2023年7月7日、マレーシア自動車メーカー大手のプロトンは、顧客の下取り車の処分プロセスを改善するため、電子入札会社3社と戦略的パートナーシップを締結したことを発表しました。業界は、新しいパートナーシップ、戦略的な買収、技術革新、および新しい販売・サービスのプログラムを通じて、進化と拡大を続けています。
今回は、そんなマレーシアの自動車業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2022年 マレーシアの自動車(製造業)業界
プロトンが電子入札会社と提携~自動車業界動向~
2023年7月7日、マレーシア自動車メーカー大手のプロトンは、顧客の下取り車の処分プロセスを改善するため、電子入札会社(EBC)3社(myTukar、MUV、CARSOME)と戦略的パートナーシップを締結したことを発表した。同社は顧客が新車をより迅速かつ効率的に所有できる方法を提供することに向けて大きく前進したとしている。
本パートナーシップにより、顧客は利便性の向上、信頼性、競争力のある下取り価格、価格設定の透明性、安全な支払いと所有権の移転、毎日のオークション、迅速な処分、包括的な検査など、さまざまなメリットを享受することが可能となんる。
同社のロスラン・アブドラ副最高経営責任者は、プロトンはEBCと戦略的パートナーシップを締結した最初のOEMであり、顧客にとってより迅速かつ透明性の高い下取り取引の道を切り開くのに寄与し、新車販売の促進に役立つと考えていると述べている。
出典:https://www.proton.com/en/press-release/2023/july/proton-forms-partnerships-with-e-bidding-companies
UMWトヨタモーター、6月期販売台数~自動車業界動向~
自動車販売大手のUMWトヨタは、2023年6月にトヨタで8,559台、レクサスで110台の販売台数を達成したことを発表した。トヨタとレクサスを合わせた2023年6月の総販売台数は8,669台に達し、前月の8,004台を上回った。また、6月までの累積販売台数は48,659台となり、前年同期比で6.0%の増加となった。
6月には、ハイブリッド車と内燃機関の両モデルを備えた、新型トヨタ・イノーバ・ゼニックスを発表。この発表は、カーボンニュートラルと持続可能性に対する同社の揺るぎない取り組みにおける重要なマイルストーンとなった。
また、同日には新型トヨタ・アルファードとヴェルファイアの予約受付を開始したことも発表。7人乗りの新モデルについては、顧客が誇りに思えるラグジュアリーな雰囲気を醸し出し、優れた品質の車両であるとしている。
サイム・ダービーがUMWを買収~自動車業界動向~
2023年8月24日、マレーシアの大手コングロマリット企業であるサイム・ダービーは、ペルモダラン・ナショナル(PNB)が保有するUMWホールディングスの株式61.2%を取得するため、条件付株式購入契約を締結したことを発表した。
契約条件に基づき、同社はPNBの株式61.2%を現金総額35億7,000万リンギット(1株当たり5.00リンギット)で購入。契約が成立すれば、同社はUMWのマレーシア証券取引所からの上場廃止を目指し、保有していない残りの38.8%の株式に対しては、一般的な買付けを行う予定としている。
グループ最高経営責任者のダトー・ジェフリー・サリム・デイビッドソン氏は、本買収はトヨタとプロドゥアという2つの高い業績を誇るブランドをポートフォリオに加えることで、マレーシアの自動車部門における同社のプレゼンスをさらに拡大・強化するための戦略的な動きであるとしている。
出典:https://www.simedarby.com/press-releases/sime-darby-to-acquire-umw
DRBハイコムと吉利汽車がNxGVで協力~自動車業界動向~
2023年7月17日、マレーシアの大手重工業企業であるDRBハイコムと中国の自動車メーカーの吉利汽車は、自動車ハイテクバレー(AHTV)開発に関する基本合意書に調印したのに続き、両社はマレーシアの次世代自動車(NxGV)ハブをタンジュン・マリムに建設するというコミットメントの実現に向け、新たな一歩を踏み出したこと発表した。
プロトンのリー・チュンロン代表取締役社長は、AHTVは地域のNxGVハブとなるが、プロジェクトのオーナーであるDRBハイコムと吉利汽車がプロトンの株主でもあるため、プロトンは引き続きAHTVで大きな存在感を示すことになるとしている。
また、同社長は我々の努力と中国のベンダーが示す強い関心は、中国政府からプロジェクトへの支援を呼び込むのに役立ち、AHTVとマレーシアへのさらなる投資につながるだろうと述べている。
三菱モータースが中古車プログラム開始~自動車業界動向~
2023年5月31日、マレーシアにおける三菱自動車の正規販売代理店である三菱モータースマレーシアは、三菱の中古車をよりシームレスに購入できる中古車プログラム「マックス・サティファイド」を開始することを発表した。
同プログラムでは、全国の三菱モータースディーラーで販売されている様々な三菱の中古車を閲覧でき、また、現在所有している三菱車を下取りに出して新車を購入することができる。
すべての中古車は専門教育を受けた三菱のスペシャリストによる150項目の包括的な検査を受けており、安心を確保することができる。さらに、対象車は機械的な故障によるエンジン、トランスミッション、ステアリング、電気部品の修理や交換を範囲とする12ヵ月の保証も付いている。
2021年 マレーシアの自動車(製造業)業界
輸出拡大を目指すマレーシアのプロトン~自動車業界動向~
マレーシア自動車メーカー大手のプロトンは、2021年は輸出売上高の拡大を目指すと発表した。2020年12月実績として、ケニアでCKD事業を開始、パキスタンにおいてはX70の発売が始まったことで、2020年末の輸出販売は約50%もの増加となった。
2021年は、COVID-19による輸出の影響がないことを前提として、輸出売上高を2倍とする目標を掲げている。そのため、同社は人気ブランドであるサガ、X70、X50を順次投入する。
2027年までに東南アジア諸国において上位3社になるという目標達成に向け、輸出市場は欠かせない。海外市場にアピールするためには市場のニーズに応えることが鍵となり、パキスタンでは小型車が人気であることから、同社のサガには1299ccのエンジンを搭載している。
出典:https://www.proton.com/en/press-release/2021/january/proton-to-pursue-export-markets-in-2021
マレーシアで自動車業界大手のプロドゥア、2021年販売目標は24万台
マレーシア自動車メーカー大手のプロドゥアは、既存モデルに対する高い需要と政府が発表した売上税減免措置を受け、2021年は前年比で9%増となる24万台の販売と27.2万台の生産を目指している。
2020年には220,163台を販売し、市場シェアは41.6%だった。最も売れたのはMyVyiで66,330台で、Axia(59,651台)、Bezza(56,996台)、Aruz(22,494台)、Alza(14,691台)が続いた。
同社のダトー・ザイナル社長兼CEOは、全てのモデルが需要を維持していることから、2021年は回復の年になることを確信していると述べている。また、同氏は販売回復の見込みから、コンパクトカーメーカーは2021年に過去最高となる65億リンギット相当の現地調達部品を購入する見込みを示している。
出典:https://www.perodua.com.my/corporate-branding/press-release.html
トヨタマレーシアがサブスクプログラム開始~自動車業界動向~
トヨタキャピタルマレーシアは、イスラーム教に基づいた自動車サブスクリプションプログラム『KINTO ONE』を、世界で初めて導入することを発表した。『KINTO ONE』によって煩わしさを感じることなく、自動車を所有・運転することができる。
これは月額費固定の自動車契約プランであり、車両登録、年間総合保険料、道路税、定期メンテナンス、予防メンテナンスが含まれている。契約期間は2年又は3年で、契約期間終了後はトヨタ・マレーシアへ車両を返却する。
同社のトーマス・チェイ社長は、KINTO ONEは同社とUMWトヨタ・モーターとの戦略的提携から生まれたもので、モビリティを求める新世代のライフスタイルに対応するため、独自に企画されたと述べている。
出典:https://toyota.com.my/press-release/A-New-Mobility-Subscription-Launched-In-Malaysia
2020年のマレーシア国内自動車販売台数は12.4%減 ~自動車業界動向~
2020年の自動車全体市場(TIV)は極めて厳しい経営環境の中にあったが、2020年第4四半期の業績が予測を上回ったこともあり、前年比で12.4%減となる52万9,434台を記録した。政府による売上税減免措置(PENJANAパッケージ)が需要を押し上げ、マレーシア自動車工業会が予測した47万台を上回った。
セグメント別販登録台数では、乗用車が前年比で12.6%減となる48万965台、商用車が同10.4%減となる4万8,469台であった。月間TIVが最も落ち込んだのは4月で145台、ピークに達したのは2020年12月で6万8,836台であった。
今後のTIV見通しについては、2022年に乗用車は54万3,780台、商用車は6万420台となり、合計台数は前年比で6.0%増となる60万4,200台とされている。以降は、2025年まで3%台の増加予測。
出典:http://www.maa.org.my/pdf/2020/Market_Review_2020.pdf
マレーシアのベルマツ、2020年度収益は30.4%減自動車業界動向~
マツダのマレーシア現地販売代理店ベルマツ・オートは、2020年度の収益が前年度比で30.2%減となる17.6億リンギットを記録した。販売台数は同40.1%減となる9,484台であった。収益減少の主因は、国内及びフィリピンでの販売台数が減少したこととなっている。
国内販売減少については、COVID-19による事業所の閉鎖、そして価格設定問題からフェイスリフトCX-5と新しいCX-8の市場投入が遅れたことによる。これにより、マレーシア国内での販売台数は前年比で40.1%減少した。
同社グループは、販売店ネットワーク統合によってブランド地位をさらに強化し、同時に新車及び中古車の販売量を拡大するため、販売店ネットワークをさらに拡大するとしている。
出典:https://disclosure.bursamalaysia.com/FileAccess/apbursaweb/download?id=105631&name=EA_GA_ATTACHMENTS
2020年 マレーシアの自動車(製造業)業界
マレーシア、2020年の国家自動車政策とは?~自動車業界動向~
2020年2月21日の発表によると、マハティール首相(当時)は2020年国家自動車政策(NAP2020)を発表した。自動車部門における製造、エンジニアリング、技術、持続可能な開発における地域のリーダーとなることを目指す。
NAP2020は2030年までの10年間を対象とし、次世代自動車(NxGV)、MaaS、産業革命4.0に焦点を当て、自動車および総合モビリティ産業における製造・アフターマーケット部門のエコシステムを強化する。
また、既存の政策も改善し、国内及び世界のサプライチェーンへの現地企業の参加を促進し、その他の重点分野として、研究開発及びエンジニアリング活動の奨励、現地労働力の能力構築、国家的自動車プロジェクトへの支援、輸出、投資、現地生産量の強化を行う。
出典:https://modenas.my/2020/05/18/modenas-offers-service-specials-for-customers-this-coming-raya/
マレーシアでSUV需要が大幅増加した2019年~自動車業界動向~
マレーシア自動車協会は、2019年の自動車市場に関する報告書を発表した。2019年は市場全体で60万4,287台の自動車が登録され、前年から1%増加した。セグメント別では、乗用車は前年から3.2%増加して55万179台、商用車は同17.4%減少の5万4,108台であった。
乗用車のサブセグメントにおいては、乗用車が全体の69.4%となる38万2,018台で市場を牽引したものの、SUVが前年比で64.8%増の12万4,560台を記録し、市場シェアを22.6%に拡大した。逆に、MPVは同36.2%減となる4万601台で大きく縮小した。
今後については、国内販売台数は年間2%台の成長が見通されており、2024年の乗用車販売台数は59万4,820台、商用車は6万6,100台、合計で66万920台となることが予想されている。
出典:http://www.maa.org.my/pdf/Market_Review_2019.pdf
2019年販売台数過去最高を記録!マレーシアで自動車業界大手のプロドゥア
マレーシアの自動車メーカのプロドゥアは、2019年の販売台数が過去最高となる240,341台を記録し、前年比5.8%増(13,098台)であったことを発表した。
国内総販売台数が60万4,775台と推定されていることから、同社の市場シェアは前年の38%から40%へ拡大した。特に、コンパクトSUVのアルスは30,115台を販売し、SUV市場を牽引した。
ザイナル社長兼最高経営責任者は、強い需要を背景に2020年の販売は2019年と同水準の24万台を予想しているとした。また、同社は生産台数を前年比で4%増となる30,115台と計画しており、現地部品購入に60億リンギットを費やす見通しとなっている。輸出に関しては、2019年は約2,800台と少ないものの、海外でのブランド確立は順調に進んでいるとしている。
出典:https://www.perodua.com.my/corporate-branding/press-release.html?year=2020
マレーシアで自動車業界大手のプロトンのシェア、20%に増加
マレーシアの自動車メーカーのプロトンは、2020年度第1四半期の売上高が前年同期比で20.4%改善した。同期間中に21,757台を販売し、市場シェアは17.4%から20.1%へ拡大した。
最も売れているサガは前年同期比で36%増となる8,824台、アイリスは602%増(2,009台)、ペルソナは243%増(5,677台)、エクソラは17%増(1,091台)となった。SUV車種のX70は48%減(4,145台)となったものの、同期間中に最も売れたSUVであった。
同社のリ最高経営責任者は、1月と2月の業績は非常に好調で2019年を遥かに上回っていたものの、3月は活動制限令の影響で勢いが落ちたとしている。また、活動制限令解除後もCOVID-19の影響により、2020年は非常に困難な年になると見ている。
出典:https://www.proton.com/en/press-release/2020/april/proton-records-higher-q1-sales-in-2020
マレーシアで自動車業界大手のベルマツオート、販売台数が大幅減
マレーシアとフィリピンにおけるマツダ車の正規代理店であるベルマツオートは、両国での販売数量が減少したことにより、2020年度第3四半期の収益が4億6,750万リンギットに縮小した。マレーシア国内の販売台数減は、2019年末の値引きが競合他社よりも抑えられたことに起因する。
また、税引前利益は3,430万リンギットと、前年同期の1億280万リンギットから大きく落ち込んだ。国内事業の利益寄与減少、関連会社であるマツダマレーシアの利益貢献度低下、新型CX-5のマイナーチェンジに伴うコスト増が影響した。
2020年は米中貿易戦争、COVID-19ウイルス発生、世界的な景気後退懸念、国内の政治的混乱により、自動車などの高額商品に対する消費者心理は弱くなっている。
出典:https://www.bauto.com.my/images/quarterlyreports/BAuto_Qtr3_2020.pdf
2019年 マレーシアの自動車(製造業)業界
マレーシアで自動車業界大手のプロトン、従業員スキル開発を推進
マレーシア自動車メーカー大手のプロトンは、同社のシャーアラム及びタンジュンマリムの従業員258名が、マレーシアスキル証明書(SMK)レベル3を授与されたと発表した。
SMKは実践に必要な能力を達成し、特定の雇用分野におけるタスクと機能を遂行できる能力を有した個人に対し、スキル開発局が発行する証明書である。
プロトンの従業員は自動車産業のカテゴリーでの授与となっており、自動車の車体組み立て、自動車エンジン組み立て、自動車塗装、自動車内装、最終検査、及びオフィス管理の5つのスキルがある。今回の授与は、同社が自動車産業における製造工程における製品品質で、熟練労働者の重要性を認識していることを示している。
マレーシアで自動車業界牽引のプロドゥア、2018年販売台数が過去最高を記録!
マレーシア自動車メーカーのプロドゥアは、同社のMyviとAruzの寄与によって、2018年は過去最高となる227,243台の販売を記録したと発表した。2019年は前年比1.7%増となる231,000台を目指し、生産台数は同10.5%増となる242,000台を予測している。
特に、Myviは2018年に117,844台の予約を獲得、2017年11月の販売以来91,500台が売れた。また、Axia、Bezza、Alzaはそれぞれのセグメントの販売台数で首位であった。
同社は、2019年もMyviは高い人気を維持すると予想している。また、部品調達量も前年比20%増となる60億リンギットを見込んでおり、現地サプライヤーに利益をもたらすとしている。更に、アフターサービスにおいても付属品販売や塗装、中古車事業も力強い成長を見せている。
自動車業界大手のホンダ・マレーシア、13万人目のシビック・オーナーを祝福
2001年にマレーシアで第7世代のシビックを販売して以来、2019年5月に13万台目の販売を達成した。第7世代は9,300台超、第8世代は50,400台、第9世代27,000台超、2016年に販売された第10世代は現在42,200台超の販売台数を誇っている。
ホンダマレーシアグループの副会長は、マレーシアでシビックはホンダブランドの代名詞であり、マレーシア人から高く評価されているとし、更にシビックはCセグメントで77%の市場シェアを誇っていると述べている。
シビックはホンダのアース・ドリームス・テクノロジーの下で開発された1.5L VTECターボエンジンを搭載しており、2.4Lエンジンと同等の性能を発揮できる。価格は10万8,165リンギットからであり、国内98の正規代理店で試乗ができる。
自動車業界大手のUMWトヨタとシェル・マレーシア、無料点検を提供
UMWトヨタ自動車とシェル・マレーシアは、ラマダンや収穫祭の旅行シーズンにマレーシア人が安全運転できるよう、『Balik Kampung安全キャンペーン』を展開すると発表した。
同キャンペーンでは、20ヵ所のシェルのガソリンスタンドにて、トヨタで教育を受けた担当者が36点の無料点検を提供する。トヨタ車だけでなく、他メーカーの自動車も対象となっており、点検は15分以内に完了する。
点検が受けられるシェルは、セランゴール州とKL、マレー半島北部・東海岸・南部、サバの各3店舗、及びサラワク2店舗となっている。期間中の先着10名には、シェルから10リンギットのバウチャーが配られる。
まとめ:マレーシアの自動車業界
自動車に課せられる輸入関税は、マレーシア国内の自動車産業振興及び保護を目的と して、30%と非常に高く設定されています。このような規制に注目することでも、新たなビジネスチャンスを見つけられるのではないでしょうか。
クアラルンプール在住4年目の日本人。大学卒業後、東京で飲料メーカーの営業を担当。その後、マレーシアのクアラルンプールへ移住し食品商社の営業及び購買のサポートを担当。