韓国の倉庫業界は、テクノロジーの進化と持続可能性の追求により大きな変化を遂げています。自動化やAIを活用した効率化、新しい物流モデルの導入が進み、業界全体が革新の波に乗っています。これにより、コスト削減や納期短縮が実現され、競争力が高まっています。本記事では、韓国の倉庫業界を変革する最新トレンドを深掘りし、未来の市場を見据えたインサイトをお届けします。
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2023-2024年 韓国の倉庫業界
CJ Logistics 業種・特性に合わせた物流コンサルティングを提供〜倉庫業界動向〜
2024年4月、CJ Logistics は、工業製品・H&B(ベルス&ビューティー)・酒類など多様な産業グループに属する20社以上に対し、2023年から物流コンサルティングを提供していると明らかにした。
食品・ファッション・美容・家電・自動車といった多様な業種において該社が保有するノウハウ、物流技術研究所で研究された先端技術、300人余りの物流コンサルタントで構成された専門組織、等の強みをいかし、顧客カスタマイズ型の物流コンサルティングを志向する。
物流の非効率の改善や、システム設計や運用プロセスの革新(PI)、物流ネットワークの設計など、全体を7つのカテゴリーに区分けすることで、各社に対しカスタマイズされたソリューションを提供している。
「わが社が持つ効率的な物流運営ノウハウ、分析力、シミュレーションによる改善効果の可視化などにより、顧客企業は結果に満足しており、コンサルティング需要も増えている」と経営陣のナム氏は自信をのぞかせる。
出典:https://www.cjlogistics.com/ko/newsroom/news/NR_00001140
Lotte Global Logistics「自律走行物流」実証拡大〜倉庫業界動向〜
ロッテ グローバルロジスティックスは、2024年3月、自律走行ロボットを専業とするロボティズ社と協業し、韓国ロボット産業振興院が主管する規制革新ロボット実証事業の「ステージ2」を推進すると明らかにした。
該社は2023年、屋外配送ロボット活用の配送サービスの試験運用などを含む「ステージ1」を成功させており、今年11月まで物流配送ロボットシステムの構築および実証テストを進める。今回の「ステージ2」は、アパート共同玄関ではなく、顧客の玄関前までの配送を志向する。
該社は統合ロボット配送システムを開発し、23年10月から約2ヶ月間実証運営を進める。最終的に配送ロボットは8台投入する予定。また、自律走行トラックのスタートアップ企業のマスオート社と自律走行の貨物車の2次実証事業も進めている。
韓国の国会では、2024年2月に「自律走行の自動車法」改正案が本会議を通過しており、今後はミドルマイル自律走行の拡大も進む見通し。該社は将来的に、自律走行の貨物車専用ターミナルの運営参画も検討している。
出典:https://www.lotteglogis.com/home/company/pr/view?type=PR&page=1&no=PR2024031838854&query=&field=
ハンジン 通関センターを拡張個人輸入の需要増加の取り込みをねらう〜倉庫業界動向〜
2024年4月の発表によると、海外からの個人輸入が過去最大を記録する中、 (株)ハンジンは需要拡大に対応すべく、仁川空港の自社通関センターへの大規模投資を計画する。クロスボーダー取引 (CBE・Cross Border E-commerce)市場をリードする狙い。
同年4月5日、自社通関センターの拡張工事が開始された。下期には完成し、年末前に本格稼動を開始する計画。
これにより通関センターの運営キャパシティは、現状の110万件/月から220万件/月へと倍増する見通し。国内航空輸送の全体量は840万件/月(‘24年2月基準)であることから、26%以上を自社で処理でき、国内の特送業界首位となる見込み。総投資費は約100億ウォンの想定。
現在、海外からの個人輸入が急増しており、通関施設のキャパシティーを超過している。22年には韓国の個人輸入件数は9,600万件(6.2兆ウォン)と過去最大を記録したが、23年は1億件(6.6兆ウォン以上)を超過する見通し。
出典:https://www.hanjin.com/kor/CMS/Board/Board.do?mCode=MN050&mode=view&mgr_seq=2&board_seq=887
HYUNDAI GLOVIS スマート物流R&Dセンター「G-Lab」をオープン〜倉庫業界動向〜
2023年10月、現代グロビスは、スマート物流技術関連のR&D拠点となる、技術実証センターG-Labをオープンした。
G-Labを該社が持つ物流の全ノウハウが結集されたR&D拠点とする。自動化設備システム、移動型ロボット、多関節ロボット、人工知能/マシンビジョンを4大目標事業群として、来年から本格的に事業部門と連携し課題解決を試行錯誤しながらノウハウを蓄積させる。
G-Labでは、近年注目度が高まるスマート物流ソリューションも取り込む戦略。 物流の全過程に人工知能(AI)、ビッグデータ、ロボティクスなど多様な技術を組み込み効率性を高めることで、多様な物流の現場にも適用可能な技術開発を目指している。
出典:https://www.glovis.net/Kor/news/communityid/6/view.do?idx=4111&pageIndex=2&categoryId=&q=
NIPPON EXPRESS 釜山航路を活用した国際海上輸送サービスを開始〜倉庫業界動向〜
2023年12月の発表によるとNIPPON EXPRESSホールディングスの東アジア地域を統括するNX国際物流(中国)有限公司、およびNX韓国株式会社は、韓国の釜山港と日本の地方港を結ぶ新たな国際海上輸送サービス「釜山ハブ×日本地方港」を開始した。
日本各地の港との航路が充実している釜山で在庫を保有し、受注後、日本各地の配送先の最寄りの港へ輸送する新たなサービス。
トラックドライバーの時間外労働規制(いわゆる2024年問題)の解決策となり得る上、日本国内のトラック輸送の距離短縮も伴うことから、CO2排出量の削減も見込める。
釜山と日本各地の地方港は約130便/週のコンテナ航路が就航しており、これを活用することで、安定した輸送手段の確保と国内輸送費用の削減の両立が可能となる。
出典:https://www.nipponexpress-holdings.com/ja/press/2023/20231214-1.html
FedEx 輸入品当日配送サービスを首都圏以外にも拡大〜倉庫業界動向〜
2023年5月の発表によるとフェデックスは、ソウル首都圏以外の顧客へのサービス向上のため、輸入物品の当日配送サービスを拡大する。
アジアとヨーロッパからの荷物は、免税範囲内の物品の場合、仁川空港に到着した当日に配送されるようになる。この当日配送サービスは、締切時間前に通関を完了した物品にも適用される。
2023年4月17日のフェデックス創立50周年にあわせて実施された本施策により、韓国の80%の顧客が当日配送サービスを享受できるようになった。大邱、釜山、光州などの3大広域市の一般消費者に加え、ファッション、家電、電子産業などの企業もサービス向上を享受できる見通し。
韓国の個人輸入額は、2022年には6兆ウォン(47億ドル)に達した。ECユーザー数も2017年の519万人から、2022年には1,557万人と約3倍となった。FedEx は、今回開始された当日配送サービスにより、より多くの顧客が恩恵を享受できると期待を寄せる。
出典:https://www.fedex.com/global/choose-location.html
2022年 韓国の倉庫業界
LX Pantos 韓国初の「生鮮品の航空輸送」国際認証を取得〜倉庫業界動向〜
2022年11月、LX Pantosは、韓国企業で初となる生鮮品の航空輸送品質認証(CEIV-Fresh)を国際航空輸送協会(IATA)から取得した。 同社は医薬品の品質認証(CEIV-Pharma)を既に取得しており、今回の取得によりコールドチェーン(低温物流)分野に特化した競争力が強化されることから事業拡大を目指す。
「CEIV-Fresh」は、腐りやすい貨物(Perishable Cargo)の安定的な航空輸送を保証すべく、IATAが認証する厳格な国際標準認証制度。温度に敏感な貨物に対する輸送手続きと施設、専門人材、制度など合計11分野319項目を厳しく評価し証明書を発行する。
市場調査機関であるGrand View Researchによると、グローバルコールドチェーン市場規模は2020年1,930億ドルであったが、2025年には3,830億ドルまで拡大し、年平均成長率は14.7%に達する見通し。
出典:https://www.lxpantos.com/kr/pr-center/news-detail.do?bbsSq=1068&page=2
Doosan Logistics Solution 物流自動化ソリューションのラインナップを拡大〜倉庫業界動向〜
2022年5月、ロボットストレージシステムを提供するDoosan Logistics Solution(DLS)は、 KNAPP社(オーストリア)のシャトル型ストレージシステムに続き、キューブ型ストレージシステムの供給も可能となり、高級製品のラインナップを拡大させる。
これにより、シャトル型とキューブ型の2つのストレージシステムを提供できる国内唯一の物流自動化ソリューション企業となる。今後は、大規模物流センターだけでなく、中小型Eコマース、3PL(Third Party Logistics)など多様な規模の需要取り込みを図る。
また、倉庫マネジメントシステム(Warehouse Management System)ソリューションを供給するMade4net社(米)から「WMSソフトウェア技術連携」のライセンスも確保した。
該社はこれまで、主に大規模な物流自動化案件を受注し、カスタマイズされたWMSを提供してきたが、今回パッケージ化され価格競争力のあるMade4net社のWMSライセンスを確保することで、中小顧客のWMS需要にも対応できるようになる見通し。
出典:https://www.doosanlogistics.com/kr/media-center/news/17
国家物流統合情報センター 自律走行車の自動出荷・荷役技術の検証を開始〜倉庫業界動向〜
海洋水産部は、2023年下期をめどに光陽港に「自律走行車両の自動荷役支援システム向け性能試験場」を設置すると明らかにした。将来的な自動車輸出に備えた各種試験を実施する計画。
韓国の自動車輸出台数は年間200万台以上であるが、大半は車両運搬船を通じて海外に輸出されている。 しかし将来的に自動運転の進展により運転席のない車両が登場した場合、自動運転車の走行に必要となるGPSを船舶内で受信できず、既存のやり方では出荷/荷役ができない。
このため海洋水産部は2021年から150億ウォンを投資し、船舶内での自律走行車両移動技術、港湾の野積地や船舶内部の高精度地図変換システムなどの開発に乗り出している。
出典:https://www.nlic.go.kr/nlic/logpolDt.action
KCTC Gマーケットと提携フルフィルメントサービスをローンチ〜倉庫業界動向〜
2022年9月の発表によると総合物流企業のKCTC社が、オンラインショッピングモール国内トップシェアを誇るGマーケット(Gmarket)社とタイアップし、物流事業の競争力強化に乗り出す。
同年9月、KCTC社は物流一括代行サービス*である「K-Oneフルフィルメント」を公式発表したと明らかにした。
「K-Oneフルフィルメント」は、KCTC社の物流インフラに、Gマーケット社が持つeコマースのノウハウを組み合わせ、全国規模の翌日配送システムを提供するもの。
両社は昨年、物流一括代行サービスの協業契約を締結していた。1年かけて大規模な設備投資やITシステムの構築、サービスの安定化等の試験を行い、今回満を持して公式発表となった。
*物流一括代行サービス(Fulfillment service)
物流倉庫にて顧客の商品の在庫管理を行い、入庫、保管、受注後の梱包出荷、配送、代金回収までの一連のEC事業の物流業務を代行するサービス
出典:https://www.kctc.co.kr/board/news/board_view.asp?page=1&num=1569
ソウル在住の韓国人。日本での在住経験は12年。日本の有名大学を卒業し、大手シンクタンクの正社員及び経営コンサルタントとして勤務。ビジネス戦略とイノベーションの分野で活躍。
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