近年、大型の買収や急速な店舗拡大などが行われ、中国全土に広がり見せつつあるショッピングモール。また内陸部の開発に伴い、多数の有名ブランドが内陸部に初出店をしています。2023年も、イオンなどの日本企業も含めて事業拡大が続いています。
今回は、そんな中国の百貨店・ショッピングセンター業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2022年 中国の百貨店・ショッピングセンター(流通・小売)業界
王府京グループは「海南消費者博覧会」に3度目の出展を果たす〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
2023年4月11日の発表によると、第3回中国国際消費財博覧会が海南省海口市で開幕され、王府京グループは2021年、2022年に続き、3回連続での出展となった。
今年の消費者博覧会は、海南省が同島の税関閉鎖作戦の準備を本格的に開始した時期と重なり、また感染症流行後にオフラインで開催された初の大型国際展示会でもあった。
中国国際消費財博覧会は国が開催する四大展示会のひとつであり、アジア太平洋地域最大の消費者製品展示会でもある。総展示面積は前回より20%増の12万平方メートルに達し、海外の世界的大手企業から多くの経営幹部やプロバイヤーが代表団を率いて参加した。
出典:https://www.wfj.com.cn/news/newsdetail?id=1191
パークソンが宜春市に初上陸〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
2023年1月15日の発表によると、宜春市に上陸する最初のパークソンショッピングセンターは、アート、ファッション、アトラクションなどの要素を統合した、市北部の新しい商業ランドマークとなるだろう。
施設内は「月宇宙ステーション」、「エネルギー」、「オアシス」の3つのキーワードを組み合わせて、自然の風景と芸術を統合し、未来のオアシス宇宙空間をデザインした。惑星や宇宙カプセル、宇宙飛行士など未来のテクノロジーが詰まった要素をデザインに採用している。
また「無限の音楽と無限のファッション」をコンセプトに、NIKE M本店、八王茶記宜春1号店、生鮮食品の専門店などに差別化されたブランドラインナップを構築した。ほかにもADIDAS、LINING、KAPPA、MINISO名創優品、LuckinCoffeeなど有名専門店がそろっており、宜春市民に多様な消費スタイルをもたらすだろうとされている。
出典:http://www.parksongroup.com.cn/html_cn/about_parkson/News_Detail.php?cid=121
CapitaLandの2023年「エコグリーン、自然エネルギー」をテーマにした活動を全国で開始〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
2023年3月24日、CapitaLandが「エコグリーン自然エネルギー」をテーマにしたイベントを全国で開幕した。多くのブランドパートナーと協力して、全国19都市にある40以上のCapitaLandショッピングモールで、オンラインおよびオフラインのエキサイティングな環境保護をテーマにした一連の活動を開始し、消費者にグリーントレンドの没入型の新しい体験を提供する。
CapitaLandにとってESGは企業価値の重要な部分となっており、持続可能な開発をすべての業務の核心と考えている。低炭素ビジネス変革を推進しながら持続可能な開発に焦点を当てる企業文化を構築しており、「CapitaLand従業員の持続可能な発展のための行動規範」がリリースされている。
キャピタランドとシンガポール航空は、持続可能な開発の概念を日常生活に統合することを社会全体に提唱することを目的とした「自然エネルギー・エコグリーンが地球の花を咲かせるプロジェクト」を共同で立ち上げた。ほかにも多数の協力企業と様々な活動を展開する予定だ。
出典:https://www.capitaland.com/cn/zh/newsroom/Capitaland-2023-Eco-Green-Nature-has-energy.html
イオンの「幸せの黄色いレシート」イベントが10周年を迎える〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
イオンの「幸せの黄色いレシート」活動は、イオンが社会福祉法人とイオンのお客さまを対象に共同で実施する寄付アクションであり、2012年8月11日から中国各地で正式に開始され、10年以上が経過した。
毎月11日の「イオンデー」に、イオン店舗で買い物をすると、利用額に応じた「黄色いレシート」がもらえる。店内に設置されている寄付公益団体名が記載された投票箱に「黄色いレシート」を投入すると、投票金額の1%に相当する商品をイオンがお客様が支援する寄付団体に寄付する仕組みとなっている。
2022年6月現在、同イベントは中国国内の10社195店舗と共同で実施されており、500以上の団体に約2,488万元相当の物品を寄付している。10年目を迎える2022年にはオンライン感謝祭が特別に企画され、さまざまな社会福祉団体とこれまでの歩みを振り返ったり、福祉団体によるパフォーマンスなどが行われた。
出典:https://www.aeonchina.com.cn/2022/contribution/%e6%b0%b8%e6%97%ba%e5%b9%b8%e7%a6%8f%e7%9a%84%e9%bb%84%
広州太古匯は華南理工大学と共同で「コミュニティ構築利益報告書」を発表〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
2023年3月17日、広州太古匯と華南理工大学は「コミュニティ構築利益報告書」を共同発表した。このレポートでは、太古匯のコミュニティ構築とコミュニティ管理が周辺地域に与える正確な影響や、先駆的なビジネス慣行をさらに促進し、ユニークな文化芸術を育成する方法について詳細に分析している。
広州太古匯のゼネラルマネジャーである黄英氏は、「華南理工大学と協力して、広州太古匯におけるコミュニティ構築の利点に関する報告書を発表できることを非常に光栄に思う。何がユニークなのか徹底的な研究を行って、将来的にはコミュニティに貢献し、都市のレジリエンス強化に役立つ活気に満ちた高品質のプロジェクトの作成と管理を続けていく」と述べた。
広州太古匯は広州市天河区に位置し、中国本土初の大規模小売指向総合開発プロジェクトで、高級ショッピングモール、2つのグレードAオフィスビル、高級ホテルが含まれる。
出典:https://www.swirepacific.com/sc/media/presseach.php?f=p230317.htm
2021年 中国の百貨店・ショッピングセンター(流通・小売)業界
中国 成都遠洋太古100%再生可能エネルギー電力供給へ〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
1866年に上海に進出し、現在北京、広州などで5つのショッピングモールを含めた総合プロジェクトを運営している太古グループの1つである成都遠洋太古が、100%再生可能エネルギー電力供給を実現させた。
開業以来、同社はエネルギー効率を改善するためにさまざまな技術と省エネ対策を研究している。今回、天然資源が豊富な四川省の特性を十分に活かし、周辺地域の人々の仕事と生活の質を改善することに成功した。
現在は、炭素削減目標の達成に向けてさらに一歩前進し、2060年までに炭素の中立性を達成するという中国政府の公約に対応できるように尽力している。
出典:https://www.swirepacific.com/sc/media/presseach.php?f=p201020.htm
中国の王府井グループが免税店を設立〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
2020年7月8日の発表によると、中国初の百貨店として北京百貨店を開業し、現在28都市に47か所の百貨店を展開する王府井グループは、免税店を設立した。
この免税店の運営範囲には、日用品、自動車、医療機器(I・II限定)、家電製品、衣料品、電子製品、宝石、手工芸品、医薬品の小売り、食品の販売、タバコの小売りなどが含まれる。
近年、中国の市場経済の継続的な発展と免税政策のさらなる自由化により、中国の免税市場は大きな発展の可能性を秘めている。免税店設立への投資は、会社の戦略的開発の方向性に沿っており、事業の拡大を目指している。
出典:https://www.wfj.com.cn/news/newsdetail?id=554
正大、中国の健康科学と未来のテクノロジー産業の牽引へ〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
中国最大の外資系企業であり、上海に2002年に正大広場を開店させた正大グループは、「21世紀中国最優秀ビジネスモデル賞」の選考において、「中国ベストビジネスモデルイノベーションアワード」を受賞した。
このイベントでは、専門家や学者、コンサルティング、起業家サービス、不動産、教育など様々な分野のビジネスリーダーが参加し、世界の経済状況、資本市場投資戦略、ブランドイノベーション、モデルイノベーション、ビジネスに焦点を当てた。
同社は「グリーンヘルス」と「技術革新」をメインテーマとしており、業界の発展動向を鋭敏に捉え、健康科学と未来のテクノロジー産業を牽引していくつもりである。
中国の凯德グループ、ビジネス変革のフレームワークを発表〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
1994年に中国に進出し、42の都市で200以上のプロジェクトを管理している凯德グループは、上場20周年を迎え、ビジネス変革のフレームワーク「次の20年」を発表した。
このフレームワークは、「人材の構築」、「持続可能な開発」、「デジタル戦略」の3つのコア原則に基づいており、凯德グループがこの劇的な変化の時代に繁栄し続けることを約束したものである。
同社はグローバルな不動産会社になるというビジョンを掲げており、グローバル市場でのファンド管理と宿泊施設ビジネスプラットフォームによるグローバル展開に引き続き投資していくとした。
出典:https://www.capitaland.com/cn/zh/newsroom/CapitaLand-20th-anniversary.html2
中国の国貿商城、都市のイメージ向上などに貢献〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
国際貿易センター内のショッピングモールである国貿商城は、第18回チャイナショッピングアライアンスチャイナショッピングセンター国際フォーラムにて、「チャイナショッピングアライアンス2020シティサービスプロモーションアワード」を受賞した。 テーマは「新しい消費とサービスの質と能力の向上—ビジネス+産業+金融+」であり、中国のショッピングモールの分野で最大の業界年次サミットである。 この賞は、国貿商城が都市のイメージの向上、社会開発、サービスの向上に貢献したことを表彰するものであり、今後の更なる発展が期待されている。
出典:http://www.cwtc.com/detail/2216.html
2020年 中国の百貨店・ショッピングセンター(流通・小売)業界
百貨店・ショッピングセンター業界大手のWanda、中国で拡大の勢い。世界記録を樹立!
2019年11月29日、300店目のWandaプラザが湖北省咸寧市にオープンした。過去20年間で、Wandaプラザは全国188都市に展開し、合計130万人の雇用を創出した。
Wanda Groupは、2000年より商業センターの建設と運営を開始した。1店舗目から100店舗目までのWandaプラザの建設は15年間かかった一方、100店舗目から300店舗目までの建設はわずか5年間となった。2019年末までに、323のWandaプラザがオープンする予定であり、出店のペースは世界のビジネス史の記録を樹立したようである。
統計によると、Wanda Groupの11年連続の新規雇用は、その年の中国の総新規雇用の1%を超えたとのことである。さらに、2016年以来、Wandaは毎年約50のWandaプラザを開設し、その年の中国の新規雇用総数の約1.5%を占めていたとのことである。また、Wandaプラザの従業員のうち大学生が35%以上を占めていた。
出典:http://www.wandaplazas.com/2019/company_1202/1829.html
上海でショッピングモール所有の株式、中国の三林印象城が買収へ〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
ストレイツ・トレーディング(シンガポール)、ARAアセットマネジメント(シンガポール)、投資ファンドのICBCI(中国系)の3社は共同で、上海市浦東に位置するショッピングモールを所有する企業の株式を全て買収することを発表した。買収総額は、2.42十億人民元である。
該当物件は、上海市浦東地区に位置する三林印象城。3キロ圏内に40万人の潜在顧客を抱えたモールは、複数の交通手段によるアクセスも良好である。2018年の第4四半期に開業し、現在は91.3%のテナント入居率をもつ。
買収に参画するARAアセットマネジメントは、香港の巨大財閥の創始者である李嘉誠が立ち上げに携わった、不動産の資産管理会社である。また、ICBCIは、中国国有の大手銀行である中国工商銀行傘下の投資ファンドである。
出典:http://straitstrading.listedcompany.com/newsroom/20191217_185921_S20_1408OU502ILAXWYD.1.pdf
顧客を中国の実店舗からアプリへ、イオンアプリ〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
2019年12月26日、イオン中国投資有限公司は、広東省深センに位置するイオンスタイル東湖店において、イオンアプリによるサービスを開始すると発表した。東湖店を皮切りに、全国で導入を拡大する見通しだ。
イオンアプリを使えば、衣食住に関わる商品や、TOPVALUなどのイオンプライベートブランドの商品をQRコードで簡単に購入したり、商品の配送依頼ができるようになる。特に、食品の場合は、効率的な流通過程や迅速な配達によって、消費者に新鮮な商品を届けることが可能になる。実店舗によるオフラインチャネルとアプリによるオンラインチャネルの結合を試みた新たな取り組みである
イオンスタイル東湖店は14万人のイオン会員を保有しており、顧客の流れを実店舗からアプリへと誘導する役目を担う。現段階では、店舗におけるアプリの宣伝などを通じて、顧客のアプリ使用を促している。
出典:http://www.aeonchina.com.cn/2019/operation/品质生活-抢鲜送达-永旺在深试点上线自有app/
中国の新城控股、相次いでショッピングセンターを開業〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
新城控股(seazen)は、2019年11月に相次いで「吾悦広場」ブランドのショッピングモールを開業している。同年11月8日に天津南、淮北にて、11月15日に陝西漢中、11月月末には桂林にて新規のショッピングモールを開業する。
同年11月15日時点で、同社は2019年で11箇所目の開業を終え、55のショッピングモールを所有することになる。最終的に累計開業数を64とする目標を掲げている。
今回新規に開業した漢中吾悦広場は、300あまりの国内外の著名ブランドを誘致した。そのうち、65のブランドは初めて陝西省に進出することとなり、124のブランドは漢中に初進出することとなる。Kidswant、多美奇、海底撈、ラネージュなどの著名ブランドを誘致することで、漢中地域のランドマークとなることを目指している。
出典:http://www.seazen.com.cn/news/news-details-1194.html
まとめ:中国の百貨店・ショッピングセンター業界
ECサイトの躍動により実地店舗の必要性が疑問視される日本とは異なり、中国の百貨店業界はまだまだ成長段階にあります。内陸部などの開発地域に合わせた出店が成功のカギになるのではないでしょうか。
上海在住で杭州出身の中国人。一橋大学の経済学修士課程修了。日本企業でマーケットインサイト部門で就労後、中国のIT会社でユーザー研究・マーケットリサーチに携わる。コンサル業界・証券業界の友人が多いため、リサーチ関連で助けとなっている。