台湾財務省の営利企業数に関するデータによると、2022年の飲料店数は台湾で急激に増加しており、業界内の競争が益々激しくなっています。そんな中、台湾のコーヒーチェーンブランドのルイーザは、2022年の連結売上高が21億7,000万台湾元となり、16%の大幅な成長を見せ、過去最高を記録しました。
今回は、そんな台湾のカフェ・スイーツ業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!
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2022年 台湾のカフェ・スイーツ(飲食・食品メーカー)業界
ルイーザの2022年の粗利益率が過去最高を記録〜カフェ・スイーツ業界動向〜
台湾のコーヒーチェーンブランドのルイーザは、2022年の連結売上高が21億7,000万台湾元となり、16%の大幅な成長を見せ、税引後1株当たり利益は5.03台湾元、粗利益率は54.72%と過去最高を記録した。
ルイーザは、新型コロナウィルス流行を逆手に取り、有利な価格での店舗レンタルを可能にし、直営店を積極的に拡大、現在の店舗数は準備中も含めて548店舗、うち直営店は170店舗、フランチャイズ店が378店舗で、2023年第1四半期の直営店売上高は前年同期比は約4%、1,200万台湾元以上増加した。
ルイーザは、年間70店舗の出店を目標に設定しており、新型コロナウィルス流行前は、出店店舗の80~90%がフランチャイズ店だったのに対して、流行後は70%が効率的な店の管理と品質管理が利点である直営店へと変化を見せた。
出典:https://www.louisacoffee.co/shareHolder/4?CatlogType=Msg
スターバックスがリサイクルカップサービスを開始〜カフェ・スイーツ業界動向〜
スターバックスでは、2023年7月1日から病院や空港などの指定店舗を除く全店舗にリサイクルカッププロジェクトを導入すると発表した。
全500店舗でリサイクルカップサービスを実施、店のカウンターで注文する際にリサイクルカップの使用を伝え、指定された26店舗のカップ返却機や“OPEN iECOリサイクルカップサービス”を提供するセブンイレブン店舗でも返却が可能で、お客がより便利にカップの貸出・返却ができるようになっている。
スターバックスはまた、行政院環境保護局から、原材料とラベル・貸出と返却・洗浄・検査・情報の伝達などを遵守した「貸出用カップのグッドサービスマーク」を取得しており、使い捨てカップの利用を減らし、環境の持続可能性を促進するために最善を尽くしている。
出典:https://www.starbucks.com.tw/rewards/borrow_return/index.jspx#:~:text=%E5%85%A8%E5%8F%B0%E6%98%9F%E5
2022年の85°C年間営業収入1.77%減少〜カフェ・スイーツ業界動向〜
2022年の85°C年間営業収入は195億1,000万台湾元で年率1.77%の減少であった。一方で、2023年5月の売上高は17億5,000万台湾元と、2019年以来の同期間として最高を記録し、米国とアジア市場で同時に二桁の年間成長を達成した。また、2023年最初の5ヶ月の累計収益は86億6,000万台湾元で、年間で13%近く増加した。
2023年上半期、母の日も近づき、85°Cの目標は全台湾で約21万個のケーキを販売する事であり、予想される業績は1億1,000万台湾元で、年率8%の見込みである。
85°Cは現在、台湾全土に計445ヶ所の拠点があり、2023年から続々と新装及び改装の計画を進めており、新装・改装工事は既に15ヶ所に達している。
出典:https://www.85cafe.com/InvestorRelations02_03.php
店舗数200に迫る勢いのcama cafe〜カフェ・スイーツ業界動向〜
新型コロナウィルスの流行も落ち着き内需が回復し、飲食業株が台湾株上場の波を引き起こす中、台湾第3位のコーヒーチェーン“cama cafe”は、株式公開に於いては、2024年下半期まで延期すると発表した。現段階では先ず物理的な調整を行う予定であり、2023年下半期にはPOSシステムの全面リプレース、加えて、新規20店舗をオープンし、台湾全土で190店舗に達する。
cama cafeは独自の手法で「五感マーケティング」を打ち出しており、店頭でプロの職人による焙煎したてのコーヒーを提供するcama cafeは、近くを歩くと直ぐに感じられるコーヒーの香りもマーケティングの一つとなっている。
また近年は、台湾の文化を繋ぐため、都市から離れた陽明山の古い建築物を改装しオープンした「cama coffee roasters」が、パン教室や特別メニューも充実し人気を博している。
出典:https://www.camacafe.com/Store
カフェ数の急速な発展、6都で全国の70%を占 める〜カフェ・スイーツ業界動向〜
財務省の営利企業数に関するデータによると、飲料店の数は台湾で急激に増加し、2022年8月末時点で27,509店に達した。「ジュースショップ、ホット・コールドドリンクショップ」が全体の81.7%を占め、次いで「コーヒーショップ」が14.9%となっている。
2011年と比較すると、コーヒーショップの数は約1.6倍に成長しており、その成長は他の飲料店に比べて著しく高く、台湾人のコーヒー需要が高まっており、コーヒー市場の発展を牽引している事は明らかである。
コーヒーショップの分布を見ると、2022年8月時点でのトップ6は全て中央政府直轄市で、台北市が929店(22.7%)、台中市が474店(11.2%)次いで新北市459店(11.2%)のトップ3を含む6都を合わせると、全体の71.3%を占める。
出典:https://www.moea.gov.tw/MNS/populace/news/News.aspx?kind=1&menu_id=40&news_id=103553
2021年 台湾のカフェ・スイーツ(飲食・食品メーカー)業界
>台湾でカフェ・スイーツ業界大手、85度の2020年の売上〜カフェ・スイーツ業界動向〜
85度は2020年の売上額を発表した。咖啡蛋糕烘焙專賣店(以下85度)の主な収入源は中国大陸に基づいているため、機能通貨は人民元(RMB)としている。そのため、会社の内部会計報告では、他の地域も含めてすべての収入は人民元建てで表記している。
2020年の中国での売上は2,790,883RMBを記録。その他の地域では1,796,073RMBの売上を記録。その他の地域には、香港(8店舗)、台湾(447店舗)、アメリカ(44店舗)、オーストラリア(12店舗)が含まれているが、その合計でも中国大陸(538店舗)の売上には敵わない。
85度は2003年に台湾新北市に第一店舗目をオープンしてから、好評を受けて3年以内に300店舗まで展開した。その後はさらに、海外展開も行った。今では台湾人の生活に当たり前の存在となっている台湾を代表するカフェである。
出典:85℃ https://www.85cafe.com/InvestorRelations02_03.php
>台湾でカフェ・スイーツ業界牽引ダンテコーヒーの注目の新店舗
丹堤(ダンテ)コーヒーは27年の歴史を持ちながら、製品開発と技術アプリケーションの革新を常に追求している。2020年1月、台湾最大の革新集落である林口新創園に新しい店舗を設立した。
「新創實證場域(クリエーションデモンストレーションフィールド)」をコンセプトにしている実験的なカフェであり、公園内の企業が仕事をしたり、起業家の拠点になったり、交流できる創造基地になっている。
店内には「モバイル決済セルフサービス注文機」が組み込まれており、消費者はセルフサービス注文機のガイダンスに従うだけで注文できる。注文の流れとしては、まずイートインかテイクアウトを選択し、商品カテゴリと商品内容を選ぶ。次にレシートを確認して整理券を取り、モバイル決済を使用して会計をする。全行程で1分しかかからないスピーディーさを提供している。
出典:ダンテコーヒー http://www.dante.com.tw/news.php?type=news&id=130
台湾のcamaカフェ 「豆留森林」のサービス〜カフェ・スイーツ業界動向〜
CAMACOFFEE ROASTERS 豆留森林店では、希少フレーバーコーヒーの五感体験を深める、全く新しいテーブルサイドでのドリップサービスを開始した。
「一期一会のコーヒー」がコンセプト。特選希少ロット、実験ロット、世界的に評価されたセレクト豆などの絶版の風味を見逃すことがないようコーヒー愛好家に向けてサービスを提供している。
近い距離でドリップすることで、ドライとウェットの香りを感じられる。また、酸味、苦味、甘さ、フルーティーさとフローラルな香りを味わうことができる。さらに、コーヒーの淹れ方と味わい体験、また没入型のコーヒー五感体験をバリスタと共にシェアすることができる。
出典:camaカフェ https://www.camacafe.com/news/detail/200
台湾でカフェ・スイーツ業界牽引のルイサコーヒーの2020年の売上
ルイサコーヒーの2020年の売上合計額は、1,966,378千台湾ドルで前年比30.75%と大幅成長した。
ルイサコーヒーは2017年10月に第3ステージに入っており「オールラウンドライフストアタイプ」として位置付けられている。地方都市の特徴と結合し、実用的で文化的な店舗を作っている。
店舗開発計画に関しては、現在計画中の50店舗を台湾全土に分散し、2021年で約540店舗に拡大する見込みである。
出典:ルイサコーヒー https://mops.twse.com.tw/mops/web/t146sb05
(参考:https://www.louisacoffee.co/shareHolder/3?CatlogType=Msg)
デリバリーサービスの台湾飲食業界への影響〜カフェ・スイーツ業界動向〜
宅配サービスは、コロナウイルス流行の影響を緩和するのに役立った。経済部統計所の飲食業の収支調査によると、レストラン業界および飲料業界では、2020年1月から2月にデリバリーサービスを提供していた店舗の収益は年5.2%増加した。一方、デリバリーサービスを提供していない店舗の年間収益は8.0%減少した。
さらに、外食産業の動的調査によると、飲食企業の88%がコロナ影響を受けて2020年3月の売上高が減少すると予測した。
収益の減少幅を観察すると、デリバリーサービスを提供している業者の売上減少は24.8%であったのに対し、提供していない業者は31.6%となっていた。これは、デリバリーサービスを提供する業者の方が新型コロナウイルスの影響が比較的小さいことを示している。
出典:経済部 https://www.moea.gov.tw/Mns/dos/bulletin/Bulletin.aspx?kind=9&html=1&menu_id=18808&bull_id=6878
2020年 台湾のカフェ・スイーツ(飲食・食品メーカー)業界
台湾・台北市、カフェチェーン店前での禁煙実施へ〜カフェ・スイーツ業界動向〜
台北市では2019年9月1日から、コーヒーチェーン10社とコンビニチェーン5社の1階店舗前スペースでの喫煙が全面的に禁止された。違反した場合は、2,000~1万台湾元(約6,900~3万4,700円)の罰金が科される。
1階店舗前スペースが禁煙となるのは、スターバックス、85度C、丹堤珈琲(ダンテコーヒー)、LOUISAコーヒーなどコーヒーチェーン10社やセブン―イレブンなどのコンビニチェーン5社。店舗が1階にある場合のみが対象となる。
台北市衛生局によると、禁煙環境を積極的に構築するという究極の目標は、喫煙者の不便さを高め、禁煙を早期に成功させると共に、非喫煙者の二次、三次の「間接喫煙」を防ぎ、健康を促進することにあるとしている。
出典:https://health.gov.taipei/News_Content.aspx?n=BB5A41BA1E6CA260&sms=72544237BBE4C5F6&s=DBFD65C237BB9BCE
今までにないカフェ体験を提供、台湾のルイーザ・カフェ〜カフェ・スイーツ業界動向〜
台湾全土でカフェチェーンを展開するルイーザカフェは、電信会社の遠傳電信とコラボレーションし、新竹市の新竹駅前に科学技術図書館の一部として出店した。
遠傳電信の提供するデジタル技術サービスの提供と、ルイーザカフェの提供するカフェ文化の絶妙な融合を実現し、コーヒーを愛する現代人のデジタル面での必要性を満たす空間を提供している。
二階には多くのソファを提供し、ミーティングスポットとしても使える。また、ルイーザカフェ独自の長テーブルなども配置し、図書館としての雰囲気も醸し出す、今までにないカフェ体験ができるスポットとなっている。
出典:https://www.louisacoffee.co/news?page=2
書店×カフェのTSUTAYA BOOKSTORE、台湾5店舗目へ〜カフェ・スイーツ業界動向〜
台北市にある複合施設「CITY LINK南港店」に台湾で5店舗目となる「TSUTAYABOOKSTORE」がオープンした。面積は約500坪と台湾の「TSUTAYA BOOKSTORE」では最大の大きさで、他の店舗にはないキッズスペースが最大の魅力である。
書店とカフェを融合させた「TSUTAYA BOOKSTORE」では、初めての100坪を超えるキッズスペースに児童書を充実させ、親子で読書が楽しめるスペースになっている。壁一面に置かれた児童書と広めにつくられた階段で読書が楽しめる。
台湾でも人気が高い“和”をテーマにしたカフェレストラン「WIREDCHAYA」での食事や、台湾に500店舗近く存在するコーヒーチェーン店「Louisa coffee」でのコーヒーが楽しめる。「Louisa coffee」は「TSUTAYABOOKSTORE」の入居が初めてである。
出典:http://www.citylink.tw/?p=8998
台湾の西雅図極品珈琲、偽装表示安価な豆混ぜ販売〜カフェ・スイーツ業界動向〜
2019年11月2日の発表によると、カフェチェーン店の西雅図極品珈琲(バリスタコーヒー)で販売されていた、「アラビカ種100%」のコーヒー豆が偽造品である疑いがあるとし、台湾士林検察局や厚生省食品医薬品局などが調査に入った。
調査の結果、「アラビカ種100%」と記載があった「Seattle PremiumCoffee(Superb Roasted-Special Coffee Beans)」にロブスタ種を混ぜて販売していたことが分かった。合計13品目の製品が偽装商品と指定され、商品を購入した消費者には返品と返金の対応がされる。
また、他にも3つの製品の原産地表記が誤ってされており、台北市政府保健局は、食品安全衛生管理法第28条に違反していると指摘した。また、他の食品産業に、食品の偽造は最大7年の懲役及び、8000万元の罰金が科せられると注意を呼び掛けた。
出典:https://health.gov.taipei/News_Content.aspx?n=4F01EBDF8F61F315&sms=72544237BBE4C5F6&s=56C7849A752B91AE
台湾台中市の中心部に「愛あい北海道」オープン〜カフェ・スイーツ業界動向〜
2019年11月16日の発表によると、北海道の地元の食べ物と観光を促進する目的で、台中市に「愛あい北海道」カフェがオープンした。北海道の食べ物を楽しめ、最新の観光情報が提供される。台中と北海道の観光交流の重要な拠点として期待されている。
北海道政府側は、以前から投資、視察のために台中を訪れており、台中の人口と経済発展の点からカフェの拠点を台中に決定したと述べている。また台中市は2020年台湾ランタンフェスティバルや国際ゴルフ選手権などの国際的なイベントも開催が控えていることを強調した。
場所は台中紅谷景観生態公園や国立オペラハウスがある台中市の中心部の朝馬エリアに位置する。台中市の副市長は「台中市の観光に訪れた人にぜひ北海道の食事などを体験してもらいたい。」と述べた。
出典:https://www.civil.taichung.gov.tw/1409507/post
まとめ:台湾のカフェ・スイーツ業界
台湾のコーヒーチェーンは国内2社とスターバックスで大きなシェアを占めています。これらのカフェと差別化するためにも、コーヒーを提供するだけの役割ではなく、店内での付加価値が重要になってくるでしょう。
台北在住の台湾人。日本の東北大学で修士号取得後、7年以上IT企業でマーケティングを担当。デジタルマーケティングと市場分析の専門家として、製品の市場導入とブランド戦略を得意とする。