台湾の各所で水源の有効活用のために整備が進められており、工業用水と生活用水の安定的な供給や養殖業に向けた水質の改善など、長期的に安定した水の提供を目指し取り組まれています。
今回は、そんな台湾の水道業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
読了時間の目安:5分
2023年 台湾の水道(建設・インフラ・個人サービス)業界
台灣自來水の古い集落受水設備改善プロジェクト
台湾の多くの古い高地コミュニティでは、老朽化しメンテナンスが不十分となった加圧受水設備の内部漏水により水の使用量が急増、加えて、住居の安全上の問題も生じており、台灣自來水は「古い高地コミュニティ利用者加圧受水設備改善プロジェクト」を立ち上げた。
「古い高地コミュニティ利用者加圧受水設備改善プロジェクト」によって、2024年末には、台湾全土の22のコミュニティの12,000世帯以上の受水設備が改善され、年間約860,000トンの水道水の損失が削減される可能性がある。
中央政府、地方政府、知事や管理委員会、地元住民の全面的な支援により、多くのコミュニティで次々とプロジェクトが完了しており、台灣自來水は、2022年に4件のプロジェクトを完了し、2023年は合計11件が完了、また、2024年には新たに計7件のプロジェクトを完了予定である。
出典:https://www.water.gov.tw/ch/Subject/Detail/83649?nodeId=711
華生が B Corpとして持続可能なマイルストーンを達成
華生は、第19回国家ブランド玉山賞を受賞しただけでなく、2023年には台北市ESG先駆者チームに選出され、B Corpとして持続可能なマイルストーンを達成した。華生は、これらの重要なマイルストーン達成後も、引き続き政府機関を支援、協力し、ESGの持続可能な発展に積極的に参加していく。
B Corpとは、社会的目標や環境ミッションを掲げ、単に営利事業を追求するのではなく、長期的な価値、社会的責任、持続可能性を重視し、ビジネス分野で先駆的な役割を果たしている企業を指す。
玉山ブランド賞は、華生の優れた企業イメージとブランド価値を裏付ける国家的な栄誉であり、また、ESG先駆者チームへの選出は、環境、企業統治におけるリーダーシップをさらに証明し、今後は持続可能な開発に貢献するだけでなく、他の企業がESG分野に積極的に参加することを奨励する。
出典:https://blog.hwaseng.com.tw/2023/06/12/Page0015/#more
台東県約800件の水質サンプリング検査を実施
台東県環境保護局は、約800件の水質サンプリングを行い、結果すべてが基準を満たしており、今後も人々が安心して飲めるように飲料水の監視を続けると発表した。
台東県環境保護局は、人々の飲料水の安全を確保し、水質の変化を把握するために、県内の飲料水源、水道配水検査所、飲料水設備の特別検査を定期的に実施している。2023年11月には、飲料水源の抜き打ち検査76件、水道水の抜き打ち検査487件、飲料水設備の検査250件を実施した。
台東県環境保護局は、公衆の飲料水の品質と安全性を確保するため、特別検査の実施を通じて、残留塩素、濁度、大腸菌群、水素イオン濃度指数などの飲料水水素基準を検査、加えて、浄水場からの水道水に含まれる重金属、揮発性有機化合物、消毒副生成物の検査も実施し、健康などに影響を与える水質基準を適正に管理している。
出典:https://www.taitung.gov.tw/News_Content.aspx?n=13370&s=128493
行政院が花東水道管延伸プロジェクト 補助金計画を承認
行政院は、花蓮と台東をまたがる地域のための「花東水道管延伸プロジェクト補助金計画」を総額1億4,000万台湾元で承認し、これによって合計220世帯が恩恵を受けることができる。
これまでの水資源局による、無水地域に対する補助制度では、1世帯あたりの管延長事業費の上限は60万台湾元であり、管延長事業の総額を総世帯で割った額が60万台湾元以内に限り、補助金が支給されることとなっている。
今回新たに行政院が承認した「花東水道管延伸プロジェクト補助金計画」によると、0918被災地での水道管延長申請には「補助金60万台湾元の上限」や「資金総額の上限」はなく、これにより花蓮と台東をまたがる地域の水問題は大幅に改善される可能性がある。
出典:https://www.ndc.gov.tw/nc_14813_36737
法務部と台水が安全保障MOUを締結
法務部調査局と台灣自來水公司は、「国家情報セキュリティ共同防衛・情報共有協力に関する覚書(MOU)」を締結し、2023年12月15日に調印式が行われた。
法務部調査局長は、台灣自來水公司は台湾最大の水道供給組織であり、国内の重要なインフラ機関であるとし、保護能力におけるこの重要なマイルストーンは、「情報セキュリティは国家の安全である」という、総統の“安全で信頼できるスマート国家の構築”の目標を実現させるための重要な一歩であると述べた
米国のICS-CERT組織の調査によると、水資源局は重要インフラに対するハッカー攻撃のターゲットのトップ3の1つであり、ハッカーの攻撃パターンはますます組織化され、体系化されているとして、今後、この協力覚書に基づき共同防御メカニズムを構築していく。
出典:https://www.mjib.gov.tw/news/Details/1/948
2021年 台湾の水道(建設・インフラ・個人サービス)業界
台湾にて「台灣自來水」アプリが開始〜水道業界動向〜
1954年に設立された台湾最大の給水機関で、台湾政府によって設立された台灣自來水は、新しいバージョンのアプリを2021年6月3日にリリースした。AndroidとiOSのプラットフォームにて「TaiwanWater」を検索してダウンロードが可能。
台灣自來水アプリでは、シンプルな操作で水道料金の照会・支払い、オンライン申請、電子請求書の申請・照会などができる。
アプリ「モバイルウォーターマネージャー」の新バージョンのリリースに応じて、台湾水道会社の旧バージョンは更新を停止し、2021年6月30日に削除される。
出典:台灣自來水https://www.water.gov.tw/ch/Subject/Detail/56801?nodeId=711
台湾の白河ダム、2021年で貯水率90%へ達する〜水道業界動向〜
2021年6月26日、中華民国経済部傘下の行政機関で、水資源関連事業などを行う経済部水利署南区水資源局は、白河ダムの貯水率が90%に達したことを発表した。
白河ダムは、1984年6月に完成したもので、灌漑、洪水調節、給水などの多くの機能を備えているが、近年はかなり沈泥化していた。南区水資源局は、2021年は特に水質が乾燥していると指摘したことを受け浚渫作業を実施していた。
2020年の浚渫量は約200立方メートルに達した。2020年6月5日から貯水を開始し、2021年の前半に浚渫が完了した。現在の貯水量率は最大90%で、貯水容量は1,050万立方メートルを超えた。
出典:https://www.wrasb.gov.tw/news/news01_detail.aspx?no=15&nno=2021062601
台湾の金門縣自來水廠、公式LINEアカウントを開設〜水道業界動向〜
2021年5月3日の発表によると、金門県の水道事業機関である金門縣自來水廠は、公式LINEアカウントサービスを開始した。
公式LINEの利用者は、最新の断水情報を知れたり、水道料金を照会することができる。また、節水宣言の方針や各種Q&A、水道事業に関連する最新ニュースなど様々な動向を即座に確認することができる。
金門縣は、降雨量が少ない乾燥した気候である。同エリアにおいては大きな河川が存在せず、平均年間降水量は1,047mmで、台湾の平均年間降水量の約40%程である。
出典:金門縣自來水廠メhttps://bit.ly/3xwBMlL
台湾における山林水環境工程股份有限公司の知的財產管理計画〜水道業界動向〜
1993年6月に設立され、水処理、汚泥処理、有機廃棄物回収・再利用などを行う山林水環境工程股份有限公司は、2020年12月31日に知的財産管理計画を発表した。
同社は、廃水処理プロジェクト、海水脱塩化、廃棄物(下水)水処理プラントの運用および保守作業、浄水処理工程などをするための汚泥削減及び資源化利用、再生水処理工程と保守の知的財産権について、社内の知的財産権管理規則を改善する知的財産権管理計画に積極的に焦点を当てることとした。
今回、専売特許権4件(「新型」2件と中国大陸「実用新型」2件)、著作権4件(汚水処理に関する分析)、商標権4件を取得した。
出典:https://www.mfw.com.tw/news.aspx?ID=70
台湾の中宇と労働組合、グループ契約を締結〜水道業界動向〜
廃水処理や廃棄物処理などの技術を持つ中宇環保工程股份有限公司と、中宇労働組合は、2020年10月21日にグループ契約を締結した。
このグループ協定は、労使関係を安定させ、労使の権利を保護することを目的としており、假中鋼公司の団体協約を参考に作られた。また、交渉期間が設けられており、期間中は雇用主と従業員の双方が柔軟に協約内容を改正できる。
この協定には、中宇環保工程股份有限公司の陳宗德会長と中宇労働組合の徐佩璇会長が署名した。全国産業連盟江健興理事長、高雄市工業組合連盟の林進福会長やなども今回の署名式典に参加した。
出典:https://www.ecotek.com.tw/?prog=news&item=view&news_id=159
2020年 台湾の水道(建設・インフラ・個人サービス)業界
台湾の自來水公司、水源の有効利用で受賞〜水道業界動向〜
2019年12月9日の発表によると、台湾自來水公司は2019年度「節能標竿」で厳格な審査を通過し、参加企業108社の中から銀賞を受賞した。同社の副社長、第8区管理事務所の所長が中華民国経済部より表彰を受けた。
第8区管理事務所は、長年に渡り宜蘭県蘭陽北部に生活用水と工業用水を安定して供給してきた。持続可能な水資源と環境の開発を目指し、省エネと炭素削減への取り組みや、水と共存する活動などが行われている。
同社は、管理を機械化することにより、水源を有効に活用して給水に影響を与えることなく電力支出を抑えることに成功し、エネルギー削減に繋げた。その活動が審査員に評価され、この度の銀賞受賞に至った。
出典:https://www.water.gov.tw/ct.aspx?xItem=1246238&ctNode=917&mp=mobile
台湾で養殖業が盛んな山間地区、水品質を改善〜水道業界動向〜
台南市学甲区宅港里徳安地区の一帯は、養殖業が盛んで、地理的に辺縁地方にある。水道パイプが古く、万が一漏水すれば、修復に時間がかかり、養殖業に多大なる被害が出ることが予想される。
台湾上下水道局第六区はこの問題を解決するため、約820億元を費やし、2019年9月から水道パイプの淘汰作業を行っている。同年10月前に完成する予定。完成すれば、住民の水環境が大幅に向上できる見込みである。
台湾上下水道局第六区管理所の林国清所長によると、この工程で淘汰する長さは1314メートルであり、恩恵を受ける家族は約55件。古いパイプの淘汰作業だけでなく、パイプ直径を50ミリメートルから100ミリメートルにする。これにより、供水量も向上する。当地区は塩分が高いため、通常のDIPパイプを使わず、腐食に強いHIWPパイプを使用する。
出典:https://bit.ly/36JxV7sT
台湾に山上花園水道博物館がオープン〜水道業界動向〜
2019年10月12日の発表によると、日本統治時代に建設された水道施設跡が3.9億元をかけて修復され、中華民国の建国記念日である10月10日にオープンした。4連休ということもあり、6万人を上回る入場客でにぎわった。入場料は台南市民が50元、それ以外は100元となっている。
この旧台南水道博物館は1922年(大正11年)にオープンした。当時、10万人の台南市民に飲料水を提供できるほどの規模であった。建設に関わっていたのは、台湾総督府の英国人技師ウィリアム・バートンと弟子の浜野弥四郎で、2005年に国定古跡に指定された。
山上花園水道博物館は約56ヘクタールの敷地面積で、ポンプや濾過場など昔の作業跡を展示している「博物館エリア」、日本時代のゴルフ場をフラワーガーデンに改良した「花園エリア」、木々が多い茂る「密林エリア」からなる。台南市の狙いは、知性・感性・リクリエーションを兼ね備えた博物館とすることである。
出典:http://waterworks.tainan.gov.tw/
台湾の水誠國際股份有限公司、台南商業展示会に参加〜水道業界動向〜
2019年10月11日の発表によると、水誠國際股份有限公司は2019年台南商業展示会に参加し、ペットボトル飲料水である活力水之靈を展示した。今年の活力水之靈の展示ブースは、訪れた人に幸運が訪れるように旧正月をモチーフに縁起の良いものを使用して作られた。
同社の社員は、台南商業展示会開催前の早朝に同展示会に参加した他の展示者に、開催に備えて元気が出るようにと活力水之靈を無料で配布してまわった。
今年の水誠國際股份有限公司のブースでは、無料で参加できるアクティビティと、当選者に商品が当たる宝くじを用意し、訪れた人は老若男女問わずに楽しめた。
出典:https://eau.com.tw/?p=6494
HORIBA台湾、フォーラムに参加〜水道業界動向〜
中華民国工商協進会と財団法人台湾永続エネルギー研究基金会は2019年9月6日、台北国際会議センターにて「2019年対日経済貿易永続フォーラム」を実施した。フォーラムの目標は、太平洋パートナーシップ協定の地域経済協力や、国連サミットで採択された持続可能な開発目標(SDGs)を中心とした問題を討論することである。
フォーラムでは、台湾と日本の産・官・学・研究者が結集し、グローバルな視点から環太平洋パートナーシップ協定、環境保護貿易、循環経済による新しい産業、企業永続、グローバルサプライチェーンなどを討論した。
フォーラムには、HORIBA台湾も出席している。HORIBAは1997年11月に台湾子会社を創設した。事業所はサイエンスパークで有名な新竹にある。提供する産業はハイテク産業分野で、半導体のほか、水・インフラ上水下水処理なども提供する。HORIBA台湾は水産業においては、いち早く台湾に進出した日本企業である。
出典:https://bit.ly/2R0ov0yhttps://bit.ly/37TangrTaiw
まとめ:台湾の水道業界
台湾では水道水は飲料可能だが、台湾人にはあまり好まれないため年々ペットボトル水の需要が増加しています。パッケージ飲料全体で見ても2割のシェアを占めるなど水を購入することへの意識が高まっていると言えるでしょう。
台北在住の台湾人。日本の東北大学で修士号取得後、7年以上IT企業でマーケティングを担当。デジタルマーケティングと市場分析の専門家として、製品の市場導入とブランド戦略を得意とする。