【次世代の住まいづくりへ】アメリカの不動産デベロッパー業界の最新トレンド

最近のアメリカ不動産デベロッパー業界では、いくつかの重要なトレンドが見られます。まず、高金利環境が続く中で、投資家は低価格資産再開発プロジェクトに注目しています。特にハイブリッドワークの普及により、オフィスビルの需要が低迷し、空室率が高まる一方、これらの物件を住宅や他の用途に転用する動きが見られます​。また、環境リスクへの対応がますます重視され、エネルギー効率の高い建物やスマートビルディングの導入が進んでいます​。これにより、不動産業界全体が持続可能性と技術革新に向けた変化を求められています。

今回は、そんなアメリカの不動産デベロッパー業界に焦点を当て、最新の業界情報をお届けしていきます!

読了時間の目安:5分

アメリカの不動産デベロッパー業界 業界地図はこちら!
目次

2023年 アメリカの不動産デベロッパー(建設・インフラ・環境)業界

グレイスター 初のモジュール開発であるLTD. SPRING RUNの起工式を発表〜不動産デベロッパー業界動向〜

不動産デベロッパー大手のグレイスターは、同社の「上限家賃制限」を持つ住宅開発ブランドLTDが、モジュール式建設大手企業のモダンリビングソリューション社を利用して、新たにプレハブ式モジュール住宅分譲地Spring Runをペンシルバニア州コラオポリス市に作った。

コストを大幅にカットした施工方法で「州内大都市のピッツバーグ市ダウンタウンまで車で25分の位置にあり、家賃の高騰で苦しむ教師・看護師・消防士などの重要な労働者に、高品質の住宅を手の届く価格で提供できる」と、同社のカスタマーエクスペリエンス・シニアマネージングディレクターのスコット・バーカー氏が述べた。

この分譲住宅はモダンリビングソリューション社で作られた住宅ユニットだけで作られる分譲地で、312戸からなる。ユニットは全米各地に向けて増産されており「従業員を募集しています。ボーナスも出します」と、同社はうれしい悲鳴を上げている。完成は2024年6月を予定している。

出典:https://www.greystar.com/about-greystar/newsroom/greystar-announces-groundbreaking-of-ltd-spring-run

ミルクリークモデラ・リオ・サラドの起工式を発表〜不動産デベロッパー業界動向〜

全米で高級賃貸住宅の開発を専門とする大手不動産デベロッパーのミル・クリーク・レジデンシャルが、アリゾナ州ノーステンピ市に現代建築の最先端技術を使った高級集合住宅地「モデラ・リオ・サラド」の着工を発表した。

着工予定は319戸。同社のアリゾナ州内での住宅地開発は、これが3つ目となる。立地はアリゾナ州立大学やオフィススペース、ビーチパーク、高級小売店やレストランなどが近くにあり、全米でも有数の高級住宅地になると予想されている。

隠れ家的なバーやBBQ施設、コワーキングスペースなど、まるで高級ホテルのような設備に加え、ドッグランや自転車修理・保管エリアなどの住民の希望にあわせた最新設備が整っている。また平均996平方フィートの部屋は大都市圏の一般的な高級アパートの2倍の広さがあり、ステンレスの電化製品や高級キャビネットなども備え付けられている。最初の入居は2025年の夏を予定している。

出典:https://millcreekplaces.com/2023/08/mill-creek-announces-groundbreaking-of-modera-rio-salado/

トラメル・クロウ アリゾナ州の516,000平方フィートの物流開発の完了を発表〜不動産デベロッパー業界動向〜

世界規模の商業用不動産デベロッパーのトラメル・クロウ・カンパニー社は、世界規模で展開している不動産投資管理会社のCBREインベストメント・マネジメント社との合弁事業により、アリゾナ州メサ市に作った「エリオット・ゲートウェイ」の建設が完了したと発表した。

完成以前からリース契約は順調に埋まっており、残りのスペースに対しても「エリオット・ゲートウェイでリース可能な残りのスペースは、ハイテク製造や物流などのさまざまな用途に適しています。高速道路などから直接アクセスできることから大きな恩恵を受けるでしょう」とトラメル・クロウ・カンパニー社のライアン・ノリス氏は述べた。

うらびれた倉庫街ではなく、最新技術を駆使して公園のように作られた敷地は景観も十分に考慮され、さらに環境への影響も最小限になるように様々な工夫が随所にみられるという。当ゲートウェイセンターは、地元企業と新規参入企業に理想的な施設が完成したと、同社は自負している。

出典:https://www.trammellcrow.com/newsroom/tcc-and-cbre-investment-management-announce-completion-of-516000-square-foot

トール・ブラザーズ コネチカット州ノーウォークに393戸の高級賃貸コミュニティを開発する合弁事業を発表〜不動産デベロッパー業界動向〜

アメリカ国内有数の不動産デベロッパーのトール・ブラザーズは、老舗の不動産デベロッパーのハリス・リアルティ・カンパニーとの合弁事業を発表した。それによると、資金をウェルズ・ファーゴとTDバンクから調達し、コネチカット州ノーウォーク市に6階建て393戸の高級集合住宅賃貸コミュニティを開発するという。

マンションにはEV充電ステーションや図書室やワインルームなどの最高級パッケージが用意され、クラブルームや屋内ペットランやスパなども常備されている。地下鉄駅から1マイルにあり、マンハッタンへのアクセスも可能。マンションの地上階には小売店がテナントで入居する。

近隣は治安もすこぶるよく、すでに高級商業地域として近隣住民たちに愛されている。博物館やクラフトビール醸造所などもあり、観光客にもこたえられている地域。トール・ブラザーズの社長ジョン・マッカラー氏は「この不動産デベロップメントは、賃貸住宅サービスのなかで利用できる、贅沢のレベルを数段引き上げます」と語った。

出典: https://investors.tollbrothers.com/news-and-events/press-releases/2023/03-21-2023-203036577

JPI 住友林業アメリカ社に買収〜不動産デベロッパー業界動向〜

全米規模クラスA住宅不動産デベロッパーJPIは、住友林業アメリカ社により、友好的に買収された。JPIが建設中のすべての物件は完成するまで同社が管理する。また、JPIが過去に買収したTDIの名前のもとに運営している物件に関しても、JPIが管理することになる。

JPIは社名を維持し、テキサス州アービング市に本社を維持する。またカリフォルニア州内の2か所の事務所も据え置く。JPIは、住友林業アメリカの複合企業内で自律的に運営することになる。

JPIは2022年に5051戸の住宅を建築し、NMHCの不動産デベロッパーリストで第8位にランキングされる大手である。住友林業アメリカとの提携は2014年にさかのぼり、2019年以降、JPIは住友林業アメリカからパートナーシップ・投資を受けてきた。

JPI最高財務・投資責任者のモリー・ファデュール氏は「住友林業という信頼できるパートナーがいることに感謝しています。JPIの文化と価値観を理解し尊重するだけでなく、将来の成長と影響に対するビジョンとコミットメントを共有してくれるパートナーです」と述べた。

出典: https://www.jpi.com/jpi-to-be-acquired-by-sumitomo-forestry-america-inc/

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2021-2022年 アメリカの不動産デベロッパー(建設・インフラ・環境)業界

スダイワハウスアメリカ 賃貸住宅開発プロジェクト「セントエルモプロジェクト」の概要〜不動産デベロッパー業界動向〜

日系不動産デベロッパー大手のダイワハウスアメリカが、メリーランド州ベセスダ市に地上22階・地下4階からなる、賃貸高層マンションを建築すると発表した。賃貸戸数は276戸を予定している。完成は2024年11月末の予定。

今回のプロジェクトは同社が軸となり、予定地から車で30分程度のロックビル市に本社を置く住宅開発事業会社のDuball社、ワシントンDC
に本社を置くLenkin社が特別目的会社セント・エルモ・アパート社を設立してプロジェクト開始とした。

建設予定地は全米でも有数の高級住宅地であり、近隣に国立衛生研究所などがある。また、地下鉄を利用すれば首都ワシントンDCへ20分程度でアクセスできる地域でもある。ワシントン・ダレス国際空港まで車で35分、ロナルド・レーガン国際空港まで車で30分という、交通の便の良い場所に建築される。

出典:https://www.daiwahouse.com/English/about/release/pdf/release_20220317e.pdf

三井不動産アメリカ 米国における賃貸アパート事業の更なる拡大〜不動産デベロッパー業界動向〜

日系不動産デベロッパー大手の三井不動産アメリカ社は、アメリカにおける高級賃貸アパート事業の更なる拡大を発表した。それによると、アメリカの5つの都市に新たに高級賃貸マンションを建設し、全米8都市計11棟・約2800戸の高級賃貸マンションが建設されることになるという。更に約4700戸の高級賃貸アパートを開発する予定もある。

今回の5つの物件は、首都ワシントンDC、メリーランド州ベセスダ市、カリフォルニア州のサンフランシスコ市とロサンゼルス市、コロラド州デンバー市に計画されている。

今回の5つのプロジェクトに共通することは、ターゲットを若い層にあてていることである。高級賃貸マンションを好む、専門職に就く核家族が主なターゲットで、高級感と利便性のどちらも求める層に応える物件になっている。ハドソンヤードなどでアメリカに存在をアピールできた三井不動産アメリカは、更なる事業拡大を狙う。

出典: https://www.mitsuifudosan.co.jp/english/corporate/news/2021/1221/

ミルクリーク シングルファミリーレンタルブランドを立ち上げ〜不動産デベロッパー業界動向〜

高級賃貸物件を専門とする不動産デベロッパーのミルクリークが、一戸建て賃貸物件ブランド「アマヴィ」を発表した。記事によると、アマヴィが展開する住宅コミュニティでは、専用の庭・ガレージ・スマートホーム技術が備わるという。また、コミュニティは周辺での雇用が見込まれる地域に近隣し、優秀な学区・商業施設・娯楽施設にもほどなく近い場所に限定して展開するという。

「アマヴィを使ったコミュニティは、その市場の賃貸人のニーズに合わせて設計されている。賃貸人にクラス最高の居住体験を提供できることを楽しみにしている」と、同社カラム・パロット社長が述べた。

スマートホーム技術には、スマート サーモスタット・水漏れ検出・水とエネルギーの使用量のリアルタイムモニタリングなどが含まれる。これまで通りの見学ツアーに加え、バーチャルツアーや、完全非接触型の入居システムなど、新技術がふんだんに使われている。パロット氏は「新しい賃貸ライフスタイルを代表するものになると確信している」とまとめた。

出典: https://millcreekplaces.com/2021/12/mill-creek-launches-its-amavi-single-family-rental-brand/

ウッド・パートナーズ アメリカで最も急成長している都市の 1 つであるテキサス州コンローで最新の高級コミュニティに着工〜不動産デベロッパー業界動向〜

集合住宅不動産デベロッパーの国内リーダーであるウッド・パートナーズは、テキサス州コンロー市で同社の最新の高級住宅コミュニティ「アルタ・サージェント」を着工した。

アルタ・サージェントは2023年5月にオープンする予定で、プレリースは2023年初めに開始される予定。コンロー市はテキサス州内の大都市のひとつであるヒューストン市のすぐ北側に位置する。同市は大規模な企業の移転や事業拡大によって、驚異的な成長を続けている、近隣には大型ショッピングモールや複合開発施設なども多く、多くの雇用も見込まれる地域である。

ワンルームから3LDKまでの間取りが混在する354戸の集合住宅を予定。最新式の家電などと敷地内の駐車場・カーポートなどが利用可能。内装も外装も、ハイエンドな仕上がりになるという。「コンロー地域で進行中の成長と発展に役割を果たすことを楽しみにしている」と、同社ディレクターのバート・バレット氏が語った。

出典 :https://www.woodpartners.com/wood-partners-breaks-ground-on-newest-luxury-community-in-conroe-texas-one-of-the-fastest-growing-cities-in-america/

アライアンス・レジデンシャル 不動産の多様性をサポートするプロジェクトと提携〜不動産デベロッパー業界動向〜

アリゾナ州に本社を置く不動産デベロッパーのアライアンス・レジデンシャルは、Project Destined Partnership(以下ディスティンドと表記する)と提携したと発表した。ディスティンドは、十分に教育を受けられえない若者に対して、社会的影響力のある教育などの人材投資をしているプラットフォームである。

今回の提携で、ディスティンドから派遣された14人の学生をアライアンスが後援し、不動産業界に必要な技術などのスキルを学ぶ機会を提供した。インターシップ制度として、14人の学生は専門家から直接実体験で学ぶことができる。「将来の業界リーダーへの投資に大きな価値があると信じており、多様な背景を持つ学生に機会を創出することに尽力している」と人事担当上級副社長のシェリダ・コルビン氏は述べている。

さらに同社は従業員の多様性と一体性を推進するためのCEO主導のビジネス コミットメントに参加。職場におけるダイバーシティとインクルージョンを推進する取り組みをはじめている。

出典:https://allresco.com/alliance-residential-company-partners-with-project-destined/

まとめ:アメリカの不動産デベロッパー業界

最近のアメリカ不動産デベロッパー業界は、各企業が新たなプロジェクトを展開し、コスト削減や高品質住宅の提供に注力しています。グレイスターはモジュール式住宅を手頃な価格で提供し、ミルクリークやトール・ブラザーズは高級住宅開発に取り組んでいます。環境に配慮した物流施設やスマートホーム技術の導入も進んでおり、住友林業のJPI買収など、業界再編も活発です。各社は多様なニーズに応えるため、最新技術を駆使した建設を進めています。

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