韓国の病院業界は、テクノロジーの進化や患者中心のケアが進む中で、新たなトレンドが浮上しています。AIや遠隔医療の導入が加速し、効率的な医療サービスが求められる時代が到来しました。患者のニーズに応じたパーソナライズされた医療も注目されています。本記事では、韓国の病院業界を変革する最新トレンドを深掘りし、未来の市場を見据えたインサイトをお届けします。
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2024年 韓国の病院業界
ソウル聖母病院泌尿医学科ロボット手術5,000例達成〜病院業界動向〜
2024年4月の発表によるとソウル聖母病院泌尿器科では、ロボットを用いた手術が5,000件に達した。2024年2月まで、泌尿器科では同病院で行われるロボット手術の37%を占め、手術件数が最も多かった。
泌尿器科におけるロボット手術5,000例を主要疾患別に見ると、①前立腺がん2,686例(57%)②腎臓がん1,692例(34%)③膀胱がん350例(7%)④尿管がん150例(3%)⑤その他の泌尿器疾患の手術122例(2%)となった。
泌尿器科長のホン・ソンフ教授は、「韓国で最も多くの腹腔鏡ロボット手術を行っており、特に最近では、韓国で初めて腹腔鏡ロボットを使用して尿失禁の合併症をさらに軽減する前立腺がん根治切除を行い、前立腺がん患者の治療の安全性と効率を高めることに成功した」と述べた。
出典:https://www.cmcseoul.or.kr/page/board/news/517740?p=2&s=10&q=%7B%7D
ソウル大病院ブランドパワー総合病院部門24年連続1位〜病院業界動向〜
ソウル大学校病院は2024年3月27日、韓国能率協会コンサルティング(KMAC)が主催する「2024年韓国産業ブランド力(K-BPI)」調査で総合病院部門で24年連続1位になったと発表した。
重篤な疾患と基礎医療の分野で世界トップクラスの医療サービスを提供し、重症小児患者とその家族のための初の独立した短期ケア医療施設である「ネクソン小児統合ケアセンター」の開設や、ハイリスク妊婦に24時間分娩と救急医療を提供する「障害者に優しい産婦人科ユニット」の開設などが評価された。
また、韓国初の「国家戦略技術研究所」に指定され、最先端のバイオデジタルヘルスデータ分析・活用分野での国際協力を拡大しているだけでなく、最先端の医療サービスシステムを構築し、韓国の未来のKデジタル医療をリードしている点も高く評価された。
27年ぶりの医大定員増員地域・必須医療強化など医療改革推進拍車〜病院業界動向〜
政府は、2024年3月、地域密着型の医師の増員政策と地域医療強化することで、崩壊しつつある地域医療制度の再生を目標として、2025年度の医学部定員を増員する。
主な目標の1つは、地域医療の強化と地域拠点病院の整備だ。現地人材が現地で研修を受け、現地の医療機関で就労するための継続的な支援制度を強化する。
また、地域の人材が現地で教育・訓練されれば、地域の医療機関で働く人の割合は大幅に増えるとの前提のもと、非大都市圏の学生の配分比率を上方修正し、大都市圏と地方の専攻学生の比率を公平に配分する。
出典:https://www.mohw.go.kr/board.es?mid=a10503010100&bid=0027&cg_code=
檀国大病院 ZAP-X放射線手術センター開所〜病院業界動向〜
檀国大学病院は、2024年2月に放射性脳外科手術装置「ZAP-X」を韓国で初めて導入し、放射線治療センターの開所式を行い、本格稼働を開始した。
従来の放射線手術装置は、遮蔽のために地下バンカーや1m以上の厚いコンクリート壁で囲まれた空間が必要であったほか、工費と工期が長問題視されていた。一方、ZAP-Xは、開放感のある快適な空間に設置することができる。また、局所麻酔が不要で、全身麻酔が必要な開頭術のリスクがある患者にも安心して施術を行うことができる。
檀国大学病院のキム・ジェイル院長は「忠清南最大のがんセンター・地域がんセンターに指定されている檀国大学病院は、脳腫瘍の治療に重要な役割を果たすZAP-Xを導入することで、より高度な放射性脳外科手術が可能になった」と述べた。
出典:https://www.dkuh.co.kr/board5/bbs/board?bo_table=01_03_01&wr_id=6769
韓国専攻医協議会 医大増員に対する声明発表〜病院業界動向〜
韓国専攻医協議会(以下「協議会」という。)は2024年2月20日、政府が表明した医大定員の増加施策に対して、撤回する旨を求める声明を発表した。
声明の内容は、主に、①医学生2,000人増員計画の廃止②医師の需要と供給を科学的に推計する仕組みを構築した上での増減の議論③研修病院における専門医の採用拡大④不可抗力の医療過誤の法的負担を軽減するための具体的な措置の導入⑤週80時間に達する専攻の劣悪な勤務環境の改善等である。
同声明では、医療政策を総選挙で勝つという政治的利益のために利用しているという批判のほか、2000人という増員に対する根拠の不十分さも指摘している。
出典:https://youngmd.org/154/?idx=18112487&bmode=view
2022-2023年 韓国の病院業界
カトリック大学医学部「再生医療基盤共同活用支援事業」受注〜病院業界動向〜
2022年8月の発表によるとカトリック大学医科大学は、保健福祉部が主催し、韓国保健産業振興院が支援する「再生医療基盤共同利用支援事業」の実施機関に選ばれた。
これにより、カトリック大学医科大学をはじめ、国内の優良企業や研究機関が、迅速な臨床試験への参入と新しい細胞治療製品の製造のための基盤を確立した。また、生産コストの低減や、次世代に向けた有望な新医療技術の産業化の加速も期待される。
研究代表者のクァク・スンギ教授は「バイオベンチャー企業との共同研究を通じて最良の結果を引き出すよう努める」と述べ、「この研究を通じて、優良企業がより迅速に臨床試験や製品発売を行えるよう支援し、 一般の人々が新しい細胞治療技術にいち早くアクセスするためのきっかけとなるだろう」と述べた。
出典:https://medicine.catholic.ac.kr/bbs/news/omninewslist.jsp?mode=view&g_id=&page=12&num=72758
ソウル牙山病院がん・心臓・内分泌分野アジア太平洋1位〜病院業界動向〜
2023年6月の発表によると、米国のニューズウィーク誌「ニューズウィーク」が実施した「アジア太平洋地域の臨床分野別ベストホスピタル」の最近の評価で、牙山医療センターはがん、心臓病学、内分泌の3つのカテゴリーで第1位にランクインした。評価対象となったすべての病院の中で、2つ以上のカテゴリーで1位にランクインしたのは牙山病院のみであった。
残りの3つの評価カテゴリーでも、整形外科で2位、神経科で3位、小児科で7位にランクされ、6つの評価カテゴリーすべてで上位7位にランクインした。
2022年、牙山医療院で治療を受けた患者は合計3,607,690人で、そのうち17,835人が外国人だった。朴承日(パク・スンイル)院長は「牙山医療院が韓国だけでなく、患者の信頼と医療スタッフの献身的な努力のおかげで世界的に認知された病院になった。これからもより良い病院になれるよう努力していきたい」と述べた。
朝鮮大病院最先端スマート病院構築の新ビジョン確立〜病院業界動向〜
朝鮮大学校病院は2023年4月14日、開院52周年記念式典を開催し、その中で、新たなビジョンを宣言した。
「生命を尊重する最先端の医療を通じて、人類の幸せな生活に貢献する」ことをミッションに掲げ、スマート医療の先導、独創的な研究と教育、変化と革新を先導する新病院、地域とともに世界に飛び出す新病院をコアバリューとすることを発表した。
特に、スマート医療については人工知能、モノのインターネット、クラウド、ロボットをベースとした最先端のスマートホスピタルを目指すことを宣言した。
キム・ギョンジョン院長は「進むべき方向を改めて認識し、さらに踏み込んで開院52周年を祝う。新たな飛躍のための『ターニングポイント』にしたい」と述べた。
出典:https://hosp.chosun.ac.kr/bbs/?b_id=news&site=hospital&mn=221&type=view&w_id=2062
明知病院ポストコロナへ300億規模の医療機器を拡充〜病院業界動向〜
2022年9月の発表によると明知病院はポストコロナに備えて 300億ウォン相当の医療機器を拡充した。ロボット手術装置ダヴィンチ、MRI、血管、CT、線形加速器など最新機器が導入され、、医療の質を飛躍的に向上させることが期待されている。
明知病院の医療機器の大規模増設は、COVID-19の影響で国内の病院が3年近く通常業務を行えず、経営環境が厳しい中での対応として注目されている。
李王軍(イ・ワンジュン)院長は「明知病院はポストコロナ時代に備え、優秀な医療スタッフの採用や大型医療機器の導入を率先して進めている」とし、「こうした取り組みが医療の質の飛躍的な向上につながり、医療機器の質も競合病院に比べて向上した」と述べた。
国立がんセンター シンポジウム『がん領域での人工知能とビッグデータ』開催〜病院業界動向〜
国立がん研究センターは、2022年6月15日に、人工知能と医療ビッグデータ分野の第一線で活躍する専門家を国内外の専門家に招き、第14回国際シンポジウムを開催した。
本シンポジウムは、国内外の有識者が参加し、「がんにおけるAIとビッグデータ:知識から行動へ」をテーマに、最新の知見を紹介した。特に、本シンポジウムは、医療分野における人工知能やヘルスケアビッグデータへの関心を高め、ネットワーク構築による新たな治療・研究戦略を模索することを目的として企画されたものだ。
国立がん研究センターのソ・ホングァン所長は「国家レベルでの人工知能とビッグデータの重要性が強調される中、国内外の人工知能とヘルスケアビッグデータ分野の巨匠や学者を招いてフォーラムを開催した」とし、「今回のフォーラムが、がん分野における人工知能とヘルスケアビッグデータ技術を活用した新たな治療戦略をさまざまな角度から探求する機会となることを願う」と述べた。
出典:https://www.ncc.re.kr/prBoardView1.ncc?nwsId=7796&searchKey=total&searchValue=&pageNum=23
ソウル在住の韓国人。日本での在住経験は12年。日本の有名大学を卒業し、大手シンクタンクの正社員及び経営コンサルタントとして勤務。ビジネス戦略とイノベーションの分野で活躍。
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