歴史ある高級百貨店であるMacy’sや、全米に広く展開する百貨店チェーンKohl’sなどが、景気の影響を受けた不振となっているようです。一方で、好調に利益を伸ばすディスカウントデパートチェーンも見られます。
今回は、そんなアメリカの百貨店・ショッピングモール業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2022-2023年 アメリカの百貨店・ショッピングモール(流通・小売)業界
Kohl’sの2022年売上高が前年同期比7.2%減少〜百貨店・ショッピングモール業界動向〜
アメリカ合衆国に本社を置く大手百貨店チェーンのKohlʼsは、2022年第4四半期の売上高が前年同期比7.2%減少の58億ドル減、既存店売上高は6.6%減少したことを発表した。2022年全体では、売上高は、前年同期比7.1%減少の172億ドル減となり、既存店売上高は6.6%減少した。
これらの結果を受け、Kohlʼsの最高経営責任者であるトム・キングスベリーは「Kohlʼsの第4四半期の業績は、2023年に向けて事業をより良く位置づけるために行った施策と、継続的なインフレ環境による売上圧迫を反映している」と述べた。
2023年度についても、Kohlʼsはバランスシートの強化に注力する一方、2%から4%の売上減少を見込んでいる。通期の利益は、1株当たり2.10ドルから2.70ドルの範囲に落ち込むと予想される。
TJX Companiesの米国内既存ストアでの売上4%増〜百貨店・ショッピングモール業界動向〜
アメリカの多国籍ディスカウントデパートのThe TJX Companiesは、2023年2月22日、第4四半期およびFY23の業績を発表した。当初の計画を超えて、第4四半期の米国内既存ストアでの売上高は4%増加したことがわかった。
The TJX Companiesの最高経営責任者兼社⻑であるアーニー・ハーマンは「第4四半期の米国内既存店売上高は計画を大幅に上回る4%の伸びを示し、米国内の客数も増加した。⻑期的には、600億ドル超の企業になるための道を歩んでいると確信している」と述べた。
第4四半期は、30億米ドルの営業キャッシュ・フローを創出。また、2023年度通期では、41億ドルの営業キャッシュ・フローを創出し、55億ドルの現金を保有した。
Neiman Marcus GroupがFerragamoと提携〜百貨店・ショッピングモール業界動向〜
2023年3月13日、アメリカの百貨店チェーンのNeiman Marcus Groupは、新カテゴリーを拡大し、ラグジュアリー顧客向けにFerragamoとの提携で限定商品や店舗内アクティベーションを展開する予定であると発表した。
Neiman Marcusは、Ferragamoとの提携により、新クリエイティブ・ディレクター、マキシミリアン・デイヴィスのデビューコレクションをレディース・プレタポルテ部門に追加する。
一部米国店舗では、ラグジュアリー体験に革命を起こすべくFerragamoとのポップアップを開催している。特別なアクセス、ワールドクラスのサービス、唯一無二の体験、そしてエキスパート・スタイル・アドバイザーとのプライベート・ショッピングが体験できる。
Macy’sブランド買い物客が前年比約4%減少〜百貨店・ショッピングモール業界動向〜
アメリカ合衆国ニューヨークに本部がある百貨店のMacyʻsは、2022年第4四半期および通期決算を発表した。Macyʼsブランドで買い物をしたアクティブな消費者は4,270万人で、前年度比4%の減少、ライセンスベースで3.3%減少となった。
減少の理由として、政府による景気刺激策の不足にともなう消費者のマクロ経済への影響と、業界を牽引する小売業の競争環境の激化を反映しているとMacyʻsは予測している。
2023年以降に向けて、Macyʻsブランドの再構築、オンラインマーケットプレイス、ラグジュアリーブランドの加速をさらに強め、モダンデパートのポジショニングを強固なものにするとジェフ・ジェネット(会⻑兼最高経営責任者)は述べた。
Ross Storesが配当金8%増額を発表〜百貨店・ショッピングモール業界動向〜
アメリカのディスカウントデパートチェーンのRossStoresは、2022年度第4四半期および会計年度決算を発表した。
第4四半期の純利益は4億4,700万ドルで、1株当たり利益が1.31ドル(前年︓1.04ドル)となった。2022年第4四半期の売上高は52億ドルで、既存店売上高は2021年同期の9%増に加え、1%増加。第4四半期の営業利益率は、2021年の9.8%に対し、10.7%と増加。順調な成⻑を見せた。
これらの結果を受け、バーバラ・レントラー最高経営責任者は「非常に競争の激しいホリデーシーズンにおいて、品揃えの改善とより強力なバリュー商品へのお客様の好意的な反応により、第4四半期の売上と利益が当社の指針を上回った」とコメントした。
2021年 アメリカの百貨店・ショッピングモール(流通・小売)業界
Neiman Marcus Groupが50億ドルのGMV達成〜百貨店・ショッピングモール業界動向〜
アメリカの百貨店チェーンのNeiman Marcus Groupは、2022年度に80%のフルプライス販売に支えられ、50億ドルの流通取引額(GMV)を達成し、前年同期比を上回る売上総利益率を拡大した。
これにより、FY22のEBITDA利益率は11%となり、ラグジュアリーリテール統合モデルの強さを実証した。
NMGの高所得消費者層は、厳しい経済サイクルの中でも忠実であり続けている。上位2%の顧客が総売上の約40%を牽引しており、上位顧客の80%は、少なくとも100万ドルの純資産を有している。また、平均的な購買額は年間25,000ドル以上で、年間25回以上をNMGで購入しているとみられる。NMGは上位顧客との永続的な関係性を築き、90%以上のトップカスタマーリテンションをこれからも目指していく。
Kohl’sがBuffalo David Bitton Brandと提携〜百貨店・ショッピングモール業界動向〜
2022年8月5日の発表によるとアメリカ合衆国に本社を置く大手百貨店チェーンのKohlʼsは、50周年を迎えたカナダのBuffaloDavidBittonと提携することを発表した。
大手デニムブランドのポートフォリオに、カジュアルなライフスタイルの選択肢を追加し、男性・女性向けに提供する。
同製品は2023年より600以上の店舗とKohls.comのオンラインショップで販売された。BuffaloDavidBittonやLeviʼsSilverTabなど、最新のスタイルとフィット感を備えたデニムやアパレルを取り揃え、キッズから大人まで幅広いサイズに対応する。
NordstromがWollman Rinkと提携〜百貨店・ショッピングモール業界動向〜
2022年10月5日、NordstromはWollmanRinkとの初の提携を発表した。セントラルパークにあるニューヨークの象徴的な施設であるWollmanRinkを訪れるすべての人に、ユニークで思い出に残るホリデーテーマを提供する。
ホリデー期間にはセントラルパークに”Nordstrom ChillLounge”を設置し、様々な体験を提供する。
「ニューヨークのホリデーシーズンには欠かせない、セントラルパークでのアイススケートを提供するWollmanRinkとNordstromの2つの組織が協力することで、地元の人々や観光客がホリデーシーズンを楽しめる他にはない取り組みが実現できる」とNordstrom最高店舗責任者であるジェイミー・ノードストローム氏はコメントした。
SimonがJamestownとの戦略的提携を発表〜百貨店・ショッピングモール業界動向〜
2022年12月19日、アメリカのショッピングセンター運営大手のSimonは、世界的な不動産投資・運用会社のJamestownとの戦略的提携を発表した。Simonは、Jamestownとの戦略的提携は、Jamestownの株式50%取得を意味し、これからの収益に大きく貢献するものであると期待している。
Simonはこの提携で、Jamestownの経験豊富なファンドマネージャーや多くの複合施設を保有するプラットフォームを活用することでSimonの将来のプロジェクトをさらに加速させる。
現在、一般的な百貨店やショッピングモールはオンライン販売や新型コロナウイルスの影響で厳しい状況にある。Simonは、百貨店への依存を見直し、事業の多角化を果たすことができるのか、これからの動きに期待である。
ビバリーヒルズ5年再開発計画〜百貨店・ショッピングモール業界動向〜
HudsonʼsBayCompanyは、カリフォルニア州ビバリーヒルズのウィルシャーブルバード周辺のSaks FifthAvenueの関連物件を修復、開発、活性化する意欲的な5年計画を発表した。
再開発計画は、HudsonʼsBayCompanyがSaks FifthAvenueとHudsonʻsBayの店舗、およびEコマース事業のSaksと、テクノロジー、小売、不動産事業をさらに活性化させるという全体的な戦略転換の一環として行われる。
歴史的なサックスビルの修復や、会員制クラブ、地下駐車場を追加することで車両循環の改善を目指すなど、ビバリーヒルズの商業の中心を21世紀へと導く方法で、再開発される計画である。
ワシントン在住の日本人。大学卒業後、日本で外資系メーカーに勤めており、営業とマーケティングを経験。マーケティングは発売予定の製品周りの広告、パッケージや販促、イベントやデジタルプラットフォームの使用等様々な側面に関わり、年に1−2回ある新商品発売に向けて取り組む。渡米してからはフリーランスでスタートアップにマーケティングやマーケティングリサーチのサービスを提供し、プロジェクトベースで様々な依頼に応えている。