【未来を形作る】アメリカの建設業界の最新トレンド

アメリカの建設業界では、2024年9月現在、高金利の影響で住宅建設活動が大幅に減少しています。特に一戸建て住宅建設は厳しい状況で、7月の建設支出は前月比で0.3%減少しました。また、複数世帯向け住宅の建設も停滞しています。一方で、公共インフラやデータセンター建設などの非住宅分野では、引き続き投資が行われており、特にAI関連施設の建設が急増しています​。

今回は、そんなアメリカの建設業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!

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目次

2023年 アメリカの建設会社(建設・インフラ・環境)業界

ターナー スペースニードルのエレベーターを近代化〜建設業界動向〜

ワシントン州シアトル市にある、同市のランドマークタワー「スペースニードル」のエレベーターを、アメリカ建設業界の大手ターナー社が1800万ドルをかけて近代化するという。

黄金に色塗られたエレベーターは、全部で3基。まず、建物自体の改修工事から始まる。(1962年に建てられているので、これまでも何度も改修されている)スペースニードルには階段はなく、頂上までたどり着くためにはエレベーターを利用するしかない。

改修工事は閉館後の夜間のみに実施。1台ずつ改修工事をし、残りの2台は昼間の開館時間内は稼働するようにし、営業に支障のないよう配慮する。完成には4年がかかると予定されている。「エレベーターはスペースニードルに不可欠な部分。私たちが導入できることを楽しみにしている」とターナー建設会社副社長兼ゼネラルマネージャーのビル・ケッチャム氏が述べた。

出典:https://www.turnerconstruction.com/insights/turner-to-modernize-space-needle-s-iconic-golden-elevators

STO よりスマートに構築してプロジェクトによる二酸化炭素への影響を削減する〜建設業界動向〜

建設業界でもカーボンニュートラルを推進している。多くは、低炭素素材を選択し、全体の炭素を削減する方法を採用してきた。それに対して、建設業界大手のSTOは、2021年から取り組んできたプロジェクトが、二酸化炭素削減に的確な方法であると結論付けた。

この技術は、回収された二酸化炭素をコンクリートに注入し、石化させるという技術である。この方法により、コンクリートの圧縮強度が向上する。同時に、コンクリート自体を配合するときの二酸化炭素値の最適化・コンクリートを生成するときに生じる二酸化炭素の排出量削減、そしてコンクリート製造のコスト削減が同時に行えるという。

このCarbonCureテクノロジーと名付けられた技術は、すでにインディアナ州フォートウェイン市にある大型ロボット配送センターの建築現場で利用され、そこでの二酸化炭素排出量がデータ化された。データは基準を大幅に下回る結果を得たという。今後の発展に、更に期待が寄せられている。

出典:https://stobuildinggroup.com/building-smarter-to-reduce-a-projects-carbon-impact/

ヘンセル・フェルプス ナッシュビル国際空港ターミナルを公開〜建設業界動向〜

設計・建築・不動産管理を専門とするアメリカ建設業界大手のヘンセル・フェルプス社が、テネシー州ナッシュビル国際空港ターミナルロビーおよび国際線到着施設の改修工事を完成させ、ナッシュビル首都圏航空公社に引き渡した。

この事業は3年2か月の工事期間がかかったが、実際には国際線到着施設の一部は工事中であり、2023年秋に完成の予定。工事はすべて、空港業務に支障が発生しないように行われ、古い建物は取り壊され、すべてが近代化された。

当地は世界的に有名なギターメーカーがあることで知られており、空港ロビーのデザインにはギターに関係するデザインが取り入れられている。様々なシステムが再配置され、見た目も機能も機能的になった。テネシー州の新しい玄関口として、最新式空港設備が空港利用者を待っているという。

出典:https://www.henselphelps.com/the-nashville-international-airport-terminal-lobby-and-international-arrivals-facility-team-reveals-the-new-grand-lobby/

JEダン建設マイノリティ請負業者育成プログラム〜建設業界動向〜

JEダンは、カンザス州カンザスシティ市および郡内のその他のオフィスで、過去16年間マイノリティ請負業者育成プログラムを推進してきた。このプログラムは、商業建設会社の経営において、マイノリティ民族の経営者や女性経営者による小規模企業を応援することを目的にしたものである。

すべての授業は同社の従業員によって教えられる。さらに、このプログラムを、ネブラスカ州オマハ市にも導入。2か月間の広報活動により、応募者15人との面接をし、9社のマイノリティ請負業者を選出した。

このプログラムは、労働力不足に悩まされている、業界全体の労働者不足問題にも役立つという。同社は、マイノリティ請負業者を応援する唯一の建設会社である。ネブラスカ州オマハ市でも、このプログラムは高い評価を受けており、更に他の州へも広げ成長させることを計画しているという。

出典: https://www.jedunn.com/blog/nebraska-office-launches-minority-contractor-development-program/

ギルベーン 20の多様なプロジェクト分野でトップクラスのランキングを獲得〜建設業界動向〜

全米大手建設会社のギルベーン社は、2023年度のエンジニアリング・ニュースレコード誌のランキングにおいて、20分野における主要請負業者として栄誉を獲得した。医療関係の建築、教育関係の建築、電子製品の建築でも最高位を獲得。同誌のグリーン建築請負業者トップ100の上位10位にも選出されている。

同社の最高執行責任者アダム・R・ジェレン氏は「クライアント、パートナー、コミュニティの期待を超え続けていきます」と熱く語った。また最高マーケッティング責任者のカレン・A・メデイロス氏は「様々な市場のクライアントと協力して、クライアントの目標とビジョンを実現していきます」とも述べた。

同社は医療関係の建築物や教育関係の建築物などの中核市場をリードし続ける一方で、電子関係の建築物、ライフサイエンスの建築物など、現在のアメリカで成長中の産業と言われる多くの大手企業から依頼を受けている。

出典: https://www.gilbaneco.com/about/whats-new/news/gilbane-building-company-ranked-as-leading-builder-of-our-nations-schools-and-electronic-assembly-manufacturing/

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2021-2022年 アメリカの建設(建設・インフラ・環境)業界

スカンスカUSA 具体化炭素評価を全国のプロジェクトに拡大〜建設業界動向〜

スカンスカ建設は、スウェーデンの大手建設会社である。同社のアメリカ子会社であるスカンスカUSAは、業界パートナーと共同開発した二酸化炭素削減プロジェクトであるEmbodied Carbon in Construction Calculatorをさらに拡大すると発表した。

建設業界での二酸化炭素排出量は、世界中の年間炭素排出量の40%を占めるという。「このプロジェクトを利用すれば、サプライチェーンにプラスの影響を与えることができる」と、同社の社長Paul Hewins 氏は語った。過去2年間にわたるプロジェクトツールの使用実験で、固着炭素の約30%が削減達成であることがわかっている。

このプロジェクトツールは、オープンソース。最近、ロッキーマウンテン研究所と提携もしている。同社は2045年までに二酸化炭素排出ネットゼロの達成を目指している。

出典:https://www.usa.skanska.com/who-we-are/media/press-releases/258875/Skanska-USA-Building-expands-embodied-carbon-assessments-to-projects-nationwide/

ライアンカンパニーズ 手頃な価格の高齢者向け住宅の建設を開始〜建設業界動向〜

アメリカ建設業者大手のライアンカンパニーズは、ミネソタ州セントポール市に、手ごろな価格の高齢者向け住宅を建築する。この高齢者居住コミュニティは、地域の中央所得値の30%以下しか収入がない、55歳以上の高齢者に提供される。現在は60戸の建設を予定している。

住宅は、5階建て。1LDKと2LDKの複合型で、7部屋は元ホームレスの高齢者向けに確保されているという。この住宅は、ミネソタ州税と政府の税金控除から資金調達され、同州セントポール市公共住宅庁からも資金調達がなされている。また管轄郡からも、450万ドルの資金改善再建融資も受けている。

この場所は、かつてフォード車の組み立て工場があった場所で、新たに住宅地として再開発されている。今後、3800戸の住宅スペースのほか、オフィスビル・小売店用ビルなどの建築が予定されている。建築時の雇用と、その後の雇用者数増もみこまれ、開発プロジェクト責任者のディードレ・シュミット氏は「今後の開発が楽しみだ」と話している。

出典: https://www.ryancompanies.com/news/ryan-begins-construction-affordable-senior-housing

スウィナートン 革新的な史上初の駐車場を発売〜建設業界動向〜

アメリカ国内最大の駐車場コンサルティング会社Walker Consultantsと、建設会社のSwinertonが駐車場製品を共同開発した。このPerqといわれる製品は、事前に設計され、カスタマイズ可能な駐車ソリューションである。一般的には、土地の測量からビルの建築まで平均で23か月の工事期間が必要だった。ところがPerqを使うと、基本数値入力の後、データが最適な駐車場ビル構築プランを選定し、工事期間も平均13か月で済むという。

「過去25年の経験のデータを蓄積し、効率化を目指した」と開発責任者であるCasey Wagner 氏が語った。タブレットなどの端末を使用し、新製品であるPerqを起動させ、クライアントの好みを入力し、土地データを入力すれば、画面上に複数のパーキングビルディング案が提示されるという。

「クライアントが信頼できる品質、予測可能性の向上、市場投入までのスピード、いずれに対しても容赦ない効率を実現できている」と同氏は自信をもって語った。

出典: https://swinerton.com/walker-swinerton-perq-launch-innovative-parking-product/

ウォルブリッジ 持続可能な木材とハイブリッドシステムを導入〜建設業界動向〜

ミシガン州デトロイト市の老舗建設業者であるウォルブリッジ社は、オーストリアを拠点とするプレハブ木材ベースのコンポーネントを使用した、持続可能で健康的な建物に特化した、国際的なテクノロジーおよびコンサルティング会社であるクリー・ビルディングス社と提携した。

ウォルブリッジ副社長のランディ・アブダラ氏は、「弊社は木材とハイブリッド産業を注視し、安全かつ経済的に顧客の持続可能性目標に付加価値を与える革新的なアイデアを模索してきた」と述べた。この提携により、これまでの高品質と設計を維持しながら、二酸化炭素削減を達成できる」と続けた。

またクリー・ビルディングス社の最高経営責任者ヒューバート・ロンバーグ氏も「この提携は両社があらゆるプロジェクトに期待する品質レベルの証である」「このような強力で献身的で信頼できるパートナーとともに米国での事業を開始できることを嬉しく思います」とも述べた。

出典 :https://www.walbridge.com/about/news-events/news-item/cree-buildings-walbridge-partnership-brings-sustainable-timber-hybrid-system-to-u-s/

バルフォアビーティームーアズビル市の警察本部を完成〜建設業界動向〜

建設会社のバルフォアビーティー社は、リトル ダイバーシファイド アーキテクチャ コンサルティング社とパートナーシップを結び、ノースカロライナ州ムーアズビル市の警察本部ビルの開発を完成させた。

急成長している同市のコミュニティに、将来の更なる拡張を可能にする市の中心部に、警察本部ビルが作られた。既存のビルに変わる新しいビルは、2階建て。一般的な施設に加え、トラウマ・インフォームド・ケアで使用されるソフト面接室も作られた。この部屋はバルフォアビューティー社の女性従業員からなるチームが、家具や美術品などの購入資金を寄付などで集めて実現した。

同社シニアプロジェクトマネージャーのアイスリン・ナジ氏は「地域社会の増大する公共安全のニーズを満たす、最高の施設を提供するために、合理化されたプロジェクト運営方法がうまく実行できたと、うれしく思っている」と述べた。チームは、クライアントの建築目標を最大化しながら、スケジュール通り、見積もり予算内で、完成させた。

出典:https://balfourbeattyus.com/about-us/media/pressreleases/2022/10/19/balfour-beatty-design-build-team-completes-town-of-mooresville-s-police-headquarters

まとめ:アメリカの建設業界

最近のアメリカ建設業界では、主要企業が様々なプロジェクトに取り組んでいます。ターナー社はシアトルのランドマーク、スペースニードルのエレベーターを1800万ドルで近代化する大規模プロジェクトを実施。STOは「CarbonCure」技術を使用して、二酸化炭素排出削減に貢献。ヘンセル・フェルプスはナッシュビル国際空港ターミナルの改修を完成させ、JEダンはマイノリティ請負業者育成プログラムを拡大。ギルベーン社は、医療や教育関連の建設でトップに立つ評価を獲得しました。

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