アメリカ国内大手スーパーであるPublixやKrogerが大規模な投資を発表。一方で、外資系の大手スーパーであるLidlが数百人のレイオフを発表する等、アメリカのスーパー・コンビニエンスストア業界では各社がそれぞれ独自の戦略で異なる動きを見せています。
今回は、そんなアメリカのスーパー・コンビニエンスストア業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2022-2023年 アメリカのスーパーマーケット・コンビニエンスストア(流通・小売)業界
Publixが2023年の資本予算を23億ドルに増額〜スーパー・コンビニエンスストア業界動向〜
2023年3月2日の発表によると、食料品スーパーチェーンのPublixは、23億ドルを新しいスーパーマーケットの建設や、既存のスーパーマーケットの改装、ITハードウェアとソフトウェアの強化に使用すると述べている。また、倉庫の拡張や、店舗があるショッピングセンターの開発・買収も計画している。
23億ドルの資本予算は、昨年度の資本予算から約28%増となる。2022年度の売上高は545億ドルで、2021年度に比べて13.6%増加。2022年度の既存店売上高は、主にインフレによって9.9%増加した。
しかし、2022年、トップラインの売上高は増加したものの、Publixの投資は不調に終わり、純利益は激減した。純利益は29億ドルで、2021年の44億ドルから、33.9%減少した。
出典:https://www.grocerydive.com/news/publix-increases-2023-capital-budget/643965/
Lidl USが数百人の社員をレイオフ〜スーパー・コンビニエンスストア業界動向〜
2023年2月17日、ドイツ発スーパーマーケットのLidlは、米国での事業に従事する約200人の従業員を解雇すると発表。この動きは、主にバージニア州アーリントンの米国本社の従業員に影響を与える。この人員削減は、店舗の従業員には影響しないと本社は述べている。
Lidl USには約1,000人の事務スタッフがおり、約5人に1人がレイオフの影響を受けることになる。レイオフの影響を受けた従業員には、退職金が支払われるほか、キャリア移行サービス、COBRAヘルスケア継続保険への会社負担、未使用の休暇の支払いなどの追加サポートが提供される。
コスト増による収益への圧迫、価格競争力を維持するためのレイオフで、Lidlのレイオフは米国だけに限らず本国ドイツでも行われた。
出典: https://www.grocerydive.com/news/lidl-us-lays-off-hundreds-of-corporate-workers/643043/
ALDIがDoorDashと提携し、食料品を全米へ配送〜スーパー・コンビニエンスストア業界動向〜
ドイツ系のスーパーマーケットチェーンのALDIは、新しいローカルコマースプラットフォームのDoorDashとのパートナーシップを発表。このパートナーシップにより、ALDIのユーザーは38州のほぼすべての地域でALDI店舗からのお気に入りの低価格食料品やALDIFindsをオンデマンドで利用することができる。
食料品の注文は、DoorDashマーケットプレイスのアプリやウェブサイトを通じて、地元のALDI店舗からオンデマンドで行うことができ、週1回の食料品の大きな買い出しや、少しの買い物にも、このサービスは活用できる。
DoorDashの会員制プログラムであるDashPassに加入することで、全国数千のレストラン、食料品店、コンビニエンスストアからの配送料が0ドルになる。
出典:https://corporate.aldi.us/fileadmin/fm-dam/newsroom/Press_Releases/DoorDash_ALDI_Press_Release_2.20.23_FINAL.pdf
Krogerがアソシエイトに7億7000万ドル以上投資〜スーパー・コンビニエンスストア業界動向〜
食料スーパーチェーンのKrogerは、2023年中に7億7千万ドル以上をアソシエイトに投資すると発表した。同社はこの投資により、平均時給の引き上げ、ヘルスケアオプションの改善、新たなトレーニングや能力開発の機会の構築などを行う予定。
KrogerのSVP兼チーフ・ピープル・オフィサーであるTimMassaは、「従業員の全人的な幸福に投資することは、Krogerが選ばれる雇用主であるために不可欠な要素であり、最終的には顧客やコミュニティへの投資となる」と語った。
今回の投資は2018年以降に行った賃金と包括的福利厚生への19億ドルの増額投資に基づいており、これにより同社の平均時給は18ドルまたは包括的福利厚生付きの23.50ドルへと引き上げられた。
出典:https://ir.kroger.com/CorporateProfile/press-releases/press-release/2023/Kroger-to-Invest-More-Than-770M-in-Associates-in-
7-ElevenがEV用充電ネットワークを構築〜スーパー・コンビニエンスストア業界動向〜
2023年3月16日、コンビニチェーンの7-Elevenは米国内の一部の店舗でEV用の急速充電を可能にするEV充電ネットワークとそのアプリ「7Charge」を発表した。すでにフロリダ、テキサス、コロラド、カリフォルニアのいくつかの店舗で導入されており、カナダにも近日導入する予定だ。
7Chargeネットワークは、7-Elevenのトレードマークである利便性とアクセシビリティをEVドライバーに提供する。7Chargeサイトでは、あらゆるEVメーカーの充電が可能で、7Chargeアプリにて、シームレスな充電・支払い体験を提供する。
ネットワークの拡張が完了すれば、同社は北米の小売業者の中で最大級かつ最も互換性のある急速充電ネットワークを構築することになる。
出典: https://corp.7-eleven.com/corp-press-releases/7-and-8209-eleven-inc-launches-new-electric-vehicle-charging-network-7charge
2021年 アメリカのスーパーマーケット・コンビニエンスストア(流通・小売)業界
Trader Joe’sがMagnusmodeとの協力関係延長〜スーパー・コンビニエンスストア業界動向〜
2022年3月22日、アメリカのスーパーマーケットチェーンのTraderJoeʼsは、神経障害の方にとって世界を利用しやすい場所にすることを目的に、Magnusmodeとのパートナーシップを延⻑することを発表した。
TraderJoeʼsは、Magnusmodeのアプリ(MagnusCards)と提携する最初のスーパーであり、世界自閉症デーと自閉症受容月間の開始に合わせて、このアプリの提供を開始した。
MagnusCardsアプリは、デジタル化された「カードデッキ」を使って、困難や負担を感じるようなタスクやアクティビティをユーザーに案内する。Magusmodeの最初のパートナーであるTraderJoeʻsは、アプリ内で5つのTJʼs関連のカードデッキを提供している。
出典:https://www.traderjoes.com/home/accessibility/trader-joes-magnusmode-join-forces
KrogerとAlbertsonsが合併契約締結〜スーパー・コンビニエンスストア業界動向〜
2022年10月14日の発表によると、スーパーマーケットチェーンのKrogerとAlbertsonsは、象徴的なブランドと地域社会に深く根ざした2つの組織を統合すると発表した。
この合併により、KrogerはGo-to-Market戦略を加速させ、顧客リーチをさらに拡大することが期待される。また、店舗間の近接性を向上することで、より良いオムニチャネル体験を提供できるとも考えられている。これにより約8500万世帯に新鮮で手頃な食料を届けることが可能になる。
Krogerは、Albertsonsの普通株式および優先株式の発行済株式すべてを一株当たりおよそ34ドルで取得した。Krogerは、価値創造モデルを強化し、収益性を高め、株主還元を強化することを目指す。
出典:https://ir.kroger.com/CorporateProfile/press-releases/press-release/2022/Kroger-and-Albertsons-Companies-Announce-Definitive-Merger-Agreement/default.aspx
7-ElevenがSppedwayストア3,800店を買収〜スーパー・コンビニエンスストア業界動向〜
2021年7月1日、コンビニエンスストア大手の7-Elevenは、全米36州に約3,800店舗を展開するMarathonPetroleumCorp.のコンビニエンスストア部門であるSpeedwayの買収を成功させたと発表した。
この買収により、7-Elevenの北米でのポートフォリオは約14,000店舗となる。また、米国で最も人口の多い50都市圏のうち47都市圏に7-Elevenのプレゼンスを分散させ、直営店のフットプリントの拡大に繋がる。
今回の210億ドルの取引は、規制当局の承認と完了条件を前に、2020年8月に初めて発表された。当時、両社は「顧客の需要に基づいた商品やプロモーションを提供するためのベストプラクティスを共有し、両社のイノベーションの遺産を継続する」と述べた。
出典: https://www.7andi.com/en/ir/file/library/ks/pdf/2021_07kse_02.pdf
GPM investmentsがSbarroと提携〜スーパー・コンビニエンスストア業界動向〜
ARKO Corp.の完全子会社であるGPMInvestmentsは、オリジナルXLNYピザのSbarroと戦略的パートナーシップを結び、インディアナ州のVillagePantry4店舗内で新店舗を立ち上げることを発表。
最初の2店舗は2021年12月にオープンする予定で、残りの2店舗は2022年初頭でのスタートを予定している。参加店舗では、GPMが毎日手作りするSbarroのニューヨークスタイルの特大ピザスライスを作りたてで提供する。
このパートナーシップにより、GPMは、進化する消費者の買い物習慣に対応しながら、店舗での体験を強化し、顧客に求められる食品を提供することを目指す。
出典:https://gpminvestments.com/arko-corp-s-gpm-investments-enters-into-a-strategic-partnership-with-sbarro-the-home-of-the-original-xl-ny-pizza/
Murphy USAが10億ドルの自社株買戻しを発表〜スーパー・コンビニエンスストア業界動向〜
米国小売チェーンのMurphyUSAの取締役会は、2026年12月31日までに実予定の10億ドルを上限とする新しい自社株買い戻しプログラムを承認した。今回の承認は、エルドラドを拠点とする小売・コンビニエンスストアチェーンの資本配分戦略の更新を継続するものである。
CEOのAndrew氏は「MurphyUSAの堅調な業績と、成⻑の加速に加え、フリーキャッシュフローを生み出す能力を考慮し、同社の価値創造について再確認できたことを嬉しく思う」と述べた。
この計画は、経営陣が5年間にわたり、インパクトのある有機的な成⻑を優先させるための柔軟性やオプションを提供し、流動性を維持するために実行される。
出典:https://ir.corporate.murphyusa.com/investor-relations/news-releases/press-release-details/2021/Murphy-USA-Inc.-Announces-1-Billion-Repurchase-Program/default.aspx
ワシントン在住の日本人。大学卒業後、日本で外資系メーカーに勤めており、営業とマーケティングを経験。マーケティングは発売予定の製品周りの広告、パッケージや販促、イベントやデジタルプラットフォームの使用等様々な側面に関わり、年に1−2回ある新商品発売に向けて取り組む。渡米してからはフリーランスでスタートアップにマーケティングやマーケティングリサーチのサービスを提供し、プロジェクトベースで様々な依頼に応えている。