急速な経済発展によって中国では給排水が増加しており、水の供給量は地域によって格差があります。これを改善すべく、慢性的に水不足に陥りやすい地域に豊富な地域から供給することやスマート技術を用いた改善など、様々な取り組みが行われています。
今回は、そんな中国の水道業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2023年 中国の水道(建設・インフラ・環境)業界
寿県新橋水力発電所拡張プロジェクトが中国電力建設公司の「グリーン建設実証プロジェクト」の称号を獲得
中国水務華東地域本部の寿県新橋水力発電所拡張プロジェクトが「2023年グリーン建設実証プロジェクト」の称号を獲得した。このプロジェクトは、安徽省新橋国際工業団地にある中国水東中国地域本部が投資・建設した公的支援プロジェクトであり、農業用飲料水の標準化として評価されている。
本プロジェクトは、敷地面積29.7エーカー、拡張規模50,000立方メートル/日で、「従来プロセス+高度処理+前後オゾン消毒プロセス」モデルを採用し、2給水は2023年9月に正式に利用可能になった。プロジェクトの建設中、中国水務省、安徽省、淮南市の各レベルのリーダーが何度もプロジェクト現場を訪れ、作業を調査、指導し、安全な建設とグリーン建設の要件を提示した。
現在、浄水場の一日当たりの給水能力は70,000㎥/日に達しており、新橋国際工業団地と周辺住民への水供給不足による需要と供給の矛盾を緩和し、社会の安定した供給力と強力な後押しとなっている。
出典: https://www.chinahho.com/news/t14/2052
北京市自来水集团が給水源の切り替え目標を達成
朝陽区恵橋コミュニティが給水源の切り替えを無事に完了したことにより、北京市自来水集团の2023年自前井戸交換プロジェクトが成功裡に完了し、北京水務サブプロジェクトの任務を終えた。
北京市自来水集团は、通州区の朝通嘉園、豊台区格村西里の第1ヤードなど、57の住宅地で井戸を相次いで交換し、37戸を閉鎖、新たな井戸を設置し、水量を入れ替え、1日あたり約20,200立方メートルの水を供給し、約89,800人の住民に恩恵をもたらした。
今年は、質の高い水道開発を促進する北京市の3年間のキャンペーンの初年度である。実施計画によると、2025年末までに、中心市街地、都市副都心、拡張地区にある60の給水ポイントの建て替えを完了する予定。より多くの国民が安全で高品質な水を飲めるよう、都市の水道網を整備し、首都の水道整備の成果を共有し、国民の水へのアクセスと満足度を継続的に向上させていく。
出典:https://www.bjwatergroup.com.cn/#/waterSupply/8/9/6958?target=waterSupply
城投水务集团が第11回「マザーリバー賞」緑貢献賞を受賞
国家行動指導グループが実施した第11回「マザーリバー賞」の選考・表彰結果が発表され、上海城頭水(集団)有限公司が第11回「マザーリバー賞」を受賞した。
「マザーリバー賞」は、国家緑化委員会、全国人民代表大会環境資源保護委員会、全国人口委員会が主催し、中国人民政治協商会議の生態環境部、水資源部、農業農村部、国家森林草原局が設置した唯一の国家生態文明建設分野の賞である。「マザーリバー賞」は、グリーンガーディアン賞、グリーンチーム賞、グリーンプロジェクト賞、グリーン貢献賞、優秀組織賞に分かれており、このうち、今回の選考でグリーン貢献賞を受賞したのは上海の2拠点のみである。
城頭水集団は、青草沙水源展示館、上海水道科学技術館、上海下水処理展示館、百周年陽樹浦水工場、百周年東など50近くの広報サイトを通じて、生態貯水池と水力発電所における自社の利点を最大限に発揮している。地区下水処理場では、若い世代が「節水、水保護、水愛、水保全」の概念を確立できるように、都市水道事情の発展と変化について若者を教育するために一般公開日をしている。
出典: https://www.shanghaiwater.com/Events/2322.html
深圳环境水务集团が国家品質工程賞の最優秀賞を受賞
2023年9月20日、乐有家は深圳新聞グループと協力して国境を越えた新たなプロジェクトを模索した。乐有家と契約を結んだ深セン新聞グループは深センニュースネットワークを所有しており、深セン新聞などの専門メディアなど合計ユーザー数が 1.26億 を超える媒体で、売り上げは10億ドルを超える国全体に影響を及ぼす媒体である。
深圳市は、新住民の住宅ニーズをより適切に満たす方法を積極的に取り組んでおり、深圳新聞グループと乐有家とのこの国境を越えた協力は、新聞グループの多くの従業員の全ての住宅のニーズにも応えるものである。
乐有家は、あらゆる業界の企業と協力することで、より包括的·で多様化、差別化されたキャリアサービスを社会に提供することに常に注目してきた。 Win-Winの機会をもたらせたのこれは乐有家が勇気を持って様々な企業と協力してきた結果である。
中国水务集团が最大5億ドルの シンジケートローン融資計画を正式に開始
中国水务集团はその完全子会社であるインロンが保証人となりウォーターサプライグループ株式会社を借り手として、 2億5,000万米ドル相当の5年間のシンジケートローン枠と最大2億5,000万米ドル相当の増資オプションの融資契約を締結した。借入額は同社の既存の銀行設備の一部の前払いに使用される予定。
同社取締役会は、融資契約の締結はチャイナウォーターのシンジケートローン市場での資金調達能力を反映していると考えている。この資金調達により、同社は債務構造を最適化し、さまざまな事業セグメントに応じて銀行融資を再構築できるようになる。なお、この資金調達計画は、同社がバランスシート管理の最適化を図り、将来返済予定の短期借入金を中長期借入金に前倒しで充当し、流動比率を大幅に改善する取り組みであることは注目に値する。
中国水务集团は収益性が高く財務も安定しており、 2021/2022年通期(2022年3月31日までの12か月)の売上高は25.2%増の129億5,000万香港ドル、純利益は11.8 %増の29億7,700万香港ドルとなった。
出典:http://chinawatergroup.com/show.asp?id=79
2021年 中国の水道(建設・インフラ・環境)業界
メタウォーター、中国でオゾン発生システムを受注〜水道業界動向〜
2021年7月19日の発表によると、日本に本社を持つメタウォーター株式会社は、江蘇省無錫市における錫澄浄水場向けに、酸素原料式高濃度オゾン発生システム(2期工事)を受注した。
中国では、水十条(水質汚染防止行動計画)や第13次5カ年計画など、国内の水処理に対して積極的な高度処理施策開が展開されている。無錫市もこれらの施策に従い、市内にある全ての浄水場を対象に、オゾンを使った高度処理が採用されることとなった。
今回の受注により、市内では100万㎥/日におよぶ全処理水がオゾンを使って高度処理化されることとなる。同社はオゾン発生システムのほか、セラミック膜ろ過システムなどの独自技術を用いて、世界の水環境の改善に貢献するとともに、海外事業の拡大を加速させていくとのこと。
出典: https://www.metawater.co.jp/news/2021/07/-2-1.html
中国の竹園汚水処理場の第4期工事が着工〜水道業界動向〜
上海城投のグループ会社であり、上海市内の中心部と一部郊外において原水の供給や水道水の生産、配水および販売サービスを行う上海城投水务集团は、竹園汚水処理場の第4期工事の着工を開始した。
本工事が完了すると、竹園汚水処理場の処理能力は1日あたり340万㎥となる。これはアジア最大の処理能力である。省エネで高効率な機器を利用しており、建設においては人工知能を活用したデジタル建設管理プラットフォームが利用される。
本工事は、上海の主要なエンジニアリングプロジェクトにおける重要な立ち位置となっている。
出典: http://www.shanghaiwater.com/Events/show/id/484.html
中国で国内初、水REITの上場に成功〜水道業界動向〜
北京首都創業グループ傘下の国有持株環境保護フラッグシップ企業である北京首创生态环保集团股份有限公司は、国内初の水REITの上場に成功した。
今回の上場は、中国の金融改革の重要な一歩であり、膨大なインフラ資産の効果的な活用が期待される。
初の水REITには2つの基礎資産があり、いずれも汚水処理プロジェクトで、合肥市十五里河汚水処理工場PPPプロジェクトが含まれる。水REITは収益が安定しており、周期性に強いという特徴がある。
出典:http://www.capitalwater.cn/html/Company/20210621/142359.html
中国のデジタル水素製造装備工場の建設へ〜水道業界動向〜
1847年に設立され、世界200か国以上で事業を展開しているシーメンスは、協鑫集団とデジタル水素製造装備工場を建設した。
今回の双方の協力は、中国の再生可能エネルギーの応用に貢献する。また、中国が「カーボンニュートラル」の発展目標を達成し、炭素ゼロ社会を築くのに大きく貢献する。
水素エネルギーの発展を推進することは、『3060目標』の達成に役立つだけでなく、クリーンエネルギー消費の占める割合、使用効率、備蓄レベルをさらに高め、エネルギー構造を最適化し、中国の低炭素変革を促進する。
出典:https://w1.siemens.com.cn/press/NewsDetail.aspx?ColumnId=2&ArticleId=16464
中国展開の東レ、新技術の開発に成功〜水道業界動向〜
1980年代から中国市場での水処理膜ビジネスを展開している東レは、X線シンチレーションスクリーンの耐久性を向上させる新技術の開発に成功した。
本技術を用いたシンチレータをx線撮影装置のx線検出器に搭載することで、x線撮影装置の運転コストを低減することができる。
シンチレータは、医療用のx線撮影だけでなく、産業用にも広く使われており、今後は食品、電子部品、電池工場など継続稼働が必要な生産分野にも普及していく。
出典:https://cs2.toray.co.jp/news/cn_newsrrs01.nsf/0/EE9BB792F2085B9A492586B1002EC0AD?open
2020年 中国の水道(建設・インフラ・環境)業界
中国科栄ソフトウェア、水サービス産業のデジタル変革を目指して〜水道業界動向〜
2020年1月9日、粤海水務の子会社である「科栄ソフトウェア」はTencent Groupと協力協定を締結した。両方は、スマート水事の分野で全面的な協力を実施し、共同で水事のデジタル変革とインテリジェント管理のアップグレードを促進すると述べていた。
粤海水務は粤海グループ傘下の大規模な国内総合水道事業者であり、全国の14の省と市町村で事業を展開し、60以上の水プロジェクトを運営している。「科栄ソフトウェア」は、粤海水務傘下のスマート水道サービスプラットフォームであり、業界をリードするインテリジェントな給排水技術を備えている。
契約によると、「科栄ソフトウェア」とTencent Groupはデジタルエコシステムを構築し、水事および水利業界のデジタル変革を促進する。両方は共同研究室を設立することにより、給排水、パイプネットワーク、水事エンジニアリング等の領域のスマート革新を実施する。新技術を探求し、国内の水事企業の管理能力を向上させることにも役立てると思われている。
出典:https://www.guangdongwater.com/gsdt/info_1211_itemid_13997.html
中国の李克強首相、「南水北調」計画の方針会合を主催〜水道業界動向〜
2019年11月18日の発表によると、李克強首相は、「南水北調」計画の方針会合を主催した。南水北調とは、水資源が慢性的に不足する北部に南部の水を引き入れるプロジェクト。水を輸送するルート別に東線、中央線などの複数の工程があり、中央線第一期の完工を終えた節目に会合を主催し、今後の方針を協議した。
李克強首相は「南水北調」の後続作業部会の会合において、「中央線及び西線の水利プロジェクトと関連プロジェクトへの投資を効果的に拡大することが、当面の最優先課題だ」と発言した。
目下の経済減速の環境下でも、長期的で有効な投資を通じて、プロジェクトを推進していくことを確認した。
出典:http://www.gov.cn/premier/2019-11/18/content_5453188.htm
仏の水メジャーSuez、中国山東省の工業団地の汚水処理事業に参画〜水道業界動向〜
2019年9月11日、フランスの水メジャーSuez(スエズ)が、東営市(山東省)に位置する石油化学工業団地における汚水処理プロジェクトに参画することを発表した。
地元政府系投資会社と合弁会社を設立し、Suezが筆頭株主(41%)となり事業をリードする。
既に山東省の飲用水の90%の生産を担うSuezにとって、新たに工業水処理分野へ進出することは、急成長する中国市場への更なるコミットを示すものである。このプロジェクトにおいては2.6万㎥/日の汚水処理能力を持つ建設・運営する予定。
出典: https://www.suez-nws.com/zh-cn/news/press-releases/suez-nws-wins-industrial-wastewater-treatment-project-in-dongying–to-optimize-water-resources
中国水務、オリックス、東レが合弁で水道業界に参入
2019年2月22日、中国水務、オリックス、東レの3社は、中国での水事業における上水など多領域での協業を目的に、合弁で江西水麗を設立すると発表。
中国水務の中国国内における水事業ノウハウを基盤に、東レの膜ろ過技術を導入することで、水道から直接飲める水を供給できる設備の製造・販売を行う。
現地マーケットシェア、資本力、技術力など、3社の強みを結集した日中合弁事業という意味で、先駆的な取り組みと言える。
出典:https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2019/0221/ltn20190221287_c.pdf
中国政府、三段階の汚水処理の評価基準を発表〜水道業界動向〜
2019年8月28日の発表によると、国家発展改革委員会、生態環境部、工信部が連名で、「汚水処理及び再生利用業界にかかる清浄処理の評価基準体系」を発布した。
中華人民共和国環境保護法にて制定された汚水処理方針を貫徹するために、体系的な評価基準を制定した。
汚水処理の評価基準を等級別に、(I)グローバル先端水準、(II)国内先進水準、(III)国内一般水準の3つに分けて定義した。この基準は状況に応じて適宜改正されるものである。
出典:http://www.ndrc.gov.cn/zcfb/zcfbgg/201909/W020190919342210948293.pdfC
まとめ:中国の水道業界
改革開放以降の中国は都市化が加速し、水業界の重要性が高まっています。安全で安定した水の供給をするために課題は多いが、関連企業にとってはビジネスチャンスも多いでしょう。
上海在住で杭州出身の中国人。一橋大学の経済学修士課程修了。日本企業でマーケットインサイト部門で就労後、中国のIT会社でユーザー研究・マーケットリサーチに携わる。コンサル業界・証券業界の友人が多いため、リサーチ関連で助けとなっている。