2022年、マレーシアの食品卸業界は国内外の企業再編や新たなパートナーシップを通じて大きく変動しています。加藤産業やシュプリーム、DKSHなどの企業が事業を拡大し、競争力を高める動きが見られます。政治的変化とともに、今後の成長と市場動向に注目です。
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2022年 マレーシアの食品卸(飲食・食品メーカー)業界
加藤産業、マレーシアグループ再編〜食品卸業界動向〜
総合食品卸売業の加藤産業は、2022年12月3日に同社が所有するレイン・ヒン・ホールディングス社とメリソン社の全持分を、子会社である加藤産業マレーシア(KSM)へ現物出資することを決議したと発表した。
同社グループは、独立した存在感のある卸売業としての企業規模を確立するとともに、次代の成長を見据えて一層の機能強化を図るため、海外事業において主要地域であるマレーシアで既に事業を展開している2社を、同国の地域統括会社であるKSMの傘下とすることで、管理業務の集約化・一元化などを目指す。
業績として、レイン・ヒンの2022年度の売上高は前年度比で12.5%増となる426億円を記録、また、メリソンの売上高は前年度比で約2.2倍となる121億円となっている。
出典:http://www.katosangyo.co.jp/dynamic_files/News/212/file1/20221205_malaysia.pdf
シュプリーム、2023年度上半期は増収〜食品卸業界動向〜
サラワク州を拠点として冷凍、冷蔵、乳製品、ドライフード製品の卸売販売を行うシュプリーム・コンソリデーデッド・リソーシズ社は、2023年度上半期の収益が9,924万リンギットを記録、前年同期比で4.9%の増加となった。
収益の内訳としては、冷凍食品が全体の72%を占めて同社事業をけん引、冷蔵食品が18%、乳製品6%、ドライフード製品4%が続いた。また、地域別ではマレーシアでの収益が99.6%、ミャンマーが0.4%となった。さらに、グループ利益は1,340万リンギットと前年度から14万リンギット増加、主に冷凍食品部門の売上高が高いマージンを確保したことによるものとなっている。
同社グループにおいては、競争力を維持するために取引先と緊密に連携し、顧客サービスやコスト抑制に重点を置くとしている。さらに、製品ポートフォリオを補完する新たな代理店契約獲得など、製品ラインアップの拡充を目指している。
出典:https://disclosure.bursamalaysia.com/FileAccess/apbursaweb/download?id=223051&name=EA_FR_ATTACHMENTS
ウェルスパイアがACE市場に上場〜食品卸業界動向〜
2021年8月に設立され、タイの消費者向け食品の流通及びオンライン小売を手掛けるマレーシア法人のウェルスパイア・ホールディングスは、マレーシア証券取引所の新興企業を対象としたACE市場に上場したことを発表した。同社収益はすべてタイからとなっているが、マレーシアで上場することを選択した。
IPOは好評を博し、第三者割当増資としてマレーシア国民が応募できるように確保された3,600万株のIPO株は、総需要1億135万リンギット、11.24倍のオーバーサブスクリプションとなった。
IPOを通じて、同社は1億2460万株の新株を発行し、2,866万リンギットの資金調達に成功した。当該資金の約55.8%はタイにおける倉庫及び運営施設の取得、又は建設に充てられる。また、20.8%は運転資金に、23.4%は上場費用に充当される予定となっている。
出典:https://wellspire.listedcompany.com/newsroom/PR_Wellspire_IPO_Listing.pdf
DKSHがTLFPと4年連続で協力〜食品卸業界動向〜
スイスに本社を置く流通大手のDKSHは、持続可能な未来を目指す非営利団体「ザ・ロスト・フード・プロジェクト(TLFP)」との長期パートナーシップを通じ、食品の再分配と製品廃棄の削減に取り組んでいる。
2018年以来、同社は野菜や乾物、乳製品、飲料、調味料、缶詰食品など、安全で食用に適した余剰製品をTLFPに提供してきており、高齢者、孤児、障害者、ホームレスなどに配分している。同社においては、2022年に栄養価の高い余剰食品を約2.9万キログラム寄付し、都市の貧困層に8.3万食以上を提供、また、本取り組みを通じて7.2万キログラム超の二酸化炭素排出を削減することに成功している。
DKSHマレーシアのプニート・ミシュラ氏は、TLFPとの長期的なパートナーシップは、DKSHの持続可能性への取り組みを証明するものであるとしている。
出典:https://www.dksh.com/my-en/home/media/news?id=en-e7130105-6c5e-47d8-9c13-4b7176841e09
WTK、買収した食品卸が収益に寄与〜食品卸業界動向〜
サラワク州を拠点として木材やプランテーション、粘着テープを主要事業とするWTKは、2022年度の収益が前年度比で19.6%増となる4億7,303万リンギットを記録した。
同社は2022年6月に冷凍食品の輸入・卸・小売業を手掛けるシン・チュウ・コールトドストレージ(SCC)を買収、事業の多角化を図っている。買収後7ヵ月の期間において、食品部門の収益は3,770万リンギット、税引前利益は2,060万リンギを計上した。
この新たな食品事業は、同社グループの中核事業を補完する長期的な事業機会と成長機会、より多様な収益源を提供するものであり、冷凍食品は生鮮野菜、果物、肉類に比べて栄養を長時間保つことができ、保存性が高いことから、その需要は大幅に増加している。同社においては、冷凍食品に対する需要の増加を見込み、冷蔵室の容量を拡大し、冷凍食品の種類を増やすとしている。
出典:https://disclosure.bursamalaysia.com/FileAccess/apbursaweb/download?id=224970&name=EA_DS_ATTACHMENTS
2021年 マレーシアの食品卸(飲食・食品メーカー)業界
加藤産業がマレーシア卸売企業買収〜食品卸業界動向〜
総合食品卸売業の加藤産業は、日用雑貨・加工食品卸売企業であるメリソン社の株式取得が完了したことを発表した。メリソン社は、マラッカやジョホールバルといったマレーシア半島部中南部及び東海岸を営業地域としている。
加藤産業は、小売市場が拡大するアジア地域において食品流通事業の展開と構築を進めており、マレーシア国内では既に首都圏及び北部を中心に事業をしていたレインヒン・ホールディングスを買収している。
今回の買収で、同社はマレーシア半島部全域を営業地域とする同国最大級の卸売業グループとなる。また、ジョホールバルはシンガポールと隣接していることもあり、同社シンガポール事業とのシナジー効果も期待される。
出典:http://www.katosangyo.co.jp/dynamic_files/News/146/file1/20201006_malaysia.pdf
マレーシアのFGV、代理店と動物飼料販売拡大〜食品卸業界動向〜
パーム油生産を手掛けるFGVホールディングスは、子会社のFGVインテグレーテッド・ファーミング・ホールディングスを通じて、マイアグロハブリソーシーズと動物飼料の販売代理店契約を締結した。本契約により、マイアグロはヌグリ・スンビランとマラッカの乳牛・肉牛・山羊農家向けに毎月30トンの配合動物飼料を販売する。
FGVはパーム農園・工場のパーム核粕などを使い、高栄養価の動物飼料を年間最大40万MT生産できる。製造飼料はハラール認証を取得しており、トレーサビリティも整備されている。
FGVは2020年初めにパハン州とクランタン州、セランゴール州、ケダ州で6つの販売業者と契約を締結しており、年末までに販売代理店数を2倍にする計画だ。
出典:https://www.fgvholdings.com/press_release/fgv-to-expand-animal-feed-business-through-nationwide-distributorships/?pagen=4
DKSHとクラフトがマレーシアへパートナーシップ拡大〜食品卸業界動向〜
スイスに本社を置く流通大手のDKSHは、世界5位の大手食品・飲料企業であるクラフトハインツカンパニーとのパートナーシップをマレーシアへ拡大することを発表した。
DKSH社は、2001年からクラフトフーズと域内においてシンガポールと香港をサポートしてきた。マレーシアへのパートナーシップ拡大は、ディストリビューター管理に費やす時間を削減し、複数の代理店モデルから1つのサービスプロバイダーに移行することで、域内の運営を簡素化することを目的としている。
クラフトハインツは、DKSHとのパートナーシップによって業務が簡素化され、新しい扉が開かれると確信してると述べている。
出典:https://www.dksh.com/global-en/home/media/news?id=tag:xml.newsbox.ch,2020-07-13:1101.2559.digest
マレーシアのサウディグループが食肉卸を買収〜食品卸業界動向〜
マレーシア大手加工冷凍食品メーカーであるサウディグループは、冷凍鶏肉と牛肉部位の卸売企業であるKKフレッシュと、プレミアム冷凍加工肉製品の製造・卸売・小売を手掛けるMegah Deutschの全株式を取得することで基本合意したことを発表した。
本公開買付けにおける買収対価総額は2,000万リンギットで、対象1社につき1,000万リンギットとなっている。
サウディグループ及びその子会社は、買収によってプレミアム商品を中心とした商品ラインナップの拡充と、対象企業の供給・流通チャネルへのアクセスが可能となる。更に、本買収による事業の統合や余剰資源の活用により、クロスセリングの機会やコスト効率の向上など、潜在的なシナジー効果を実現できる。
出典:https://disclosure.bursamalaysia.com/FileAccess/apbursaweb/download?id=104889&name=EA_GA_ATTACHMENTS
国分グループがマレーシアに駐在事務所〜食品卸業界動向〜
酒類・食品・関連消費財などの卸売業及び流通加工を主事業とする国分グループは、マレーシアに駐在員事務所を設立したことを発表した。設立日は2020年2月13日で、所在地はセランゴール州のスバンジャヤとなっている。
同社は、第10次長期経営計画において海外事業の「基幹」事業化を掲げており、アセアン事業は柱の一つとなっている。
アセアン諸国において、マレーシアは法制度やインフラが整備されており、さらなる事業領域拡大の可能性を見込んでいることから、同社はマレーシアにおける調査・情報収集の拠点として駐在員事務所の設立に踏み切ったとしている。
出典:https://www.kokubu.co.jp/news/file/download/2790
2020年 マレーシアの食品卸(飲食・食品メーカー)業界
加藤産業がマレーシア半島全域へ事業展開〜食品卸業界動向〜
2019年12月12日、総合食品卸売業の加藤産業は、マラッカ州を拠点とする地場加工食品卸業であるメリソン社の株式を取得したと発表した。
加藤産業は、高い経済成長に伴って消費市場が拡大するアジア地域において食品流通事業の展開と構築を進めており、国内ではクアラルンプール及び北部で事業を行っている。メリソン社はマラッカやジョホールバルといったマレーシア半島中南部を営業拠点とした有力な卸売企業であり、今回の買収によってマレーシア半島全域を営業拠点とする国内最大級の卸売業グループとなる。
また、同社グループは隣接するシンガポールでも事業を行っていることから、シナジー効果が期待されている。
マレーシア貿易開発公社、オリンピックに向けたハラルバリューチェーン〜食品卸業界動向〜
2019年8月15日、マレーシア貿易開発公社は、マレーシアが東京オリンピック2020においてグローバルハラル経済イネーブラーとなることを目指していると発表した。
マレーシア政府と民間部門は『東京オリンピック向けデジタルトレードハラルバリューチェーン』を展開しており、輸出や物流、データ分析、小売り、認証、食料流通、観光など様々な領域を内包している。
2018年のマレーシアのハラル製品輸出額は400億リンギットであり、日本向けは3番目に多い25億リンギットであった。また、マレーシア政府は東方政策2.0において、日本及び韓国でハラル製品・サービスを促進することを重点分野の一つとしている。
マレーシアのデリマ・オイルとDKSHが提携〜食品卸業界動向〜
2019年9月17日、FGV傘下で調理油を製造・販売するデリマ・オイルは、消費財のマーケットエクスパンションサービスを提供するDKSHとディストリビューション契約を締結したことを発表した。これにより、FGV社の川下製品をホテルやレストラン、カフェといったチャンネルに流通することができる。
共同声明において、合意内容にはマレーシア半島の外食産業を対象としてサジの調理油とクリーマー、アデラのマーガリンとショートニング、生地脂肪などの製品流通が含まれていることが示された。
FGVグループのダトー・ハリス最高経営責任者は「本提携は下流事業を拡大するグループ戦略の一部であり、これまで未開拓となっていた食品サービス市場に参入する。」としている。
ココアランド、マレーシア国内外でスナック高需要〜食品卸業界動向〜
スナックや飲料の製造と卸売販売を手掛けるココアランドは、2019年度第3四半期の収益が前年同期比で1.9%増となる6,557万リンギットを記録したと発表。
卸売業においては、国内及び海外市場においてグミやスナック、パイ製品の需要が高まったことによって収益が増加した。ただ、受託製造している飲料分野の業績が低迷したため、全体の収益は大きく伸びていない。また、製品の展示会及び販売促進費用が増加したことにより、税引き前利益も減少している。
国内事業環境については、業界プレーヤー間の競争激化、為替通貨による原材料価格高騰など、引き続き厳しいことが予想されている。
2019年 マレーシアの食品卸(飲食・食品メーカー)業界
マレーシアの大手食品卸業者DBEガーニー・リソーシーズ、市場縮小により売り上げ減少〜食品卸業界動向〜
DBEガーニー・リソーシーズは、2001年1月に養鶏、鶏肉加工・卸売を手掛ける会社として設立された。
同社の2018年第4四半期の収益は3,093万リンギットであり、前年同期の2,687万リンギットから15%増加となった。また、売上総利益は401万リンギットで前年同期のマイナス631万リンギットから回復した一方で、2018年度通年の収益は1億823万リンギットで、前年度の1億1,172万リンギットから3.1%の減少となった。
2018年第4四半期の収益増加は主に不動産開発によるもので、家禽・加工部門の収益は減少となっている。特に、同期間中はセランゴール州のKFC販売店への供給量が減少したこと、さらに市場縮小に伴うブロイラーの売り上げ減少も収益減少の要因となった。
マレーシアのFGVと三養食品、ハラールラーメン製造で提携〜食品卸業界動向〜
パーム開発を行う連邦土地開発局(FELDA)の商業部門として2007年に設立されたFGV社は、韓国系食品会社である三養食品とマレーシアにハラルラーメン製造施設を設立する覚書(MoU)を締結した。
本事業提携によって、FGV社は製品の多様化と新市場への進出を計画している。同社の物流及びサポート事業セクターなどの川下事業に関する分野においても総合物流サプライチェーンソリューションを構築・提供することで、売上高の改善を図る。
また、FGVの完全子会社で川下事業を展開するデリマ・オイル・プロダクツは、三養食品が誇る優れた研究開発力と世界幅広い地域にわたる流通ネットワークを活用することで、同社ブランドのサジ製品の販売を世界的に拡大していくとしている。
マレーシアのDKSH、ナバティフードとスナック卸売で提携〜食品卸業界動向〜
DKSHの消費財事業部は、インドネシアの食品メーカーであるナバティフードと、マレーシアにおける市場拡大サービス提供で契約を締結した。
DKSHは、全国のスーパー及びコンビニエンスストアにナバティフードのリッチーズ・チーズ・ウエハースやリチョコ・チョコレート・ウエハース、またナバティ・マイン・バーといった商品の流通と物流、受注処理、売掛金管理サービスを提供している。
DKSHマレーシアのチュア副社長は、DKSHはマレーシアで95年間の実績を重ねており、国内全土に優れた流通ネットワークを確立していることから、ナバティフードの成長を促進するための専門知識と経験を有していると判断したと説明している。
マレーシアのDKSH、冷蔵・冷凍食品卸売のオーリック・パシフィックを買収〜食品卸業界動向〜
DKSHは、冷蔵・冷凍食品卸売のオーリック・パシフィック・マレーシアの買収契約(M&A)を締結した。今回の買収により、DKSHはより利益率の高い食品サービス事業を拡大し、マレーシアの急速に変化する消費財業界における主導的地位を強化する狙いがある。
オーリック・パシフィック・マレーシアの純売上(2018年9月30日までの9ヵ月間)は約2億5,310万リンギットであり、DKSHは同社の株式100%を4億8,090万5,700リンギットで取得することを検討している。同社の既存の経営陣と従業員はDKSHに加わり、業務を継続する。
2019年第1四半期末までに取引は完了予定であり、規制当局の承認を受ける必要がある。また、DKSHは臨時株主総会を開催し、この買収について株主の承認を要請している。
2018年 マレーシアの食品卸(飲食・食品メーカー)業界
Texchem傘下 マレーシアで日本食レストラン展開「Focal Marketing」〜食品卸業界動向〜
1985年創設。日本食品を中心に、1,000品目以上の食品(冷凍食品含む)をマレーシア国内で提供している。
昨年11月に日系企業である Kokubu Food Logistics Malaysia Sdn Bhd (以下 Kokubu ) の子会社となった。Kokubu という大手企業の後ろ盾を得て、既存販路から幅を広げて売上拡大を目指す。
Kokubu は2016年に Texchem と提携。これにより、マレーシア最大のレストラングループであり、2017年の数値で2.64億リンギットの売り上げを誇る Texchem 傘下のレストランに日本食品を提供することが可能となった。
マレーシアの砂糖王率いる「Kuok Brothers」〜食品卸業界動向〜
1949年創設、砂糖・米・小麦の取引からそのビジネスをスタートした、CEO の Robert Kuok 率いる大企業。香港の不動産会社 Kerry holdings limited も傘下にある。
1968年に PPB Group を設立し、砂糖の生産と製糖工場の運営を開始した。 栽培のみならず加工・精製・流通も自社で手掛け、Robert Kuok は「砂糖王」と呼ばれるまでに。以後、同社は傘下に Wilmar International Limited を収め、食用油の製造やパーム油の先物取引も開始した。同社の2017年収益は、前年比3%増の4.3億リンギット。
マレーシアで生活に欠かせない食品(小麦・米・砂糖)を取り扱う一大企業として君臨している。
一部事業売却で経営改善、マレーシアの「IOI Corp」〜食品卸業界動向〜
マレーシア最大規模のコングロマリット。パームプランテーション/パームオイル精製・生産部門内に卸売部門がある。
2017年の年間収益は1.56億リンギットで、昨年の1.45億リンギットからの増益。昨年9月、同社は パーム油精製部門である Loders Croklaan の Bunge 社への事業売却を発表。2018年3月に売却が完了した。
2018年第1四半期は、Loders Croklaan の株式売却費用で、米ドル建借入金の返済が可能となったことで財政状態が改善。パーム油の価格変動はあるが、2018年度の収益は期待ができる見通しである。
ハラール製品展開で市場拡大なるか?マレーシアの「JFC Malaysia」〜食品卸業界動向〜
キッコーマンの海外事業部として、マレーシアで事業を展開。日本食品の輸入を手掛け、2014年からはサントリーモルツの代理店としても展開している。
看板商品であるキッコーマン醤油はハラールではなく「Port Free 商品」としての扱いになる。日本では2017年8月に「キッコーマン ハラールしょうゆ 」が開発され、国際的なハラール認証機関である HFFIA (マレーシアの JAKIM とも相互認証) の承認を得た。しかしながら、日本国内のみ販売でまだマレーシアをはじめとしたイスラム圏での海外展開はしていない。
同社の取扱製品はノン・ハラール製品が主であるが、今後は HFFIA の認証を得た上記醤油の他、ハラール対応製品の展開に注目だ。
マレーシア市場に日本米と日本酒を「DOKA SDN BHD」〜食品卸業界動向〜
日本酒の流通量が少なかったマレーシアで、「鈴木商店」はマレーシアの特に富裕層からの人気を勝ち取った。日本米の取扱数も豊富で、同国での「あきたこまち」はほぼ同社の取り扱い。伊勢丹や一部スーパーマーケット内のみでの店舗展開だが、日本食レストランにも直接卸売を行なうことでシェアを拡大している。
また2017年9月には、オンラインショッピングにも進出し日本米を自宅まで配送するサービスを開始した。ネット限定の日本米もあり、今後のさらなる展開に期待。
政権交代によるマレーシア国内市場への今後の影響は?〜食品卸業界動向〜
2018年5月9日に行われた総選挙で、マハティール前首相が率いる野党(PAKATAN HARAPAN) が勝利をおさめ、歴史的な政権交代とともに同国史上最高齢 (92歳) の首相が誕生した。
翌週、新政府は現在6%のGST (消費税) を2018年6月1日から0%とし、GST 導入以前の S&S (セールス&サービス税) を復活させることを示唆。マニフェストを実現する形とはなったが、詳細はまだ不明であり企業は対応に追われることになる。
また、同じくマニフェストに謳った国内農家の保護についても、輸入頼りの現状から国内生産率向上を支援する方針だ。輸入規制こそ明記されてはいないが、GST0%化と並び、食品卸業界 (特に米や畜産輸入を取り扱う業者) への影響に注目が集まる。
まとめ:マレーシアの食品卸業界
政治的変化というのは経済面において大きな影響を及ぼします。その変化による付き合い方も多様性に富んできます。日本の食品卸業界に今後どのような影響を及ぼすのでしょうか?またマレーシア国内の新たな事業はこれからいかに発展していくのでしょうか?
クアラルンプール在住4年目の日本人。大学卒業後、東京で飲料メーカーの営業を担当。その後、マレーシアのクアラルンプールへ移住し食品商社の営業及び購買のサポートを担当。