【進化するメディア】アメリカの放送・全国紙・出版業界の最新トレンド

アメリカの放送・全国紙・出版業界では、AIとの競合や著作権問題が注目されています。出版社がAIプラットフォームに対してアクセス制限と対価を求める動きが見られます。新聞やテレビ局はデジタルシフトが進み、購読モデルの重要性が増しています。SNSは広告市場として成長中ですが、著作権侵害や詐欺対策の強化が必要とされています。

今回は、そんなアメリカの放送・全国紙・出版業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます。

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目次

2022-2023年 アメリカの放送・全国紙・出版(エンタメ・IT・個人サービス)業界

Max、ストリーミングサービスを発表〜放送・全国紙・出版業界動向〜

ワーナーブラザーズ・ディスカバリー社は、同社のストリーミングサービスを充実させた「Max」を発表した。新たなストリーミングサービスMaxでは、ハリーポッターシリーズやケーブルテレビで配信されていたHGTVやフードネットワークなどの主要ブランド番組が提供される。

今回のMaxは、その名の通り、これまでのストリーミングサービスでは考えられない、幅の広い選択肢を提供することに着眼している。CEOのJBベレット氏は「これまでのHBOとディスカバリーチャンネルという狭い製品から、選択肢の広い、高品質のコンテンツを提供します」と述べている。

広告ありでオフラインダウンロードができないライト版は月額9.99米ドルであるが、1080pのHD高解像度で提供される。月額19.99米ドルのアルティメイトは広告が無く、オフラインダウンロードにも対応するばかりか、最大で4Kの超高解像度に対応している。

出典:https://www.warnerbros.com/news/press-releases/warner-bros-discovery-unveils-max-streaming-service

ブロードバンドアクセスの格差を埋めるために〜放送・全国紙・出版業界動向〜

スマホが普及し、ブロードバンドインターネットが日常となった今でも、アメリカの850万世帯と幾つかの中小企業はブロードバンドインターネットに接続ができていない。本日、ホワイトハウスは、連邦資金425億米ドルの配分を発表し、各州に対してブロードバンドアクセス普及のための予算として配分すると発表した。

Comcast社は既に10億米ドルの資金を使ってブロードバンド普及に取り組んできたが、今回初めて公的資金と民間資金が組み合わさった。娯楽のためのブロードバンドインターネットアクセスだけではなく、例えば遠隔医療の利用や良い仕事に就くために職業訓練コースを受講したり、遠く離れた家族とつながったり起業家やプログラマーや映画製作者になることも、ブロードバンドインターネットの存在意義である。

Comcast社はCivic Nation及びアメリカ教育相と協力して設立したOnline Allキャンペーンの創設パートナーである。

出典:https://corporate.comcast.com/stories/white-house-historic-funding-states-close-broadband-access-gap

ディズニープラス、広告付きサブスクリプションの提供を開始〜放送・全国紙・出版業界動向〜

ディズニープラスは、アメリカ国内で広告付きのストリーミングサービスが好調だったことから、11月から欧州全土とカナダの一部でも広告付きのストリーミングサービスを開始することを決めた。さらにアメリカ国内ではプランを増設し、月額19.99米ドルでディズニープレミアムチャンネルとHuluのバンドルプラン(しかも広告なし)を発表した。

サブスク型のサービスが様々な場面で見られるようになったが、ストリーミングサービスの場合、広告なしのパッケージは割高感が否めなかった。今回のアメリカでの広告付きパッケージの成功で、消費者は低価格が大きな魅力と感じていることが証明された。欧州やカナダの消費者も同様であるとの判断でのサービス開始である。

一方で広告なしのサービスやプレミアムチャンネルの充実は加速しており、価格が値上がりはするものの、さらに充実したストリーミングサービスに進化しているという。

出典:https://thewaltdisneycompany.com/disney-to-launch-ad-supported-subscription-offering-in-several-countries-across-europe-and-in-canada-on-november-1/

The AthleticとStubHubが独占チケット販売契約〜放送・全国紙・出版業界動向〜

ニューヨークタイムズ紙のスポーツ部門であるThe Athleticとオンラインチケット販売のStubHubが複数年間の契約を発表した。発表によると、The Athleticの購読者が記事を読みながらスポーツイベントのチケットを購入できる、シームレスで合理的な方法で提供するという。

The Athleticは450名を超えるフルタイムのライター・編集者・プロデューサーが世界中の200以上のクラブやチームをカバーして、最新ニュースやデータ分析を提供する。StubHubは40言語と49通貨で、世界の150か国以上の顧客にライブイベントチケットを売買している世界最大のマーケットプレイスである。

両社の独占的なチケット販売はターゲットに直接売り込むことが可能となる、より合理的なアプローチとして期待されている。さらにニューヨークタイムズとThe Athleticの購読者むけの限定チケットの販売なども予定されている。

出典: https://investors.nytco.com/news-and-events/press-releases/news-details/2023/The-Athletic-and-StubHub-Announce-Exclusive-Ticketing-Deal/default.aspx

講談社、2023年8月および2024年春の新規ライセンスの発表〜放送・全国紙・出版業界動向〜

講談社USAは、2023年8月に予定されるデジタルシリーズの発刊予定と2024年春の新刊リリース予定を発表した。その発表によると、新人日本人作家による、初版は英語での出版という異色な作品ともいえる、Oma Sei著『BLOOD BLADE』が全世界初公開となるという。

『BLOOD BLADE』は2023年の秋から同社WEBサイトにてデジタル連載を開始、それが2024年にはコミックとして出版される予定となった。他にも来春英語版でリリースを予定しているコミックとして、『女王様の天才執事にうんざりして家出して、世界最強の軍隊を作りました』や『マーメイド・プリンス』、『転生したらスライムだった件』のオムニバス版も予定している。デジタル版はBookwalker・Amazon Kindle・Apple Books・Google Play・Nook・kobo・MyAnimeList・などで購入可能となる。

またkodansha.usにアップされているコミックは、その場ですぐに購入が可能となっている。

出典:https://kodansha.us/2023/07/20/august-2023-spring-2024-new-licensing-announcement

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2021-2022年 アメリカの放送・全国紙・出版(エンタメ・IT・個人サービス)業界

SiriusXMとDiscoveryが新しいサブスクリプションオファーで提携〜放送・全国紙・出版業界動向〜

衛星デジタルラジオサービスで有名なSiriusXM社が、同社のプラチナVIPプラン購読者に対して、ディスカバリーチャンネルのストリーミング版であるDiscovery+への12 か月間の無料サブスクリプションが利用できるようにすると発表した。

さらに同社のプラチナ・ミュージックアンドエンターテイメント・ストリーミングプラチナパッケージの新規加入者や、これらのパッケージに新規アップグレードする場合、Discovery+への3か月間の無料サブスクリプションが利用できるとも発表した。

オーディオがベースであるSiriusXM社とケーブルテレビでおなじみの番組をストリーミング放映しているDiscovery+との異色のコラボは、より多くの消費者にリーチすることができ、相乗効果を発揮するだろうと期待されている。

出典:https://corporate.discovery.com/discovery-newsroom/siriusxm-and-discovery-team-up-on-new-subscription-offers/

ディズニープラス、世界の有料会員数が1億人を突破〜放送・全国紙・出版業界動向〜

世界59か国で利用できる、ディズニーの膨大な高品質コンテンツが定評の動画配信サービスDisney+(ディズニープラス)は、サービス開始からわずか16か月で世界の有料会員数が1億人を突破したと、ウォルト・ディズニー・カンパニー社のCEOであるボブ・チャペック氏がバーチャル年次総会で発表した。

会員数が1億人を超えたことから、コンテンツ開発への投資を増大することを決定。これまでも年間100タイトル以上の作品を加えているが、更にその数を増やしていく予定だという。

Disney+は、ディズニーの作品のみならず、マーベル・スターウォーズ・ナショナルジオグラフィックなどの作品が含まれ、2019年11月にアメリカで放映開始以降、カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・欧州・ラテンアメリカ・シンガポールなどで急速に会員数を伸ばしている。

出典:https://thewaltdisneycompany.com/disney-tops-100-million-global-paid-subscriber-milestone/

News Corp、ベースケミカルの買収を完了〜放送・全国紙・出版業界動向〜

出版・メディア企業のNews Corp社は、S&P Global Market Intelligence社からの「ベースケミカル事業」の買収を完了したと発表した。News Corp社は2月に既にOPIS(原油価格情報サービス)とその関連資産をS&Pグローバル社・IHSマークイット社から買収していた。

News Corp社の買収によって、ベースケミカルはOPISと協力して特に再生可能エネルギーや化学物質などについてのデータ・分析などをより深く扱うことが可能となる。ダウ・ジョーンズCEOのアルマー・ラトゥール氏も「新しい顧客セグメントへの拡大を可能にする」と買収を歓迎している。

ベースケミカルはニュース・研究・イベントなどの専門知識を得られ、ニュースコープは価格設定・データ・ニュースソリューションを強化できるという、win-winな関係が得られたと記事は締めくくっている。

出典:https://newscorp.com/2022/06/01/news-corp-completes-acquisition-of-base-chemicals/

ViacomCBS、Twitterとの新たなグローバル契約〜放送・全国紙・出版業界動向〜

バイアコムCBS社とツイッター社(現エックス)は、世界中でプレミアムデジタルコンテンツを配信するための新しい複数年にわたる契約をしたと発表した。またバイアコムCBS社傘下のパラマウントプラスは、ツイッターと提携して3つのツイッターウォッチパーティーを開催し、新たなコミュニティーを構築していくという。

バイアコムCBS社副社長のアンドレア・ウォリネッツ氏は「世界中のツイッターユーザーに弊社のデジタルコンテンツを提供できることをうれしく思う」と述べた。またツイッター社のジェニファー・プリンス氏は、「この提携で、新たなレベルのグローバルなフォーマットが完成する」と語っている。

バイアコムCBS社が持つコンテンツを、ツイッターの即時性でグローバルに配信するという、この種では初めての提携ではないかといわれている。

出典: https://ir.paramount.com/news-releases/news-release-details/viacomcbs-announces-new-global-deal-twitter

ワシントンポスト、TikTokでのストーリーテリングへの投資を強化〜放送・全国紙・出版業界動向〜

ワシントン・ポスト紙は、2年前にTikTokチャンネルを立ち上げていたが、その後、フォロアーが100万人を超えた。この新たなニュース配信の方法に対して、同社の最も急成長しているプラットフォームの一つと考え、投資を強化し、新しく2つの役職を加えることを発表した。

それによると、「アソシエイトプロデューサー」「コミュニティ編集者」の2つの役職が加わる。これによって、プラットフォームと視聴者が進化し続ける中でコンテンツへの取り組みを拡大することに貢献できるようになるとしている。

すでにチームは、政治から気候変動までの見出しをカバーする、ワシントンポスト紙のTikTokチャンネルで、毎週10本のTikTokを制作している。投資と新たなポストの追加による効果が期待されている。

出典:https://www.washingtonpost.com/pr/2021/08/24/washington-post-deepens-investment-storytelling-tiktok-announcing-two-new-positions/

まとめ:アメリカの放送・全国紙・出版業界

最近のアメリカの放送・出版業界は、ストリーミングサービスの強化、ブロードバンド普及促進、広告付きサブスクリプションの導入、そして主要企業間の新たな提携を通じて、デジタル化とアクセス拡大を進めています。

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