地表水、地下水への安定的で強固なアクセスを持ち、周辺諸国で最も豊富な水資源を備えているマレーシア。
今回は、そんなマレーシアの水道業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2023年 マレーシアの水道(建設・インフラ・環境)業界
ランヒル、2022年度は増収増益
電力及び環境事業を手掛けるランヒルは、2022年度の収益が前年度比で12.8%増となる17億2,630万リンギットを記録、税引前利益は同118%増となる2億340万リンギットであった。事業別収入としては、水事業を含む環境事業は前年度から1.3%増となる11億7,370万リンギットとなり、全収益の68.0%を占めた。
2022年度、ジョホール州では商業・産業活動の回復を背景に、生活用水以外の水の消費量が6.29%増加した。また、ランヒルSAJが1億4,230万リンギットの無収水量削減インセンティブを受け取ったため、収益は改善した。
さらに、料金引き上げは消費の継続的な増加傾向と相まって、2023年度以降の収入と収益を下支えするだろうとしている。ランヒルSAJの2023年度の収益は、国内以外の料金を9%引き上げることで、さらに増加すると予想される。
出典:https://ranhill.irplc.com/new-announcement.htm?NewsID=202304205500010&Symbol=5272
PBAPPとIWKが水リサイクルでMoU
ペナン州水道供給公社(PBAPP)は、2030年に向けてペナンの水供給の安全を確保する計画の一環として、下水道サービスを提供するインターウォーターコンソーシアム(IWK)と、ペナンにおける工業用再利用向けに下水再利用の実行可能性を調査するMoUを締結したことを発表した。
本MoUは、現在ペナンにあるIWKの3つの下水処理場(STP)から海に放流されている下水処理水の再利用の可能性を探るため、PBAPPとIWKの協力関係を正式なものとするものとなっている。3つのSTPから排出される下水処理水を合計すると、1日あたり2億6,000万リットル(MLD)になると推定される。
PBAPPのIr.パスマナタンK代表取締役社長は、この水再利用の提案は、ペナン州と州民のために、既成概念にとらわれない計画を立てるというPBAPPのコミットメントを反映したものであり、乾季における水不足のリスクをさらに軽減することになるとしている。
出典:https://pba.com.my/pdf/news/2023/16032023_PBAPP&IWK_Water-Recycling-MoU-KL_PRV3.pdf
タリワークス、2022年度は増収
エンジニアリングや水処理プラントの運用・保守を手掛けるタリワークスは、2022年度の収益が前年度比で11.6%増となる3億3,770万リンギットを記録、税引前利益は同28.2%減となる8,190万リンギットであった。
水処理・供給事業は、主にスンガイ・セランゴール浄水場フェーズ1(SSP1)事業における1億4,916万リンギットの従量販売と、3,576万リンギットの電力リベートの増加により、1億6,907万リンギットから1億8,492万リンギット(+9.4%)の増収となった。前年度同様、水処理・供給部門は引き続きグループ最大の収益源であり、グループ総収益の54.8%近くを占めた。
同グループは引き続き、水処理・供給事業を筆頭として、有料高速道路のコンセッション事業、新たに買収した再生可能エネルギー事業、エンジニアリング・建設事業、廃棄物管理事業を展開するとしている。
出典:https://ir2.chartnexus.com/taliworks/pdf/reports/annual%20reports/ar2022.pdf
エアセランゴールとホットFMなどがコラボ
セランゴールとクアラルンプール、プトラジャヤの840万人に上水道を供給するエアセランゴールと、マレーシア最大のラジオ局であるHot FM、そして人気番組「ボボイボーイ」シリーズのプロデューサーであるモンスタが共同で制作したラジオドラマ「ドラマ・ラジオ・ハイドロ・スクアッド」は、水資源保護と環境保全の重要性に対する国民の意識を高めるためのメッセージを込めた作品である。
人気アニメのヒーローキャラクター、ボボイボーイらが出演するこのドラマは、タマンエアハンガット地区が深刻な鉄砲水に見舞われ、水の持続可能性や地域の住宅に被害が及ぶというストーリーとなっている。
エアセランゴールは、「ドラマ・ラジオ・ハイドロ・スクアッド」の制作を通じて、持続可能な水の消費について知ってもらい、責任感を植え付けるとともに、カジュアルで楽しい方法で環境保護を実践してもらうことを目指している。
IWKが最優秀公共水事業機関賞を受賞
下水道サービスを提供するインターウォーターコンソーシアム(IWK)は、2023年グローバル・ウォーター・アワードの年間公共水事業機関部門で優秀賞を受賞したことを発表した。本賞は、IWKの経営、財務、環境の3つの持続可能性を柱とする戦略への取り組みが評価されたものとなっている。
IWKは、国連の持続可能な開発目標の達成に向けたマレーシアのコミットメントに沿い、特に環境保全に向けた前進と努力において、同社が行うすべてのことにおいて卓越性を追求し続けるとしている。
また、IWKが業務の効率化に力を注いでいることは、7,000を超える処理場における97%の排水準拠率に表れている。さらに、環境改善のため、同社は水再生への取り組み、バイオガスエネルギー生成、汚泥からの有機肥料生産、太陽エネルギープログラムなど、環境に配慮した取り組みを開始している。
出典:https://www.iwk.com.my/cms/upload_files/pressrelease/press_file_000317.pdf
2021年 マレーシアの水道(建設・インフラ・環境)業界
マレーシアのアイル・セランゴールのデジタル化対応 〜水道業界動向〜
クランバレーに上水道を供給するアイル・セランゴールは、2021年マレーシア・テクノロジー・エクセレンス・アワードにおいて、「モバイル-ユーティリティ」部門で賞を受賞したことを発表した。
2020年には、178万人以上の消費者が同社のモバイルアプリをダウンロードしており、利用者は水道料金モニタリング、オンラインでの支払い、ユーザーフレンドリーなカスタマーサービスなどを享受することができている。
また、同社はオペレーション・モバイル・アプリケーション(OMA)を導入し、業務プロセスの統合と効率化を行っている。OMAの成果の一つとして、2020年は無収水率を28.6%とすることができ、国家水サービス委員会が設定した29.2%の目標を上回った。
出典:https://www.airselangor.com/consumer-mobile-app-and-operations-mobile-app-improve-water-services-in-selangor-kuala-lumpur-and-putrajaya/
マレーシアのサルコン、2020年度の浄水・下水処理場進捗 〜水道業界動向〜
水処理施設建設業者のサルコンは、2020年度におけるエンジニアリング・建設部門の実績を示した。COVID-19による移動制限があったものの、2020年8月21日にランガット2浄水場セクション2(ストリームA)のテスト・試運転を完了し、顧客であるプングルサン・アセット・アイルへ引き渡した。
本浄水場が完成したことで、180万人の利用者が恩恵を享受することになり、1日あたり11.3億リットルの水をクランバレーの住民に供給することになる。
この他にも、ランガット集中型下水処理プラントが完成し、同下水処理プラントのネットワークポンプステーションは95%が完成した。また、クアラ・トレンガヌ・ウタラの水供給計画は69%進んでおり、2022年までに完成する予定となっている。
出典:https://salcon.listedcompany.com/misc/ar2020.pdf
マレーシアのペナンで第3次海底パイプラインが稼働 〜水道業界動向〜
ペナン州水道供給公社(PBAPP)は、第3次ペナンツイン海底パイプライン(PTSP)にて、2020年11月19日からスブラン・プライからペナン島へ1日あたり最大3億1,500万リットル(315MLD)の処理水を供給する試運転を行ったことを発表した。
2020年におけるペナン島の1日の平均水消費量は368MLDであり、州全体の43.6%を占めていた。現在、3つのパイプラインが稼働したことで、合計容量は708MLDに拡大している。第1次PTSPが稼働した1973年の平均水消費量は93.3MLDであったが、48年間で394%増加している。
また、本PTSPのベネフィットとしては、ペナン島すべての一般消費者と事業者の給水セキュリティ強化、そして乾季における原水リスクの軽減が挙げられている。
出典:https://pba.com.my/pdf/news/2021/31032021_PBAPP_3rdPTSP_CommissionV3.pdf
マレーシアのタリワークス、2021年度は楽観的な見通し 〜水道業界動向〜
エンジニアリングや水処理プラントの運用・保守を手掛けるタリワークスは、2020年度の収益が前年度比で16%減となる3億1,790万リンギット、利益が同27%減となる6,350万を記録したと発表。水関連事業の収益は前年度比で9%減となる2億2,554万リンギットであった。
水処理関連では、スンガイ・セランゴール浄水場フェーズ1プロジェクトの操業に伴って大口販売価格が下がったことで水処理部門の収益が減少した。また、ケダ州政府とのランカウイ水道民営化契約が2020年10月31日に満了したことも収益の減少に影響した。
同社は処理水事業及び保守事業部門は自社の実績、ノウハウ、及び強力なバランスシートによって強化されているとし、2021年度は楽観的な見通しを示している。
出典:https://ir2.chartnexus.com/taliworks/pdf/reports/annual%20reports/ar2020.pdf
マレーシアのランヒル、水道関連事業が全収益の84% 〜水道業界動向〜
電力及び環境事業を手掛けるランヒルは、2020年度の収益が前年度比で4.7%減となる14億7,840万リンギットを記録したと発表。水道関連を含む関連事業が84%を占めた。また、ジョホール州で水道事業を行うランヒルSAJの収益は11億6,150万リンギットであった。
2020年度はCOVID-19による移動制限の影響から、工業用及び商業用の水消費量は前年度比で9.5%減少したものの、一般向けは同4.7%増加となり、総消費量は同1.6%減の減少にとどまった。ただ、移動制限によってパイプ改修工事や漏水管修理、水道メーター交換、水盗難防止活動などに影響が及んだ。
また、同社は2021年度、無収水率を2020年度の水準から0.6%削減することを目指している。
出典:https://www.insage.com.my/ir/cmn/downloading.aspx?sFileName=21147000042090&sReportType=AR&sCompanyCode=RANHILL
2020年 マレーシアの水道(建設・インフラ・環境)業界
マレーシア・エアセランゴール、無収入水削減で成果〜水道業界動向〜
セランゴールとクアラルンプール、プトラジャヤの840万人に上水道を供給するエアセランゴールは、2019年の業務実績を発表した。
同社は、2019年に無収入水(NRW)の年間平均削減を重点分野の1つとして挙げ、2億190万リンギットを投じた。結果として、同社のNRWは2019年に29.6%へ引き下げることに成功した。主な取り組みとしては、パイプ破裂削減の取り組み、本管へのセンサー導入、老朽化・破損したメーターの交換工事、頻繁に破裂しているパイプの交換工事などとなっている。
また、新規に稼働した浄水場により、供給余力は2018年の4.51%から2019年末には10.97%にまで拡大した。パイプ破裂指数についても、100km当たり9.6件と国際基準の13件を下回った。
出典:https://www.airselangor.com/press-release/air-selangor-lancar-laporan-prestasi-2019
マレーシア・ペナンの海底パイプライン敷設、2020年末完成〜水道業界動向〜
ペナン州水道供給公社(PBAPP)は、第3次ペナンツイン海底パイプラインプロジェクトが、2020年末の完成に向けて順調に進んでいると発表した。
同プロジェクトでは、スブランプライからペナン島へ1日当たり3億1,500万リットル処理水を供給する。総費用は1億1,430万リンギットで、約50万人の住民がベネフィットを享受できる。1973年に稼働した第1次海底パイプラインはほぼ耐用年数に達しており、これをバックアップする。
陸上パイプライン敷設であるパッケージ1と2はすでに完了しており、現在、プロジェクトはパッケージ3の段階として、本土と島を繋ぐ3.2kmに1,200mmの海底パイプラインを敷設している。パッケージ3のコストは8,990万リンギット。
出典:http://www.pba.com.my/pdf/news/2019/23112019_PR_PBAPP_3rd_Sub_Pipeline_2.pdf
マレーシアで水道業界大手のタリワークス、水道事業収益が2.5億RMに
インフラ大手タリワークスは、2019年度の収益が前年度から34.8%増となる4億1,090万リンギットを記録した。また、同年度における水処理・供給・配水事業の収益は2億4,794万リンギットで、総収益の66%近くを占め、前年度から3.5%増加した。
スンガイセランゴール水処理場フェーズ1(SSP1)の販売は、前年度から僅かに減少して3億6,096万㎥、タリワークス(ランカウイ)は僅かに増加して2,041万㎥であった。
また、COVID-19による移動規制命令期間中、同社グループ事業は建設業を除く全ての事業が必要不可欠なサービスと判断され、通常通りの営業を継続した。また、有料道路部門を除き、水道・廃棄物管理部門における財務上の影響は最小限にとどまった。
出典:https://disclosure.bursamalaysia.com/FileAccess/apbursaweb/download?id=199753&name=EA_DS_ATTACHMENTS
マレーシアのサルコンがスマートウォーターシステム展開〜水道業界動向〜
水処理施設建設業者のサルコンは、完全子会社のサルコンエンジニアリングと香港のザワンスマートシティディベロップメント(TOSC)が、スマートウォーターシステムの販売で合弁事業契約を締結したことを発表した。また、サルコンとTOSC傘下のワイドプラススマートシティー(WP)は合弁会社を設立し、TOSCと技術ライセンス契約を締結した。
この合弁会社は、遠隔検針や水質、圧力・水位監視、漏水検知などIoT技術を活用したエンドツーエンドの水管理ソリューションを提供する。
サルコンの水資源担当ゼネラルマネージャーであるリー氏は、WPはマレーシアの水道事業者の将来的なニーズに対応できる深い専門知識を持っており、最適なパートナーであるとした。
出典:https://www.salcon.com.my/media/press-release/joint-venture-for-integrated-water-management-solutions-between-salcon-and
マレーシアのIWK、ペーパーレス化を推進〜水道業界動向〜
財務省傘下で下水道サービスを提供するインターウォーターコンソーシアム(IWK)は、グリーン経済への対応の一環としてペーパーレス化の取り組みを進め、同時に顧客へ電子請求サービス登録を奨励すると発表した。
郵便料金高騰により、 IWKは2020年7月より紙ベースの請求書は1枚につき2リンギットを請求する。同社は2018年6月よりメールで請求書を取得できる電子請求サービスを開始しており、登録件数はすでに20万件を超えている。
同時に、同社は2018年12月よりモバイルアプリを導入し、顧客の支払いや未払額確認を便利に行えるよう、より多くのアクセシビリティを提供している。
出典:https://www.iwk.com.my/cms/upload_files/pressrelease/press_file_000121.pdf
2019年 マレーシアの水道(建設・インフラ・環境)業界
河川汚染問題についての対応、マレーシアのIWK〜水道業界動向〜
財務省傘下で下水処理事業を行う国営企業インダーウォーターコンソーシアム(IWK)は、19,356kmの下水道ネットワークを持ち、2,500万人の国民にサービスを提供している。
IWKは、2019年6月29日にメディアで発表された『スンガイ・ケルアンの河川汚染は下水処理施設からの排水が原因』の記事に関連し、同社は2015年よりバヤンバルにおけるJabatan Perkhidmatan Pembetungan(JPP)の下水処理施設をアップグレード中であると発表した。
このアップグレード事業は、JPPの指定請負業者で下水処理場の運用・維持を行っているWildad Buildersが担っており、下水処理場での処理活動に関する全ての問題は同社によって即時対処し、担当局と適切なプロセスで連絡を取る責任があると指摘した。
3,000百万L/日の処理能力を目指す、マレーシアで水道業界参入のランヒル
ランヒル・ホールディングスは水道事業を展開しており、ジョホール州にて、22,495kmのパイプラインで370万人に水を供給している。
同社の年次報告書によると、2018年度の収益は15.6憶リンギットであり、前年度から5.5%の増加を記録した。傘下で水道事業を担うRanhill SAJ社の貢献が大きく、グループ収益の80%占めた。また、2018年度はジョホール州での無収入水が0.3%改善して24.19%となり、35MLDの節水となった。
同社は長期的に、3,000百万L/日(MLD)の水道・廃水処理能力を目標とし、2022年までに国際事業で400MLDの達成を目指している。さらに、ジョホール州での下水道サービス提供の可能性を検討しており、即座に600MLDの排水処理能力に対応できるとしている。
今後のマレーシアでの水需要はどうなる?ペナンの水供給〜水道業界動向〜
2019年4月1日、ペナンで水道事業を展開するPerbadanan Bekalan Air Pulau Pinangは、2008年から2018年の期間中に水道エンジニアリングに対して6億8,260万リンギットを投資したと発表。
これにより、同州の水供給予備率は32.9%となり、全国平均の14.3%を大きく上回った。同社は2019年から2021年の期間中、上水道プロジェクトに対して5億1,000万リンギットを投資する計画である。
また、2009年に委託した『2050年までのペナン水供給マスタープラン調査』において、同州の水需要は2050年までに1,884MLDが必要とされている。現在、原水の80%をスンガイダムから供給しており、依存度を減らす必要があることから、スンガイペラの原水資源を利用する調査を提案している。2019年には、天然資源省主導でこのスキームに関する調査が開始された。
マレーシアのタリワークス、収益の6割強が水事業〜水道業界動向〜
水処理や水供給、廃棄物処理等を事業とするタリワークスは、年次報告書において2018年度の収益が前年度比10万リンギット増となる3億7,420万リンギットであったと発表した。
水処理・供給と配水の収益は前年度から800万リンギット増となる2億3,950万リンギットで、全体の64%を占めた。改善要因は、2018年1月1日から実施されたバルク供給率引き上げによるものとなっている。内訳としては、セランゴール水処理場フェーズ1(SSP1)が74%、タリワークス・ランカウイが26%の収益を生み出した。
また、SSP1の平均生産量は設計容量の4.5%超となる992.8MLDとなっており、高い需要に支えられている。
2018年 マレーシアの水道(建設・インフラ・環境)業界
マレーシアのセランゴール州、無収入水の引き下げ目標を達成〜水道業界動向〜
Pengurusan Air Selangor は、セランゴール州とクアラルンプール、プトラジャヤの1,000万人に上水道を提供している水供給会社である。
セランゴール州政府は、2015年10月に同社を買収後、無収入水の低減に努めてきた。2015年末時点において32.6%であった無収入水を、2017年末に31%まで引き下げることを目標としていた。4億8,000万リンギットを投じて最新技術を導入した結果、2017年末の無収入水は30.1%までに下がり、目標の数値を下回った。
今後は更なる無収入水低減を目指しており、2020年における無収入水を28%へ低減するために9億リンギットを投資する計画である。
マレーシア・ペナン州、水需要の増加対応へプロジェクト相次ぐ〜水道業界動向〜
2018年6月1日、ペナン州水道供給公社は、2件の給水工事プロジェクトの完了と、新たなプロジェクトに着手していることを発表した。
完成したのは、ペナンの水道供給業務をリアルタイムでモニターできるペナン給水指令センター (総工費610万リンギット) とペナン島南部の貯水施設「Bukit Dumbar Reservoir 4」(総工費930万リンギット)。また、1億2,500万リンギットをかけて敷設されるバターワース・ペナン島間を結ぶ海底ダブルパイプラインプロジェクトに着手しており、 2020年12月末の完成を目指している。
ペナン州の水需要は、2008年の7億4,400万リットル/日から2017年には11.0%増となる8億2,600万リットルへ増加しており、2050年までには18億8,400万リットル/日に達すると見通されている。
マレーシアの水道業界再構築を目指す!Langat 2 水処理場建設、72パーセントが完成
水道資産保有・管理機構は、マレーシア水業界の再構築と効率性・質の向上を目的として、財務省の全額出資により2006年に設立された企業である。
2014年の統計によると、セランゴール州では49億700万リットル/日の水を必要としていた一方で、供給量は44億3,100万リットルにとどまっていた。水需要は年間3~4%の増加を続けると予想されており、2020年までに「ウォーター・クライシス」を避けるために供給のキャパシティを広げることが必要となっている。
この観点から、2014年に建設を開始した、東南アジア最大級の規模で建設中の Langat 2 水処理場は、2018年7月現在の進捗度が72%である。
マレーシアのSime Darby、中国の水管理事業を売却〜水道業界動向〜
2018年7月2日、マレーシアの大手コングロマリットである Sime Darby は、中国で水管理事業を行うグループ傘下の Weifang Sime Darby Water Management を、Shandong Water Environment Protection Groupへ6,800万米ドルで売却する方針であると発表した。
山東省に位置する同社は、140,000㎥/日の処理能力を有する水処理施設と総延長220kmのパイプラインを保有しており、ビンハイ経済特区の3分の2をカバーしている。
Sime Darby はコア事業に注力する戦略へ転換しており、売却はその一環となっている。売却は、2018年下期中に完了する見通し。
まとめ:マレーシアの水道業界
同国は、周辺諸国を凌いで最も豊富な水資源に囲まれた国家であり、水ビジネスの環境優位性も指摘されています。同国の豊富な資源に注目することで、新たなビジネスチャンスを見つけられるのではないでしょうか。
クアラルンプール在住4年目の日本人。大学卒業後、東京で飲料メーカーの営業を担当。その後、マレーシアのクアラルンプールへ移住し食品商社の営業及び購買のサポートを担当。