ベトナムの医療用機器業界は、ローカル企業だけでなく多くの外資系メーカーの参入が相次ぐ発展セクターとなっています。ベトナム国内企業も順調に成長しており、2022年にはNovamed Vietnamが遠隔地や過疎地で使用可能な酸素発生装置を開発するなどしています。
今回は、そんな医療機器業界に関する最新情報をお届けします!
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2022年 ベトナムの医療機器(医療・介護)業界
PHUONG DONGがBIORAD DAYセミナーに参加〜医療機器業界動向〜
PHUONG DONG社はベトナム国内の病院等に医療機器を供給する大手企業であり、同業界をリードする企業の1つである。また、国内外の大手医療機器メーカーの正規代理店に指定されている。
ホーチミン市生化学医学連合は、2022年11月19日にBIORAD DAYセミナー「試験室における品質確保」を開催した。同プログラムは、病気診断の検査に関する深い知識を提供し、全国の病院や医療施設、診療所の検査の質を高めることを目的に行われた。
同セミナーにはPHUONG DONG社も参加しており、ヘモグロビンD10分析システム、IH-500全自動血液型分析システム、血液分析システムIH-1000などのBio-rad社(アメリカ)の内部検査製品及び外部検査製品を紹介した。
また、ホーチミン市医療生化学協会のPhamTrung Ha会長をはじめ、多くのゲストスピーカーや200人以上の医療検査部門に関わる医師や医療スタッフが参加した。ゲストスピーカーから品質管理コストや内部検査結果の分析、不具合対応などに関する数多くの貴重な研究結果等が紹介された。
出典:https://bit.ly/3LIXdK2
Novamed Vietnam C システム酸素発生システム発売〜医療機器業界動向〜
酸素発生器の研究及び製造等を含めた包括的なサービスを提供しているNovamedVietnam社は、2022年6月1日に医療機関向けのC-Systemと呼ばれる酸素発生システムを発売した。同製品の発売記念イベントがベトナム医療機器協会の設立20周年を記念した医療機器専門のイベント(第4回医療機器科学技術会議)の中で発表された。
同社が開発した病院向け酸素発生装置(C-System)は、特に遠隔地や国境周辺地域、島嶼地域にある医療施設に医療用酸素をコストを抑えて供給するのに役立つと言われている。
また、同社が開発した病院向け酸素発生装置(C-System)は、特にベトナム国内にある施設・環境が充実していない下位レベルの医療機関で行われる、緊急治療や麻酔治療、心肺蘇生で患者が使用する酸素の供給にも役立つと言われている。
出典:https://bit.ly/3yV8E9S
SAGOMED実績が顕著な企業TOP10に選出〜医療機器業界動向〜
SAGOMED社は病院で使用される医療用ガスシステム、手術室設備、ICUなどを含めた近代的かつ専門的で包括的なソリューションを提供している大手企業である。
2023年1月10日にハノイ市内の国際コンペティション・センターで開催された「ベトナム国家と共存する企業・ベトナム企業の文化的発展」が開催され、同イベント内で“ベトナムの代表的経営者・企業”の表彰式も行われた。
SAI GON MEDICAL EQUIPMENT AND TECHNOLOGY (SAGOMED)の関係者も表彰式に参加し、同社は“実績が顕著な企業TOP10社(2022)”を受賞した。
SAGOMED社は、ベトナム国内で最高レベルの医療ソリューションを提供するブランドを目指しており、顧客サービスの開発及び向上に継続的に取り組んでいる。本イベントでの受賞は、同社の上記のような取り組みが高く評価された結果だと言われている。
出典:https://bit.ly/3yVsDFn
Vietmedが3年連続で技術サービス金賞を受賞〜医療機器業界動向〜
ベトナム国内で医療用専門機器の販売、保守・メンテナンスサービスを20年近く提供しているVietmed社は、2022年9月にMindray医療機器会社から“製品流通及び技術サービス”分野で金賞を受賞した。
同社は3年連続で金賞を受賞しており、この結果はVietmed社の全社員、特にエンジニアリング部門のチームが製品の導入や設置、説明やトレーニング、保守・メンテナンスなどを通じて顧客に対してより良い製品やサービスを提供している事が高く評価された結果だと考えられる。
Vietmed社では、画像診断機器(超音波、内視鏡検査、X線)、検査機器(生化学、血液、免疫学、尿、細胞等)、機能モニタリング機器、手術室用機器(モニター、無影灯、手術台、人工呼吸器、挿管キット、吸引器、心電図測定器等)、眼鏡顕微鏡、医療訓練用モデル等を幅広く取り扱っている。
出典:https://bit.ly/3Z7upxX
JVCトップブランド、ゴールデン製品/サービスを受賞〜医療機器業界動向〜
JVC社は、医療機器や医療機関向けの消耗品の流通、アフィリエイト投資(医療機器導入のための資金提供)、医療機器のテクニカルサポート等のビジネスを展開している。特に、医療機器や医療機関向けの消耗品の流通分野で世界中の数多くの主要メーカーの戦略的パートナー及び独占販売代理店に指定されている。
2022年7月21日、同社はベトナム知的財産協会がブランドの構築及び保護の促進やブランドの表彰を目的に毎年開催しているイベントで、「2022年トップベトナム・トップブランド」及び「2022年トップゴールデン製品/サービス」の2つの賞を受賞した。同社では今回の受賞により、自社のサービスや製品の品質が顧客の高い信頼に繋がるとコメントしている。
また、JVC社は製品の品質やサービス品質を更に向上させ、多様な顧客のニーズを満足するための国際基準の製品やサービスの提供に注力し、今回の受賞に値するようなビジネス活動を展開していくとコメントしている。
出典:https://bit.ly/3lsQp8P
2020年 ベトナムの医療機器(医療・介護)業界
ベトナムのVINGROUP、米MEDTRONICと提携〜医療機器業界動向〜
2020年8月12日、VinSmart Research and Production Joint Stock Company(Vingroup Group)は、Medtronic呼吸器用コンポーネントの製造に関して、MedtronicPLCとの戦略的協力協定を発表した。
Vingroupが製造した50,000ユニットの換気装置コンポーネントは、2020年に米国とアイルランドに輸出される予定だ。
Medtronic PLCは、医療ソリューション、サービス、テクノロジーの世界最大の企業の1つであり、150か国以上でヘルスケアソリューションとサービスを提供している。同社の人工呼吸器はCovid-19の治療において必須の機器と評価されている。
出典:https://vingroup.net/tin-tuc-su-kien/bai-viet/2225/vingroup-san-xuat-linh-kien-may-tho-cho-medtronic
オリンパス、ベトナムでISO14001のマルチサイト認証取得〜医療機器業界動向〜
オリンパス株式会社は、国内及びアジアのオリンパスグループ12法人を対象として、環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001のマルチサイト認証を取得した。
これまでオリンパスグループでは、「オリンパスグループ環境方針」に基づき、国内外の主要な生産拠点及び物流・販売子会社にて個別にISO14001の認証を取得し(2020年9月末時点で27法人)、本社の環境統括部門のもと、環境マネジメントシステムを継続的に改善し環境パフォーマンスの向上を図ってきた。
今回、製品開発、調達・製造、物流、販売、修理といったバリューチェーン全体のマネジメント体制の構築が必要であるとの認識のもと、グループとしての環境ガバナンスの強化及び環境管理の効率化を目的として環境マネジメントシステムを共通化し、ISO14001認証の統合化を進めた。
出典:https://www.olympus-global.com/news/2020/contents/nr01833/nr01833_00001.pdf
カネカベトナム、医療用カテーテルの生産能力を増強〜医療機器業界動向〜
株式会社カネカは、グループ会社のカネカメディカルベトナム(本社:ベトナム ビンズン省)における医療用カテーテルの生産能力増強を決定した。
同社は、心臓・末梢血管疾患および脳血管疾患の治療デバイスである血管内治療用カテーテルや、消化管がんの治療に用いる消化器用医療機器、不整脈検査用の電極カテーテルなどの医療用カテーテルを、日本とベトナムで生産している。
グローバルに拡大する旺盛な需要に応える為に、今般、ベトナム工場の生産能力を大幅に引き上げることにした。既存工場の隣接地に新工場を建設し、生産能力を約3倍に拡大。投資金額は約10億円で、2022年1月の稼働を予定している。
出典:https://www.kaneka.co.jp/topics/news/2020/nr2009231.html
Bitech Global、ベトナム拠点にて国際規格取得 〜医療機器業界動向〜
株式会社バイテック・グローバル・ジャパンは、ベトナム拠点であるBITEC GLOBAL VIETNAM Co.,Ltd(ベトナムホーチミン市)において、2020年6月9日に品質マネジメントシステムの国際規格である「ISO9001」「ISO13485」を取得した。
今後も、顧客に満足してもらえるよう、安全で信頼性のある高品質な製品およびサービスを提供すべく、継続的な改善・向上に取り組んでいく。
ISO 9001は品質マネジメントシステムに関する国際規格。一貫した製品・サービスの提供、顧客満足の向上を目的として、170ヵ国以上、100万以上の組織が利用している。ISO13485は医療機器産業に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格となっている。
出典:https://bitecglobal.jp/351/
ベトナムのDanameco、医療業界にマスク寄付〜医療機器業界動向〜
Danamecoの医療用マスクは、医療スタッフ向けの滅菌済み3層マスクである。同社は感染拡大を防ぐために、医療スタッフにマスクを寄付した。寄付されたマスクは、医療業界の基準に従って、ダナンの工場で製造されている。
Danamecoには2つの工場があり、ダナンとクアンナムに長年にわたって生産ラインが設置されている。
このタイプのマスクはベトナム市場では広く販売されていない。その理由として、日本への輸出と、国内の病院向けに製造されているからだ。保健省によると、同マスクは医師や医療従事者がCovid-19に対応するのに非常に効果的とのことだ。
出典:http://danameco.com/danameco-tiep-tuc-tang-khau-trang-cho-nganh-y-chong-dich.html
2019年 ベトナムの医療機器(医療・介護)業界
情報技術4.0を活用したベトナムのスマート病院モデルとは?〜医療機器業界動向〜
2019年10月26日、アンザン地域総合病院は、情報技術4.0を活用したスマート病院モデルの展開に関するフォーラムを開催した。
同総合病院は、紙での記録ではなく、電子医療記録を正式に実装したベトナム国内の3つの病院の1つとなる。同フォーラムには全国の医療関係者や情報技術企業、電子決済サービス分野の代表者等450人以上が参加した。
フォーラムのトピックは、電子医療記録(EMR)を展開するためのインフラストラクチャの準備や、病院におけるキャッシュレス支払い、健康管理におけるブロックチェーン技術の応用等であった。
ベトナムのVIETMEDICALとハノイ科学技術大学、研修で提携〜医療機器業界動向〜
2019年2月14日、Vietmedicalグループの本社で会議が開催された。ハノイ科学技術大学とVietmedicalグループはそれぞれの経験を共有し、トレーニングに関する協力を強化した。
同会議には、Vietnamedicalグループとハノイ科学技術大学だけでなく、 ベトナム医療機器公社などから多くの業界関係者が出席した。
Vietmedicalグループは、持続可能な発展を続ける医療機器分野のリーディングカンパニーとなることを目標に、人的資源を必須要件として考えている。そのような背景の元、同社は学生を継続的に受け入れ、トレーニングに協力している。
ベトナムでインダストリー 4.0 サミット、 SIEMENSの出展
Siemens Vietnamは、2019年10月2日から3日にかけてインダストリー4.0サミット2019に参加し、ブースの出展と「Smart Manufacturing」カンファレンスセッションで「Future of Automation」のプレゼンテーションを行った。
同イベント内の同社ブースでは産業オートメーションの最新ソリューションや産業における拡張現実技術が紹介された。
また、ベトナムにおける同社のトレーニングセンターであるSITRAINおよびタッチスクリーンを介したCNCコントローラーの操作方法に焦点を当てたSINUTRAINアプリケーションが紹介された。
ベトナムのSIEMENS、注目の技術とは?〜医療機器業界動向〜
MTA Vietnam 2019は、ベトナムのハイテク精密工学および工作機械技術の主要な展示会の1つであり、2019年7月2日から5日にホーチミン市で開催された。
今年のシーメンスの展示ブースでは、製品設計、計画、仮想コミッショニングから実際の製品実行、サービスまでの5段階のバリューチェーンを備えた精密工学および工作機械におけるデジタルエンタープライズポートフォリオが展示された。
同社ブースの目玉は、CNCコントローラーの最新機能など。これらの技術は、部品の生産などにおいて顧客独自の要件に対処することを可能にするとのことだ。
2018年 ベトナムの医療機器(医療・介護)業界
ベトナムで緊急医療に関する国際会議が開催〜医療機器業界動向〜
2018年11月7日から11月9日にわたり、ニン・ビン省(Ninh Binh)で緊急医療国際会議2018が開催された。会場には緊急医療に関係する医療機材(コールドスポンサーであるVietmedicalから提供)なども展示された。
会議のテーマは〈重症患者のゴールデンアワー〉であった。ゴールデンアワーとは、患者に発作が発生したり、重傷を負った直後の一定時間を指し、その時間の対処次第でその後の患者の容体が大きく変わると言われている。
同会議では、このゴールデンアワーにおける対処が現状十分でない、という問題意識のもと、ゴールデンアワーの重要性に対する医療関係者の理解を高めるとともに、適切な緊急対処法などの共有が行われた。
北部医療機器業界関係者、ベトナムの病院を訪問〜医療機器業界動向〜
2018年8月27日の発表によると、北部医療機器協会の関係者がフン・ブオン (HÙNG VƯƠNG)総合病院を視察した。同プログラムは、最新の医療機器を現場へ導入することを目的に、医療機器関係者と病院との連携関係を強化することを目的として実施された。
プログラムの中では、医療機器業界関係者が同病院の幹部から病院の医療現場で患者の検査や処置において、いかに最新の医療機器が重要になってくるかについて情報の共有を受けた。
同病院は多くの最新型検査機器を導入している。例えば、磁気共鳴画像MRI (1.5テスラ)や、国際基準に準拠した骨密度検査装置、4D超音波装置、生化学検査器機などが導入されている。
ベトナムの総合病院、AIをがん治療に活用〜医療機器業界動向〜
フー・トー総合病院ではがん治療の際、IBMが開発したAIを積極的に活用している。同院のコンピューターは米国の膨大な医療データベースとオンラインで接続されており、治療に必要となる情報の共有が容易にできるよう設計されている。
高齢者などこれまで手術によるがん治療に危険が伴うとされていた利用者に対しても、化学放射線療法をはじめとする人口知能を活用したシステムを用いることでより安全に医療を提供することができる。
同病院における人口知能システム導入は世界で81院目、ベトナムでの導入は13カ国目となる。
ベトナムで医療機器業界牽引のシーメンス、パートナーカンファレンス2018を開催
2018年10月25日から27日にかけて〈シーメンスDF&PDパートナーカンファレンス2018〉がクイ・ニョン (Quy Nhon)で開催された。同カンファレンスでは、2018年度におけるロードマップで示された短期目標を共に実行し、また2019年度における中期戦略目標の設定・達成に向けて同社パートナーへ感謝と激励の意を示した。
パートナーカンファレンスを主催したシーメンスは、同社ウェブサイト上で「ロボット工学や人工知能、ブロックチェーン技術等を用いた新テクノロジーが牽引する、新たな産業時代」を意味する〈産業革命4.0〉というトレンドを背景として、「デジタルエコシステムをナビゲートする」というテーマを掲げるのに最適な年であった」と述べている。
特に”バーチャル・エンジニアリング& コミッショニング”や”小売現場でのクラウド活用事例”のセッションでは、理論だけに留まらず、実際の製品における実用化についても発表が行われた。
まとめ:ベトナムの医療機器業界
医療用機器の販売市場が近年好調な推移を続ける背景には、医療用機器の主要バイヤーである公立病院が増加していることや、農村部の医療インフラの拡充が進んでいることが挙げられます。今後もこのような傾向に注目することで新たなビジネスチャンスを見つけられるのではないでしょうか。
ハノイ在住のベトナム人。名古屋大学で文部科学省奨学金の日研生として留学経験有り。日越の翻訳、通訳などが得意で、日本語教師の経験有り。ハノイで日系IT企業に入社後、主に総務・人事、日本親会社との取引業務を約3年経験し、その後長野県で日本企業で勤務。