韓国の百貨店・ショッピングモール業界は、2024年、新しい消費トレンドによる革新が進んでいます。ラグジュアリーブランドを揃えたプレミアム体験型店舗が台頭し、消費者に「買い物以上の価値」を提供する一方、持続可能性を重視したエコフレンドリーな商品ラインアップや店舗運営も注目されています。また、デジタル化の進展により、オンラインとオフラインを融合させた新たなショッピング体験が広がりつつあります。本記事では、韓国の小売業界を変革する最新トレンドを深掘りし、未来の市場を見据えたインサイトをお届けします。
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2022-2023年 韓国の百貨店・ショッピングモール(流通・小売)業界
ロッテショッピング 営業 利益 86 %増〜百貨店・ショッピングモール業界動向〜
ロッテショッピングは、2022年の売上利益が3862億ウォンを達成し前年比86%増加したことを発表した。ロッテマートは売上高の変動について主要事業部の業績改善による営業利益増加、税引き前の赤字縮小が主な要因なのではないかと話している。
ロッテショッピングの売上比率は2022年においては百貨店部門が20.9%、モール部門が38.2%、電化製品専門店が21.6%であり、上位3部門が多くの比率を占めている。Eコマース部門については0.7%と今後の動きがカギを握っている。
ロッテショッピングは今後の戦略として自社の資産を活用し、追加経済価値を創出できるビジネスモデルも発掘中であることを話した。特にMZ世代の流入が活発になっている美術市場を狙ってデパート空間を活用したArtビジネスを育成しているところであると発表した。
出典:https://dart.fss.or.kr/dsaf001/main.do?rcpNo=20230315001405
新世界、第一四半期の営業利益減の理由〜百貨店・ショッピングモール業界動向〜
2023年5月10日、新世界は2023年の第一四半期(1〜3月)の営業利益は1524億ウォンであり、昨年度の同時期の比較して6.8%減少したと発表した。同期間の売上と純利益はそれぞれ1兆5634億ウォン、1286億ウォンで11.5%、14.8%ずつ減少したという。
部門別に見ると、百貨店部門は売上1兆6688億ウォンと昨年より4.2%増加しているものの、営業利益は112億円のマイナスであった。しかし、その中でも2021年8月にオープンした大田新世界は1370億ウォンの売上を見せ、昨年比15.6%増加、営業利益も63億ウォンのプラスを見せた。
新世界は今回の営業利益減少を金利引き上げによる消費者の消費意欲の萎縮が原因ではないかと話しており、免税損益を改善するため策を講じると前向きな姿勢を見せた。
現代百貨店、店舗競争力強化を発表〜百貨店・ショッピングモール業界動向〜
2023年5月13日、現代百貨店は新規事業について積極的な動きを見せていることを語った。
具体的には、2025年には忠清北道清州市にアウトレット出店。また現在、釜山広域市江⻄区で計画されている新都市「エコデルタシティ」内の流通販売施設用地を取得し、より革新的なショッピングプラットフォームとして評価される新規店出店の準備もともに進めていることを述べた。
現代百貨店の百貨店業界内におけるシェア率は2023年第一四半期(1〜3月)で28%と百貨店業界のビック3の内の1社としての地位を維持している。現代百貨店内の比率は他社と違い、46.4%と百貨店事業が約半数を占めている。その他は免税店30.2%、家具製造が20.2%である。
出典:https://dart.fss.or.kr/dsaf001/main.do?rcpNo=20230515002617
ハンファギャラリア、 ハンファソリューション から独立〜百貨店・ショッピングモール業界動向〜
2023年2月13日に開催した臨時株主総会にて、ギャラリア部門をハンファギャラリアとして分割するという議案に賛成票を獲得し、公式的にハンファギャラリアがハンファソリューションから独立することが決定した。
ハンファギャラリアは2021年4月1日を合併日とし、ハンファソリューション吸収合併されたが、今回の臨時株主総会を期に再度独立を果たしたことになった。
独立前のハンファソリューションのギャラリア(百貨店)部門の売上高は2022年第三四半期(7〜9月)において約4105億ウォンだった。これはハンファソリューション全体の売上である9兆7250億ウォンの約4.2%だ。その他の部門はケミカル部門、新再生エネルギー部門、加工素材部門とギャラリア(百貨店)部門とは業界の異なった部門がメインである。
出典:https://dart.fss.or.kr/dsaf001/main.do?rcpNo=20230214000012
AK プラザ、赤字 脱出 事業の展開へ〜百貨店・ショッピングモール業界動向〜
2022年11月29日の発表によると、エギョングループが大幅な役員人事に踏み切った。計13人の内3人はAKプラザへ人事異動となっており、他の子会社が1、2名なのに対しAKプラザへが3名と最大人数である。
エギョングループは新型コロナウイルス感染症のパンデミック時期に縮小されていたリーダーグループを正常化する次元で、成果中心の人事原則を今回の定期役員人事に反映した。変化と挑戦を追求する若いリーダーを全面的に配置することで、持続可能な未来成⻑基盤を作る計画だと話した。
AKプラザを運営するエギョングループの子会社であるエーケーエスアンドディー2022年の売上は2472億ウォンであり、市場シェア率は2020年4.0%、2021年3.4%、2022年3.4%と伸び悩んでおり、今後の役員勢の動きに注目が集まっている。
出典: https://www.aekyunggroup.co.kr/fo/akNewsView.do?uid=703
2021年 アメリカの百貨店・ショッピングモール(流通・小売)業界
ロッテショッピング、事業 実績 を 発表〜百貨店・ショッピングモール業界動向〜
ロッテショッピングは2022年第三四半期(6〜9月)の営業利益が前年度比の1000億ウォン以上を超えるなど、2022年の1月から絶えず実績が好調であることを伝えた。同期の営業利益は1501億ウォンで、昨年よりも418.6%増加しており、大幅な利益アップとなった。
部門別にみてみると百貨店の売上が7690億ウォンで17.3%増加しており、営業利益も1090億ウォンで黑字転換している。ショッピングモールの売上は1兆5600億ウォンであり5.3%増加と上々である。
ロッテショッピングは今回の事業実績を、既存店の売上が好調であること、商品のミックス改善に努めたこと、昨年の一時的な費用であった希望退職者の補償費の基底効果が営業利益の黑字転換に繋がったのではないと話した。
新世界1分期の営業利益 1200 億ウォン越え〜百貨店・ショッピングモール業界動向〜
2021年5月12日、新世界が2021年第一四半期(1〜3月)に好業績を記録したことを発表した。同期の営業利益は1236億ウォンと昨年度比3659%の大幅な増加をみせた。売上も1兆3200億ウォンと10.3%増加を記録している。
デパート部門での売上は823億ウォンで昨年度比198.3%であった。その中でも新世界デパート江南店の売上が全国11店舗の中で一番の成績を残した。
特に2月以降ソーシャルディスタンスが緩和されたことによる、消費心理の回復でファッションジャンルが増加した。前年度比でブランド品が58%、女性ファッション25%、男性ファッション35%の増加をみせた。
現代 百貨店、売上・利益ともに好調〜百貨店・ショッピングモール業界動向〜
2021年8月17日、新たなプラットフォームである「ザ現代ソウル」をオープンした現代百貨店が上半期の事業報告を行った。売上は1兆5470億ウォンであり、百貨店部門の売上は1兆421億ウォンであり、営業利益は1420億ウォンと前年比115.4%であった。
「ザ現代ソウル」は2021年2月にオープンした16番目の百貨店である。全体面積の半分を売り場面積とし空間にゆとりを持ち、コロナ時代に最も理想的な「未来型デパートプラットフォーム」と評価されている。
現代百貨店の市場シェア率は2019年に27%、2020年に28%、2021年上半期29%と年々着実にシェア率を上げてきており、新たな店舗をオープンした現代百貨店の動きに注目が集まっている。
出典: https://dart.fss.or.kr/dsaf001/main.do?rcpNo=20210817002215
AK プラザ赤字経営からついに黑字経営なるか〜百貨店・ショッピングモール業界動向〜
2021年5月17日、AKホールディングスが2021年第一四半期(1〜3月)の営業利益を発表した。デパート部門の営業利益は-17億ウォンであったが前年同時期は-64億ウォンであったため、営業利益は現在のところ増加の傾向をみせており今後の伸びに期待が寄せられている。
AKホールディングスは首都圏中心の出店を通じて領域を広げてきたことで、店舗数に比べて認知度はかなり高い方に属しているとアピールしている。百貨店業界で主要3社(ロッテ、現代、新世界)の後発走者として今後も新規事業を進めていくことを述べた。
AKプラザは現在デパートである盆唐店、水原店、平沢店、原州店、仁川空港店、ショッピングモールでる弘大店、器興店、世宗店の店舗を保有している。
出典:https://kind.krx.co.kr/common/disclsviewer.do?method=search&acptno=20210517002049
イーランドリテール営業実績回復なるか〜百貨店・ショッピングモール業界動向〜
2022年5月12日、イーランドリテールが2021年の売上を発表した。売上額は1兆7420億ウォンと前年とさほど大差はなく、新型コロナウイルス感染症拡大前の2兆1000億ウォン台を記録することは出来なかった。
イーランドリテールは2020年から新型コロナウイルス感染症の影響をダイレクトに受けており、2019年に経営利益は2000億ウォンを超えたが2020年に16億ウォンまでに激減した。
イーランドリテールの売上額の76.4%(2021年基準)はアウトレットでその他が百貨店、ショッピングモールである。全国に44店舗に及ぶアウトレット店舗網を構築している。大きなプラットフォームがあるだけに、今後の経営戦略について注目が注がれている。
ソウル在住の韓国人。日本での在住経験は12年。日本の有名大学を卒業し、大手シンクタンクの正社員及び経営コンサルタントとして勤務。ビジネス戦略とイノベーションの分野で活躍。