環境先進国である台湾では、倉庫業界でもサステナブルな取り組みが行われています。台湾の統一グループと日本の三菱グループの合弁会社である捷盟行銷は、台湾の新ロジスティクスパークに参入することを2022年8月に発表しました。高い環境保護技術を持った台湾の倉庫業界の今後はどうなるのでしょうか?
今回は、そんな台湾の倉庫業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
読了時間の目安:5分
[toc]
2022年 台湾の倉庫(運輸・物流)業界
ニュースメディアも注目する俬儲空間のミニ倉庫〜倉庫業界動向〜
ミニ倉庫とは、パーソナルストレージであり、大きなスペースを数百の小さな収納キャビネットに分割して収納スペースを提供している。2022年8月24日の発表によると、近年、ますます密集する都市人口と1人当たりの利用可能なスペースの減少により、身の回り品や商用利用の為に需要が伸びている。
俬儲空間のミニ倉庫は、保管スペースとしての提供のみならず、ワンストップのオンラインアシスタントサービスを行っている。オンラインショップの倉庫としての利用では、梱包から発送までを行い、また、双方の権利を保護する為、全行程を録画し作業が行われている。
その他の特徴として、翌日配送や一度に大量な商品の出荷も可能であり、また、様々なサイズの冷蔵・冷凍庫をレンタルする事もできる為、幅広いジャンルのオンラインショップとして利用が可能である。
出典:https://www.ec-fun.com/news/ins.php?index_id=198
MIRLE、半導体保管のストレージデバイスを開発〜倉庫業界動向〜
2022年12月7日の発表によると、MIRLE(盟立)は半導体産業の育成を続けており、生産ラインの変化や限られた敷地条件などの市場の要求に応え、ZIPSTKストレージデバイスを開発し、大型の半導体パッケージング・テスト工場に導入する事に成功した。
ZIPSTKストレージデバイスのメインエンジンの設計は、円形の収納位置を採用する事により、収納効率を高める為にロータリーリフティングデザインが使用されている。サイズは2700mm×2400mmで、工場のデッドスペースを有効活用できる。また、デバイスをモジュール化して直列に接続し、保管量を柔軟に拡張する事も可能である。
MIRLEは、自動化機能とシステム統合アプリケーションの開発に長年取り組んでおり、半導体パッケージング及びテストプラントのカスタマイズされた、ストッカー、OHT、AGV、EFEM、タワーストッカー、リフト等プラント全体の自動化システムに注力している。
出典:https://www.mirle.com.tw/news-detail/561/
捷盟行銷、新ロジスティクスパークに参入〜倉庫業界動向〜
2022年8月26日の発表によると、捷盟行銷が台南の新しいロジスティクスパークに投資する為の申請が承認された。低酸素経営理念を実現し、屋根への太陽光パネル設置や雨水再利用システムなどの建機の設置などを行う予定である。承認された投資額は12億台湾元で、90の雇用機会を生み出す事が期待される。
新しいロジスティクスパークは、台南市新市区にある“樹谷園區”の広大な敷地内の賃貸工場を利用し、AI画像認識システムとAR/RS倉庫システムを通じて物流を統合化、科学技術化する予定である。敷地内には他に科学館や公園、体育館やレストランなど様々な施設が点在している。
捷盟行銷は、台湾の統一グループと日本の三菱グループの合併会社として設立され、事業は、全温度層の物流サービスで30,000種類以上の商品を管理し、6,000以上の店舗にサービスを提供している。台湾では、15の物流倉庫センターと金門のサブ倉庫がある。
出典:https://economic.tainan.gov.tw/News_Content.aspx?n=5140&s=7916353
倉庫などの商業用不動産の継続的成長〜倉庫業界動向〜
投資管理の大手プロバイダーであるColliersが発表した「2022年第三四半期の商業用不動産及び土地投資に関する調査」によると、2022年、台湾の土地購入の雰囲気は様々なマイナス要因の影響を受けた一方で、商業用不動産への影響は小さく、最初の3四半期の累計取引額は1,016億台湾元で、4年連続で1,000億台湾元超えを維持した。
2022年の最初の3四半期の累計取引額は1,016億台湾元で、前年同期比約91%であった。その内、商業用オフィスが344億台湾元で最も多く、次に工場オフィスが297億台湾元、続いて工場及び倉庫となった。
工業用不動産市場も、2022年第3四半期に爆発的な買いの勢いがあり、製造業、技術業、倉庫業、流通業の需要は依然として多いと言える。特に桃園市は交通の便の良さも相まって、土地取引の最も盛んな地域となり、多くの企業が注目している。
出典:https://www.colliers.com/zh-tw/news/221005-this-year-commercial-real-estate-exceeded-100-billion
統一グループ初の離島積み替えセンターが完成〜倉庫業界動向〜
2023年1月17日、統一グループは、セブンイレブンが離島に店舗を拡大する中、グループの発展と増大する物流ニーズに対応する為、澎湖龍門尖山港エリアに「PCSC澎湖積み替えセンター」を建設した。
リソースの統合により、物流効率とサービス品質が更に向上し、離島の消費者が迅速かつ安全に商品を入手する事が期待される。センターの設立後、離島における物流体制の更なる高度化を図り、雇用機会の創出に加え、現地物流産業人材の育成を継続して行く。
澎湖地区には、30を超えるセブンイレブンの店舗や、その他にも同じく統一グループが運営するスターバックスやクロネコヤマト等があり、これ迄関連事業者の保管スペースが限られていた事を考慮し、新しく建設された積み替えセンターには特別に、冷蔵倉庫と冷凍一時保管倉庫を設置した。
出典:https://www.t-cat.com.tw/Company/article_Detail.aspx?id=2506
2021年 台湾の倉庫(運輸・物流)業界
台湾のAI立体式スマート倉庫システムで出庫時間6割減〜倉庫業界動向〜
2021年4月26日の発表によると、「イノベーション産業のオスカー」として知られるエディソン賞の結果が発表され、台湾の2つの研究機関と2つのメーカーが金賞1つ、銀賞1つ、銅賞3つを獲得した。これらの技術のうち4つは経済部の科学技術プロジェクトの成果である。
今回のエディソン賞で金メダルを獲得した「AI立体式スマート倉庫システム」は、AIによる発展需要予測と倉庫意思決定技術を利用している。台湾のような土地が狭い国での都市化に対応するため、倉庫設計は垂直へ発展し、倉庫棚は最大14層に達する。
自動倉庫を組み合わせることで、保管及び輸送スペースは2倍以上に拡大し、出庫時間を60%短縮できた。すでに台湾の「Yahoo奇摩」ではこのAI立体自動化物流センターが導入されている。
出典:https://www.moea.gov.tw/MNS/doit/news/News.aspx?kind=1&menu_id=13419&news_id=94089
台湾の台電、中部倉庫センターのスマート化を推進〜倉庫業界動向〜
台湾の電力供給を担っている台灣電力公司(タイパワー)の中央倉庫センターは、2005年の工場建設時に「自動倉庫システム」を導入し、土地の節約と人員効率の高い効率的な倉庫管理を実現していた。
2020年10月の発表によると、同倉庫のハードウェアとソフトウェアが大幅にアップグレードされた。アップグレードは2020年末までに完了する予定。新しいシステムは故障率を減らすだけでなく、ビッグデータを適用して特定材料の進出頻度の統計を取れ、最適な保管と動線を計画する。
担当者が不在の場合でも、システムと設備は自動調整され、最適な保管庫に輸送を実現して出荷効率を向上できる。今後も流通の頻度が増え、商品の出入りが増える見込みである。
出典:https://tpcjournal.taipower.com.tw/article/4208
台湾の海霸王、高雄食品物流倉庫複合パークの建設を計画〜倉庫業界動向〜
海霸王の主な事業は冷凍食品の製造・販売であり、生産された鍋の材料はグループのレストランに供給されている。投資台湾事務所は同社含め合計8つの中小企業に合計38億元を投資することを審議した。
同社は、製造から輸送・販売までのワンストップ統合モデルが食品製造業の成功の鍵となることを踏まえ、従業員80名を採用し、23億元以上を投じて高雄市前鎮漁港特別区「海霸王スマート化グリーンエネルギー食品物流倉庫センター複合パーク」を建設することを計画している。
その過程で、倉庫物流、冷凍包装・加工工場、生鮮食品ショッピングなどを計画している。スマート物流と管理の運用により、パークでのスマート体験を顧客に提供し、スピード発送と美食を楽しんでもらうことが目的だ。
出典:https://www.moea.gov.tw/MNS/populace/news/News.aspx?kind=1&menu_id=40&news_id=96353
台湾のmomo、南部地区物流センターの建設に着手〜倉庫業界動向〜
台湾のオンライン小売リーダーである富邦媒は、台湾のeコマースロジスティクスネットワークを積極的に展開している。2021年5月12日、同社は、台南の新しい建設プロジェクト「南区倉庫物流センター」の起工式を開催すると発表した。この物流センターは2023年に完成・営業開始予定である。
この物流センターの建設には約30億元を費やしており、約24,600坪の面積で、約340万件の商品在庫を収納できる予定。
建設計画には、屋根のソーラーパネルを含む「グリーン建築」の設計コンセプトも組み込まれている。グリーンエネルギーは、物流センターの二酸化炭素排出量を削減するために採用された。水質汚染を防止および制御するための雨水循環システムを確立し、工場エリアのLED照明に重点を置き、持続可能な環境貯蔵の概念への移行に努めている。
出典:momohttps://bit.ly/3iPxS2i
台湾 輸出入倉庫の税関管理措置の改定〜倉庫業界動向〜
2021年8月10日の発表によると、基隆税関は、倉庫運営者に対し監視システムファイルの保存期間の延長に協力するよう要請した。
2021年1月27日、財務省は監視管理の有効性を高め、リスク管理を実施するために、「輸出入倉庫の税関管理措置」の第13-1条および第7-1条、第5条を改訂および公布した。法律が改正される前は、監視ビデオファイルは30日以上保存する必要があると規定されていたが、90日以上に延長される。
改正法では、税関監査中、法規制違反や重大な違反が発生した場合など特定の状況下での要件を満たすための具体的な規定がなされている。税関は違法行為を回避するために監視を強化する必要があると考えている。一方、基隆税関は、倉庫やコンテナステーションは、輸出入貨物の保管と通関業務にとって重要な場所である考えで、新しい改正規則に協力するよう業者に促していくとのこと。
出典:https://www.mof.gov.tw/singlehtml/384fb3077bb349ea973e7fc6f13b6974?cntId=e16e58794495426bae0052878f8f21f3
2020年 台湾の倉庫(運輸・物流)業界
台湾の俬儲空間、LALALOCKERと協力〜倉庫業界動向〜
2019年10月18日の発表によると、貸倉庫会社の俬儲空間がLALALOCKERと正式な協力をした。同社の支店のうち、MRT(地下鉄)ステーション出口近くにある6つの支店内にLALALOCKERが設置された。これにより、台北市内をMRTを利用して観光する際の利便性が向上した。
俬儲空間が提供するLALALOCKERは、スタッフがいるだけでなく、セキュリティシステムも備えている。荷物保管場所は、清潔で明るい保管環境であり、荷物が汚れる心配もない。
サービス開始1か月で、既に利用者が増えてきている。利用者は、ロッカー料金を支払う時に現金不足を心配する必要がなく、スタッフもいるので荷物の紛失の心配もない。また、ロッカーキーやパスワードを気にする必要もないので便利。
出典:https://www.ec-fun.com/news/ins.php?index_id=176
節税と通関をスムーズに!台湾保税倉庫の承認〜倉庫業界動向〜
財政部關務署臺北關は、台灣日東股份有限公司の保税倉庫の登録を承認し、2019年7月17日から正式運用することを認めた。台灣日東電工股份有限公司は、市場の需要に応え、効率的な営業を行うため、台灣日東光學股份有限公司営業部門と合併し台灣日東股份有限公司を設立した。
台灣日東股份有限公司の主要な商品は、半導体とLEDに関連した製品である。同社は、自社の保税倉庫を設立することにより、運送費を抑え、資金運用を効率化できると話す。
財政部關務署臺北關によると、保税倉庫の承認により税金を節約でき、通関のチェックが通りやすくなるとのこと。さらに、企業の国際競争力を高めることに繋がり、通関は友好的なサービスを提供し続けるだろうとも話した。
出典:https://web.customs.gov.tw/News_Content.aspx?n=F55943A3BAA86A6A&sms=1095B63D0846032B&s=50D274A7498858B8
世界第2位の規模!台湾に第7コンテナターミナル〜倉庫業界動向〜
2019年6月28日の発表によると、台湾港務会社(TIPC)は高雄港の発展のため、第7コンテナターミナルの建設を行っている。第7コンテナターミナルは全長2,415メートルで、埠頭を5つ設置し、2.2万TEU(Twenty-foot EquivalentUnit:20フィートコンテナ換算)の大型船に対応することができる。
現在、台湾内で2万TEU以上のコンテナ船に対応できる大水深埠頭が不足している。2万TEU以上の大型船舶を採用することにより、長期的な高雄港の発展を目指している。また、今後は410万TEU以上のコンテナが取り扱われる自動化コンテナターミナルの建設を目指してる。
第7コンテナターミナルの建設は、2022年6月と2023年の2段階で基礎施設を完了する予定である。現在の規模は世界で第2位の大きさになっている。
出典:https://www.twport.com.tw/jp/News_Content.aspx?n=8D3BBBAE4914D793&s=48B4ADBEC9E60FAE&SMSU=9DC5DA75CCA8E135&ishistory=False
松山空港積み替え貨物、台湾華儲股份が取扱手数料の調整〜倉庫業界動向〜
2019年6月19日、華儲股份有限公司(TACT logistics)は「松山空港での貨物の移動とトラックの積み込みのサービス料の調整」を発表した。
桃園空港と松山空港間の内陸輸送(トランジット)および輸出貨物積み替えのビジネスの拡大を考慮して、松山国際空港で貨物積み替えを行う航空会社のニーズを満たすため、毎年運営コストが増加することを挙げ、今回の調整に至ったと発表している。
2019年8月1日より、松山空港での倉庫賃料の保管に加えて、倉庫賃料は料金表に従って請求される。また、松山空港の貨物を他の倉庫に転送するトラックに対し、サービス料の500元が請求される。
出典:https://www.tactl.com/news.php?id=889
台湾・台北市の公共事業に建築界の栄誉賞を受けたのは?〜倉庫業界動向〜
第27回「中華建築金石奨2019」で、「三井倉庫景観整備工事」は公共建設/空間活性化部門でプランニングチーム金賞を受賞。「北投温泉博物館修繕工事」は同部門で建設グループの金賞を獲得した。
「三井倉庫」は日本統治時代から残る台北市の歴史的建造物である。2018年に修復工事が完了しており、正面には三井物産のシンボルマークが残されている。「北投温泉博物館」は温泉街北投にある博物館である。1913年に建てられた温泉施設で、1998年に現在の博物館という形になった。建物の劣化により修復工事が行われ、2018年に完成した。
台北市政府は、文化プロジェクトを通じて地域の建設と観光開発を促進し、都市の記憶を次世代に引き継ぐことに力を入れたいと発表した。
出典:https://www.culture.gov.taipei/frontsite/cms/contentAction.do?method=viewContentDetail&iscancel=true&contentId=MTc5MjE=&subMenuId=603
まとめ:台湾の倉庫業界
倉庫業の実質GDPは大きく成長しており、さらにコンテナの取扱量も年々増加していることより市場としては安定しています。今後もECサイトの発達によって、倉庫の需要もますます増えていくでしょう。
台北在住の台湾人。日本の東北大学で修士号取得後、7年以上IT企業でマーケティングを担当。デジタルマーケティングと市場分析の専門家として、製品の市場導入とブランド戦略を得意とする。