韓国の人材サービス業界は、急速に進化し続けています。AI技術の導入やリモートワークの普及により、人材マッチングの効率が向上し、企業の採用戦略も大きく変わっています。特に、データ分析を活用した人材評価が注目されており、企業はより適切な人材を見極める手段を手に入れています。本記事では、韓国の人材サービス業界を変革する最新トレンドを深掘りし、未来の市場を見据えたインサイトをお届けします。
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2022-2023年 韓国の人材サービス業界
サラミン 「AI活用自己紹介書」6万件突破…〜人材サービス業界動向〜
2023年11月の発表によるとキャリアプラットフォームである「サラミン」のチャットGPT基盤のAI技術を活用し登録した自己紹介書が累積6万件を突破した。
自己紹介書の質問と、志望職種を記入し、それに合う自分の経験及び経歴をキーワードで入力すると、AIが文書の下書きを作成する。
また、AI自己紹介書コーチング、面接コーチング機能を連動し、作成された自己紹介文の文章校正、誤字脱字等を点検することができる。また、面接で予想される質問への回答作成まで事前に行うことができるようにし、ワンストップで自己紹介作成及面接対策まで行うことができる。
サラミンの関係者は、同サービスの利用者は、新入51%・キャリア49パーセントで、キャリア開始やキャリアアップを目指す全ての利用者に活用度が高いサービスとなっていると述べた。加えて、今後、AIアルゴリズムの高度化や使用性の効率等が向上することで、サラミン独自の技術力で、就職準備の利便性も高めることができるようになると話した。
政府 無職青年の労働市場流入促進案を発表〜人材サービス業界動向〜
2023年(1月~10月平均)、無職の青年の人口は41.0万人にのぼった。これは、全青年人口の4.9%の水準であり、2020年を頂点に減少していたが、再び増加の傾向にある。このような事態を受けて、企画財政部は無職青年のタイプを分析し、タイプ別に内容の異なる支援案を作成した。
在学・在職・求職段階にある者に対しては、仕事情報の提供からマッチングまで行えるプラットフォームの設置、職場不適応等による労働市場の離脱を防止するためのオンボーディングプログラム(44億ウォン)、経歴再設計プログラムの導入等の支援を行う。
多様な環境のために就労が困難な青年に対しては、孤立隠遁青年支援(13億ウォン)、ケアギバー青年に対し生活費用の援助等の、労働市場参加障害要員を解消する政策を推進する。
出典:https://www.moel.go.kr/news/enews/report/enewsView.do?news_seq=15815
インクルート 反生産的行動検査をローンチ〜人材サービス業界動向〜
「反生産的行動」とは、企業の生産性と成果を阻害する行動をいう。このような行為は、企業に重大な損害を与えかねないところ、企業は、採用の過程で応募者が反生産的行動を行うものでないことを確認する必要がある。
2023年10月の発表によるとインクルートが導入した反生産行動検査は、応募者の応答パターンをリアルタイムで分析し、パーソナライズされた質問をすることで、反生産性を検証するものである。検査時間は20分~38分で、質問数は合計108個であり、オンラインで行われる。
インクルートアクセスチーム長は、「これまで、顧客から好感度が高かった反生産的行動検査を個別に使用できるようにし、希望する企業が導入できるようにした」と述べた。
出典:https://info.incruit.com/pr/report_view.asp?newsno=436373
ジョブコリア・兵務庁 業務協約締結〜人材サービス業界動向〜
2023年6月、兵務庁とジョブコリアは青年将兵雇用のための業務協約を締結した。同協約は、兵役が社会進出の障壁となるのではなく、あしがかりとなるように雇用を創出することを目指して締結されたものである。
具体的には、就職カスタマイズ機能及び、産業技能要員転職希望者を対象とした専門採用館が開設される。
就職カスタマイズ機能は、本人が服務した特技に合う職種を簡単に検索可能にする。また、産業機能要員転職希望者は、兵役指定業者の就職情報を一カ所に集約し、支援を可能とする制度だ。加えて、兵役進路設計など兵務政策支援及び、青年政策開発・推進への協力を合意した。
ジョブコリアの代表は、「青年雇用創出に少しでも貢献出来て嬉しい。青年将兵たちにAIアルゴリズム基盤の推進・検索サービスでパーソナライズされた採用情報を提供する。」と述べた。また、兵務庁長は、ジョブコリアに対し青年将兵雇用支援への協力に感謝を述べた上で、「今後も青年のための政策を推進する」との考えを述べた。
2021年 韓国の人材サービス業界
障害者雇用サービス 高度化の必要性高まる〜人材サービス業界動向〜
韓国障害者雇用公団雇用開発院(以下「雇用開発院」という。)は、2021年11月3日、「第15回 障害者雇用パネル学術大会」を開催し、専門家らとともに「青年障害者雇用サービスの高度化案」の模索につき議論した。
議論では、ニートの15歳~29歳の障害者青年は35.4%であり、全青年(17.1%)の2倍以上の状況にあることが指摘された。また、発達障害の青年たちが、低賃金業務に従事し、転職率も低いことも指摘された。
雇用開発院長は、雇用サービスの高度化の必要性が高く、今後政策課題と実現方法を先導的に誘導すると述べた。
出典:https://www.moel.go.kr/news/enews/report/enewsView.do?news_seq=15768
求職経験者中45.1%が「就職詐欺」経験〜人材サービス業界動向〜
2021年、インクルートが行った調査によれば、採用広告と異なる職務勧誘、給与条件・職級が提示されるなど、いわゆる「就職詐欺」が求職経験者のうち45.1%に上ることが明らかになった。加えて、名義盗用等の追加の被害も報告された。
「就職詐欺」による被害には、うつ病など精神的な被害(82.3%)が最も多く、次いで、時間的被害(50.5%)金銭的な被害(32.5%)、犯罪への関与(10.5%)、暴行等身体的被害(5.4%)があることが分かった。
インクルート広報チーム長は、「就職詐欺が疑われる場合には、一人で判断するのではなく、知人や専門家に相談すべき」とし、「使用者側が十分な説明なく個人情報や金銭を無理に要求する場合には、就職詐欺を疑うべきだ」と注意喚起を行った。
出典:https://info.incruit.com/pr/report_view.asp?newsno=435145
サラミン 転職支援アプリリリース〜人材サービス業界動向〜
2021年11月、サラミンはキャリア管理アプリ「I am graund the ready」をローンチしたと明らかにした。入社提案、入社支援、面接準備など転職の全ての過程を支援するアプリである。
転職の提案を受ける「ラブコール」機能により、検索の手間を削ることが可能になるとともに、履歴書を新たに作成する必要もない。加えて、メッセンジャーを通して企業人事担当者との円滑なやり取りも可能となった。また、AIを利用した模擬面接も提供する。
サラミンの担当者は、「キャリアアップのために転職を目指すものの、多忙な中で転職活動を行うことに負担を感じる会社員のために、同アプリをローンチした。転職準備に入る手間を画期的に減らし……転職を準備する者の必須アプリとなるだろう」と述べた。
ジョブコリア、工団 仕事・学習並行事業活性化目指し業務協約締結〜人材サービス業界動向〜
2021年6月、韓国産業人材工団(以下「工団」という。)とジョブコリアは、雇用労働部と公団が遂行する「仕事・学習並行事業」を活性化させるため、業務協約を締結した。これにより、ジョブコリアは、自社のプラットフォームを利用し採用活動を行う企業を対象に、仕事・学習並行を広報し、仕事・学習並行参加企業の専門採用館を開設する計画だ。
参加企業も事業に対する肯定的である。2020年の韓国職業能力研究院の実績調査によると、仕事・学習並行訓練に取組んだ事業主の約9割が再参加を希望し、約8割が、訓練終了後も、学習並行を通じて構築した教育体系を活用するという。
工団の理事長は、今回の条約によりより多くの企業が学習並行事業に参観する機会を提供するだろうと述べ、今後も、国内就職市場の雇用不整合を解消するために様々な機関との協力を強化する」と話した。また、ジョブコリア代表取締役は「仕事・学習並行訓練を通じて企業は有能な人材をより容易に迎えることができ、求職者は良質な雇用を得ることができるようになる」と話した。
出典:https://www.moel.go.kr/news/enews/report/enewsView.do?news_seq=12407
政府雇用センター パンデミック下で非対面サービスを拡充〜人材サービス業界動向〜
2021年6月の発表によると新型コロナウイルス感染症の影響を受け、雇用労働部は対面方式の就職支援サービスに加え、安全かつ効果的な非対面デジタル就職支援サービスを構築・推進する。
これは新型コロナウイルスによる状況変化に対応し、オンライン採用博覧会や失業保険アプリなどを通じてデジタルな支援を提供する。今後も非対面デジタルサービスを強化し、特に若者層に向けて提供する計画だ。
非対面相談プログラムや画像相談システムも開発され、ワークネット上で求職者と雇用センターカウンセラーが画像を通じて相談できるようになる予定だ。これにより、COVID-19の影響を考慮した安全で効果的な雇用センターのサービスが提供されることが期待される。
出典:https://www.moel.go.kr/news/enews/report/enewsView.do?news_seq=12333
「ピョロク市場求人求職」リブランド「ピョロク市場」 アプリもリニューアル〜人材サービス業界動向〜
2021年4月、「ピョロク市場求人求職」が「ピョロク市場」にブランド名を変更した。最近の傾向に伴い、ブランド名を単純化し、モバイル中心の生活密着雇用サービスを展開するためだ。
ピョロク市場はブランド変更とともにモバイルアプリUI(User Interface)のリニューアルも進めた。顧客が必要とする情報とサービスを便利に利用できるよう、メイン画面をより直感的に配置した。
リニューアル版では、「人気検索語」で今最も人気のある仕事をリアルタイムで確認することができ、前面に配置された「就職ガイド」タブを通じて、おすすめ職業、採用イベント、就職教育など就職に必要な情報を便利に確認できる。
出典:http://m.mediawill.com/promotion/pressdetail.asp?idx=386&page=3
ソウル在住の韓国人。日本での在住経験は12年。日本の有名大学を卒業し、大手シンクタンクの正社員及び経営コンサルタントとして勤務。ビジネス戦略とイノベーションの分野で活躍。
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