時に関連措置を議論する予定である。
出典:https://www.judicial.gov.tw/tw/cp-1887-962062-04ce2-1.html
特許出願の受理傾向の比較分析
経済部知識産権局の「台湾と世界知的所有権機関(WIPO)が特許出願を受理する傾向比較分析」によると、2023年第3四半期の3種特許出願件数は1万8,310件で、前年同期比1%増加となった。
2023年第3四半期の台湾国内発明特許出願数は合計4,830件で、国内発明特許出願上位10社のほとんどが2桁の成長率を示し、TSMCは443件で8年連続で1位となった、続いて、Media Tek(138件)、Acer(92件)、AUO(92件)、Inventec(87件)となった。
また、台湾国内発明特許出願数4,830件の内、企業が3,912件で6%の増加を見せたが、学校(375件)と研究機関(105件)は共にマイナス成長となった。また、金融3業界が56件で減少する中、国有企業は21件で91%の増加となった。
出典:https://www.tipo.gov.tw/tw/cp-87-929324-fbfb8-1.html
2021年 台湾の法律事務所(金融・法人サービス)業界
台湾の台中市における調停件数と、西屯区の評価〜法律事務所業界動向〜
内政部は、台中市における2019年の調停件数に関する統計を発表した。2019年の全国調停受理総数は144,909件だった。台中市は22,984件を受理し、全国の15.86%を占め、立件数は21,052件だった。これは全国の17.99%を占めており、調停実績も抜群で年間調停成立率は91.59%と高く、6都市で1位であった。
台中市によって、「優秀」と評価された地区事務所調停委員会は、西屯區、大雅區、沙鹿區、南屯區、北區、潭子區及び太平區だった。特に西屯区調停委員会は、4年連続で一位を受賞している。台中市政府は事件の数に応じて賞を授与している。
西屯区長は、「西屯区役所は国民の権利を尊重し、便利なサービスを積極的に推進している」と述べた。西屯区では、弁護士との無料法律相談サービスも提供している。
出典:台中市政府 https://www.taichung.gov.tw/1690599/post
台湾国際専利法律事務所、商標申請状況を分析〜法律事務所業界動向〜
1965年に設立された、台湾国際専利法律事務所は、2020年の台湾における商標申請状況を分析した。これによると、過去5年間で台湾での商標出願の数は毎年増加しており、2019年には初めて11万件を超え、2020年には12万件近くの数を記録した。
2016年から2019年にかけて、外国人申請者の割合は34.8%から37%の間で増加したが、2020年はわずか30%だった。
申請者の国籍は、過去5年間で日本、米国、中国本土が上位3位を占めており、外国商標出願全体の半分以上を占めている。日本が台湾で商標を申請した上位3つの業界カテゴリは、「健康と医療」「技術研究」「アパレルアクセサリー」だった。
出典:https://www.tiplo.com.tw/tw/tn_in.aspx?mnuid=1221&nid=47176
2021年1月から3月における犯罪傾向〜法律事務所業界動向〜
台湾法務部は、2021年1月から3月の検察統計を発表した。統計によると、同期間の刑事案件起訴人数は49,559人で前年比7.5%減となった。2021年1月~3月の犯罪確定者数は38,886人で、前年比11.9%減となった。
薬物違反条例に関して、犯罪確定者数は3,950人で前年比57.5%減と大幅な減少を記録した。その反面、組織犯罪防止条例への違反は52人で、前年比333.3%増と大幅に増加した。マネーロンダリング防止条例への違反は209人に達し、前年比78.6%増加した。
その他、パソコン関連の犯罪や電子詐欺・恐喝案件、児童への性的搾取の防止および管理規則への違反、詐欺罪などは増加傾向にある。
出典:https://www.rjsd.moj.gov.tw/RJSDWEB/book/Book_Detail.aspx?book_id=479
理律法律事務所、IP STARSで受賞〜法律事務所業界動向〜
1965年に設立された理律法律事務所は、台北にある大型法律事務所の一つであり、知的財産権、投資、科学技術、企業合併などのジャンルをメインとしている。
台湾に多くある知的財産事務所がある中で、同社は商標ビジネスにおける優れたサービスで際立っている。2021年4月22日の発表によると、大手雑誌「ManagingIntellectualProperty」の年間ランキングIPSTARSで、最も重要な項目である「台湾商標事務所一級賞ー商標管理類及び商標争議案件類」を受賞した。
同社は国内外における商標ビジネスの高い熟練度を強みとして、グローバルなブランド管理戦略の策定、商標申請と管理、譲渡交渉などをクライアントに提供している。
出典:https://www.leeandli.com/TW/Award/275.htm
群勝國際法律事務所、Asialawで受賞〜法律事務所業界動向〜
弁護士OuyangHongが率いる群勝國際法律事務所は、国内外訴訟の解決に長けており、国際貿易や商事仲裁、知的財産権、労働法、および国境を越えた相続等を専門分野としている。
同社は2021年度Asialaw 2021 Client Service Excellenceにおいて、台湾地区で1位となった。このコンテストは、クライアントとのコミュニケーション、訴訟解決、リスク管理などのプロジェクトに焦点を当てている。
Asialawは、国際的に有名な法律事務所の鑑定機関であり、法律事務所や弁護士、顧客などからのフィードバック、法律事務所の推薦などを受けて評価をする。毎年、25のアジアの国と地域で、優れた業績を上げている法律事務所を選出している。
出典:https://btlaw.com.tw/h/NewsInfo?key=0227079976&cont=304049
2020年 台湾の法律事務所(金融・法人サービス)業界
西村あさひ法律事務所、台湾に新事務所を開設へ〜法律事務所業界動向〜
2019年8月26日の発表によると、西村あさひ法律事務所(東京・千代田区)は2020年春を目処に、日本の大手法律事務所としては初めて、台湾の台北市に事務所を開設する運びとなった。
IT企業をはじめとする優良な台湾企業による日本企業への投資や、台湾の投資家による対日不動産投資等に係るリーガルニーズが増加するとともに、既に台湾に進出済みの日系企業が台湾現地の企業と手を携え、更に東南アジアへの投資や事業展開を図るケース等も増えてきたことから、今般、台湾現地に拠点を開設するとのこと。
西村あさひ法律事務所では、国際業務分野の一層の強化・充実を図っており、台北事務所の開設により16となる拠点(東京、名古屋、大阪、福岡、バンコク、北京、上海、ドバイ、ハノイ、ホーチミン、ジャカルタ、ニューヨーク、シンガポール、ヤンゴン、Okada Law Firm(香港))を密につなぐ形で、グローバル化するクライアントにとってますます重要となる「アジア戦略」をサポートする法律事務所として、質の高いリーガルサービスを提供していくとしている。
出典:https://www.jurists.co.jp/ja/news/release_190826.html
台湾理律法律事務所、効果的な知財法のサービス提供〜法律事務所業界動向〜
2019年1月18日の発表によると、理律法律事務所は、出版業界KMHメディアグループが主催するコンテストの「グローバル賞」を獲得したと発表した。この賞は、クライアントに効果的な知的財産法サービスを提供した企業に贈られる賞である。
M&A Today Awardsは世界163か国以上から票を獲得しており、世界でも有名なコンテストである。言語、文化の壁を超え、グローバルに活躍した企業に賞が与えられる。独自の分析方法により、国内および国際的な業績に基づいて受賞者をランク付けている。
戦略的性質、規模、迅速さ、予算内で行われたかどうかなどのポイントに着目し、評価されている。理律法律事務所は2019年度、この賞を含め計7つの賞を手にしている。
出典:http://www.leeandli.com.tw/TW/Award/249.htmhttp://www.kmhmediagroup.com/awards
台湾で優秀商標事務所として表彰されたのは?〜法律事務所業界動向〜
博仲法律事務所は国際的に有名な知的財産権メディア、「ワールドトレードマークレビュー」誌において、優秀商標事務所として表彰された。2019年に受賞したのは、台湾ではわずか3社のみである。
「ワールドトレードマークレビュー」はWTR1000の年次報告書の中で、「博仲法律事務所の知的財産訴訟と入札業務における業績は特筆すべきである。同法律事務所は知的財産関連訴訟において国際的に通用するレベルにあり、台湾ではこのレベルに達していない事務所が多い」と指摘している。
さらに、博仲法律事務所のサービスは細部にまで気配りが行き届き、顧客のニーズに応えており、世界の多くのトップブランドが台湾で選ぶことのできるパートナーであると指摘している。
出典:http://www.winklerpartners.com/?p=9588&lang=zh-hant
台湾大恆國際法律事務所が結婚の平等権利について発表〜法律事務所業界動向〜
2019年5月17日、大恆國際法律事務所は長年台湾内で討論されてきた同性同士の結婚について、結婚の平等権利が認められたと発表した。台湾はアジアで初めて同性婚が認められた国である。
蔡英文総統率いる民進党政府は「すべての人に平等の権利を」と同性婚を認める動きを進めてきた。しかし、反対する政界人や国民も多く、なかなか状況は進んでいなかった。民進党政府は政界に訴えかけ、やっとの思いで5月17日に認められた。奇しくも5月17日は1990年の同日に世界保健機関が同性愛を国際疾病分類から除外したことを記念して定められた「国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日」でもある。
LGBTQの保護やパレードなど積極的に行ってきた台湾。結婚の平等権利である同性婚が認められた今、台湾は歴史的に大きな一歩を踏み出した。
出典:大恆國際法律事務所
台湾国際法律事務所が発表!特許出願最多は半導体関連〜法律事務所業界動向〜
2019年11月5日、台湾国際専利法律事務所は「台湾における特許出願は半導体関連が最多」と発表した。台湾が受理した特許出願件数を分野別にみると、「半導体」と「コンピュータ技術」が最も多く、次に「電気機械、電気装置、電気エネルギー」が多い。
特許を出願した人を国籍別に分析すると、台湾国内では「コンピュータ技術」、「半導体」、「電気機械、電気装置、電気エネルギー」が多く、日本と韓国では「半導体」、アメリカは「デジタル通信」、「半導体」、中国は「コンピュータ技術」であった。
世界知的所有権機関(WIPO)が受理した特許出願の状況からは「デジタル通信」、「コンピュータ技術」、「電気機械、電気装置、電気エネルギー」の順に特許出願件数が多いことが分かった。
出典:台新銀行https://www.taishinbank.com.tw/TSB/personal/common/news/TSBankNews-001133/
まとめ:台湾の法律事務所業界
台湾の法律事務所業界は訴訟件数から判断すると未開拓な市場が多く存在していると言われています。また日系の最大手の法律事務所が台湾での開設を行うなど、まだまだ進出余地のある業界と言えるでしょう。
台北在住の台湾人。日本の東北大学で修士号取得後、7年以上IT企業でマーケティングを担当。デジタルマーケティングと市場分析の専門家として、製品の市場導入とブランド戦略を得意とする。