いまや買い物の主流となってきている通販・ネット通販業界において、アメリカではライブストリームとショッピングの融合や、VR・ARを活用したショッピングサービスがリリースされており、まさに最先端の市場と言える業界でしょう。
今回は、そんなアメリカの通販・ネット通販業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2023年 アメリカの通販・ネット通販(流通・小売)業界
Amazonの新しい返品システム〜通販・ネット通販業界動向〜
2023年4月24日の発表によるとAmazonは顧客が返品時に面倒に感じる、箱やテープを探したり、返品用のラベルを印刷したりする手間を一切なくした。
アプリなどでAmazon返品センターからQRコードを取得した後、そのままの商品を店員に手渡すだけで、店員が無料で梱包し、ラベルを作り、返品センターまで発送する。
返品は全米のAmazon storeやKohls(デパート)、Whole Foods(スーパー)、UPS(配送業)で可能。顧客に「Amazonには豊富な品揃え、迅速な配送、低価格、簡単で手間のかからない返品があるため、安心して購入できる」と感じてもらうことが目的で開始された。
出典:https://www.aboutamazon.com/news/operations/free-returns-with-no-box-tape-or-label-needed
QurateがライブストリームアプリSuneをリリース〜通販・ネット通販業界動向〜
2023年4月4日の発表によると米国最大手のTVショッピング会社のQurateはライブストリームアプリSuneを開発した。同サービスは、既存サービスよりも若い世代をターゲットにしている。
個人の好みに合わせたビデオコンテンツをWebでのオンラインショッピングやアプリ内ショッピングでの行動と統合するように設計されており、消費者はより欲しいものを効率的にブラウジングできる。
気に入れば、フィード内で商品を直接購入できる。また、好きなインフルエンサーやコンテンツクリエイターをフォローし、超人気商品から貴重な限定商品まであらゆるものを探索できる。
SHEINが米国の大学と奨学金プログラムを開始〜通販・ネット通販業界動向〜
中国系のファッションEコマースSHEINは米カリフォルニア州にあるFashion Institute of Design&Merchandising大学と提携し、奨学金基金と、SHEIN Xコレクションで販売する商品をデザインするクラスに48万ドルを投資した。
実際に12人の学生がプログラム参加に選ばれ、彼らは$40,000の奨学金を得た。彼らのデザインした服はSHEINで販売される予定である。
SHEINは2021年から同様のプログラムに5,500万ドル以上を投資しており、製品開発から物流に至るエンドツーエンドのプロセスを参加者に指導している。さらに、SHEIN Xデザイナーは、プロジェクト後も自身のSHEIN Xデザインの所有権を維持することができる。
老舗ゲームストアがeBayで世界に出店〜通販・ネット通販業界動向〜
スーパーポテトはレトロな中古ゲームソフト・機器を扱う日本のゲーム屋で、現在全国に7店舗ある。特に秋葉原店は外国人客に人気のある店舗だったが、コロナ禍で客入りが激減した。
以前は実店舗での売り上げが十分だったため、ネット販売はしていなかった。しかし、2021年4月にアメリカ発のマーケットプレイスe-Bayに出店したことで、世界中のゲーム好きコレクターと繋がり、売上を取り戻しただけでなく、世界中から注目されるストアとなった。
スーパーポテトは、ゲームストアであると同時にアートギャラリーでもある。eBayを利用して、増え続ける世界中のヴィンテージビデオゲームファンを魅了している。
出典:https://www.ebayinc.com/stories/news/super-potato/
DoorDashがDashPassを開始〜通販・ネット通販業界動向〜
フードデリバリーサービスのDoorDashは大学生を対象とした月額$4.99の会員割引サービスDashPass for Studentsをリリースした。会員の学生はキャンパス内外で、全米で数千件以上ある対象の食料品店やレストランから、必要なものをすべてDoorDashでオンデマンドで便利にお得に注文できる。
会員特典内容としては、デリバリー無料、注文金額から10%オフになる他に、対象注文ごとに5%のDoorDashクレジットが還元されるなどの会員限定プロモーションもある。
DashPass for Studentsメンバーシップは、米国の認定大学のすべての学部生および大学院生が入会可能である。
2022年 アメリカの通販・ネット通販(流通・小売)業界
NordstromがアプリでAR体験を実装〜通販・ネット通販業界動向〜
2022年12月6日の発表によると老舗人気デパートのノードストロームは300種類以上の紳士靴、婦人靴、子供靴に対して、360度手に取るように見る事ができるARを実装した。
この機能により、顧客はまるで商品が物理的に目の前にあるかのように、高解像度で商品を間近で見ることができる。顧客は、あらゆる角度からズームインまたはズームアウトしたり、自宅の空間に商品を動かし、自分の手持ちの服にどのようにフィットするか見る事ができる。
ARの体験から顧客は欲しい商品をより適切に評価できるようになり、自分に合わないものを避け、オンラインショッピングへの満足感が高まる事が期待される。
Wayfairがビデオコマースをリリース〜通販・ネット通販業界動向〜
Wayfair(オンライン家具・生活用品店)は体験型ビデオコマースWayfairOn Airをアプリ内に立ち上げた。WayfairOn Airでは1週間を通して様々なブランドが紹介、毎日新しいエピソードが公開される。
ショー(ビデオ)に搭乗するゲストクリエイターのリストには、有名シェフのダニー・ブーム、人気ブロガーのアミラ・マーティン、ショッピング専門家のアルバニー・アービンなどが含まれており、今後も有名人が定期的に登場予定である。
視聴者は視聴中のビデオで紹介されている商品をカートに追加することができ、ビデオの視聴から購入まで、すべてが1つのシームレスなフローで完了できる。
バーチャルハウスをThe Etsy houseがリリース〜通販・ネット通販業界動向〜
2022年9月27日の発表によると、手芸品やカスタマイズ品のオンラインショップEtsyは「TheEtsyhouse」というバーチャルハウスをリリースした。自社でとり扱う商品で満たされたデジタルホームの中を「歩く」ことができる、史上初のインタラクティブなVR体験型ショッピングプラットフォームだ。
リアルで実物大のレンダリング、シームレスなナビゲーション、360度のビジュアルを備えたTheEtsyHouseは、ユニークなバーチャルハウスである。絵画や家具など全てショッピング可能で、選択したアイテムの上にマウスを置くと、ポップアップに製品に関する詳細情報と購入へのリンクが表示される。
Etsyハウスは、世界をリードする制作スタジオ、TheBoundaryと提携して制作された。
出典: https://www.etsy.com/jp/news/the-etsy-house-opens-its-virtual-doors?ref=news
Amazon Alexaを利用したチップの仕組み〜通販・ネット通販業界動向〜
2022年12月7日より、アマゾンアレクサ(音声AIサービス機器)を持っている商品注文者が「Alexa,thankmydriver」と言うたびに、直近に荷物を配達したドライバーに注文者からの感謝の通知が送信されるサービスを開始した。
この新機能では、注文者から感謝の言葉を受け取るたびに、ドライバーは注文者の負担なしでアマゾンから追加の5ドルを受け取ることができる。
アマゾンは最初の100万件のThanksに対してこの5ドルチップを実施した。また、期間中に最も多くのThanksの言葉を受け取った5人のドライバーには、チップとは別途で10,000ドルが贈られ、ドライバーの選択した慈善団体へは追加の10,000ドルがアマゾンから授与された。
出典:https://www.aboutamazon.com/news/transportation/alexa-thank-my-driver-feature
オンラインでのジーパン購入のストレス解消へ〜通販・ネット通販業界動向〜
Old Navyは顧客が求めていた完璧なジーンズを多くの商品から簡単に選ぶためのオンラインデニムフィットガイドをリリースした。
Old Navyでは常に多くのデニムを品揃えており、異なるデザイン、股上、ストレッチ、サイズなど、現行販売だけで合計150以上のラインナップとなる。
デニムフィットガイドでは、Compare All The Fitsというツールを使い、まずは欲しいデザインを選び、そこからサイズや股上やストレッチ具合を絞り込む。ある程度絞った後は特性や商品レビューから自分にあった1本を見つける事ができる仕組みである。
出典:https://www.gapinc.com/en-us/articles/2022/07/old-navy-takes-on-the-stress-of-jean-buying-with-o
ワシントン在住の日本人。大学卒業後、日本で外資系メーカーに勤めており、営業とマーケティングを経験。マーケティングは発売予定の製品周りの広告、パッケージや販促、イベントやデジタルプラットフォームの使用等様々な側面に関わり、年に1−2回ある新商品発売に向けて取り組む。渡米してからはフリーランスでスタートアップにマーケティングやマーケティングリサーチのサービスを提供し、プロジェクトベースで様々な依頼に応えている。