韓国の資格・社会人教育業界は、急速に変化する労働市場に対応するため、技術革新やオンライン学習の普及が進んでいます。特に、デジタルトランスフォーメーションにより、資格取得の手法が多様化し、学習者のニーズに合わせた柔軟なプログラムが増加しています。企業や個人が求めるスキルが日々変わる中で、最新のトレンドを把握することが成功への鍵です。本記事では、韓国の資格・社会人教育業界を変革する最新トレンドを深掘りし、未来の市場を見据えたインサイトをお届けします。
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2023-2024年 韓国の資格・社会人教育業界
Hunet(ヒューネット) チャットGPT教育コース開講も即日完売〜資格・社会人教育業界動向〜
2024年2月の発表によると生成型AIの急速な進展に伴い、ChatGPT(チャットGPT)に対する企業の関心が高まる中、ヒューネットは企業の教育担当者向けに開講したChatGPTカリキュラムが即日完売したと明らかにした。
現在はキャンセル待ち登録者のために同カリキュラムの講座を3つ開設しているほか、追加コースの準備も進む。
カリキュラムは、ChatGPTをはじめ、Bing(ビング)、Playground(プレイグラウンド)など、代表的な生成型AIツールを活用する実務中心の終日クラスで構成される。
特に実務で最も必要となる、職務カスタマイズのプロンプトに関する部分については好評を博している。
出典:https://company.hunet.co.kr/Prcenter/News/Detail/3736
Studymax(スタディマックス)シリーズC資金調達を実施 AI教育をリード〜資格・社会人教育業界動向〜
2024年1月、AI教育企業のスタディマックスは、カンパニーケイパートナーズから、シリーズCにあたる資金調達を行ったと明らかにした。
ネイティブスピーカーの「AI会話サービス」や報酬基盤システムの「エデュテク」など、AIを活用した成長とグローバル化の可能性が高く評価され、企業価値は1,000億ウォンと試算された。
今回の調達で得た資金はAI技術の強化に充てる。誰もが気軽にネイティブスピーカーから英語が学べるAI会話サービスの実現や、日本やベトナムなどへの海外進出により世界市場の開拓を狙う。
租代表取締役は、今回の資金調達は革新的なAI技術と成長可能性が市場に認められた結果、と成果を強調する。
出典:http://www.studymax.kr/media/viewNewsDetail
KG Eduone(ケージーエデュワン) 中小企業向け職務教育を無償支援〜資格・社会人教育業界動向〜
2024年3月、KGエデュワンは、中小企業を対象とした社員の職務教育プログラム“HRD-FLEX”の無償提供を開始した。
HRD-FLEXは雇用労働部と産業人力工団が主導する教育活性化事業の一環で、従来は対象外となりがちであった中小企業向けに、様々なコンテンツをサブスクリプション形式で学習できるよう支援する事業主訓練(*)。
KGエデュワンは23年に引き続き、2年連続でHRD FLEXを運営する。
職務教育・業務能力・AI・教養・人文・語学・資格・ITなどの多様な教育コンテンツで構成されており、MZ世代が好むショートフォーム、マイクロラーニングが中心のため、隙間時間に気楽に受講できる点が特徴。
詳細および申請方法は、KGエデュワン企業教育サイト“KEESSホームページ”にて確認可能。
*事業主訓練
事業主が勤労者対象の訓練を教育・訓練機関にて実施する場合、費用支援を受けられる制度。
出典:https://www.kgeduone.com/pr_center/news_view.php?idx=256
韓国雇用情報院 自己能力分析から面接準備までサイバー進路教育センターで準備する〜資格・社会人教育業界動向〜
2023年9月、雇用情報院は、大学生や若者の主体的な進路設計を支援し就職促進を図る目的で、サイバー進路教育センターに3つのオンライン新カリキュラムを開設した。
①ジョブ(JOB)への第一歩、自己能力分析
個人能力と要求されるスキルを比較し、自身の能力分析を行う。不足するスキルを補完し、対象者の競争力を高める。
②自身に合った職業選択
職業選択の重要性を理解し、日々変化するトレンドと本人の関心分野の情報を探り、進路決定に活用する。
③面接官を満足させる面接対策
採用選考における面接の意図と評価基準を理解し、面接官の質問と意図を把握し、論理的かつ効果的に回答できるように支援する。
新カリキュラムはサイバージンロー教育センターのHPから申請し、すぐに受講可能。またワークネットメンバーの場合、会員登録は不要。
出典:https://www.moel.go.kr/news/enews/report/enewsView.do?news_seq=15600
EBS(イービーエス) 生涯教育バウチャープログラムを強化〜資格・社会人教育業界動向〜
2023年4月の発表によると、放送教育を手掛けるEBSは、国家生涯教育振興院と協力し、国民の生涯教育への参加機会の拡大のため、生涯教育バウチャー事業を拡大する。
生涯教育バウチャーは、 19歳以上の成人の内、基礎生活受給者や一定以下の所得者を対象に年間35万ウォンを国が支援する生涯教育の利用権。学習者は自身の教育水準などに合わせ自律的にカリキュラムを選択可能。
23年以降は語学分野の強化を進めており、10年連続販売1位を誇る「ハンイル基礎英語法」をはじめ、TOEIC、OPICなどの専門講座を大幅に追加した。
EBSは21年6月に生涯教育バウチャーに参加し、公認仲介士、公務員、消防、軍務員、社会福祉士、G-telp、資格証、コンピュータ活用能力、TOEIC、OPic、会話、自己啓発など125以上の多様な教育講座、オーディオで学ぶ外国語(オーディオ語学堂)、ドキュプライム、ヘルスケアといった番組の放映権を提供している。
出典:https://about.ebs.co.kr/kor/pr/release
eduwill(エデュウィル) 鑑定評価士・労務士の教育事業を立ち上げ〜資格・社会人教育業界動向〜
2023年3月、総合教育企業エデュウィルが、専門職資格試験の一つである鑑定評価士と労務士の教育コースを新規開設した。
従来の税務士、会計士の教育コースの開設に続き、鑑定評価士と労務士の教育コースを立ち上げることで、専門職資格の需要を喚起する。
近年、職業安定性を重視する社会の雰囲気が醸成され、専門職資格試験に受験生の人気が集まる。受験者数は、鑑定評価士が前年比43.8%、労務士は23.8%となり、5年前比でそれぞれ3.8倍、2.2倍と、過去最高を記録した。
今後も鑑定評価士と労務士の受験者数は増加すると想定されており、従来の資格試験コースで培ったノウハウをベースに、専門職資格の教育市場でも優位性を確保する狙い。
出典:https://company.eduwill.net/main/index
2022年 韓国の資格・社会人教育業界
YBM (ワイビーエム) YBM-(株)DLAB、デジタル人材育成のため業務提携を締結〜資格・社会人教育業界動向〜
2022年12月、韓国を代表する教育評価専門機関であるYBMは、子供向けコーディング教育のディラップ社と、デジタル人材育成のための業務協約を締結した。
ディラップ社は全国11ヶ所にフランチャイズで塾を運営しコーディング教育を展開するほか、教育プラットフォームの「ディラップオン」を運営する。
本協約により全国11ヶ所のディラップ社の塾で、YBMが運営するCOS、COS pro等のコーディング資格の取得が可能となり、体系的なIT教育や客観的な評価を通じ子どものデジタル能力強化が可能となる。
出典:https://www.toeic.co.kr/news/mediaView.php?newsCode=940
Day1Company(デイワンカンパニー)英会話教育「ワーナースピック」を立ち上げ〜資格・社会人教育業界動向〜
2022年4月、社会人教育事業を展開するデイワンカンパニーの社内独立企業(CIC)であるレモネード社が、英会話教育サービス「ワーナースピック」を立ち上げた。
「ワーナースピック」は英会話教育に特化しており、名称も「Wanna Speak?」から採用した。受講生の流暢な英会話を手助けするという想いを込める。
生きた英語の取得のため米国の人気YouTubeチャンネルとコラボし、発音やイントネーションに限らず、語法や表現、現地文化の理解といった点まで含む「トータルシャドウイング」学習法を採用する。
ソ代表は「YouTubeコンテンツを活用することで、辞書には無いネイティブの表現を、まるで外国人の友人と会話しているように楽しく身に着けることができる」と自信を覗かせる。
出典:https://day1company.co.kr/index.php/2022/04/06/launchwannaspeak/
韓国雇用情報院 国民キャリア学習カードでキャリア設計を支援〜資格・社会人教育業界動向〜
2022年4月、雇用労働部が中小企業に在職中の中高年向けに、民間専門機関のマンツーマンキャリア設計の相談支援である「中高年の新出発カウンセリング」事業を開始する。
全国から選抜された10ヶ所の優秀な民間専門コンサルティング機関がプログラムを運営し、参加者の経歴診断の結果によっては、財務・心理・職務などの分野別専門家も協力する。
「中高年の新出発カウンセリング」は、国民生涯職業能力開発法の改正により今年から新たに開始された。既存のキャリア学習カードが職務能力向上を目的とした技術訓練を中心としていたが、労働市場の変化への適応力を高めるべく、生涯キャリア設計の強化を図る。
従業員1,000人未満の中小企業に勤める満45~54歳の中高年であれば、国民キャリア学習カードの限度(300~500万ウォン)に加え100万ウォンの追加支援を受けることができ、マンツーマンのキャリア設計相談プログラムに参加(10%自己負担)可能。
出典:https://www.moel.go.kr/news/enews/report/enewsView.do?news_seq=13459
eduwill(エデュウィル) 「AIジーニアス」をローンチ〜資格・社会人教育業界動向〜
2022年11月の発表によると総合教育企業エデュウィルは、試験合格に向けたAI秘書サービス「Aiジニアス」サービスの提供を開始した。合格診断から復習までカスタマイズされたマンツーマン学習サービスを提供する。
Aiジニアスは過去10年間にエデュウィルを利用した生徒のビッグデータを利用しており、アルゴリズムが対象者のレベルにあわせた問題を出す。 記述問題や模擬試験に加え、後日新たに追加された問題もアップデートされ、その解説も提供される。
また新たに追加された復習機能は「エビングハウス忘却曲線」の理論を基に、最も適した復習周期を設定し学習効果を高める機能がある。
同社は、Aiジニアスが利用される公務員試験や各種資格、就職、入試、語学向け教育コースは、目標が短期合格と明確であり学習効率性の向上には一定の需要があると見込む。
出典:https://company.eduwill.net/main/index
ソウル在住の韓国人。日本での在住経験は12年。日本の有名大学を卒業し、大手シンクタンクの正社員及び経営コンサルタントとして勤務。ビジネス戦略とイノベーションの分野で活躍。
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