韓国の外食・中食業界は、消費者のライフスタイルの変化やデジタル化の進展により、急速に進化しています。特に、健康志向や持続可能性を重視したメニューの増加、テクノロジーを活用したサービスの拡充が注目されています。これらのトレンドは、競争力を高めるだけでなく、新たなビジネスモデルを生み出す可能性を秘めています。本記事では、韓国の外食・中食業界を変革する最新トレンドを深掘りし、未来の市場を見据えたインサイトをお届けします。
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2022-2023年 韓国の外食・中食業界
2023年外食業トレンド〜外食・中食業界動向〜
ソウル大学消費トレンド分析センターとペダル民族外食産業広場が以下の7つの2023年の外食業界のトレンド予想を発表した。
①価格の安い食事を選びつつも、一食だけは高級な料理を楽しむ”Cusual but special”②食事にゲーム性を持たせる”On a mission”③多様な選択肢の中から、消費者の状態を考慮して提案するシステム”Need for a well-curated meal”④自分の好みや食に対するこだわりを強く反映した消費傾向(ビーガン等)”Confidence in eating”⑤ユニークなメニューや店舗のコンセプトを楽しむ”Every dish has its story”⑥環境に配慮し、食事前から食事後までエコフレンドリーな選択をする”Power of food recycling”⑦機械ではなく人による充実したサービスの提供”Time to show your kindness”が挙げられる。
これらの頭文字を取って、2023年のトレンドは“CONCEPT”であるとしている。
出典:https://brunch.co.kr/@trendlibrary/9
CJフードビル 地域共生メニュー拡大へ〜外食・中食業界動向〜
CJフードビルの外食ブランドが、韓国の全羅南道特産品である莞島のアワビと、ビワ、長城のセサクサム※等を活用したメニューを発表した。これは、CJフードビルが、2023年5月に全羅南道・莞島郡・長城郡と締結した「共生発展のための業務協約」におけるプロジェクトの一環である。
地域社会との共生を重視し、韓国料理から洋食まで地域特産品の価値を広める取り組みをしている。例えば、「VIPS」ではアワビとビワを使った栄養豊富なメニューを提供するほか、「第一製麺所」ではアワビとセサクサムを使ったチキンカルグクスを提供している。また、「HAN COOK」では、アワビのコースメニューを提供している。
CJフードビルの担当者は、地域で優れた食材を使って競争力のあるメニューを提供し、引き続き地域社会との共生を確立していくと述べた。
農協牧友村 ライスバーガー販売で米消費促す〜外食・中食業界動向〜
農協牧友村はライスバーガー「ボブバーガー」の販売を通じて米の消費拡大運動に積極的に取り組んでいる。2022年6月に発売された「ボブバーガー」2種商品の販売を拡大し、コメ消費不振に苦しむ農業者のために新製品開発など様々な努力を行っている。
「ボブバーガー」は増加する簡便食の需要に応えて、マッシュルームステーキとツナマヨの2つの味が販売されており、100%国産米を使用して消費者から好評を得ている。また、米の消費拡大を目指してキンパフランチャイズ企業への米の供給権を獲得し、年間約720トンの米を追加消費する計画を立てており、今後も国産米を利用した様々な製品を提供する予定だ。
ピョ・ギファン代表取締役は、「困難に直面している我が農家のために米の消費拡大に努める」と述べたほか、「チャーハン、トッポッキなど国産米を利用した多様な製品をさらに提供する計画」であるとも述べた。
国内人気チキン調査結果〜外食・中食業界動向〜
2023年5月、韓国のシニアソーシャルベンチャー、インパクトピープルス(代表:シン・チョルホ)は、40〜60代のチキン消費トレンド調査結果を発表した。
調査結果によれば、40〜60代は「キョチョンチキン(23.6%)」が最も好きなチキンブランドとして挙げられ、以下は「BHC(19.4%)」、「BBQ(16.4%)」などが続いた。
また、チキンの注文方法で最も多かったのは、デリバリー(63.2%)で、以下はテイクアウト(26.8%)、店舗で食べる(8.3%)であった。
加えて、サイドメニューはチーズボールが最も人気が高く(32.6%)、チキンと一緒に飲みたい飲み物はコーラ(41.4%)・ビール(40%)であった。さらに、新しいチキンブランド情報を得る経路は「テレビ広告」が最も高いことも明らかになった。
出典:https://www.newswire.co.kr/newsRead.php?no=966661
アメリカ人気バーガーチェーン「FIVE GUYS」 ソウル1号店オープン〜外食・中食業界動向〜
韓国のハンファギャラリア子会社であるFGコリアが2023年6月26日午前、「FIVE GUYS江南」をオープンし、オープンイベントも開催された。
イベントには米国ファイブガイズ経営陣、米国大使も訪れ祝辞を述べたほか、キム・ドンソン戦略本部長は、「味と品質だけでなく、店舗の雰囲気も現地のオリジナリティを活かし、同店がアメリカの味と文化」を体験できる場所にしたいと述べた。店頭には悪天候にも拘らず早朝から700人以上が訪れ、注目度の高さがうかがわれた。
「FIVE GUYS江南店」では、8種類のバーガーと15種類のトッピングで25万種類以上のスタイルのバーガーを楽しむことができる。アメリカの現地店舗と同じく、ピーナッツの無料提供も実施する。
「FIVE GUYS」は全世界で約1800店舗を運営しているが、韓国はアジア内で6番目の進出国で、FGコリアは今後5年内に15か所以上の店舗をオープンさせていく予定だ。
2021-2022年 韓国の外食・中食業界
2020年フードトレンド〜外食・中食業界動向〜
2019年にはインターネットで購入した食品の早朝配送市場(スピード配送サービス)は1兆ウォンで前年比2.5倍成長し、肉・野菜の購入が増加した。
冷凍ミールキット市場も成長し、リーズナブルな食事から様々な食材を利用したプレミアムミールキットまで商品のラインナップも拡張された。冷凍食品の売り上げも増加し、特に肉類の冷凍食品が人気であった。
2020年3月基準では、水産簡便食市場も1万9127百万ウォンで前年比15%増加し、サーモン、タラ、エビ、ハイガイなど多様な水産加工食品が登場した。
その他、ゴマなどのナッツ穀物やバルサミコドレッシングの購入が増え、プルダック、スリラチャ、マーラーソースなどユニークなソースが人気を集めた。
出典:https://www.atfis.or.kr/home/board/FB0003.do?act=read&bpoId=3713&bcaId=10008
パンデミック下で無人化サービスの導入が加速〜外食・中食業界動向〜
2021年7月の発表によるとCOVID-19の第4波の影響を受けて、流通・外食業界では顧客の対面接触を避けるために多様な無人化サービスが導入が進んでいる。
例えば、食品・外食業界の「アワーホーム」は、飲食サービス全般にわたってロボット導入を計画している。また、同社の運営する「ゴルフリゾートイレブンCC」にはサービングロボットが導入され、キッチンからテーブルまで、自律走行や障害物回避技術、3D超音波センサーを利用して食事が提供される。その他、チキンフランチャイズの「BBQ」はソウルの店舗に自律走行ロボット「フードボット」を導入し、顧客の注文を受けて食品テーブルまで届ける。
業界関係者は「COVID19以降、非対面を好む顧客が増加するにつれて、無人サービスが活性化されている」とし、「様々な試みを通じて顧客の利便性を向上に努める」と述べた。
ロッテ フードテック分野のスタートアップ支援〜外食・中食業界動向〜
ロッテは、2021年4月、フードテック分野のスタートアップの育成に力を注ぐため、経営診断や事業化コンサルティング、投資機会等の支援を行う「未来食堂プロジェクト」を立ち上げ、支援を希望するスタートアップの募集を行う。
支援の対象となるのは、植物性代替肉等の代替食、機能性食品、エコフレンドリーパッケージ等の開発を行うスタートアップで、ロッテは、同プロジェクトを通じて、未来の飲食産業エコシステムを主導していく考えだ。
ロッテ関係者は「先端フードテック分野に分類される製品が近い将来食卓に登場することになると考え、関連の研究開発を進めている」とし、「フードテックスタートアップを集中的に支援することで、大企業とスタートアップ間のコラボレーションモデルを確立することができるのではないか」と述べた。
出典:https://www.lotte.co.kr/pr/newsView.do?pageNo=9&srchNewsSeq=1454&srchField=title&srchKey=
Nobrand burger 150店舗突破代替肉等趣向を凝らした商品で人気拡大〜外食・中食業界動向〜
2021年9月の発表によると新世界フードが運営する低価格帯のハンバーガーチェーン「ノーブランドバーガー」がローンチから2年で150号店を開店した。これは、業界最速のペースで、ハンバーガー市場で突風を巻き起こしている。
食に対する価値観や信念を重要視するMZ世代をターゲットとして販売された、代替肉のチキンナゲット「ノンチキンナゲット」は、30万個の完売を記録した。その他にも、主にピザトッピングに用いられるペパロニを入れたサンドイッチ、甘さを楽しめるフライドポテトなど、斬新なメニューを続々発売し、業界内で差別化を図っている。
新世界フードは、配達やテイクアウト利用の増加を見込み、デジタルマーケティングを強化するほか、割引等のプロモーションも実施し、顧客拡大に乗り出す計画である。
出典:https://www.shinsegaefood.com/nobrandburger/news_detail/news_detail.sf?newsId=979
CJフードビル プレミアム家庭簡易食販売拡大〜外食・中食業界動向〜
CJフードビルは、ミールキット1位企業であるプレッサージと戦略的な業務提携を結び、 2022年にはレストラン簡便式(RMR)事業の売上を前年比300%以上成長させる方針を発表した。主に、全人口の30%以上を占める1人世帯を対象にした製品のラインナップを拡大し、RMR市場を先導したい考えだ。
CJフードビルの代表は「1人世帯の簡便食は以前から市場に存在していたものの、レストランでしか味わえない品質のものはCJフードビルが唯一であり期待が大きい」と述べた。
業務提携後初めて発売する商品は有名レストランのパスタとステーキ、で両社は、今後も毎年20種類以上の新製品を継続的に発売するほか、海外市場の攻略も目指す計画だ。
ソウル在住の韓国人。日本での在住経験は12年。日本の有名大学を卒業し、大手シンクタンクの正社員及び経営コンサルタントとして勤務。ビジネス戦略とイノベーションの分野で活躍。
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