環境保護への取組みが有名なパタゴニアのほか、複数の企業が循環型再販プログラムの構築を推進しており、アメリカのアパレル業界では環境対応・持続可能な開発への取組みが注目を集めています。。
今回は、そんなアメリカのアパレル業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2022-2023年 アメリカのアパレル(流通・小売)業界
Levi Strauss & Co.のCEOにMichelle Gassが就任〜アパレル業界動向〜
2022年11月8日、Levi Strauss & Co.(リーバイ・ストラウス)は、Chip Berghに代わり、MichelleGassを18ヶ月間の移行期間後に、新CEOとして迎え入れると発表した。
Gassは、Kohlʼsにて60億ドル以上の成⻑率引き上げや⻑期的な利益成⻑の成功、スターバックスにて17年間数々のリーダー的役割を果たした経験からLeviに大きな改革をもたらすことが期待される。アイコニックなデニムブランドを率いて自社店舗やウェブサイトを通じ消費者に直接販売するD2C戦略による売上の増加に取り組む。
今回の人事で、バーグCEOが近い将来に退任することが明らかになったため、同社の株価は8日、前日終値比で3.1%安の14.86ドルとなった。
Calvin KleinのアンバサダーにBTS Jung Kookが任命〜アパレル業界動向〜
2023年3月28日、Calvin Kleinは、韓国のシンガーソングライターでBTSのメンバーであるJung Kookを、Calvin Klein JeansとCalvinKlein Underwearのグローバルブランドアンバサダーとして任命。
JungKookは、BlackPinkのJennieやKendallJenner、MichaelB.Jordanらとともにグローバルアンバサダーを務める。
公式からはTwitterでの発表となり、172か国でトレンド入り、発表からわずか3時間で、Calvin Kleinの公式Twitterのフォロワー数は140,000人以上増加するなど、圧倒的な反響を呼んだ。
出典: https://www.pvh.com/news/jung-kook-calvin-klein
Carharttが直営での下取りプログラムを開始〜アパレル業界動向〜
2023年3月1日、Carharttは、Troveとのパートナーシップによる“Carhartt Reworked”(ワークウェアの寿命を延ばし、衣料品の廃棄を減らすための再販プログラム)を発表した。
ワークウェア業界初のブランド再販サイトである新しいCarharttReworkedプログラムは、耐久性のあるギアの寿命を延ばし、衣類の廃棄を減らす循環型再販モデルを構築することによって、より良い世界を築くことを目的としている。
3月1日より、下取りプログラムは全米の6店舗で試験的に実施される。2023年内にCarhartt直営店全店舗に拡大。プログラムの進展に伴い、下取りはオンラインでも可能になる予定。
出典:https://www.carhartt.com/carhartt-launches-reworked-program
パタゴニア創業者が4200億円相当の株式寄付〜アパレル業界動向〜
2022年9月14日、パタゴニアの創業者(Yvon Chouinard)は、自身と家族が保有している30億ドル、日本円にしておよそ4200億円相当の株式のすべてを環境保護活動に取り組む団体などに寄付したと会社のホームページを通じて発表。
自身と家族が保有する株式の2%は、環境保護を目指す会社の理念を維持するため、新たに設立した議決権を持つ組織に信託し、残りの98%を環境保護活動を行うNPO法人に移し、信託と環境保護団体への寄付を組み合わせる形をとった。
Yvonは、「地球が唯一の株主になった」として、利益を環境保護に投じる新たな取り組みだと述べ、毎年事業に再投資した後に残った利益を配当金として分配し、気候変動対策などに充てる試みだ。
出典:https://www.patagonia.com/ownership/
L.L.Beanが会社史上2番目に好調な売上高を達成〜アパレル業界動向〜
2023年3月17日、L.L.Beanは本日、2022会計年度の決算を発表し、年間純収入は会社史上2番目に好調な18億ドルに達したと発表した。業績の一環として、L.L.Beanのメンズとウィメンズのアパレルを合わせた歴代売上高の新記録を更新した。
L.L.Bean取締役会は、約5,500人の従業員に対し、7.5%の現金賞与と6%の401(k)寄付からなる年間給与の13.5%の業績賞与を承認したことを明らかにした。
創業110周年を迎えたL.L.Beanは、Eコマース、国際展開やモバイル販売などを通じて新規および既存顧客にアプローチするオムニチャネル戦略への継続的投資が、堅調な売上維持に大きく貢献していると述べた。
出典: https://www.llbean.com/llb/shop/518775?feat=517561-C3i518775-sl
2021年 アメリカのアパレル(流通・小売)業界
The North Faceのブランド収益が9%減〜アパレル業界動向〜
2021年5月21日、Vans、Supreme、TimberlandやDickiesを傘下に持つVFCorporationは、2021年度通期のTheNorthFaceブランド収益が9%減、それにより、アウトドア分野の売上が24%減少したことを発表した。
この減少は、COVID-19の流行及び関連する政府規制による店舗閉鎖、及び消費者需要の減少に起因するものであると発表。減少を受け、VF社は、職業用ワークウェア事業の売却を検討することを決定したと発表した。
注目すべきポイントは、収益減収にもかかわらず、2022年度第2四半期にはTheNorthFaceブランドが成⻑を示し、アクティブ部門の売上が27%増加したことである。
ナイキの売上高は123億ドルで前年度比96%増〜アパレル業界動向〜
2021年6月24日、Nikeは第4四半期の報告売上高は123億ドルで、前年同期比96%増、2019年第4四半期比では21%増となったことを発表。
NikeのCEOであるJohn Donahoeは “今期および通期の好調な業績は、NIKE独自の競争優位性と世界中の消費者との深い結びつきを示し、私たちのコンシューマー・ダイレクト・アクセラレーション戦略を市場全体に浸透させることができた。”と述べた。
第4四半期の収益の伸びは、北米、EMEA、APLAにおいて、前のにCOVID-19に関連する実店舗の閉鎖が年次化されたことによる卸売出荷の増加によってもたらされた。実店舗の再開に伴い、NIKEブランドデジタルは、前年比41%、2019年第4四半期比147%の力強い収益成⻑を継続。
Ralph Laurenは持続可能なビジネスモデルへの移行を発表〜アパレル業界動向〜
Ralph Laurenは、2021年3月、シチズンシップとサステナビリティのための社内フレームワークである「Design the Change」への取り組みをさらに推し進めた、包括的なサーキュラーファッション戦略を発表。さらにESGのコンサルティングを行う米McDonoughInnovationとの協業も公表した。
この大掛かりな戦略は、「循環を意識したデザイン」「消費者のための循環型体験の確立」「循環型製品経済の推進」の3つの柱で構成される。
これらの戦略を成功させるために、Ralph Laurenは、循環型プロダクトエコノミーを目指してリサイクル素材の品質を向上させるスケーラブルな技術への投資を継続していく。
出典: https://corporate.ralphlauren.com/timeless-by-design
American EagleがQuiet Logisticsを買収〜アパレル業界動向〜
American Eagleは2021年12月29日、Quiet Logisticsと戦略的投資の買収を現金約3億6千万ドルで完了したことを発表した。今回の買収は2件目の物流企業買収となる。
Quiet Logisticsは、市場内フルフィルメントセンターのネットワークを運営する大手物流会社で、商品をより必要な場所に配置し、在庫効率、コストメリットを生み出し、顧客や店舗に手頃な価格で当日・翌日配送オプションを提供する。
Quiet Logisticsのネットワークは、American Eagleの継続的な成⻑をサポートすると同時に、高度な物流機能を求める他のブランドや小売業者への顧客基盤の拡大に伴い、規模の経済も促進される。
倒産から再建したJ.Crewが”Re-Imagined By J.Crew”を発表〜アパレル業界動向〜
J.Crewは、商品、サプライチェーン、地球、第三者とのパートナーシップに焦点を当てた、企業の社会的責任(CSR)と持続可能性の具体的な目標を実現する取り組み「Re-imaginedbyJ.Crew」を開始することを発表。
新しいサステナビリティ・イニシアチブは、国連の持続可能な開発目標を支持して開発されたもので、責任あるビジネス慣行の強化、製品の革新、業界とのパートナーシップを通じて小売業界の状況に変化をもたらす力となることを目的とする。
工場労働者の支援、ブランドの環境フットプリントの削減、従業員への還元機会の提供など、CSRへのコミットメントは、引き続き重要な優先事項として残り、実施されていく。
ワシントン在住の日本人。大学卒業後、日本で外資系メーカーに勤めており、営業とマーケティングを経験。マーケティングは発売予定の製品周りの広告、パッケージや販促、イベントやデジタルプラットフォームの使用等様々な側面に関わり、年に1−2回ある新商品発売に向けて取り組む。渡米してからはフリーランスでスタートアップにマーケティングやマーケティングリサーチのサービスを提供し、プロジェクトベースで様々な依頼に応えている。