群島で構成されているがために、ガス供給のための安定した流通インフラを整備することが困難なインドネシア。
今回は、そんなインドネシアの電力・ガス業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2023年 インドネシアの電力・ガス(建設・インフラ・環境)業界
尼初の統合太陽電池&モジュール生産工場建設
Sinar Masグループのエネルギー会社PT Dian Swastatika Sentosa Tbk(DSSA)が、2023年8月28日、インドネシアで最初の統合された太陽電池とモジュール生産工場を開発するためにTrina SolarとPT Agra Surya Energi とPT Dian Swastatika Sentosa Tbkの子会社のPT Daya Sukses Makmur Selarasが協力していることを明らかにした。
3社の合弁会社PT Trina Mas Agra Indonesiaにより、中部ジャワ州ケンダル経済特区に、最新の i-TOPCon セルおよびモジュール技術を導入された年間1ギガワット・ピークの初期生産能力の工場が、1億米ドル以上を投資して建設される予定。
これはインドネシア政府の新たな再生可能エネルギーの混合を増やすプログラムを支援する取り組み。
Adaroら、Tanah Laut風力プロジェクト調印
インドネシアで発電事業を行うPT Adaro Energy Tbkが2023年5月4日、PLN、Total Eren、PJBIとAdaroがインドネシアの70 MW Tanah Laut風力プロジェクトの電力購入契約に署名したことを明らかにした。
Tanah Laut風力発電所は、インドネシア政府の再生可能エネルギー目標を支援するために、2024年に建設、2025年に電力供給を開始する予定。これによりインドネシアの新しい再生可能エネルギーミックスがさらに強化されることが期待されている。
70 MW Tanah Laut風力発電所では、1基あたり6 MW以上の容量を持つ最新の風力タービン技術が使用され、風力発電所の断続性を軽減する10MW/10MWhの蓄電池システム (BESS) が装備されている。
石炭火力発電所でCFB(循環流動層)ボイラー採用
インドネシアで最も歴史のある公共電力会社である PT Cikarang Listrindo Tbk (POWR) は2023年11月13日、西ジャワ州ブカシ県バベランのCFPP(石炭火力発電所)が最新の環境にやさしい蒸気発生技術を使っていることを明らかにした。
この技術はCFB(循環流動層)技術と呼ばれるもので、多様な品質で850~900 ℃の燃焼温度範囲を持つ石炭やバイオマスなどの様々な固体燃料が利用できる。CFBテクノロジーは炉温度が低いため、窒素酸化物 (NOx)の 排出レベルが低くなる。
POWRではCFBボイラーに30年以上の経験を持つフィンランドのValmet Oy社製のものを採用している。CFB技術は西洋諸国で広く採用されており、100%バイオマスでの運用もできるとのこと。
出典:https://www.listrindo.com/news/detail/teknologi-pembangkitan-pltu-babelan-yang-ramah-lingkungan
PNG、バイオメタンプロジェクト始動
インドネシアの国有ガス会社PT. Perusahaan Gas Negara Tbk(PGN)が2023年9月25日、南スマトラで日揮(JGC)、大阪ガス、国際石油開発帝石(INPEX)とともにPGNコンソーシアムバイオメタンプロジェクトの開発を行っていることを明らかにした。
コンソーシアムではインドネシアのパーム油工場廃液(POME)由来のバイオメタンの商業化に関する詳細な調査を開始した。現段階では、2025年のバイオメタン生産開始を前提として、バイオメタンのサプライチェーン、生産、供給に関する技術的評価が行われる。
後に、PGNの天然ガスパイプラインを利用して、南スマトラ州のアブラヤシプランテーションのPOMEから作られたバイオメタンを流通させる予定である。
出典:https://pgn.co.id/landingberita?value=LyANSKuzx2grZRhuz78R7w==
Rukun Raja、バイオガスプラント可能性調査開始
インドネシアのガス販売会社PT Rukun Raharja Tbkが2023年9月4日、子会社のPT Energasindo Heksa Karya (EHK) を通じて、PT Moriuchi Indonesia (MI)とバイオガスの実現可能性調査に関する覚書を締結したことを明らかにした。
MIはバイオガス利用の潜在的な顧客であるため、EHKはMIと協力して実現可能性調査をMIの主要工場があるバンドン市で実施。バイオガスの産業利用で重要なのは、バイオガス設備から顧客の所在地までの距離であるため、MI工場近くのいくつかの潜在的な地域はバイオガスプラント建設に理想的。
実現可能性調査は2023年10月に開始、2024年Q2には完了、2025年までにバイオガスプラントの建設実施が期待されている。
2021年 インドネシアの電力・ガス(建設・インフラ・環境)業界
インドネシアのINDIKA、石炭による売上50%削減を目指す〜電力・ガス業界動向〜
インドネシアの大手石炭会社のPT INDIKA ENERGY Tbkは、世界の石炭産業への圧力が高まる中、石炭利用量を最終的にゼロにしていくことを目指している。同社は2025年までに石炭による売上を50%削減することを発表した。
同社の2019年の売上高のうち、70%を石炭が占めていた。今後は物流、金属採掘、森林プランテーション、再生可能エネルギーなどの分野に多角化する計画で、再生可能エネルギーの分野では2025年までにピーク時1,000MWpの太陽光発電を増やす。
また、発電事業に参画するために1,000 MWのCirebon II石炭火力発電所 (PLTU)に25%出資していたが、脱石炭を目指すため出資比率を6.25%に縮小した。2020年12月の株主総会で多角化計画を発表し、市場からは好意的に評価されている。
出典:https://www.indikaenergy.co.id/wp-content/uploads/2021/04/210428_The-Jakarta-Post_Mining-giant-Indika-to-cut-coal-income-to-50-with-net-zero-in-mind.pdf
インドネシアのPOWR、再生可能エネルギーに積極的〜電力・ガス業界動向〜
インドネシアの民間電力会社PT Cikarang Listrindo Tbk(POWR)は再生可能エネルギーへの取り組みについて説明した。
POWRは2018年からジャバベカにある事業所の屋上に設置した52.5kWpの太陽光発電所 (PLTS) のパイロットプロジェクトを開始している。2019年には、顧客の製造工場の屋上に設置した420 kWp PLTSで屋上太陽光発電の商業化を手掛け、次は発電容量10MWpの太陽光発電の実現を目標にしている。
また、同社はフィンランドに本拠を置く世界有数のボイラー会社であるValmet社の循環流動層(CFB)ボイラー技術を使い、蒸気発電ボイラーの燃料を、石炭からヤシ殻やウッドチップと言ったバイオマス燃料へ転換することを検討している。
出典:https://www.listrindo.com/news/detail/powr-pacu-pengembangan-ebt
インドネシアのDSS、株式の75%を戦略的パートナーに売却〜電力・ガス業界動向〜
インドネシアの大手石炭会社のPT Dian Swastatika Sentosa Tbkは、2020年の経営概況を説明した。
2020年の売上高は1,507百万USDで、前年比90%であった。内訳は、石炭採掘:75.8%、発電:14.7%、肥料と化学品:6.4%、テクノロジー:3.0%、その他:0.1%であった。
発電事業については、従来通り発電所はSerang、Tangerang、Karawang-ⅠとKarawang-Ⅱの4か所で、総発電能力は300MW。この4つの発電所を所有管理する子会社PT DSSP Power Mas Utamaの株式の75%を2020年12月23日に戦略的パートナーであるDatang Overseas (Hong Kong) Energy Investment Co., Limitedに売却したことが変化点として報告された。
出典: https://www.idx.co.id/StaticData/NewsAndAnnouncement/ANNOUNCEMENTSTOCK/From_EREP/202105/96d22ef0b5_e37a8a245b.pdf
インドネシアのPGN、ガス供給パイプラインを延長するも売上減〜電力・ガス業界動向〜
インドネシアの国有ガス会社PT Perusahaan Gas Negara Tbk(PGN)の2020年の売上高は2,886百万USDで前年比75%であった。
売上高の80%を占めるガス販売事業は2,300百万USDで前年比77%。売上高減少の原因はCovid-19パンデミックの影響である。PGNでは2020年度にエンドユーザーへのガス供給パイプラインの総延長距離を、前年の4,270㎞から5,615㎞へと大幅に増やしたが大幅な売上減であった。
一方、売上高の8%を占めるガス輸送事業は240百万USDで前年比98%であった。前年割れとなった理由は、やはりCovid-19パンデミックの影響である。一方、輸送パイプラインの総延長距離は前年の4,751㎞から5,073㎞へと増やしている。
出典: https://www.idx.co.id/StaticData/NewsAndAnnouncement/ANNOUNCEMENTSTOCK/From_EREP/202104/5ba8a8a954_f5fc098246.pdf
インドネシアのRukun、2020年の売上高は前年比91%に〜電力・ガス業界動向〜
インドネシアの民間ガス会社PT Rukun Raharja Tbk(RAJA)の2020年の売上高は98.8百万USDで、前年比81%であった。RAJAの事業は「ガス販売」、「ガス輸送とガス高圧圧縮」、「メンテナンスとガスインフラ運用」の3部門からなる。
売上高の91%を占めるメインのガス販売部門は89.5百万USDの売上高で前年比91.7%であった。販売減の理由は、PLNジャンビとチレゴン、ビテゥングと西ジャワ地域の産業界の消費量が減少したためである。
売上高の9%を占めるガス輸送部門では、9.2百万USDの売上を記録し前年比73.7%であった。グレシック、東ジャワでの輸送量が減少したことによる。一方、占有率は前年の3.51%から3.57%に上がっており、パンデミックの中でも安定している。
出典:https://www.raja.co.id/cfind/source/files/annual-report/annual%20report%20%202020%20%20pt%20rukun%20raharja%20tbk.pdf
2020年 インドネシアの電力・ガス(建設・インフラ・環境)業界
インドネシアのPLN、2019年電気普及率98.9%達成〜電力・ガス業界動向〜
2020年7月、国有電力会社PT Perusahaan Listrik Negara Persero(PLN)は、2019年アニュアルレポートを公表した。
2019年の売上高は285兆ルピアで前年比:104.7%と増収であった。また、電気普及率は前年の98.3%から98.9%に上昇し、2020年は100%を目指す。顧客数は前年の71.9百万軒から75.7百万軒に増えた。発電能力は前年の57.8GWから62.8GWへ約5GW増えた。2015年に発表された35GWプロジェクトは、2019年末で19%がすでに稼働済、2%は買電中、20%は契約済(未建設)、57%は建設中、残り2%が計画中である。
また、環境管理に関する政府の企業格付けプログラムで5つの発電所がGold Properに、16の発電所がGreen Properに認定された。
出典:https://web.pln.co.id/statics/uploads/2020/07/PLN_AR_2019_OJK_Med_260620.pdf 8ページ/9ページ/22ページ
インドネシアのINDIKA、石炭以外のサービス事業にも注力〜電力・ガス業界動向〜
インドネシアの鉱業・エネルギー会社PT INDIKA ENERGY Tbk(INDY)は2020年3月31日にインドネシア証券取引所(IDX)に提出した2019アニュアルレポートで2019年の経営結果を公表した。
2019年の売上高は27.8億USD(約2,980億円)で前年比93.9%と減収であった。売上高の内訳は、石炭関係の構成比が76.4%で前年比87.2%、石炭以外の構成比が23.6%で前年比125%であった。
660MWの発電能力を持つPT Cirebon Electric Powerと1,000MWの発電能力を持つPT Cirebon Energi Prasaranaでの電力の売上高は石炭以外の区分に入る。INDYでは物流および発電事業を含むエネルギーサービス事業が重要な役割を果たすようになってきており、今後も強化する戦略である。
出典:https://www.idx.co.id/StaticData/NewsAndAnnouncement/ANNOUNCEMENTSTOCK/From_EREP/202003/51489f1630_3717b4c597.pdf 10ページ/14ページ
インドネシアのPGN、今後発電への天然ガス供給を強化〜電力・ガス業界動向〜
インドネシアの国有ガス供給会社PT. Perusahaan Gas Negara Persero Tbk(PGN)は、2020年4月23日にインドネシア証券取引所に提出した2019アニュアルレポートの中で、インドネシアの天然ガス需要の見通しについて明らかにした。
2019年のガス需要は3,478mmcfd。構成比のトップ3は、①発電(自家発電含む):40.4% ②産業界:31.1% ③肥料原料:22.5% 家庭用は0.6%。2030年の需要見通しは4,890mmcfd(2019年比145%)。構成比は①発電(自家発電含む):44.7% ②産業界:33.0% ③肥料原料:17.9% 家庭用は0.7%。
政府が環境対策に化石燃料から天然ガスへの転換政策を取っていることから需要は継続的に増加。PGNは今後、発電への天然ガス供給を強化するとのこと。
出典:https://ir.pgn.co.id/static-files/f8b5b8e6-645b-4a18-a6e5-8745567855de 185ページ
RAJA、インドネシアの西ジャワ・中部ジャワ市場開拓に注力〜電力・ガス業界動向〜
インドネシアの天然ガス供給会社で、子会社のPT Panji Raya Alamindoに東京ガスの資本を33%受け入れているPT Rukun Raharja Tbk(RAJA)が2019アニュアルレポートの中で今後の事業戦略を明らかにした。
2019年のRAJAの売上高は122百万USD、前年比103.4%と増収。ガス供給部門は売上高110百万USD、前年比107.5%で、ガス輸送部門は売上高12百万USD、前年比77.6%であった。RAJAの占有率は前年の0.49%から0.57%に増えた。
今後の戦略は、①供給事業:Jambiだけでなく西ジャワ・中部ジャワの拡大。②輸送事業:ジャワ、南スマトラ、カリマンタンのパイプラインプロジェクトへ参画。③発電事業:再生可能エネルギー(太陽光発電+エネルギー貯蔵)ビジネスに参画することである。
出典:https://www.idx.co.id/StaticData/NewsAndAnnouncement/ANNOUNCEMENTSTOCK/From_EREP/202004/a0693ac94b_badd205f1e.pdf 84ページ/85ページ
インドネシアの業界団体のIGSが天然ガス値下げ検討を主導〜電力・ガス業界動向〜
インドネシアガス協会(IGS)は2020年5月17日、天然ガス価格の引き下げに関してIGSが数百人規模の実務者を集めたウエブセミナーで議論していることを伝えた。
天然ガス価格に関する最新の政府政策は「2020年鉱物資源省令第8号:産業セクターにおける天然ガス特定ユーザーとの価格決定方法について」に規定されているように、肥料、石油化学、油脂、鉄鋼、セラミック、ガラス、ゴム手袋の7つの業界グループを対象に工場受け渡し時点の価格が6 USD / MMBTUと設定されている。
しかし、現在、アジア太平洋地域のLNG市場は石油価格の下落により 3 USD / MMBTU未満になっており、政府の政策決定の参考となる川上から川下までの業界の見解が求められている。
出典:https://indonesiangassociety.com/2020/05/indonesian-gas-society-kupas-pro-dan-kontra-penurunan-harga-gas/
2019年 インドネシアの電力・ガス(建設・インフラ・環境)業界
インドネシア最大の蒸気発電所の進捗とは?〜電力・ガス業界動向〜
国有電力会社PT Perusahaan Listrik Negara Persero(PLN)は2019年7月5日、バンテン州にある蒸気発電所(PLTU)ジャワ7のための石炭メインターミナルの開所式を行った。
PLTUジャワ7は、出力1,000MWの石炭による蒸気発電機を2基備えた発電所で、2019年5月現在の1号機の進捗は99.08%に達している。また、PLTUジャワ7はウルトラスーパークリティカル(USC)ボイラー技術を使用するインドネシアで最大かつ最初の石炭PLTUであるため、発電効率は15%高い。さらに、SWFGD(海水燃料ガス脱硫)を使用しているため環境にも優しい。
1号機を2019年10月に、2号機を2020年4月の商業運転に向けて、今後実際に石炭を使った試験運転が行われる。
インドネシアのTerregra Asia Energy、三井物産・四国電力と提携〜電力・ガス業界動向〜
2019年2月28日、インドネシアの電力会社PT Terregra Asia Energy Tbk(TGRA)は、日本の三井物産・四国電力と戦略的パートナーシップを締結したことをホームページで発表した。
三井物産と四国電力は、それぞれTGRAの子会社の株式を15%ずつ取得した。このパートナーシップはインドネシアでミニ水力発電所を開発するTGRAのチームを強化し、技術移転とノウハウを提供することになる。
四国電力のホームページによると、具体的に、3社は北スマトラ州に出力1万kWの「バタントル3発電所」を建設し、20年間の長期売電契約に基づき、インドネシア電力公社(PLN)へ電力供給するプロジェクトを推進する。運転開始は2020年を予定しているとのこと。
天然ガス供給に関するインドネシアのPGNとTPPIの基本契約〜電力・ガス業界動向〜
2019年8月9日の発表によると、Perusahaan Gas Negara Persero Tbk(PGN)とPT Trans Pacific Petrochemical Indonesia(TPPI)は基本契約に調印した。
この契約は、東ジャワ州トゥパンにあるTPPIの工場で使う天然ガスの供給に関するものである。石油化学産業は、天然ガスを使う5大産業の1つ。 PGNは、127 BBTUDの量のガスを320社の石油化学産業の顧客に提供している。実に石油化学産業が全体の15%を占めている。
PGNはインドネシアのガスインフラの大部分を管理する天然ガスの流通事業体で、1日あたり約30億立方フィート(Bcfd)を管理している。これはガス流通市場の98%に相当し、PGNがガスインフラの96%を制御している。
地熱発電所開発に意欲、 インドネシアのPERTAMINA〜電力・ガス業界動向〜
国有エネルギー会社のPT PERTAMINA (Persero)は2019年8月14日、インドネシアでの地熱エネルギーを含む環境に優しいエネルギー(グリーンエネルギー)の開発へ向けてのコミットメントを継続することをホームページ上で発表した。
Pertaminaは、子会社であるPT Pertamina Geothermal Energy(PGE)を通じて、2026年に1,112 MWに達する地熱発電所(PLTP)の発電能力確保を目標としている。
現在PGEは、西ジャワのカモジャン235 MW、ランプンのウルベル220 MW、北スラウェシのラヘンドン120 MW、西ジャワのカラハ30 MW、およびシバヤック12からなる合計617 MWの5つの地熱発電所を運営している。現在PGEは55 MWの容量を持つLumut Balai Unit 1 Sumsel PLTPを立ち上げており、8月末の商業運転を目標にしている。
2018年 インドネシアの電力・ガス(建設・インフラ・環境)業界
インドネシアのPLNが東ジャワ工業団地への電力供給で覚書〜電力・ガス業界動向〜
2018年8月10日、PLN (Perusahaan Listrik Negara) は東ジャワ州のジャティプロトン工業団地へ311MVA、PIER工業団地へ55MVAの電力を供給する覚書を締結した。将来に渡る安定的な電力供給を約束することで、両工業団地への進出企業を増やすことが目的である。
ジャティプロトン工業団地は1,100ヘクタール (東京ドーム約230個分) と大規模で、多くの製造企業が停電の防止を求めている。特に、ハイテク企業は瞬間停電も起きないことを求めている。
PLNはSuper Ultima (停電も瞬間停電もなし)、Super Premium (停電なし) とRegulerの3種に分けて供給を管理する。東ジャワ州の発展にPLNが果たす役割は大きい。
インドネシアのPLNが南スラウェシに風力発電所建設〜電力・ガス業界動向〜
2018年3月1日、PLNは南スラウェシ州のシドラップ風力発電所の建設の進捗が97.7%だと発表した。この発電所は100ヘクタールの敷地に30台の風力発電機が設置される国内最大規模の風力発電所である。
発電機の高さは80mで、プロペラ長は57mである。部品の40%が国産化されている。風力発電の取組みは政府の再生可能エネルギー発電プロジェクトの一環である。
この発電所の能力75MWで67,000人の顧客に供給でき、スラウェシ南部のピーク時の6%の消費電力に相当する。スラウェシ南部は電力事情が比較的良く、ピーク時の消費量1,050MWに対して、供給能力が1,300MWある。投資を呼び込むのに好条件である。
インドネシアのDSS、発電所建設の進捗状況を報告〜電力・ガス業界動向〜
DSS (PT. Dian Swastatika Sentosa Tbk) は2018年5月25日に、建設中の発電所に関する説明会を行なった。1つは中央カリマンタンのKalteng-1 (200MW)、もう1つは東南スラウェシの Kendari-3 (100MW) である。
同社は参加者からの質問に対し、2018年4月30日現在の進捗がKalteng-1が68%でKendari-3が81%であることを明らかにした。
現在稼働中の西ジャワの4ヶ所の発電所 (スラン、タンゲラン、カラワン1とカラワン2で合計300MW) と南スマトラの Sumsel-5 (300MW)の発電能力は合計で600MWである。建設中の発電所が稼働すると発電能力は一気に900MWに高まる。
プルタミナ、インドネシアの地熱発電を雑誌で特集〜電力・ガス業界動向〜
プルタミナは同社が発行する雑誌 Pertamina Energy Institute (2018年4-6月号) の中で地熱発電を特集している。インドネシアは環太平洋火山帯に属し、世界の活火山のうち10%が存在する。
全国に地熱ポイントが324カ所あり、潜在的な地熱エネルギーは29,000MWe (電気換算) と推定されている。地熱ポイントの大半が高温(225℃)であり、地熱発電に適している。
1983年にインドネシア初の地熱発電所が稼働、地熱による総発電量は1,950MWで世界全体の13%を占める。化石燃料から再生可能エネルギーへの転換で実績のある地熱発電は注目を集めている。なお、Pertamina Geothermal Energy の地熱発電の国内シェアは32%である。
まとめ:インドネシアの電力・ガス業界
経済活動の活発化と人口ボーナス、エネルギー集約型産業への依存などの影響を受け、同国の電力の需要は今後も王水準を維持し続けると予想されています。今後は電力の需給バランス確保に向けた対策が急務となっており、政府の政策などに注目することで、電力・ガス業界は事業を拡大できるのではないでしょうか。
ジャカルタ在住のインドネシア人。観光ガイドと通訳者を務め、インドネシアの観光地を日本語で案内している。日本語学科の大学を卒業し、邦人対応観光ガイド・国際イベントでの日本代表団担当連絡係員・通訳者・日本領事事務所長の地元アシスタントを経験。