【5Gの普及とAIによる技術革新を解説】韓国の携帯電話事業者業界

韓国の携帯電話事業者業界は、技術革新と消費者ニーズの変化により急速に進化しています。特に、5Gの普及やAI技術の活用が新たなビジネスモデルを生み出し、競争が激化しています。このようなトレンドは、企業戦略に大きな影響を与えています。今後も注目すべき動向が目白押しです。本記事では、韓国の携帯電話事業者業界を変革する最新トレンドを深掘りし、未来の市場を見据えたインサイトをお届けします。

読了時間の目安：5分

2023年 韓国の携帯電話事業者業界

2023年9月、SKテレコムが、韓国鉄道技術研究院と、次世代鉄道通信の5G-R通信試験網の構築及び実証を行うと明らかにした。

5G-Rは、350Km/h以上の速度で走る電車でも5Gデータ通信ができるようにする技術。今回の試験網では、4.7GHz周波数帯域の5Gを活用する。現在、国内の鉄道ではLTE網を活用するLTE-Rが適用されている。

韓国鉄道技術研究院は「鉄道デジタル転換のための5G-R核心技術開発」を23～26年の計4年にわたり進める予定。当該期間には、5G SAベースの5G-R試験網構築及びカバレッジ延長技術、ネットワークスライシング技術、鉄道特化サービス、QoS実証等が行われ、SKTはContela社、SK ONS社とコンソーシアムを構成し、初年度は5G-Rネットワーク(試験網)構造設計、コア試作品製作等を行う予定。

出典：https://news.sktelecom.com/198310

2023年9月、KTが、韓国のAIスタートアップ企業のUpstage社とQuanda社に200億ウォンの株式投資を行う戦略的パートナーシップを締結したと発表。Upstage社はOpen LLMリーダーボードで1位を獲得する等、世界最高レベルの生成AI性能を示したスタートアップで、QANDA社は20カ国の教育アプリランキングで1位を獲得した教育特化型スタートアップ。

KTは今回の提携を通じ、企業専用 大規模言語モデル（Private LLM）ソリューション開発特化LLMの開発、教育プラットフォームのAI拡散など、AI BtoCサービス開発に協力する予定。

KTは本提携を皮切りに、超巨大AI事業化競争力を強化し、オープン型AIエコシステムを造成、今後も多くのAIスタートアップと事業協力及び投資を継続する計画。また同社は、超巨大AIとAIフルスタックインフラを活用し、国内AI BtoB市場の基盤拡大に乗り出す。自社開発LLMとKTクラウドの強力なAI演算インフラを需要に合わせ弾力的に提供し、公共部門と金融業界のためにセキュリティを強化した「企業専用超巨大AI」商品を開発するなど、企業向けの競争力のある超巨大AIサービスを準備する予定。

出典：https://corp.kt.com/html/promote/news/report_detail.html?rows=10&page=2&datNo=18000

2023年9月の発表によるとKTが、仁川国際空港公社と5G特化網及び先端情報技術に基づいたスマート空港サービスの発掘に協力する旨の内容を中心としたＭＯＵを締結した。

KTはAI及びDXの専門コンサルティング、5G特化網の構築及び運営に関する豊富な経験を持ち、仁川国際空港公社は世界の空港を先導、先端情報技術基盤に基づくスマートサービスを提供する仁川国際空港を運営する公企業である。KTと仁川国際空港公社は各社の競争力をもとに5G特化網を通じたスマートサービス導入・拡大のための戦略を共同で研究する予定。

両社は5G特化網の技術安定性を提示し、5G特化網を活用した未来のスマート空港発展のための方向性と計画を樹立できると期待を寄せている。また共同研究を通じ、AIとビッグデータ、クラウドなど新技術を活用可能なスマート空港サービスも発掘する予定。

出典：https://corp.kt.com/html/promote/news/report_detail.html?rows=10&page=3&datNo=17980

2023年9月の発表によるとLG U＋が、ヒュンダイ・KIAへ自社動画ストリーミングサービス「U+モバイルtv」を提供する。次世代インフォテインメントシステム CCNC(connected car Navigation Cockpit)を搭載した車両に無線ソフトウェアアップデートを通じて適用される予定で、コネクテッドカーに特化した安定した通信環境をベースに、デジタルマルチメディア放送と差別化された高品質のメディアコンテンツを供給する方針。

U+モバイルTVを通じて視聴可能なチャンネルはニュース、児童、音楽、バラエティ、スポーツ等の15チャンネルで、搭乗者の好みを考慮し多様なジャンルで構成。高品質の映像を地下駐車場でも視聴することが可能で、ヒュンダイ・KIAのストリーミングプラスプランを利用中の顧客に限り、追加加入手続きなしで利用可能。

同社は、競争力のあるチャンネルやオーディオコンテンツなどのコネクテッドカー環境に適した特化型コンテンツを追加し、競争力の強化と通信環境の高度化に注力し、モビリティ経験の革新を続ける計画。

出典：https://www.lguplus.com/about/ko/corporation/promotion/press-kit/detail/

2023年9月、LG U＋が、スパムテキスト送信サーバーを追跡し、源泉を遮断する「Redirected URL Trace」技術で、5ヶ月間で計232万件のスパムメッセージを遮断する成果を収めたと発表。

同社が2023年4月に導入した同技術は、韓国インターネット振興院(KISA)が提供するスミッシングURLのリストを基に、URL元となるサーバーIPを追跡しブロックする技術。接続アドレスが変更されても、同じIPのスパムサーバーから送信されるメッセージをすべて検出し遮断できることが特徴。

今後、受信電話がスパムかどうかを知らせるサービスや、KISAに届いた違法メールや顧客が設定した番号・フレーズなどを自動遮断するサービス、小額決済に必要な認証番号を直接設定し自動小額決済を予防するスミッシング予防サービスなど、顧客が安全にスマートフォンを利用できる環境を構築していく予定。

出典：https://www.lguplus.com/about/ko/corporation/promotion/press-kit/detail/

2022年 韓国の携帯電話事業者業界

2022年8月の発表によるとSKテレコムが、化学素材企業のDWCHEM社との3年余りの共同研究を通じ、透明アンテナ装備とRIS（Reconfigurable Intelligent Surface、再構成可能なインテリジェントサーフェス）技術開発に成功。

また同社は、バス・地下鉄、建物のガラスに取付可能な透明アンテナを通じ、5G・4Gサービス品質を強化できるRISコア技術検証を終えたと明らかにした。

今回開発した技術は、薄い金属パターンを持つアンテナを小さく軽い透明フィルムの形でガラスに付着し電波受信する方式で、ガラスにアンテナを付着したことが認識できないほど、周囲環境と調和し施工可能。

透明アンテナとRIS技術を活用すれば、無線品質の高度化、移動通信サービスのカバレッジ拡大、エネルギー高効率化による消費電力削減が可能。特定の周波数帯域を反射し、ビル内でカバレッジを広げる用途にも活用可能となる。

同社は様々な環境で透明アンテナやRIS技術の開発をリードするなど、5Gおよび6Gに及ぶ中長期のための技術革新を継続していく予定。

出典：https://news.sktelecom.com/181018

2022年5月の発表によるとSKテレコムが、顧客と共に育てていく成長型AIサービス「A. （A.ドット）のAndroidオープンベータ版をグーグルプレイストアに公開。

アプリをインストールした利用者は、自分だけの個性を反映したキャラクターを作ることができ、音声・文字で会話が可能。カレンダーへの予定登録・確認や、好みの曲やポッドキャストのプレイリスト登録、OTTサービスで何を見るかのおすすめ、目的地までの道案内等、日常とデジタルを合致させ、友達と会話するような感覚を通じ、より有用なサービスを提供することを目的としている。また、ユーザー参加型の「キューピッド」サービスでは、AIが回答できないような内容についても、最適な回答を提供できる利用者をマッチングさせ回答を要請するサービスとなっている。

Ａ.は、顧客との継続的な会話とデータ蓄積を通じ、より精度の高いサービス提供を行う「顧客とともに成長していく」サービスを目指しており、顧客との親密な関係を通じ、人間と技術、ひいては人間と人間を繋げるサービスへと進化させ、他のAIサービスと差別化した、暖かみのあるAIサービスを提供していく予定。

出典：https://news.sktelecom.com/178061

2022年9月の発表によるとKTが、現代自動車グループとの将来のモビリティ市場を主導するための戦略的パートナーシップの締結を発表。

両社はまず、将来の自動運転技術確保に向け自動運転車両に最適化された6G通信規格を共同開発し、次世代技術を先取りする構想。また、人口衛星基盤のAAM（Advanced Air Mobility）通信インフラの整備にも乗り出す他、全国各地のKTのネットワークを活用し、EV充電インフラの拡大も行う。さらに、コネクテッドカー時代の爆発的なデータ需要に合わせストリーミングなどの新サービスの開発も検討予定。

両社は、今後の協力関係を強固にするため、KTの自社株約7,500億ウォン(7.7%)と現代車約4,456億ウォン(1.04%)、現代モービス約3,003億ウォン(1.46%)との自社株交換方式で相互持分を取得することを発表。中長期的に事業提携パートナーシップを強固にし、コラボレーション実行力を補完していく。

出典：https://corp.kt.com/html/promote/news/report_detail.html?rows=10&page=24&datNo=17443

2022年9月、KTが、「AI通話秘書」プラットフォーム進化のため、外食予約サービス専門スタートアップ企業のTablemanager社へ20億ウォンを投資すると発表。「AI通話秘書」は忙しい従業員に代わり、店舗に掛かってきた顧客からの電話をAIが代わりに受け取るサービスとなる。

両社は今回の戦略投資を契機に、AI通話秘書サービスの技術競争力を一層強化し、サービスを高度化させる予定。また両社は今回の協力を通じ、AI通話秘書の潜在需要を新たな業種に拡張する計画。

Tablemanager社のチェ・フンミン代表は「今回の投資協約をきっかけにKTと緊密に協業し、AI通話秘書の機能を高度化し、レストランだけでなく美容、美容店など予約が必要な多様な分野に事業を拡大する予定」と話している。

出典：https://corp.kt.com/html/promote/news/report_detail.html?rows=10&page=23&datNo=17470

2022年11月の発表によると、LG U＋が、自社のIPTVサービスであるU＋TVを、リアルタイム放送とVODを一つのプラットフォームで検索できる視聴環境に改変し、OTT TVとして新たに立上げたとのこと。

改変後のU＋TVは、便利な視聴体験、好みに合わせたコンテンツ推薦が特徴。見たいコンテンツを検索すると、リアルタイムチャンネル、VOD、OTTのうち視聴可能なプラットフォームが表示され、リアルタイムチャンネルの場合は視聴予約も可能。また、VOD・リアルタイムチャンネル・人物に対する急上昇ランキングを提供。スポーツやバラエティ、ホームショッピング等、時間帯別に人気のチャンネルを一画面で確認することができる。また、合計7つまでプロフィールを細分化し、個々に合わせたコンテンツを推薦。

また、今回の改変に合わせ、多様なプランを提供し、U+tvをリーズナブルな価格で利用できるようにしている。

出典：https://www.lguplus.com/about/ko/corporation/promotion/press-kit/detail/