フィリピンの高齢化は過去10年間で国内人口の増加率を上回る勢いで拡大しています。しかし、フィリピン国内での介護施設は不十分であり、介護士の賃金も非常に低い水準となっています。2022年には介護者の待遇改善の法案が提案されるなど、わずかながら変化が起こってきています。
今回は、そんなフィリピンの介護業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2022年 フィリピンの介護(医療・介護)業界
Bahay Dona Rosarioが事業を紹介〜フィリピンの介護業界動向〜
Bahay Dona Rosarioは、高齢者とスタッフの両方の成長を促進し、コミュニティ精神、社会的つながりをモットーとしている。入居者が大切にされ、大切にされていると感じられる環境の中で、自立と自給自足を維持できるよう支援し、興味や能力に応じた活動やプログラム、栄養豊富な食事、快適で安全で魅力的な生活環境を通じて、入居者の健康と幸福をサポートしている。
ライフライン16-911には、基本的な生命維持(BLS)トレーニングがあり、同社のBLSトレーニングにより、当社のスタッフは自信を持って緊急事態に取り組むことが出来る。
Lifeline16-911は、27年間の運用で400,000人以上の命を救い、500万人のメンバーをカバーし、15分ごとに1人の命を救っている。このような結果は忍耐力と情熱の証であり、常に人を第一に考えるべきだという信念に突き動かされている。400人の専門家、60台を超える車両、世界クラスの救急車、および初動対応チームを擁するLifelineは、保健省から認証を受けたフィリピンで最初の救急車会社である。
出典:https://raintreecare.com/newsletters/jan-2023-feb-2023/
DOLEとPNAが権利保護に関するMOAに署名〜フィリピンの介護業界動向〜
2023年4月3日の発表によると、労働雇用省(DOLE)とフィリピン看護師協会(PNA)は、フィリピン人看護師の権利を保護し福祉を促進するプログラムと政策を実施するための覚書(MOA)に署名した。
PNAは、職場における労働法の遵守の評価に参加し、2017年のDOLE管理命令第164号に基づく必須の会議に出席し、すべての医療施設が労働法、規則、および規制を確実に遵守するようにDOLEを支援する。
PNAはまた、MOAの下で出発前オリエンテーションセミナー(PDOS)の正当な実行者であり、フィリピン海外雇用管理局(POEA)によって設定された認定および登録ガイドラインと、雇用前オリエンテーションセミナー(PEOS)の制度化に従っている。
出典:https://blr.dole.gov.ph/news/dole-pna-sign-moa-on-protection-of-rights-of-filipino-nurses/
政府は4PHの範囲を健康、教育施設に拡大〜フィリピンの介護業界動向〜
2023年4月19日、フィリピン政府は、Pambasang Pabahayparasa Pilipino Housing(4PH)プログラムを拡大して、教育と医療の施設建設を含めることを目標にしていると、マルコス大統領は述べた。マルコス氏は、ブラカン州の6つの市と自治体で、6つの住宅プロジェクトが同時に開始された後、声明を発表した。
これらのブラカン住宅プロジェクトの初期段階では、合計12,563の住宅ユニットが建設され、追加の段階に拡張されると、約30,000のシェルターユニットに達する可能性がある。マルコス氏は、主要な住宅プログラムの範囲を拡大し、健康および教育施設の建設を含めることができると述べた。
またマルコス氏は、2028年までに年間100万戸の住宅を建設することが政権の目標だとしている。
出典:https://www.pna.gov.ph/articles/1199715
介護士を保護するためのポリシー〜フィリピンの介護業界動向〜
2022年10月27日の発表によると、フランシス・トレンティーノ上院議員は、適切な雇用に向けてフィリピン人の介護士の福祉を保護するための政策を制度化することの重要性を強調した。トレンティーノ氏は、国の発展における介護士の重要な役割を認識し、これらの政策を法律として制定し、介護士の専門的サービスの優れた国際競争力のある基準を維持する必要があると述べた。
彼は、上院法案1396または提案された「2022年の介護者福祉法」を提出した後、「介護士は、虐待、嫌がらせ、暴力、経済的搾取からも保護されなければならない」と述べた。
この法案の下では、介護士は最低賃金を下回らない給与、固定勤務時間、残業代、社会保障制度(SSS)、フィリピン健康保険公社(PhilHealth)、および住宅開発投資信託(Pag-IBIG)を受益する。また、介護者の労働時間は当事者が署名した雇用契約と労働法に基づくものとすることが提案された。
この措置は、1日3回の適切な食事や人道的な睡眠の取り決めなど、家庭の介護者に基本的な必需品が提供されることも保証するものとしている。
出典:https://www.pna.gov.ph/articles/1187167
自社特定技能人財、入国数1,000名突破〜フィリピンの介護業界動向〜
株式会社ONODERA USER RUN(代表取締役社長:加藤順所在地:東京都千代田区以下「OUR」)は、2023年4月10日(月)時点で、自社7か国無償教育拠点より、来日した特定技能外国人財が1,000名を突破したことを発表した。
OURでは、現在アジア7か国に日本語及び特定技能に係る独自の無償教育拠点(OURアカデミー)を有し、各分野の専門教育を無償で行っている。
この度、OURアカデミーで教育・育成をした特定技能外国人財の入国者数は1,004名で、国別でみると、ミャンマー545名、フィリピン436名、カンボジア11名、ベトナム7名となった。また分野別では、介護:67%、外食:29%、飲食料品製造などが4%の比率になっており、今後、宿泊、建設分野などの入国も予定している。
当該人材は、約6.5か月・700時間超の日本語とそれぞれの専門分野教育をOUR独自の短期で集中的に習熟度を伸長させるカリキュラムを経て、当該分野に於ける資格試験に合格し、在留資格を得ている。
出典:https://www.onodera-group.jp/news/?p=3744
2020年 フィリピンの介護(医療・介護)業界
インフィックのLASHICの評価〜フィリピンの介護業界動向〜
静岡市に拠点を持ち小規模多機能型の介護施設を展開し、日本式の衛生管理、現場の人員配置、介護の技術を指導するインフィックは、「第1回アジア健康長寿イノベーション賞」の「テクノロジー&イノベーション部門優秀事例」の一つに選出された。
選出されたのは同社のサービスである「地域包括ケア対応型IoTプラットフォームを活用した高齢者生活支援事業LASHIC(ラシク)」。見守りセンサー「LASHIC」が感知する部屋の環境、体調、行動をリアルタイムにケア担当者が把握する体制をしき、センサーと巡回による介護手法のノウハウを構築することを目指す。
「アジア健康長寿イノベーション賞」は、日本政府によるアジア健康構想の一環として、日本国際交流センターおよび東アジア・アセアン経済研究センターが2020年に創設した表彰事業。健康長寿の達成、高齢者ケアの向上に資する取り組みをアジア各国から募集し表彰する。
出典:https://infic-g.net/blog/2020/07/post-55.php
PWフィリピン、特定技能人材の住居の課題解決へ〜介護業界動向〜
日本で介護業界をサポートするための総合的な人材教育を海外現地で行うための機関PW Philippinesを運営するONODERA GROUPは、特定技能人材の住まいを整えるハウジングサポート事業を開始した。
2019年4月に新設された就労のための在留資格「特定技能」により外国人労働者が増えていく一方で、約4割の外国人が外国人であることを理由に入居を断られた経験があるという。この課題を解決するため、受け入れ企業が外国人材を雇い入れる際の支援事業を行う。
外国人の物件契約は言葉の壁などの関係で難しく、手続き等が煩雑となるケースも少なくない。同社の包括的な本事業により、外国人材が安心して就労できる生活環境を提供すると共に、受け入れ企業をサポートする。
出典: https://www.facebook.com/PWAcademyCabuyao/posts/3240570476054440
フィリピン内の病院で健康教育のためのオンラインプログラム開始〜介護業界動向〜
バタク市にある国営のマリアーノマルコス記念病院および医療センター(MMMH&MC)は、国内初となるソーシャルメディアベースの健康教育プログラムであるE-Pakaammoを開始する。
このプログラムは国民の健康リテラシーを向上させ、保健省と病院のプログラムと活動への支持を得ることを目的としている。Covid-19パンデミックを受け、本プログラムを通じて迅速で関連性の高い情報を一般公開することにも注力している。
2020年5月に議論される健康擁護とトピックには、メンタルヘルス管理、パンデミック中の高齢者ケア、「ニューノーマル」を取り巻くルール、子宮頸がん管理など、Covid-19パンデミックを取り巻く全体的な懸念事項が含まれている。
出典: https://www.pna.gov.ph/articles/1102718
フィリピンのRainTree、COVID-19中の営業について案内〜介護業界動向〜
高級介護施設であり、24時間体制の介護サービスとリハビリテーションを提供しているRainTree Care Services & Senior Residencesは、COVID-19パンデミック下における施設運営に関して案内した。
2020年3月15日以来、同施設は自主的な封鎖を続けており、スタッフのほとんどはウイルスにさらされないように、継続的に敷地内に滞在している。その徹底した管理により、いまだにCOVID-19が発生していない施設である。
またスタッフ向けの特別な検疫手順を考案し、従業員が緊急時に家に帰る必要がある場合、施設に戻った後は検疫室に14日間滞在する。検疫室滞在中は、同僚や居住者との接触ができず、通常の任務に戻る前に、Covid-19の抗体検査も行われる。
出典:https://raintreecare.com/wp-content/uploads/2020/11/RTC-Oct-Nov-2020.pdf
フィリピン・タルラック市の38,000人の高齢者、年末給付を受給〜介護業界動向〜
ルソン島にあるタルラック州の州都であるタルラック市は、市内の約38,000人の高齢者を対象に年末の給付金の配布を開始した。受益者はCovid-19パンデミック中の高齢者に対する少し早めのクリスマスギフトだと喜んだ。
配布はバランガイホールなど、各村が指定した地域で行われた。しかし、家から歩くことができなかった高齢者のために、その一部はバランガイの役人によって彼らの住居に直接届けられた。
年末の給付金である一人当たり500ペソの現金の他に、健康危機に備えて、高齢者は抵抗力を高めるためにビタミン剤も受け取ったと述べた。高齢者の今までの社会への重要な貢献が認められ、38,000人の高齢者全員が支給されるまで年末給付の分配が続く見通し。
出典:https://www.pna.gov.ph/articles/1121257
2019年 フィリピンの介護(医療・介護)業界
運動と寿命の関係とは?フィリピンのTNMの見解〜介護業界動向〜
介護者と患者の比率が1:3と、手厚い介護サービスが受けられる環境を提供するTNM Assisted Living and Home careは、公式Facebookページにて入居者が運動している動画を公開するとともに高齢者への定期的な運動を推奨した。
同ページによれば、健康の専門家は、高齢者への定期的な運動は寿命を延ばすなどの大きな利点があると助言しているものの、実際には65歳から74歳の4人に1人だけが定期的に運動しているという。
国立加齢研究所によると、運動はあらゆる年齢の人々に適しており、多くの慢性疾患の症状を緩和することができる。 そして、一般的に加齢が衰弱の要因と考えられているが、実際には年齢ではなく運動しないことが関連している。
日本の介護業界をサポート!PWフィリピン無料講座の目的とは?〜介護業界動向〜
ONODERA GROUPが将来的に日本で介護業界をサポートするための総合的な人材教育を海外現地で行うために設立したPW Philippinesは、無料の日本語講座と日本で介護士になるためのセミナーを定期開催している。
PW Philippinesは語学学校でありながら、無料の中級レベルの日本語学習と日本式の介護トレーニングを提供している。このプログラムは、高齢者の介護に関心があり、質の高い日本語学習を無料で利用したい若いフィリピン人に人気がある。
同社の使命は、フィリピンの若者に良い教育の機会を与え、彼らがより明るい未来を獲得するために必要な支援を拡大することで、フィリピンと日本の相互発展に貢献することである。特に財政的制約のために十分な教育を受ける余裕のない若者たちに、無料のレッスンを提供している。
フィリピンのADPCN、国際介護カンファレンスを開催〜介護業界動向〜
世界的な看護教育の発展のために組織された非営利団体であるAssociation of Deans of Philippine Colleges of Nursing (ADPCN)は、フィリピン看護師協会(PNAA)、フィリピン看護師協会(PNA)、フィリピン人海外委員会(CFO)と第12回国際介護カンファレンスを共催する。
本カンファレンスは、グローバルな教育と研究の変化をリードする看護師の役割を再確認し、新たな問題におけるアドボカシーの機会と臨床診療の傾向を共有する目的で行われる。学術的に権威のある多くのゲストスピーカーが講演を行う。
開催日は2020年1月21-22日の二日間で、場所はボラカイ島である。ローカルおよびグローバルな健康について共有するための、フィリピン人看護師グローバルサミットも同時開催される。
ミスユニバースフィリピン代表、介護サービスについて言及〜介護業界動向〜
フィリピンの高齢者と協力して彼らの問題と権利に取り組むNGO 、Coalition of Services of the Elderly (COSE)の公式フェイスブックページの発表によると、2019年のミスユニバースフィリピン代表であるガジニは、(COSE)と提携することで、高齢者の世話をさらに推進するという彼女の公約を果たしている。
彼女は母方の祖父母と一緒に育ったことが、高齢者の世話を支援するきっかけとなっている。自身のInstagramアカウントにて、高齢者部門の問題と懸念、高齢化と普遍的年金の推進についての理解を深めてくれたCOSEへ感謝の意を示した。
COSEは、 高齢者、特に貧困層や疎外された人々と協力することを使命とし、 文化の多様性を尊重し、高齢者の可能性を育み、重要なセクターとして認識し、高齢者の権利を守るために活動している。
2018年 フィリピンの介護(医療・介護)業界
フィリピンのDSWD、社会年金の倍増支持〜介護業界動向〜
社会福祉開発省(DSWD)は、2018年9月17日、貧困状態にある高齢者を対象とした政府の支援政策の一環として位置づけられる社会年金の額を、現在のP500からP1000に倍増させることを目指す上院議案へ全面的な支持を表明した。
社会年金(SPISC)は、高齢者の生活と経済状況を改善し保護するために、共和国法(RA)9994(または拡大高齢者法)によって、2011年からDSWDによって施行された制度。
RA 9994においてDSWDの社会年金プログラムに基づくP500の月額支給を受ける資格を持つのは①社会・経済的に恵まれない②治療が必要な病人③高齢者④身体障がいのある者であると規定されている。DSWのDの社会年金プログラムでは、2018年現在340万人の高齢者が対象となっている。
フィリピンで貧困高齢者に対するユニバーサル社会年金の推進〜介護業界動向〜
フィリピン高齢者連合(COPAP)と非政府組織高齢者サービス連合(COSE)は、高齢者層へのP200月間無条件現金支援は不十分であり、税制改革法(TRAIN法)の恩恵が十分に得られていない旨を主張した。
無条件現金移転(UCT)プログラムは、初年度にP200の税制改革補助金を、2年目と3年目にP300を、P500が高齢者へ支給される社会年金に追加する予定だが、少額である上に3年間のみの実施となる。
ユニバーサル社会年金は、社会年金および無条件現金移転(UCT)プログラムから除外されたすべての高齢者を対象とすることが可能であり、年金のないすべての高齢者に拡大することを提案している。
メディカルツーリズムへの提言。フィリピン観光省〜介護業界動向〜
フィリピン観光省は2016-2022年にわたる中期開発計画で医療観光(メディカルツーリズム)を推進したが、現状それは漠然としており断片的である。ニッチ市場を切り開き、フィリピンだからこそ提供できる医療サービスとして差別化する必要がある。
メディカルツーリズム産業では近年、介護ケア業界に特化した高齢者のための専門医療とヘルスケア需要が急速に拡大している。フィリピンでは高齢者の介護を家族が担う文化基盤があることから、その風習を活かしたサービス開発が注目を浴びている。
メディカルツーリズム市場の拡大を実現するために、医療サービスの充実はもちろん、高齢者医療に特化した医療従事者の人材育成を奨励する必要がある。また、外国人労働者の受け入れや、医療現場での外国語習得など柔軟な姿勢が要請される可能性がある。
フィリピンで介護業界牽引のインフィック、外務省「開発協力白書」に掲載
フィリピンで介護事業進出を目指すインフィックが、外務省の発行する「2017年版 開発協力白書」に、日系国際協力の具体的の取り組み事例として掲載された。
インフィックは“自立支援介護”のノウハウと質の高い日本の介護サー ビスをフィリピンに根付かせることを目指しており、2016年にはJICAの中小企業海外展開支援事業として「日本式介護システム導入基礎調査」を実施した。
調査の結果から、コストの問題や家族を大切にするフィリピンの文化を活用し、“小規模多機能型居宅介護サービス”の導入を推進することが策定された。フィリピン国内に介護職の雇用を生み出すとともに、高い技術をもった医療・介護従事者の海外流出を防ぐことも期待される。
まとめ:フィリピンの介護業界
フィリピンでは年金制度が未発達という現状があります。年金を受け取っている人でも、高齢者が個人で介護サービスを受けるには依然不十分な額となっています。今後は政府の動きに注目することで同国の介護業界ではビジネスチャンスを見つけられるのではないでしょうか?
マニラ在住5年目の日本人。法政大学経済学部卒業後、2010年4月よりWeb業界を目指す社会人向けのスクールのインストラクターとして主にコーディングソフトや画像編集ソフトの授業を担当。2015年より海外での生活とキャリア形成を目的に、青年海外協力隊に参加。