テクノロジーやデータサイエンスの活用が進むアメリカのドラッグストア業界では、それらのリソースを持つ企業との提携や買収によるイノベーションが推進されています。
今回は、そんなアメリカのドラッグストア業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2022-2023年 アメリカのドラッグストア(流通・小売)業界
CVSがSignify Healthを買収〜ドラッグストア業界動向〜
大手ドラッグストア・医療サービス企業であるCVSは、Signify Healthの買収を完了したと発表した。Signify Healthは全米50州に10,000人以上の臨床医を擁するテクノロジーとサービスのリーディングカンパニーである。
今回の買収で、メディケア・アドバンテージの顧客に対して、ケア提供能力の向上、コスト削減、エンゲージメントレベルの改善、質の高いケアへのより良いアクセスを可能にすることに取り組んでいく。CVSは家庭での存在感を高めることで、バリュー・ベース・ケア戦略を推進する。
Signify Healthの臨床医は、CVSが保有する独自のリソースと連携することで、すべての人にとって必要な時に必要なケアを提供することができ、より幅広いサービスを提供できるようになる。
出典:https://www.cvshealth.com/news/company-news/cvs-health-completes-acquisition-of-signify-health.html
Walgreens Boots Allianceの株式売却〜ドラッグストア業界動向〜
2023年5月11日の発表によると170年の歴史をもつ健康サービス企業であるWalgreens Boots Allianceは、世界的な医薬品調達・流通サービス会社であるAmerisourceBergen Corporationの株式を売却した。
同社は6億9400万ドルの初期資金を得る。さらに、Walgreens BootsAllianceは、約5,000万ドルの自社株買いを同時に実施した。
今回の売却は、両社の⻑期的なパートナーシップに影響を与えるものではない。Walgreens Boots Allianceは、2013年以来の強力で信頼できるパートナーであるAmerisourceBergenとの戦略的な関係に引き続き全面的にコミットする。
Rite AidとNIQが新プラットフォーム事業を開始〜ドラッグストア業界動向〜
2023年5月11日、全米3位のドラッグストアチェーンであるRite Aidは、新プラットホーム事業の「Connected Collaboration」を開始することを発表した。彼らのデータリソースと世界有数のコンシューマーインテリジェンスカンパニーであるNIQの先進的なデータサイエンス・ソフトウェアを活用する。
この取り組みにより、両社はコラボレーション・プラットフォームにおける大きな一歩を踏み出し、インサイトを真の活性化機会へとつなげる。
ユーザーは、この機能を統合することで、パーソナライズされたオファー、デジタルクーポン、小売メディアをプラットフォーム上で直接作成、管理、測定できるようになる。両社は同じインサイトを活用して顧客の関連性を強めることができる。
Albertsons CompaniesのEC売上が28%増加〜ドラッグストア業界動向〜
大手食料・医薬品小売企業であるAlbertsons Companiesは、2022年度通期決算を発表し、前年比EC売上が28%増加したことを発表した。
Albertsons Companies CEOVivekSankaranは「2022年度全体の業績は、顧客をすべての活動の中心に据え、毎日、毎週、そして生涯にわたってサポートすることを最終目標とする“Customers forLife”変革戦略の展開により、さらに加速された」と述べた。
順調な成功と裏腹に、同社はこれからの不透明な経済情勢を悲観的に見ている。今後、COVID-19ワクチンや家庭用検査キットの売上が減少するより厳しい消費環境を見込んでおり、これらの逆風への施策も必要であると捉えている。
WalmartとCareSourceが協定締結〜ドラッグストア業界動向〜
世界最大のスーパーマーケットチェーンであるWalmartは、非営利で全米で認知されているマネジメントケア組織であるCareSourceと、人種間の健康格差に対処するための独自の協定を締結したことを発表した。
協定はオハイオ州で開始され、心臓代謝疾患患者に焦点を当てる。Walmartの店舗内コミュニティヘルスワーカーを、地域資源、ライフスキル支援、健康リテラシー教育などを行うCareSource会員として登録する。
対象となるCareSource会員は、毎月の食費、Walmart+のメンバーシップ、健康状態の改善を支援する遠隔栄養サービスの利用を受けることができる。さらに母子保健プログラムにも協力し、積極的なライフスタイルの変化を支援、全米で2番目に妊産婦死亡率の高いジョージア州における母子保健の成果を向上させる予定。
2021年 アメリカのドラッグストア(流通・小売)業界
CVS総売上が前年比8.7%増加〜ドラッグストア業界動向〜
2022年2月9日、大手ドラッグストア・医療サービス企業であるCVSは2021年の営業成績を発表した。その中で、総収入が前年比8.7%増の2,921億ドルになったことを発表した。総収入の増加は、前年同期に比べCOVID-19関連の投資額が減少したことが要因として大きい。
CVSは、オムニチャネル健康戦略の加速を支援するため、新しい店舗フォーマットの更なる構築や、進化する顧客ニーズに合わせた小売拠点の最適化、特定の場所での店舗密度の低下や2022年から2024年の間に約900店舗の小売店舗の閉鎖するなどのいくつかのステップを発表した。
さらに、総売上増加を受け、年間株主配当金の10%増額と、100億ドルの自社株買いプログラムを認可した。
出典:https://www.cvshealth.com/news/community/cvs-health-reports-results-2021-q4.html
AlbertsonsとKrogerが合併契約締結〜ドラッグストア業界動向〜
大手食料・医薬品小売企業であるAlbertsons Companiesは、総合スーパーマーケットチェーンであるKrogerとの合併契約を締結したことを発表した。
この合併により、スーパーマーケットの系列会社を通じて、顧客リーチを拡大、近接性を向上させ、新鮮で手頃な食料の最高なオムニチャネル体験を約8500万世帯に届ける予定。
Krogerの会⻑兼CEOであるRodneyMcMullenは「我々は、顧客、従業員、地域社会、株主に優れた価値を提供する。新しい地域に拠点を拡大し、より多くの国⺠に新鮮で手頃な食料を提供し、非組合員の競合他社に代わるより魅力的な選択肢としての地位を加速させるために、2つの組織を統合する」と述べ、統合会社の会⻑兼CEOを務める。
CareCentrixの株式を過半数取得〜ドラッグストア業界動向〜
2022年8月31日、アレンザファルマシューティカ(のちのアライアンスユニケム)が合併してできた健康サービス企業であるWalgreensBoots Allianceが、ヘルスプラン、患者、プロバイダーのために在宅ケアをコーディネートするCareCentrixの過半数株式を取得したことを発表した。
Walgreens Boots Allianceは、CareCentrixへの過半数出資により、プライマリーケア、専門薬局でのケア、ポストアキュートケア、ホームケアなど、さまざまな場面で質の高いヘルスケアを提供する能力を加速させる。
Walgreensの医療サービスと地域社会での存在感を、CareCentrixのテクノロジーを活用した在宅ケアソリューションと結びつけることで、複雑な疾患や慢性疾患を持つ人々が病院から退院する際のニーズによりよく対応することができる。
GrubhubとRite Aidが提携し、全米配送を開始〜ドラッグストア業界動向〜
2022年11月17日の発表によると、米国の大手食品注文・配送マーケットプレイスのGrubhubと全米3位のドラッグストアチェーンのRite Aidは、Rite Aidのドラッグストア商品数千点を顧客の玄関先まで届けるために提携した。
今回の提携により、Grubhubが提供するドラッグストアやコンビニエンスストアを拡大し、お客様が健康を維持するためのアイテムをすぐに手に入れることができるようになる。
16州の2,000以上の店舗がGrubhubMarketplaceで配達を受けることができる。風邪やインフルエンザのシーズンは12月から2月にかけてピークを迎えており、2022年はすでに呼吸器系の感染症が多く、早くも増加傾向にある。
WalmartがTiktokやSnapchatと提携〜ドラッグストア業界動向〜
世界最大のスーパーマーケットチェーンであるWalmartは、短尺の動画をシェアできるスマートフォン向けのサービスを提供するTikTokやSnapchatなどを含む企業とのイノベーションパートナープログラムを発表した。
多角的な実験文化を創造することで、サプライヤーと売り手が購買経験を通じて顧客とつながるための新しい方法を改善する。これはイノベーションを起こすためのパートナーシップとなる。
これらの戦略的パートナーシップは、ソーシャル、エンターテインメントなどによる「テストと学習」の機会を提供する。各パートナーと連携することで広告主とお客様をより深く結びつけ、広告主にとって最適なソリューションを提供していくことを目標としている。
ワシントン在住の日本人。大学卒業後、日本で外資系メーカーに勤めており、営業とマーケティングを経験。マーケティングは発売予定の製品周りの広告、パッケージや販促、イベントやデジタルプラットフォームの使用等様々な側面に関わり、年に1−2回ある新商品発売に向けて取り組む。渡米してからはフリーランスでスタートアップにマーケティングやマーケティングリサーチのサービスを提供し、プロジェクトベースで様々な依頼に応えている。