環境先進国である台湾では、積極的なCO2削減への取り組みを行い、環境に関する賞を多数獲得したショッピングモールが話題になるなど、業界内でのエコに対する関心は日々高まっています。2023年には三井不動産がららぽーとを台中に開業するなど日系企業の進出も進んでいます。
今回は、そんな台湾の百貨店・ショッピングセンター業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
読了時間の目安:5分
[toc]
2022年 台湾の百貨店・ショッピングセンター(流通・小売)業界
2022年百貨店業の年間業績が過去最高を記録〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
新型コロナウィルス流行の影響を大きく受けた2年間の不況を経て、2022年に百貨店業界は急回復を見せ、年率15.19%増の3,946億台湾元となった。また、成長率・売上高共に過去最高を更新し、コンビニ業界を抜き再び最大の総合商品小売チャネルとなった。
2022年には合計12のショッピングモール及び百貨店の売上高が100億台湾元を超え、2021年と比べると板橋大遠百と華泰outletの2カ所が業績を伸ばし、新たに加わった。
百貨店の閑散期と繁忙期の傾向は非常に規則的であり、四半期別で見ると、第4四半期はクリスマスや大晦日などの記念日のお祝いが消費を牽引する為、売上高は年間最高となり全体の30%以上を占める。続いて、母の日のある第2四半期、次に旧正月に関する福袋商機などにより売上高が伸びる第1四半期となる。
出典:https://dmz26.moea.gov.tw/GA/visualize/VisDashboard.aspx?d=2
台湾初のららぽーとが台中にグランドオープン〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
三井不動産グループ初の台湾地域型ショッピングモール「ららぽーと台中店」は、2023年2月の旧正月前に南館が先行して試験運営を開始し、2ヶ月で100万人以上の来場客を集めた。その後4月に北館も試験運営を開始し、2023年5月16日には両館合わせて300の売り場が揃う予定である。
南館の試験運営ではまだ40店舗しか出店していないものの、圧倒的な混雑に加えて業績も悪くなく、初月で5億台湾元を突破した。南館と北館を合わせた目標額は90億台湾元になる見通しである。
三井不動産は、昨年総売上高174億台湾元を記録した既存の北・中・南の3つの“アウトレットパーク”に加え、“ららぽーと”も北・中・南の3店舗を予定するなど、台湾の商業施設マップを構築中である。
出典:https://www.mitsuifudosan.co.jp/tw/corporate/news/2023/0322/download/20230322.pdf
宏匯と環球が新竹高速鉄道駅周辺開発権を獲得〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
2023年2月23日の発表によると、交通部鉄道局の「高速鉄道新竹駅特定地区開発運営事業」において、宏匯グループと環球購物中心が共同で結成した“宏匯企業連盟”が、70年に渡る新竹高速鉄道駅周辺開発権を獲得した。
「高速鉄道新竹駅特定地区開発運営事業」は、敷地面積約15,000坪、延床面積は最大32,400坪で、将来的に新竹で最も高いランドマークとなる南北ツインタワーのオフィスビルやビルを繋ぐスカイブリッジ、駅型スマートショッピングモール、森林公園等が建設される予定である。
プロジェクトの計画と設計は完了しており、県政府からの建築許可を取得次第建設を進めて行く予定で、推定投資額は155億台湾元となっている。プロジェクトは2期に分けて進められ、第1期では26階建ての北棟、第2期は42階建の南棟が、2027年と2029年にそれぞれ完工予定である。
出典:https://www.hsinchu.gov.tw/News_Content.aspx?n=153&sms=8603&s=249229
遠百竹北グランドオープン開幕式に数千人参加〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
遠百竹北が2023年1月11日にグランドオープンし、開幕式典には遠東百貨店の会長、新竹県長や竹北市長を含む著名なゲストが出席し、数千人が参加する前例のない盛大な式典となった。
遠百竹北は試験運営開始以来高い話題と人気を維持しており、現地の文化遺産と合わせて台湾民族である客家文化の新たな提案も行なっている。試験運営期間の年間実績は、想定していた50億台湾元の目標を大きく上回り65億台湾元となった。
遠東グループは、竹北市の発展を計画している県政府とBOT協定を締結し遠百竹北を建設しており、グランドオープンにより竹北しは更に活気が増し、地域経済の発展・成長の牽引が期待されている。BOT契約によると、県政府は遠百竹北から家賃と固定ロイヤリティに加え、年間売上高の3%のロイヤリティを徴収する。
出典:https://www.feg.com.tw/tw/news/news_detail.aspx?id=9930
台中の百貨店市場わずか1年で100億台湾元増加〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
2023年1月4日の発表によると、新型コロナウィルスの流行が沈静化する中、台中市の百貨店小売市場は好調となっている。流行の影響を大きく受けた2021年の消費規模は690億台湾元であったのに対し、わずか1年で100億台湾元の増加を見せ、2022年の消費規模は年率14.5%増加の790億台湾元に達した。
2022年台中市の百貨店小売市場の売上高を店舗別で見ると、台中新光三越が245億台湾元に達し過去最高を更新し続け、12年連続で台湾全国の百貨店の“店舗王”の座に輝いた。また、隣接する台中大遠百の売上高は203億台湾元で、初めて200億台湾元を超え年間成長率が20.8%増加となった。
業界分析によると、台中新光三越と台中大遠百は台湾中部の7つの県と市への磁気誘致効果を高め続けている。加えて、台中市に中小企業が多い事や、第7期新市政センターの豪邸が集まって形成されているなどの影響により、高品質商品の消費の勢いが増し、業績の安定成長を後押ししている。
出典:https://www.invest-taichung.com.tw/2022%E5%B9%B4%E5%85%A8%E5%8F%B0%E7%99%BE%E8%B2%A8%E5%BA%97%E7%8E%8B%E3%80%81%E5%BA%97%E5%90%8E%E5%87%BA%E7%88%90%EF%BC%81%E7%AB%9F%E7%84%B6%E9%83%BD%E5%9C%A8%E9%80%99%E5%80%8B%E7%B8%A3%E5%B8%82/#:~:text=%E8%87%B3%E6%96%BC%E4%B8%AD%E5%8F%8B%E7%99%BE%E8%B2%A8%E5%8E%BB%E5%B9%B4,%E5%85%83%E3%80%81%E5%B9%B4%E5%A2%9E18.2%25%E3%80%82
2021年 台湾の百貨店・ショッピングセンター(流通・小売)業界
台湾に進出のSOGO百貨店、ISO 45001認証取得〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
遠東SOGOデパート(以下、SOGO)は、企業の持続可能性を重要視しながらデパート小売業界を牽引している。今回「ISO45001職業安全衛生管理システム」を取得した。同社は長期にわたって職業安全衛生に注力しており、特に職員の幸福、健康、安全を重視し、職場環境の構築に取り組んでいる。
同社の黃晴雯会長は、今回の認証の対象であるSOGO忠孝館はSOGOの第一店舗であったため、認定を取得したことは非常に意義があり、時代とともに前進していくSOGOを代表していると述べた。
ISO 45001職業安全衛生管理システム認証授与式には、黃晴雯率いるSOGO労働安全チームが出席。BSIイギリス標準協会の台湾支部のゼネラルマネージャーである蒲樹盛と、リーダーシップおよび企画管理のゼネラルマネージャーである王聖源がスピーチを行い、この認証を通じてより多くのデパート・小売業者に職業上の安全と健康を重視するよう呼びかけた。
出典:SOGO https://www.sogo.com.tw/csr/4-1_detail.php?pid=247
台湾の遠百信義A13、3つの「百万記録」を樹立〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
遠百信義A13が2020年1月19日に正式オープンした。3週間の短いプレオープン期間中には、「100万人の来店」「インターネット上で300万人以上の閲覧者の獲得」「4階に位置する旧市街設計にて100万枚以上の写真がアップロード」という3つの百万記録を樹立した。
遠百信義A13は遠百の第5世代の店舗であり、テクノロジーの新経済形態と結合している。店舗に入っているブランド属性にも「革新的な」特長があり、未来のAIおよびIoTのトレンドに沿っている。
将来的には、デパートにAR/VRなどのテクノロジーアプリケーションを導入する予定。さらに、2021年初めには竹北的遠東新世紀ショッピングモールをオープンする予定。
IKEA台湾、家具のレンタルサービスを開始〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
台湾でIKEA家具レンタルサービスが開始された。IKEAがレンタルサービスを提供するのはこれが初めてではないが、空間設計から回収・修理まで全てが揃った形でのレンタルサービスは初めてである。
台北101ビル事業営業運営長である劉家豪は「2020年に35階の公共スペースを改装する際、廃棄物を減らすことができることを願っている。使用する家具と装飾材料は、回収性と再利用性を考慮しており、IKEAも同じような概念があったため、私たちはIKEAと協力することとした」と述べた。
IKEAは企業が必要とする家具や装飾品を提供し、契約期間終了後にそれを回収する。中古家具の清掃・改修後、割引価格で再度販売またはレンタルする。伝統的な家具の「製造・購入・使用・廃棄」モデルを打ち破り、循環経済の「サービスとしての製品」の概念を実現した。
出典:Taipei101 https://www.taipei-101.com.tw/tw/corporate/story/bdce27b4-7674-4a74-8418-32bbc99ffe92
台湾にも進出のSOGO、アジア企業社会責任賞にてダブル受賞〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
遠東SOGOデパート(以下SOGO)は、新たなCSRを創造した。「アジア企業社会責任賞」では、「新食器時代4.0、プラスチック削減、廃棄物削減、そして永遠の健康」と「従業員と社会の健康を守り、幸せな職場をつくる」という2つのプロジェクトにて、グリーンリーダーシップ賞と人力投資賞を受賞し、デパート業界で唯一のダブル受賞となった。
SOGOは3回目となる「アジア企業社会責任賞」の選考に参加し、合計5個の受賞を果たし、SOGOのCSRが国際的に認められていることを示した。
SOGOでは、福利、ヘルスケア、精神的成長、職場の安全などの面から段階的にアプローチし、社会の変化や職員の需要調査とともに、異なったコンテンツを追加して職場環境を整えている。例えば労働健康サービスの医師や看護スタッフの設置に加えて、健康保護サービスの医務室を提供し、職業安全と健康促進に関する専門家や学者を招いて従業員の健康を促している。
出典:SOGO https://www.sogo.com.tw/csr/4-1_detail.php?pid=246
デパートにとって最も困難で革新的な1年、台湾〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
新型コロナウイルスの流行は止まらず、実店舗で買い物をする人は減っている。4月15日の母の日に、遠東百貨の総支配人徐雪芳は、遠百新義A13のスカイランタン祈福イベントに出席し 「今年はデパートにとって最も困難な年であり、プレッシャーがあるが、今こそイノベーションの時である。」と述べた。
4階の美食街(フードコート)にある最も大きいランタン上には、タブレットに書かれた文字がプロジェクションマッピングによって映し出され、今後スタートする「速利便」(顧客が店舗外で受け取って自宅で試着できるサービス)を宣伝した。
2020年1〜2月のデパートの全体的な業績はかなり安定していたが、3月には大幅な衰退がみられた。第一四半期は遠百新義A13の新店舗とプロモーション活動によって成長を維持したが、4月は課題に直面している。4月の母の日の消費の動きをみながら、なるべく楽観的になるようにしていると総支配人徐雪芳は述べた。
出典:遠東百貨 https://www.feds.com.tw/CSR/Home/NewsDetail?NSN=10276
2020年 台湾の百貨店・ショッピングセンター(流通・小売)業界
SOGO、CO2削減に貢献!環境保護局から表彰。台湾にも出店〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
2019年11月18日の発表によると、SOGOは2015年の炭素標識の申請を機に、デパートリテールにおけるPCRの定義を定め、関係企業を含めた80万社がこの定義を基にCO2排出量の削減を目指した。特にSOGO天母店は3年で25%のCO2削減に成功した。これは法規で定められたCO2削減量の7倍だったため、昨年デパート業界で初めて「CO2削減標識」を獲得した。
SOGOは、アジア第一のグリーンデパートになることを目標として、短・中・長期の目標を定めて、段階的に実行してきた。CO2標識とCO2削減標識のほか、ISO 50001エネルギー資源管理システムを導入し、各店舗に徹底して実行してきた。
SOGOは子供たちに「三枚の葉の秘密」というCO2削減教育を題材とした絵本を贈呈し、コミュニティにおけるCO2削減の支援をしてきた。デパート内でも「CO2減少の旅」というイベントを行い、子供たちの環境保護思想を育んでいる。低CO2食生活・季節の食材・空容器の回収・マイ箸持参なども呼びかけている。
出典: https://www.sogo.com.tw/csr/4-1_detail.php?pid=234
台湾の遠東デパート、スマートモール化を推進〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
遠東デパートは、新しい世代のリテールに向けて、信義A13店のようなショッピングモールのスマート化を推し進めるため、デジタル部門の資本支出を増加させた。「デジタル運営、デジタル体験、デジタルマネージメント」へと発展させ、最終的に伝統的なリテール経営スタイルからの脱却を狙っている。
また、将来のデパート幹部生を育成するため、遠東デパートは「幹部候補生の育成ブループリント」を完備した。「幹部候補生の育成ブループリント」は九大カテゴリーを設け、50以上もの育成カリキュラムを準備している。
さらに、「Yes , FEDS Can外国語プラクティス」と呼ばれる活動を推進し、職場におけるスタッフの英語力を向上させる努力もしている。
出典: https://www.sogo.com.tw/csr/4-1_detail.php?pid=234
台湾の遠東巨城ショッピングモール、母語文化を推進〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
元々台湾は多民族・多言語文化の国のため、独特な文化遺産を有するはずだが、国連教育科学文化機関は台湾を母語絶滅危機エリアに指定した。
そのような中、遠東巨城ショッピングモールは、「ステージ」及び「人盛り」の重要な資源を有しており、それを音楽とショーに結び付け、文化保存の重要性を喚起し、母語の継承を促進することを目的に、新竹アカペラ国際藝術祭を主催した。
アカペラ国際藝術祭(Vocal Asia Festival)はアジア最大規模のアカペラ祭で、毎年アジア各地で主催するアカペラ形式の音楽と民謡ショーである。遠東巨城ショッピングモールは2018年に主催権を勝ち取り、民間企業でありながら、政府及び学術組織と結合することで、アカペラ国際藝術祭に新しいスタイルを導入することに成功した。出演チームは台灣、日本、韓国、中国、シンガポール、マレーシア、フィリピン、香港、アメリカ、イギリス、イタリア、フィンランドの計12か国。
出典:https://www.febigcity.com/csr/index/news_info.aspx?CDE=NWS19111115381067008https://www.febigcity.com/csr/index/Stories_info.aspx?CDE=STO19060417521990487
台湾カールフールの「ローカルグルメと芸術祭」〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
宜蘭県政府とカールフール文教基金会が4/19から4/21にかけて、10年目の「ローカルグルメと芸術祭」を主催した。このイベントでは、コミュニティ・農業・青年創業・芸術の四台方面から出発し、宜蘭県のグルメと文化にまで展開する。
劇の演出に関しては、采風樂坊、阮劇團、紙風車劇團など、台湾を代表とする劇団を招き、昼夜に渡り演出した。販売に関しては、ローカルな視点からブース販売・講演・商品展覧などを催した。
同イベントは、イベント終了後も宜蘭県で「ローカルグルメと芸術祭」とグローバル性のプラス影響が続くことが最大の狙いである。特にImpact Hub Taipeiとの協力のもと開催した「CreativeMornings講座」では、宜蘭県出身チームと社会企業が参与することから、宜蘭県に大きな影響を与えるだろうと期待されている。
出典: http://carrefour.org.tw/news_view.php?no=187
SOGO、「台湾企業永続賞」受賞の理由とは?〜百貨店・ショッピングセンター業界動向〜
台灣永続的エネルギー資源研究基金会は2019年11月28日、長年経営実績のある企業を対象として「全世界及び台湾の企業永続賞」の授与式を行った。今年、遠東グループは関係企業の9社を含め、38賞を獲得した。会長の徐旭東はグローバル企業永続賞(GCSA)傑出人物世界賞(Professional-World Class)を獲得した。
遠東SOGOデパートは、連続五年間賞を獲得している。今年は第三回目の「トップ50台湾永続企業賞」、第四回目の「コミュニティ共存賞」を受賞した。同時に、デパート業で初めて「気候配慮のリーダー賞」を受賞した。
SOGOは、アジア第一のグリーンデパートになることを目標として、グリーンマーケティング・CO2削減教育・エネルギー資源の整合を実行してきた。SOGOの2016-2018年にかけての電気料金は7.27%も減少しただけでなく、収益も増加した。SOGO復興店は2018年、温室効果ガスの検査声明書を取得した。
出典:https://www.sogo.com.tw/csr/4-1_detail.php?pid=235
まとめ:台湾の百貨店・ショッピングセンター業界
環境を意識した取り組みに加えデジタルを用いてスマートモールを目指すなど、今までとは異なる経営方針がまさに取り組まれています。顧客により強い印象を与え他店との差別化を図るためにも、まずは既存の小売店にとらわれない新たなスタイルが求められるでしょう。
台北在住の台湾人。日本の東北大学で修士号取得後、7年以上IT企業でマーケティングを担当。デジタルマーケティングと市場分析の専門家として、製品の市場導入とブランド戦略を得意とする。